IS-Twin/Face-   作:reizen

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第17話 ひたすらボコる放課後

「接近戦の訓練?」

「ああ。今度クラス対抗戦があるんだろ? そのために俺と一度戦ってほしいんだよ。セシリアはその……」

「……ああ。そう言えばオルコットさんって近接が全くできないんだっけ?」

 

 俺の奇襲にすら対抗できないぐらいに。

 近くでオルコットが俺を睨むけど、睨み返すと竦みあがった。よっわ。

 

「わかったよ。確かにデザート食べ放題というものは僕個人でも惹かれる物があるからね」

「ホントか!? やった!」

 

 予約がいっぱいだから利用させてもらうだけだ。

 

 

 

 

 そんな会話があり、俺は同じ打鉄を装備している篠ノ之の姿を見ていた。

 

「……何だ?」

「いや。ただ本当に篠ノ之さんが現代人か疑わしくなってきたんだよ」

「それはどういう意味だ?」

「打鉄が似合いすぎてね」

 

 まさかここまでだとは思わなかった。

 

「くっ……。まさかこんなにあっさりと訓練機の使用許可が下りるだなんて……」

「理由によったら可能でしょ。聞いた話だと、3組や4組はもっと下りてるって話だけど?」

「ふ、不公平ですわ! というかあなたもここにいますの!?」

「オルコットさんが弱すぎるから」

 

 激昂するオルコットを内心笑いながら、織斑の方に改めて向く。

 

「さてと。ところで織斑君の武装に銃はあるの?」

「いや、この《雪片弐型》だけだ」

「………織斑君、それ本気で言ってる?」

「本気だぞ」

 

 俺は思わず頭を抱えた。あり得ない。いや、冗談じゃない。

 

「織斑君、ちょっとステータス見せて」

 

 形的に仕方がないとはいえ、織斑に密着する。男に密着する趣味はないが仕方がない。

 クロエに教えてもらった方法を使って中身を見ると、ありえない事実を見た。

 

「拡張領域を全部使って単一仕様能力に使ってるとか、この機体クソ仕様じゃん」

「いや、それは言い過ぎだろ」

「少なくともそれは僕なら使えるかもしれない代物だよ。とても君のように戦いに慣れていない人間に渡す機体じゃないってことは確かだ。これじゃあ、今度のクラス対抗戦は捨てた方がいい」

 

 事実を言ったつもりだが、どうやらそれは織斑の琴線に触れたらしい。

 

「いくらなんでもそこまでじゃないだろ」

「だったら、僕と戦ってみる」

「……舞崎」

 

 篠ノ之が心配そうに俺を見てくる。どうやら好きな人は殺されたくないようだ。

 

「いや、大丈夫。ちょっと軽く捻るだけだから」

「なら、良いんだがな」

 

 ホッとする篠ノ之。彼女のおっぱいが少し揺れたように見えたのは気のせいではないだろう。

 

「言ったな! 絶対にギャフンと言わせてやるぜ!」

「まぁいいけどね」

 

 俺たちは距離を取る。……っていうかオルコットは何も言ってこないんだな。

 

「行くぜ!」

 

 先制をかける織斑。俺に近付いて唯一の武装《雪片弐型》を横薙ぎするが、それを回避して股間を蹴った。

 顔を青くする織斑を押し倒した俺は馬乗りになり、織斑の顔面をひたすら殴る。たまに振られる《雪片弐型》を腕で払い、容赦なくシールドエネルギーがなくなるまでひたすら殴り続けた。

 

「いっつつ…………」

「舞崎さん、いくらなんでもあんまりですわ……」

「そう? 別にこれくらい普通でしょ。大体、今のは織斑君がどれだけ非力かを確認するためであって、戦い方にどうこうケチつける時間じゃないでしょ」

 

 それに大体、これくらいなら昔はよくしていた。

 

「そ、それはそうですが」

「大体、オルコットさんもそうだけど機体ポテンシャルすべてを引き出せていないから僕程度にも負けるんだよ。さて、織斑君。君の急所がどうなろうか知ったことじゃないけど、無事かい?」

「あ、ああ。まだ痛いけど。っていうか何であんなことをしたんだよ!」

「もう一回食らっとく?」

「いえなんでもありません」

 

 そう言って逃げる織斑の気持ちはよくわかる。されたら凄く痛いから。

 

「大体、殴っただけで騒ぐなよ。本当ならメイスで殴ったりするのが良いんだから」

「いや、だからって急所蹴りは―――」

「言い方を変えると、メイスで急所をフルボッコ」

「俺が悪かったよ」

 

 顔を青くする織斑の気持ちは本当によくわかる。

 

「じゃあ、次は篠ノ之さん。やろうか」

「ああ。そうだな」

「お待ちなさい! 次はわたくしと織斑さんの番ですわ!」

「じゃあこういうのはどうかな? 篠ノ之さんとオルコットさんのタッグと織斑君と俺の2対1対1で戦うのは。篠ノ之さんはISは初心者だろうからオルコットさんがフォロー。織斑君は3つからの攻撃を回避する練習。僕は乱戦で戦える。それぞれにメリットはあるよね? まぁ、篠ノ之さんには無理を強いるけど」

「構わん。私を舐めるな」

「舐められるのは織斑君にだけ、だよね~」

「貴様!!」

 

 顔を赤くする篠ノ之。やだこの子、むっつりです。

 

「さて、適度にヘイトが溜まったところで始めようか」

 

 こうして俺が主導権を握った八つ当たりが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、今日はこれでおしまい」

「「「あ、ありがとうございました………」」」

 

 俺以外の全員が大の字の状態で倒れている。そんなに激しいことはしていないつもりなんだけどな。

 

「みんな、もっと鍛えようよ。いくら何でも疲れすぎだよ」

「……いや、静流が異常すぎるんだろ」

「そう? これくらい普通だよ。それに君のために弾幕が張ったからそんなに疲れてないだけ」

 

 酷い時は複数に囲まれた時もあった。なんとかそれも撃退したけど。

 

「じゃあ、僕は先に上がるよ」

 

 そう言ってISなしでピットに昇った俺は先に更衣室に入る。俺が着替え終わった(というか上に着終わった?)時に2人が現れる。

 

「ちょっと待ってくれよ静流。一緒に帰ろ―――」

「いーちか!」

 

 どうやら俺はお邪魔虫だろうな。そう思ったので外に出ると、

 

(あーあ、わかりやすすぎ)

 

 殺意が所々からあふれ出ている。おそらく俺を殺しに来たんだろう。俺も気を遣って森の中に入る。

 

「………ここなら良いだろ。出て来いよ雑魚共」

 

 ―――カサッ…パシュッ

 

 咄嗟に俺は腕部分を上げて回避する。

 

「かわした!?」

「見え見えなんでね」

 

 トンファーを出して上に振るうと少し移動して女が地面に落下した。

 

「この―――」

 

 もちろん、殴ることを忘れない。

 女がのたうち回るので腕を折り、足を折ってその場に放置する。

 

「この悪魔!」

「俺の家族を奪ったお前らが言うことか?」

 

 チェーンを飛ばして女を引っかけてこっちのフィールドに呼び込んでひたすらボコった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ふざけているのか、お前は」

「ふざけてねえよ。事実を書いたまでだ」

 

 そう言って俺は胸を張ると、織斑先生に怒鳴られた。

 

「……なら、お前が書いたこれを読みあげてみろ」

「……はぁ。「女尊男卑思考を持つ女は漏れなく生産性がないため、生かしても無駄なので即刻殺すことがいいと思います」だろ?」

「だろ? じゃないだろうがこの馬鹿が!!」

 

 職員室だと言うのに大声で怒鳴る織斑先生。

 

「織斑先生、もう夜ですよ? 確かに発情する時間だと言っても限度がありますし、どっちかと俺は山田先生の方が好みです」

「誰が発情しているか!!」

「とりあえず落ち着け。話はそこからだ」

 

 宥めたというのにかつてないほど睨んでくる織斑先生にため息を吐く。

 

「というか実際そうだろうが。女たちが男を見下し始めたことで出産率は今も低下し続けているんだし」

「私は今回の件は向こうに非があるから反省文だけで勘弁してやると言ったが、それに対する回答がこれか!!」

「向こうにしか非はないだろ。だって使ったのは実銃に鉄パイプだぜ? しかもこっちは撃たれているのに反省文を書かせるなんて酷すぎる。あ、でも流石に腕と足を折ったのは間違いだったか」

 

 さっきから山田先生が驚いたり震えたり安堵しているが、たぶん次の言葉で逃げ出すに違いない。

 

「だって指を折っても固定すれば慰みものにできるが、折れてたら豚の餌行きだもんなぁ」

「貴様には反省と言う文字はないのか?!」

「だからちゃんと反省しているじゃないですか。世界がするべき反省はそちらに、俺がするべき対処の反省は今ここで言ったでしょ?」

 

 すると織斑先生は頭を抱える。おそらくこれは心から呆れているのだろう。

 

「大体、こっちは殺されかけてんの。それなのに停学止まりとか意味がわからないんだが」

「普段の行いが良い生徒だからな。それに………いや、これは言う必要ないか」

 

 あーどうせ圧力がかかったとかそういうことだろうな。どうでもいいが。

 

「ところでもう部屋に帰っていい?」

「………ああ、もういい帰れ。ただし後でちゃんとした反省文を書くように」

「了解。織斑先生がモテる可能性が限りなく0に近い理由を書いておいてやるよ」

 

 職員室から急いで外に出る。すると予想通りに織斑先生を慰める声や俺を罵る声が聞こえてきた。

 まぁ、あんまり興味ないし寮へ向かっていると、見覚えがあるツインテがエントランスで足を抱えて座っていた。

 俺はあることを思いつき、エントランスにいる人に声をかけて画用紙とペンと紐を借りて「ご奉仕します。拾ってください」と書いて首にかけると、

 

「何をすんのよ!」

 

 案の定叫ばれたので、少し下がる。

 

「いや、ちょうどいいカモがいたから」

「だからってこんなことを………って何よこれ?!」

「今の君を見て思いついたんだ」

 

 すると凰は顔を赤くして俺に言って来る。

 

「この変態! 恥を知りなさい!」

「何に? もしかして「ご奉仕」でエッチなことでも考えたの? 僕はメイド的なことを考えたんだけど」

「サイッテー!!」

「え? 待って? 僕が考えたのは一般的に貴族とかに仕えるガチな方のメイドだよ?」

 

 さらに顔を赤くする凰。大体、俺がこんな子供みたいな奴に本気で惚れるか。女は胸じゃないが、クロエは雰囲気が大人で、時折見せる子どもっぽい仕草が可愛くて…………

 

「………なんかムカついてきたな」

「それはこっちのセリフよ!」

「それで君はどうしてここにいたんだい?」

 

 女に対する殺気を抑えて凰に尋ねると、言いにくそうにする凰。これはトラブルの予感だな。

 

「まぁいいや。じゃあ僕はこれで」

「待ちなさいよ―――」

 

 彼女の首に足を寸止めする。

 

「何?」

「…………その、話を聞いてもらいたくて」

「いいよ。どうせ織斑君と喧嘩をしたとかでしょ」

 

 だってそんなの興味ないし。そもそも俺は織斑がどうなろうか知ったことじゃない。

 

「何でわかったの!?」

「だって彼って無神経だからね。どうせ「貧乳」とか「チビ」とか怒らせたんでしょ」

「それってアンタが思っていることよね?」

「僕界隈だと「貧乳」とは言わない。「チッパイ」と言うんだ」

 

 そう言えばクロエのは見たことなかったな。そもそも裸って最初ぐらいでその時もまともに見てなかったから。

 

(やっぱり再起不能にすれば良かったな)

 

 骨を折るのは生ぬるい。やるなら徹底的にだ。

 

「とりあえず話を聞いてよ」

「僕は君の保護者でもなんでもないからパス。不満があればカウンセラーにね」

 

 そう言って僕は反省文を書き上げるために自分の部屋に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今、実は凄く後悔している。

 粋がった女をボコった日に練習したのが少し問題だったらしく、俺はさも当然と言わんばかりに織斑の練習に参加を義務付けられているのだ。一度「じゃあ僕はこれで」と言って帰ろうとしたらオルコットに怒られた。理不尽である。

 なので俺は、今日も同じ手法で帰ろうとしていた。

 

「じゃあ、僕はこれで」

 

 アリーナ前で別れようと声をかけると、オルコットが俺に怒る。

 

「いい加減にしなさい! あなたは一夏さんが負けてもいいと言うのですか!?」

「冷静に考えたら、勝つ確率が圧倒的に低いじゃないか。僕が白式を持っているなら名前が近いこともあって少しはテンション上がって可能性は上がるけど、織斑君だよ?」

「……それは暗に俺じゃ勝てないってことかよ」

「織斑君。冷静に考えてみよう。君ははっきり言って雑魚だよ?」

「そこまで言わなくても良いだろ!?」

「じゃあ、僕と戦った勝敗を言ってみなよ」

「……全戦全敗です」

 

 はい、よくできました。

 そう。何度か織斑と戦ったが奴は俺に1勝もできていない。しかも、どれも一方的に負けている。

 

「でしょ? 訓練機の僕にすら負けているんだから、はっきり言って勝ち目は薄い」

「グッ………でも、やってみなきゃわからないだろ!」

「私からも頼む。力を貸してもらえないだろうか」

「「え?」」

 

 篠ノ之が俺にそう頼むと、織斑とオルコットが意外そうに篠ノ之を見た。

 

「何だ?」

「いや、まさか箒がそんな言い方で頼むって思わなかったから」

「頭を下げるなんて……」

「2人は勘違いしているようだが、舞崎は言動でかなり損をしているが本当に話せばわかってくれる奴だぞ?」

 

 そう言ってくれることは素直に嬉しいな。でも、とりあえず気になったので俺は篠ノ之を連れてその場から離れた。

 

「今の頼み方は少し問題がある」

「そ、そうなのか? 問題ないと思ったのだが……」

「うん。頭を下げたのは良いんだけどね。おっぱいの揺れが足りない」

「………はい?」

 

 篠ノ之が固まったが、とりあえず続ける。

 

「前にも言ったけど、男は胸が揺れただけで反応する変態だほとんど。もし織斑君がホモなら話は別になるし僕はアレを達磨にして放置しないといけないけど、見る限り少し意識はしているみたいだから、今後彼にお願いをしたら胸が少し開いて目立つ服にしたら興奮はするんじゃないかな?」

「そ、そうか?」

「それは絶対に間違いないはず。ホモならダメだけど」

 

 そんな会話をして戻ろうとすると、既に2人はそこにいなかった。

 篠ノ之が俺の腕を引っ張って中に入ると、ピットでは意外な顔がいた。

 

「ここは関係者以外立ち入り禁止ですわよ!」

「アタシは一夏の関係者よ。だから問題なしね」

 

 大ありなんじゃないか。次の対戦相手でもあるんだし。

 

「で、一夏。反省した?」

「へ? 何が?」

「だ、か、ら! アタシを怒らせて申し訳なかったなーとか、仲直りしたいなーとか、あるでしょうが!」

「いや、そう言われても……大体鈴が避けてたんじゃねえか」

 

 俺は篠ノ之の肩を叩いて理由をざっと聞くと、どうやら凰は以前、織斑に告白まがいのことをしていたらしい。まがいと言うのは、内容が「毎日酢豚を食べてくれる?」という告白をしたからだそうだ。そりゃあまがいだろうな。

 ただ、織斑はそれを「おごってくれる」と思っていたようだ。アホだろ。

 

「じゃあ何? 女の子が放っておいてって言ったら放っておくわけ!?」

「おう 何か変か?」

「変かって……ああ、もうっ!」

 

 少しばかり凰に同情する。

 

「謝りなさいよ!」

 

 だからと言ってこの発言はないだろ……。どれだけアタシ至上主義だ?

 

「だから、何でだよ!? 約束覚えてただろうが!」

「あっきれた。まだそんな寝言言ってんの!? 約束の意味が違うのよ、意味が!」

 

 でもまぁ、織斑にストレートに告白しない凰にも原因はあるだろ。流石にそこは反省する必要がある。

 そこから2人はヒートアップ。今度の試合で勝ったら負けた方になんでも1つ言うことを聞かせられるという賭けに出て、織斑が勝ったら説明を要求すると凰は顔を赤くして答えを濁す。それをどう受け取ったのか、「止めるなら止めてもいい」と言ったので凰が「謝る練習でもしておけ」と言い、お互いが「馬鹿」と、そして罵倒をはじめ、しまいに織斑は、

 

「うるさい、貧乳」

 

 そう言った。それは彼女にとって禁句だったはず―――

 

 ―――ドガァァンッ!!!

 

 何かが爆発したような音がし、ピット全体を揺らす。見ると凰はISを右腕と肩部分を展開していた。

 

「言ったわね………。言ってはならないことを、言ったわね!」

「い、いや、悪い。今のは俺が悪かった。すまん」

「今の()!? 今の()よ!! いつだってアンタが悪いのよ!」

 

 そんな傍から聞いていたら頭が痛くなることを凰は言った。

 

「ちょっとは手加減してあげようかと思ったけど、どうやら死にたいらしいわね……。いいわよ、希望通りにしてあげる。全力で叩きのめしてあげるわ!」

 

 そう言って凰は出入り口の前に立つと吹き飛んだ―――いや、俺が蹴り飛ばした。

 

「………随分とふざけた行動に出てくれたな、豚女」

 

 高がその程度のことにISなんか使いやがって。

 

「え、静流?」

「待て舞崎、今―――」

 

 俺は篠ノ之の制止を無視して飛び出し、凰に踵落としを食らわせた。

 相手が代表候補生と言うなら国が後ろにいるだろう。だがそれがどうした。

 

「な、何―――」

 

 何かを言おうとしている凰を口を蹴って黙らせ、左足で彼女を蹴り上げて頭上に浮いたところを右足で壁に叩きつけた。

 

「止めろ静流! それ以上は鈴が!」

 

 後ろの外野を気にせずに高が口喧嘩ごときでISを使った屑に制裁を加えていると、気配がしたので左腕を上げて受け止める。

 

「……篠ノ之か」

「悪いが、お前を止めさせてもらう!」

 

 そう言って篠ノ之はどこに忍ばせていたのか、予備の木刀で俺に攻撃してくる。凰から視線を外してそれを回避し、俺も本気で篠ノ之に仕掛けた。

 

「しかし驚いたな。てっきりアンタは俺を見逃すと思ったが」

「確かに、お前がされたことには同情する。だが、だからと言ってあそこまでされて止めない奴などいないさ」

「OK、上等!」

 

 篠ノ之の木刀を瞬時に弾く。左の方はあっさりと飛んで行ったが、右は保持か。流石は全国大会優勝者―――だが俺の邪魔をするならかつての友人とはいえ潰すだけだ。

 

「止めろ!」

 

 顎を砕きに行こうとしたところで乱入者だ。俺は少し距離を開けると間に白式を展開した織斑が入って来た。

 

「いい加減にしろよ静流! 何でこんなことをしたんだよ!?」

「篠ノ之はついで。凰に関しては自業自得だ」

「何で―――」

「生身の奴に対してISを使ったからに決まってんだろ」

「だからって攻撃してもいいのかよ!? それに鈴は女の子なんだぞ!」

「それがどうした?」

 

 俺と織斑とじゃ考え方が根本的に違う。

 ISは兵器だ。だがその兵器は使い方によっては相手を生かすことはできるが、殺すこともできる。そんな奴を生かす必要なんてないのが俺の考え方だ。だが、織斑はフェミニストなんだろう。だからこそ、さっき異常な行動をした凰を庇う。

 

「どうしたって………」

「別にテメェを殴ったぐらいならテメェが悪いから傍観するつもりだったが、今回ばかりは話が別だ。奴が二度と動けなくなるまでボコる」

「ふざけるな! そんなことをしたら鈴が可哀想だろ!?」

「………可哀想? 何か勘違いしてねえか、お前」

 

 俺は凰に鎖で引き寄せツインテの片方を持つ。

 

「こいつは今ここでテメェの横にISで攻撃したんだ。そんな奴を生かして何になる? 今すぐ殺すか男の性処理道具として使うのが普通なんだよ! こいつはそれだけのことをした! オルコットはまだそれをしていないからここまでしてねえだけだ。やった瞬間いつでもIS諸共操縦者を再起不能にするけどな!」

「でも俺たちは無事なんだぞ! ならそこまで―――」

「そうかい」

 

 俺は凰を蹴り飛ばして壁に叩きつけ、出入り口の方に向かう。

 

「悪いが友達ごっこもこれまでだ。後は勝手にじゃれとけや、ゴミ共」

 

 そう言ってピットを出た俺は部屋に戻った。




決して作者は女に対して偏見を持っているわけではありませんからね! ……まぁ、ちゃらちゃらしたのは苦手ですが、だからと言ってそこまでの思想はないです。

ということでとうとう、鈴音が犠牲になりました。いや、ホント…セカン党(?)の人ごめんなさい。でもいくら貧乳って言われてもそこまで切れなくても……っていうのはありますけどね。
ちなみに本人も言ってましたが、生身で殴った程度だと普通にスルーしています。あくまでISを使用しての威嚇射撃に切れているだけですので。

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