IS-Twin/Face-   作:reizen

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すみません。すっかり投稿予約するのを忘れてました。
あんなものを投稿しているなら、こっちを投稿しろよ! って絶対何人かは思ったはず。

ってことで、楽しみにしている人なんて限りなく0に近いですが、投下します。



・前回のあらすじ

世界最強がISが兵器だと言い、変な女に絡まれる静流。一夏の発言にフォローを入れつつ、自分は自分にできることをした。


第3話 組長選出

 放課後になり、静流はすぐに教室から出て行く。これから彼は日課であるトレーニングを行うからだ。

 静流は真面目なこともあって朝と夕方は運動することが多い。もっとも夕方はつい最近から行い始めたことであり、その運動量は以前よりも下がっている。

 ちなみにだが、静流は他の外国人留学生と同じで早くから入寮している。本来それは他国から来たため体を時差に慣れさせるための処置であり、日本人が入寮されることは禁止されているが静流は訳あってそれが許された。

 

 ———ブンッ ブンッ

 

 両手で持ってようやく初めて持てる長い棒を振り回す静流。森の中で行われているため、散っている桜の花弁がその風で舞い上がる。

 

(これも随分軽く感じるようになった)

 

 そう思いながらも静流は特に意味もなく回す。これを続けたこともあり、静流の身体能力は大幅に上がったと言っても過言ではない。

 しばらくして既定の数に達したこともあり、静流はその棒を巻いて背負い、部屋に向かう。その姿はさながら長旅から帰ってきたという感じで、周囲で同じく運動している人たちの注目を集める。だが静流自身は何ともない風に歩いており、そのまま寮の中に入った。

 

 ———ズドンッ!!

 

 そのまま自分の部屋へと向かっていると、急に重い音が聞こえる。まるで何か硬い物同士がぶつかって、貫通した音のようだ。

 

(………?)

 

 さらにそれが自分の部屋の方からであるため、余計に静流は警戒する。

 そのまま歩いていく静流。当然、警戒は怠っていない。そしてそれは周りが女共、しかも薄い生地ですぐに見えそうなぐらいの露出をして、静流の存在に気付いた女子たちが騒ごうとも一切気にしなかった。

 

「………何、してるの?」

 

 集まった中心に来た静流。一夏が床に座っていて、目が合った瞬間に静流はドアに視線を向けた。

 

「……君、背中に針でも仕込んでたの?」

「ち、違ぇよ! そういうんじゃない!」

「……じゃあ、これは―――」

 

 するとドアが開き、中から箒が現れる。私服に着替えたのだろうが、何故か袴姿でいて、さらに静流の鼻にシャンプーの匂いが襲った。

 

「………シャワー上がり?」

「舞崎か。………変か?」

「洋服がもはや当たり前になっている今の世の中じゃあ、一般的に袴を着るのは変な部類に入ると思うけど」

「………こういう服しか持っていないんだ」

 

 すると静流が冷や汗をかき始め、じっくりと袴姿を観察する。

 

「……何だ?」

 

 箒はあまり注目されるのに慣れていない。そのため、次第に顔を赤くしてゆっくりとドアを閉め始める。

 

「ちょっと待ってくれ箒。静流も、もうそろそろ止めてやれよ」

 

 だが静流は返事せずにただ箒を観察する。そこで箒はあることに気付き、静流の前に手を出した。しかし静流は何の反応も示さず、ただ一点を見ていた。

 

「………気絶している」

「え?」

「おそらく私の袴姿を見て日頃から着ていると思い、値段換算をしていたのだろう。舞崎は計算が特に得意だからな。単純式なら100問の問題を5分で終わらせるほどだが……その値段を予想し、ショートしたというところか」

 

 ———パンッ!

 

 箒は静流の前で音を鳴らすと、静流はまるで電気を一瞬流されたかのように体を動かした。

 

「あ、篠……ノ之さん、どうしたの?」

「いや、気絶していたのでな。大丈夫か?」

「うん。大丈夫。ちょっと計算したらショックを受けて………」

 

 「じゃあね」と言った静流はそのままそこから離れる。全員はポカンとした顔で静流をそのまま見送る。一夏はようやく立ち上がり、箒と共に部屋の中に戻ろうとして思い出した。

 

「悪い! ちょっと来てくれ!」

「え?」

 

 急に引っ張られてバランスを崩す静流。だがそれもすぐに回復し、そのまま部屋の中に入れられる。それを見て周りは歓喜の雄叫びを上げたが、一夏は一切気にせずドアを閉めた。

 

「な、何? どうしたの?」

「ど、どうしたもこうしたもねえよ! 何で俺と静流が別の部屋なんだよ」

「それは僕にもわからないけど………別に気にすることじゃない? ねぇ、篠ノ之さん」

「そ、そうだな」

 

 話を振られた箒は顔を赤くしながらも肯定する。

 

「とにかく僕は部屋に戻るよ。ここで騒いだって仕方がないし、もしかしたら僕の部屋にも同居人がいるかもしれないから、向こうが不満があるならまたここに来るよ」

「で、でも―――」

「舞崎がこう言ってるんだ。一夏だって男なら、潔く受け入れろ」

 

 箒の言葉もあってか一夏は「わかった」と頷き、静流は部屋を出る。

 そしてそのまま自身の部屋である「1058」号室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。朝早く起きた静流は昨日と同じコースで同じ金属の棒を背負い、走る。そして森の中に入って筋トレし、木を相手に稽古をし、棒を振り回し、帰りも走って戻る。これでも背中の棒が重いこともあってかなりのトレーニングになる。

 それを終えた静流は部屋でシャワーを浴び、さっぱりしてから購買部の時間まで勉強を。始まる数分前に部屋を出て、購買部にある学生証をタッチして支払いし、教室に入ってそこから勉強を始める。

 しばらくすると教室のドアが開き、最初だと思っていた女生徒が既に静流がいることに驚いた。そのことに気付かない静流はそのまま勉強を続け、しばらくして人が多くなったところでチャイムが鳴る。

 

「諸君、おはよう」

「おはようございます」

「「「お、おはようございます」」」

 

 教室に二人の教員が―――というよりも千冬が入ってきたことで全員の気が引き締まる。静流は顔を上げると、いつの間にか教員が来ていたので軽く頬をマッサージした。

 

「これよりクラス対抗戦に出る代表者を決める」

 

 その言葉に全員が動揺し、お互い顔を見合わせた。

 

「クラス代表者とはそのままの意味だ。対抗戦だけではなく、生徒会の開く会議や委員会への出席……つまり学級委員や委員長みたいなものだ。ちなみにクラス対抗戦は、入学時点での各クラスの実力推移を測るものだが、今の時点で大した差はないが、競争は向上心を生む。一度決まると原則的に一年間変更はないからそのつもりでな」

 

 そう説明があったことで今度は隣や前後で会話をし始める。そんな中、一人の女生徒が挙手した。

 

「はいっ。織斑君を推薦します!」

 

 それに続いてもう一人も挙手、同時に意見を言う。

 

「私もそれが良いと思います!」

 

 やがて「確かにそれがいい」や「数少ない男の子なんだし、持ち上げないとね!」などと言った会話が聞こえてくるが、一夏は立ち上がって言った。

 

「お、俺!?」

 

 まるで当然と言わんばかりに「彼ならなんとかしてくれる」という視線を向けられ、一夏は焦り始めた。

 

「織斑、席に着け。邪魔だ。自薦他薦は問わない。他にはいないのか? いないなら無投票当選だぞ」

「ちょっと待ってくれ! 俺はそんなことをするつもりは―――」

「自薦他薦は問わないと言った。他薦されたものに拒否権はなどない。選ばれた以上は覚悟をしろ」

 

 無慈悲に放たれるその言葉を聞いた一夏は少し考え、挙手をした。

 

「だったら、俺は静流を推薦するぜ!」

「………………」

 

 だが静流は完全に興味がないのか、さっきから勉強をしている。

 

「舞崎、参加しろ」

「でも、辞退できないんですよね? だったらすみませんが、僕は自分のことに専念させてもらいます。どうせ結果はわかりきっていますし」

「………」

 

 千冬が辞退させないようにしたのは、積極的な参加を心がけてもらうためだったが、静流の言葉は計算外だった。もしこれで静流の言葉を聞いて他の者も参加しなくなったらどうしようと心配したが、一人の女生徒が手を挙げていたこともあって、そんなことはなかった。

 

「篠ノ之、何だ?」

「あの、私も舞崎を推薦します」

「「え?」」

 

 男子二人が同時に間抜けな声を上げるが、千冬は尋ねた。

 

「織斑はともかく、どうして篠ノ之は舞崎を推薦しようと思った?」

「……私は、去年一年間舞崎と同じクラスでした。その時彼は、クラス代表ではありませんでしたが人を動かす力を存分に発揮し、さらに本来のクラス代表を食わない程度に立ち回っていたと思います。それほどの力を持っていれば、このクラスでも存分に力を発揮できると思ったので推薦しました」

「……………」

 

 ———まさかそんな風に思っているなんて

 

 自分がそう評価されているとは思わなかった静流は目頭が熱くなるが、それでも周りの反応は悪い。

 

「でも、私は織斑君の方が良いと思うよ」

「舞崎君はちょっと……なんか暗そうだしさ」

「むしろ裏方の方が似合うんじゃない?」

 

 それを聞いた箒は反論しようとするが、自分が持つスマホが振動し、それを手に取る。静流からのメールであり、「反論したら負けだよ」と書かれている。

 千冬は箒が何かをしていることに気付いていたが、それが今必要なことだと判断し、見逃すことにした。

 

(………確かに、そういう意味では舞崎が適任か)

 

 おそらくこのクラスで生身で強く、感情が激しい箒が暴れたら大半の人間が大怪我をするだろう。それを御し、立ち回れる人間は貴重であり、このクラスでも上手くやっていける。だが、千冬には一つ不安要素があった。

 

(それをどう、説明するか)

 

 そこまで考えていた時、机が叩く音が辺りに響く。

 

「待ってください! 納得がいきませんわ!」

 

 セシリア・オルコット。昨日、一夏と静流の二人に絡んでいた女生徒であり、イギリスの代表候補生だ。

 その女はさっきからずっと自分が推薦されるものと思い込んでいたが、誰からも推薦されることがなかったため、「私、不機嫌です!」と言わんばかりに怒りを見せていた。

 

「そのような選出は認められません! 大体、男がクラス代表だなんて良い恥さらしですわ! わたくしに、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえと仰るのですか!?」

 

 千冬の隣にいる真耶が止めようとするが、千冬がそれを制止する。

 

「でも、これ以上は―――」

「いや、いい」

 

 ———言いたいのなら、言わせておけばいい

 

 千冬は幼い頃からよく黒い噂を立てられることが多かった。嫉妬などの類であり、そう言う手合いはいつも気が済むまでやらせていた。もちろん、とある人物に協力を仰ぎ、自分が巻き込まれないように気を付けて。

 

「実力から行けばわたくしがクラス代表になるのは必然。それを、物珍しいからという理由で、経験があるといっても表立ったことがない極東の猿共にされては困ります! わたくしはこのような島国までIS技術の修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ!」

「……………」

 

 千冬は心配になって静流の方を見るが、静流は先程から変わらず勉強をしていたのを確認すると内心安堵した。

 

「いいですか!? クラス代表は実力トップがなるべき、そしてそれはわたくしですわ!」

 

 興奮が冷めないセシリアはそのままの勢いで話し、自分がとんでもないことを言っていることに、そしてクラスメイトを敵に回しているのを気付いていない。さらにセシリアはそれも酷いことを堂々と言い放つ。

 

「大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で―――」

「———イギリスだって大してお国自慢ないだろ! 世界一まずい料理で何年覇者だよ!」

(……この馬鹿者が)

 

 今のは黙っておくべきだった。後は注意し、自分がどれだけのことを言っていたかをわからせるつもりだった千冬はばれない様に舌打ちをする。

 

「あっ…あ……あなたねえ! わたくしの祖国を侮辱しますの!?」

「先に侮辱したのはそっちだろ! 静流! お前からも言ってやれ!」

(おい馬鹿! なんてことを―――)

 

 だが静流は話を振られたことで驚いているだけで、ポカンと口を開けているだけだった。

 

「………もしかしてあなた、話を聞いていなかったとか―――」

「…………あ、うん。でもさ、僕はいいかな? そうやって言い返したって喧嘩が大きくなるだけで何の意味もないと思うんだ」

「日本が馬鹿にされたのが意味がないって言うのかよ!」「あなたもわたくしの祖国を侮辱しますの!?」

「ちょ、ちょっと落ち着いてよ。そういうことじゃないんだって」

 

 静流は二人をなだめ、改めて説明する。

 

「ちょっと考えてみてよ。そもそもイギリスは本初子午線を通っているんだ。本初子午線から見たら日本なんて本当に極東と言っても差支えがない場所にある。それにそもそも、日本の近くにIS学園があるのってISの発祥が日本ですべての兵器がその価値を失わされた。そのことでISは各国に分配され、一番調べられている日本の近くにIS学園が作られたってだけ。それにいくら貴族って言ってもオルコットさん自身も忙しかったとか、事情があってあまり日本文化に触れられていないかもしれない。織斑君だって、あまりイギリスの文化を知ってるわけじゃないでしょ?」

「……そ、それはそうだけど………」

「それにオルコットさんだって日本文化に完全に触れているわけじゃない。あなたにも代表候補生としてのプライドがあって、男に負けたくないという気持ちはわかる。でも、だからってあまり先入観だけでそうやって一方的に非難するのは止めてほしいんだ」

「………ええ。そ、それもそうですわね。確かに、今回ばかりはわたくしに非があります」

 

 少し納得がいかないところがあるのか、渋々と言う感じだ。瞬間、彼女は一夏に指を向けて言った。

 

「ですが、あなたがわたくしの祖国を侮辱をしたことは変わりません。わたくしと決闘なさい!」

「おう、いいぜ。四の五の言うよりわかりやすい」

(えー)

 

 実の所、静流はほとんど聞いていた。セシリアは激昂していたことも、それにキレて一夏がイギリスを侮辱することも。だからこそ、ここはお互いを納得させて和解させた方が後々絡まれることはあるにせよ、それほど苦しい思いはしないと。

 だがセシリアの怒りはそう簡単に冷めるものではなかったらしい。そして一夏も容易に受けてしまった。

 

(すまない、舞崎)

 

 千冬は静流の行動を少しだけだが理解していた。その上で二人がこんなことを言いだしたのなら、もう止めることはできないだろう。

 

「言っておきますけど、わざと負けたりしたらわたくしの小間使い―――いえ、奴隷にしますわよ」

「侮るなよ。真剣勝負で手を抜くほど腐っちゃいない」

「そうですの? まぁなんにせよちょうどいいですわ。イギリス代表候補生のこのわたくし―――セシリア・オルコットの実力を示すまたとない機会ですわね!」

 

 今のセシリアと対照的な態度を取って沈んでいる静流。だが周りはその様子を情けないと思うよりか、むしろ同情的な視線を向けていた。

 

「ハンデはどのくらい付ける?」

「あら、早速お願いかしら?」

 

 千冬は物凄い嫌な予感を感じて、それを証明するかのように一夏は言った。

 

「いや、俺がどのくらいハンデ付けたらいいのかなーと」

 

 瞬間、クラスから笑いが起こり、同時に千冬は頭を抱えた。

 

(………この馬鹿者が)

 

 ここはIS学園。そしてさっき向こうが言った「自分の実力を示すまたとない機会」―――つまりセシリアはISで戦おうとしているのだ。それは素人である一夏に対して、一方的な勝利を得るためである。

 そして一夏のあの言葉で笑ったのは―――彼女らが心の底から一夏が負けることを確信しているからだ。

 

「織斑君、それ本気で言ってるの?」

「男が女より強かったのって、大昔の話だよ?」

「織斑君は、確かにISを使えるかもしれないけど、それは言い過ぎだよ」

 

 それを聞いた一夏は「確かにそうだ」と思う。

 今の男の立場が弱いのは男の腕力が何の役にも立たない――—それはISがあるからだ。

 ISがあれば従来の兵器を凌げる、ISは女にしか扱えないが、それはつまり女がいれば国を守れることができる。つまり女が強い。

 それが今の考え方で、それは日本を含め全世界のほとんどが考えていることだ。

 

(今ので笑っていないのは、二人か)

 

 その内の一人は篠ノ之箒。一夏とも、そして静流とも交流がある。そしてもう一人はどちらにもないが、少なくとも静流の敵ではないことは確かだ。

 

(………怒るだろうが、入れるか)

 

 そう思った千冬は今はもう興味をなくしたのか、勉強をしている静流を観察する。

 

「……じゃあ、ハンデはいい」

「ええ、そうでしょうそうでしょう。むしろ、わたくしがハンデを付けなくていいのか迷うくらいですわ。ふふっ、男が女より強いだなんて、日本の男子はジョークセンスがあるのね」

 

 セシリアは一夏をあざ笑う。

 すると一夏の斜め後ろの女子が忠告するように言った。

 

「ねー、織斑君。今からでも遅くないよ? セシリアに言って、ハンデ付けてもらったら?」

「男が一度言い出したことを覆せるか。ハンデはなくていい」

「えー? それは代表候補生を舐めすぎだよ。それとも、知らないの?」

 

 確かに一夏はISに関して何も知らない。姉である千冬もIS学園の教師をしているのであまり帰らない。そして今度は自分もIS学園で住むことになった。そのため両親がいない家庭で育った一夏はいつも通りに掃除したこともあって大して勉強時間を取るどころか、参考書を捨ててしまった。彼の友人の一人はIS―――というよりも代表候補生に興味を持っていたが、IS関連の話はあまりしていない。そして一夏は千冬が戦っている動画を何度か見たことがあるだけで、代表候補生がどれだけの強さかを知らなかった。

 今できることと言えば、後悔することぐらいだろう。

 

「さて、話はまとまったな。それでは勝負は一週間後の月曜。放課後、第三アリーナで行う。織斑とオルコット………そして舞崎はそれぞれ用意をしておくように」

「…えっと、自分もですか?」

 

 まさか参加することになるとは思わなかった静流は困惑しながら尋ねる。

 

「そうだ。織斑だけならば抜きにしようと思っていたが、思いの外まともな推薦もあったことだ。それにこの決闘はクラス代表を決める際に起こった決闘だ。推薦されたお前にも参加する義務がある」

「いやいやいやいや、ないですから! 絶対ないですよ!」

 

 「ただでさえ、ISを動かして日が浅いのに」と言葉を続けるが、千冬はそれを遮断するように言った。

 

「一度決まったことにガタガタ抜かすな。男ならやるくらいの勢いは見せろ」

 

 もうすぐSHRが終わるということもあり、千冬はそう言ったがすぐにそれが悪手だということを理解する。

 静流は特に何も言わず、「わかりました」と答えると同時にチャイムが鳴った。




次回予告

時間がなかった。しかしそれは言い訳に過ぎない。
彼女は彼女のできることをしようとするのだが、彼女はまだ、世界の真の姿を知らない。

わがままの進む道 第4話

「篠ノ之箒の事情」

人はそう簡単には変わらない。

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