桜と海と、艦娘と   作:万年デルタ

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さっぱりな戦闘パート。
敵主力との戦いまでは
少し飛ばしていきます!

勝ちすぎても負けすぎても
物語がつまらなくなってしまうので
その良い具合がわからないですね。
しばらくは完勝で行けそうですが、
敵主力については苦戦するかもです。



2-4a 敵西方艦隊を叩け!前編 【西之島近海】

「「戦闘機隊、全機発艦ッ!!」」

 

 

飛鷹と千代田から

制空隊のみが飛び立つ。

 

それとやや遅れて

金剛をはじめとした主力艦からも

観測機がカタパルトから射出される。

 

 

「敵西方艦隊まで50キロある。

戦闘機隊は制空権を確保し続けろ!

観測機と硫黄島の哨戒機の

援護を怠るな、今回はちと退屈かも

しれないがその役割は重要だぞ!」

 

 

戦闘機に搭乗する妖精に対し、

改めて戦闘の目的を示達する。

 

くどく思われようとも

こうした指揮官の意向の共有が

戦果の如何に関わるのだ。

 

『了解ですよ提督!

その辺は他の妖精にも伝えて

あるんで心配ご無用ですっ!』

 

制空隊指揮官である千代田の

戦闘機隊所属の妖精が元気に返答する。

ちなみにこの妖精、千代田戦闘機隊

一番機は女子である。

 

他の空母艦娘の艦載機指揮官クラスは

ほとんどが男子であるから、

彼女の勇敢さと頑張りはよく目についた。

 

「大変結構!

帰ってきたら全員に美味しい

冷えたジュースを奢ってやろう」

 

『嬉しいですがその言い方だと

すごく不安になりますねぇ…』

 

「じゃあ帰って来なかったら

夜のすき焼きはナシだな、南無三」

 

千代田の夕食はすき焼きだと耳にし、

それをエサに妖精を煽る俺。

 

『絶対帰って来ますから!

千代田姉さん、

残しておいてくださいね!』

 

『え~…どうしよっかなぁ~?』

 

悪ノリする千代田もよく分かっている。

もちろん食事はちゃんと温かくして

妖精の帰りを待っている千代田だ。

 

 

……

 

 

口ではふざけているようだが、

作戦については皆優秀である。

 

『提督、敵西方艦隊の上空に着きました!

敵機はいません、制空権確保ですっ!』

 

「おっしゃ、でかしたぞ!

敵の対空砲火の密度はどうだ?!」

 

制空隊は上空に飛んで行っただけであり、

特に大したことはしていないのだが

それでも褒めてあげるのを忘れない。

 

『午前中の機動部隊ほどでは

ないですがやはり脅威的です!

観測機も余り近付け過ぎると

撃墜される危険があります!』

 

むぅ、やはり一筋縄ではいかないか。

 

「了解した。

それで…肝心な『陽の傾き』はどうだ?」

 

 

俺が制空権確保の次に重要視したのは

【時間】と【陽の傾き】だった。

 

現時刻は1542i。

 

いくら赤道に近いとはいえ、

夕刻を過ぎれば観測射撃は不可能。

中途半端に攻撃を中止してしまうと

敵が態勢を立て直す猶予を

与えてしまうだろうし、何より

敵潜水艦による夜間の奇襲を

招く恐れがあった。

 

陽が明るい内に可能な限り敵を叩き、

タイムリミットまでには潔く

退却して再戦の機会を整えて、

明朝の日出後可及的速やかに

残敵を撃滅せねばならない。

 

もう少し時間が早ければ

撃滅できただろうがこればかりは

どうしようもない、割り切ろう。

 

『天候も晴天、敵の編成に

大型艦は含まれておりません!』

 

(敵に重巡クラスはいない?

東方の機動部隊にはいたのに…。

こっちの艦隊は重要視されて

いないということなのか…?)

 

むむむ…。

マーカスに近い東方艦隊に主力艦を

配備するのは必然にしても、

それでも西之島周辺の西方艦隊にも

有力な戦力を配備するのが戦略的に

考えて妥当じゃないだろうか。

 

(もしかして敵は自由自在に

深海棲艦を出現させられる訳じゃ

無いのかもしれないな…)

 

前回の『小笠原』では

無限のように敵の潜水艦が現れて

それこそ深海棲艦の恐ろしさを

実感したが、制空隊の報告から

判断するともしや海底に敵の基地でも…。

 

「…わかった、制空隊については

交代で上空援護を実施すること。

非番の戦闘機については

各母艦に帰還してよろしい!」

 

 

色々と敵の生態や行動等

わかりそうな気がしたが

今すべきことは【敵の殲滅】であり、

【敵の分析】ではないのだ。

そう思い直し、頭を切り替えると

艦隊に進撃の指示を出した。

 

 

※※※※

 

 

「テートク、敵艦隊まで

25kmを切りマシター!」

 

「うん!

戦艦組と重巡組は用意出来てるか?!」

 

 

『霧島ですっ、準備できています!』

 

横にいる金剛は報告せずとも

完了しているのはわかっている。

 

もう一隻の戦艦である霧島から

待ってましたと言わんばかりに

ウキウキ声が返ってくる。

 

「撃ち過ぎて弾切れとか

勘弁してくれよな?なっ?」

 

『この霧島…そんなヘマを

一体何故しましょうかッ?!』

 

うん、凄くやらかしそう…。

なんか話し方が色々おかしいし…。

気合いが入り過ぎて空回りしそう。

 

『我輩は当っ然!準備出来ておるぞ!』

 

『筑摩も同じく用意できています』

 

とねちく姉妹もいいようだ。

利根が無駄にハキハキしてるが

大丈夫なんだろうか…?

筑摩は普段通りで安心した。

彼女がとねーさんを監督してくれるハズ。

 

『こちら妙高!

砲弾装填良し、いつでも撃てます!』

 

『愛宕も準備万全でぇ~っす!』

 

言いたいことは変わらなくても

なんか対照的な妙高と愛宕。

こういった戦闘前でもアタゴンは

やんわりとしてるんだな…。

これはこれである意味安心…か?

 

 

……

 

「妙に不安も感じるが、

腕は確かなのは俺も知っている。

この砲撃で敵をアウトレンジから

叩いて滅茶苦茶にする!」

 

自分でもガキみたいなセリフだと

感じたがまぁいいだろう。

 

「まずは試射を行なって

観測機からの弾着報告を受ける、

そして修正射と本射に移る。

ほら、簡単だろ…?」

 

とはいっても戦闘中に

ホイホイと観測機と通信したり

弾道の再計算をするのは並大抵じゃない。

 

大艦隊でこうして艦砲射撃することも、

複数の観測機が各自のフネの着弾を

観測しそれを母艦に伝えるのも初。

各観測機から母艦に無線やモールスで

報告する周波数の調整やらやら…。

 

全てが初めてのことだらけなのだ。

 

それ故に戦闘もかなり余裕を持って

臨んでいるのも事実であった。

 

 

(でも弾薬の余裕はないけどな)

 

 

心の中で毒を吐きつつ

次なる命令を下す。

 

「それでは戦艦、重巡組、

主砲、撃ちィ方始めェッ!」

 

「Aye,aye,my admiral.

Test firing…shoot!!」

 

横の金剛が流暢なイギリス英語で

試射の号令を発した。

 

『ファイヤ』と言わずに

英海軍らしく『シュート』と

言うのも、なかなか興味深い。

 

<<ガァン!!ガァン!!>>

 

6隻が奏でる砲撃音が

見事な奏鳴曲(ソナタ)を奏でる。

 

ソナタとはクラシック音楽における

室内楽曲の一つであるのだが

このソナタは屋外の、しかも

戦場においてである。

 

強いて近いものを挙げるとすれば

チャイコフスキーが作曲した

【序曲『1812年』】だろう。

 

6隻が順番に発射する光景と、

それに伴う爆音はまるで

陸上自衛隊が榴弾砲を用いて

野外演奏を行なっているかの様だった。

 

<<ガァン!ガァン!>>

 

 

しかし、しかしである…。

 

 

※※※※

 

 

射撃が試射から本射に移り

海戦らしい雰囲気になってきたが

戦闘開始早々、言いたいことがある。

 

「さっきからずっと

言いたかったんだけどさ…!」

 

<<…ガァン!>>

 

「まじでうるせぇな、コレ?!」

 

「え、なんデスカー?!」

 

<<ガァン!>>

 

 

そう、艦砲射撃が煩いのである。

耳がおかしくなんじゃねぇか、マジで。

 

戦艦の艦橋の内部といえども、

戦闘艦橋…通称昼戦艦橋の

ウイングに出るドアは開放されており

外の音がダイレクトに入ってくる。

 

耳栓をしようにも指揮官である以上、

大切な耳をふさぐわけにもいかない。

 

つーわけで…

 

「艦砲射撃がうるせぇっつってるの!」

 

「良く聞こえまセ~ン?!

ah~…もっと撃てばいいんデスネ?!」

 

おいこら待ちたまへ金剛クン。

 

この『ヴィッカーズの跳ねっ返り娘』は

俺の声を見事に聞き間違えやがった。

 

更に砲撃の間隔は短くなり、

段々五感もおかしくなってきた…。

 

 

……

 

 

俺が艦橋でくたばっている間にも、

艦砲射撃は継続していた。

 

もちろん弾着は高精度、

敵艦隊に対してもダメージを与えている。

ダメージといっても大口径の砲弾が

軽巡程度のフネに当たれば確実に

致命傷になるため、敵の兵力は

ガリガリと削られていった。

 

観測機からの報告では

アウトレンジ射撃によって、

少なくとも敵の二割…約40隻中

8隻を撃破したようだ。

単純な命中数でいえば

20隻近くに命中弾を与えていた。

 

敵の増援も、何時ぞやにやられた

『温泉システム』のように湧き出る

こともなく増えていないようだ。

 

しかし夕陽はあと20分もすれば

確実に沈み、砲撃の精度は一気に落ちる。

ヤケになった敵が突っ込んでくる

かもしれないし、とりわけ

潜水艦の襲撃が一番怖い。

 

護衛艦や哨戒機が、この砲撃中も

黙々と対潜警戒を行なっているが、

それでも見落とす可能性だってある。

 

「もう頃合いだな…。

打ち方待て、観測機は全機帰還せよ!

上がっている制空隊も観測機が

着水したら帰還せよ、陽が沈んで

からだとサメを抱き枕に水中で

オネンネするはめになるぞ!」

 

『サメを抱き枕とか、

なにそれ、バッカじゃないの…?』

 

『ダメよ満潮、司令官に対して

そんな暴言を吐いては…』

 

満潮の罵倒は相変わらずだ。

そしてそれを咎めるお姉ちゃんの朝潮。

よしよし、今度撫ででやろう。

 

『サメを抱き枕とか寝られる気が

これっぽっちも起きそうにないよね!』

 

『意外と可愛らしくて

いいんじゃないでしょうか。

ふふっ、デフォルメされたものなら

私も欲しくなるかもしれません』

 

蒼龍と鹿島がサメの抱き枕を

想像したのか、各々が思ったことを

ストレートに述べる。

 

てか蒼龍は父島に残置したのに

何故か無線に混ざってるし…。

別にボケに乗ってくれてるし

嬉しいんだけどね、無問題。

 

「は~い、みんな静かにー!

艦載機が着艦したら

一旦この海域を離れるぞ。

 

夜戦には突入しない!

 

父島の西方100キロ地点に後退して

軽巡や駆逐艦は夜間対潜警戒を

してもらうからそのつもりでいろ。

再攻撃は明朝に行う」

 

 

このまま夜戦に突入しようか悩んだが

リスクとリターンを考えると

効率的ではないと判断した。

マーカスや敵西方残存艦隊も

黙っていないだろうし、

無駄な深追いは禁物だ。

 

『え~…夜戦したかったのに~!』

 

こら、だまらっしゃい夜戦馬鹿。

 

『そうよ、ここで見逃したら

奴らが分散してゲリラ攻撃を

仕掛けてくるかもしれないのよ?!』

 

『満潮の言う通りだよー!

ノロノロしてたら西から

敵が攻めてくるかもしれないよ!

私が五連装酸素魚雷で

やっつけてやるんだから!』

 

満潮に島風が同調し、

勝手に突撃しそうな雰囲気だ。

 

『せ、せやかて夜は

潜水艦もおるし危険やで…!』

 

『黒潮さんの言う通りです。

ここは司令がおっしゃるように

艦隊を再編成させた方がよいかと』

 

 

夜戦と潜水艦の恐ろしさを知る

黒潮が宥めようとする。

それを冷静にサポートする親潮。

このコンビもこの海戦が初めてだな、

まぁ今はどうでもいいが。

 

 

「確かにここで夜戦に突入すれば

あの敵艦隊を壊滅させられるだろう」

 

『でしょ?!ならっ夜戦…!』

 

「ちょっと黙ろうか夜戦馬鹿」

 

『馬鹿ってなによ馬鹿とは?!』

 

約1名うるさいが無視して続ける。

 

 

「とりあえず元気があってよろしい。

だがそれは軽巡洋艦と駆逐艦に

限ってのことだってわかってるか…?」

 

『『…え?』』

 

 

俺の言葉にキョトンとする艦娘たち。

 

 

「あー今日は疲れたな~、

空母は2回も艦載機飛ばしたし

戦艦と重巡は大砲ぶっ放したもんな、

さすがに休まないとだよなぁ〜…」

 

『『……あ』』

 

「別にお前たちが何も

してなかったなんて言うつもりは無い。

だがな、艦隊全体をよく見渡してみろ。

 

夜戦に突入するにしても

空母は退避させないといけない。

戦艦と重巡は砲撃が終わったばっかりで

艦内は空薬莢が転がってて

足の踏み場も無いはずだ。

急いで今から海中投棄するにしても

バテバテの妖精が可哀想だろ?

 

それに気分が高揚してるから

わからないかもしれないけどさ、

『お前ら』は疲れてるんだぞ…?」

 

『『うっ……』』

 

 

俺はスラスラと考えを述べ、

そして最後にとどめを刺した。

 

「連戦して艦隊は疲労してる。

艦娘に限ったことじゃないぞ、

護衛艦だって同行しながら

対空、対水上そして対潜警戒を

行っていて、決して遊んでいる

訳じゃないんだからな」

 

艦載機を飛ばしたり艦砲射撃を

したりと艦娘が前面に出ているが、

それは縁の下の力持ちである護衛艦が

いるから出来ることであり、先の

空襲実施に際しては空自や海自の

航空部隊が居たからこそ被撃墜を

最小限に食い止められたのだ。

 

そこのところを忘れないでほしい。

 

「ここで無理に戦っても

疲労が溜まる一方だし、被弾したり

してもつまんねぇだろ?

俺自身焦ってしまうけども、

そこは敢えて戦わないのも大事だ…」

 

『で、でも早く敵を倒さないと

本土も危なくなるのよ?!

 

太平洋側の港湾にいる商船だって

運行を停止してるし、このままだと

国内の流通が大変な事になるわ!』

 

 

満潮が最後の抵抗をする。

 

確かにこの作戦を可及的速やかに

終わらせねば日本経済はストップ

したままになってしまう。

 

数日前政府は、

太平洋側にいる船舶に対し

無期限の運行停止勧告を出した。

伊豆諸島近海にまで深海棲艦が

出没したため致し方ないだろう。

 

突然の出来事に、産業界からの

反発もあったが背に腹はかえられぬ。

犠牲を出すよりかはと皆従った。

 

 

「急ぐと焦るは違うぞ満潮。

急いで奪還すべきではあるが

それは万全を期さねば意味は無い。

 

焦って進撃すれば必ずミスがある。

心身に余裕が無くなり、被害も受けて

しまうし、最後には作戦の目的を

果たせずに取り返しのつかない事になる。

ここで敵が分散してしまっても、

所詮は『はぐれ艦隊』程度の脅威。

後々でゲリラ襲撃をしてくるとしても

対処のやりようはあるし、

そいつらが一気に本土に向かうのは

あり得ないと考えるぜ?」

 

『どうしてそう言い切れるのよ?!』

 

甘いぜ満潮、俺だって

伊達に提督はしてないぜ。

 

「敵西方艦隊の情勢は前々から

哨戒機や偵察衛星から報告が

逐次入って来ていた。

そしてコッチの敵は西之島から

離れようとせず、ぷかぷかと島の

近くに留まっていた。

 

これらから判断すると

①敵はロストする事なく索敵に

引っ掛けて再補足可能。

②敵は西之島から離れられない

理由がある、または単に航続距離が

もたないから攻勢に出られない。

 

…という可能性が浮かんでくる」

 

あくまで俺の見解だ。

海幕や他の指揮官は違う考えかも

しれないが、あり得ないことはない。

 

「もしどうしても攻勢に

出たいと言うのであれば…」

 

『な、なによ…?』

 

「…3等海佐 菊池圭人。

特務護衛艦『満潮』に乗艦し、

夜戦の指揮を取る。

他の艦娘は引き続き、先程伝えた

作戦に従って行動せよ!

……ってなるけどそれでいいか?」

 

 

満潮が本気で行くと言うのであれば

俺も覚悟を決めてやろうじゃないか。

 

 

『ほ、本気なの?!

司令官が乗ったところで

別に勝てる訳じゃないのよ?!』

 

「じゃあ諦めろって。

川内と島風も、もういいだろ?」

 

行く行くうるさかった2人に振る。

 

『夜戦したいけど、仕方ないかな…』

 

『よくわかんないけどなんだか

後で大変そうだからやめときまーす!』

 

「…だってさ」

 

さすがに満潮も冷静になったのか

突っかかるのをやめた。

明日の戦闘が終わったら

文句ぐらい聞いてやるからな…。

 

 

…………

 

 

1920i

 

満潮も渋々引き下がり、

艦隊は対潜警戒を厳にしつつ

休養待機に入った。

 

外側を守る護衛艦部隊も

盛んにソーナーを打ちながら

忍び寄る潜水艦を捜索している。

艦隊上空を哨戒機が往来して

憎き潜水艦を見張っている。

 

 

「あー、夜戦しなくてよかったぜ」

 

 

灯火管制を敷く艦隊を眺めながら

率直な感想をぽつりと吐く。

 

戦えば簡単に勝っているだろう。

しかし弾薬の消耗、艦隊の被害は

避けられず後で苦労するのは明らか。

 

ここで艦娘のみが戦っても、

マーカスは護衛艦部隊のみで

戦い抜くのは不可能。

逆も然り、要はバランス。

 

勝てばいいというわけじゃない。

程々に戦うことも必要なのだ。

 

「テートク、紅茶を飲もうヨ!」

 

「おう、いただくとしようか」

 

気付けば横に金剛がいた。

艦橋を妖精に任せて

俺たちは士官室へと向かう。

 

「レモン・ミルク有り砂糖2コ、

ゴールデンドリップマシマシで頼む」

 

「ワタシはラーメン屋じゃないデース!」

 

俺の注文に思うところでもあったのか

金剛がぶーぶーと愚痴る。

 

それでも、慣れた手つきでテキパキと

紅茶を淹れ、俺はそれを受け取る。

 

「そう言えばテートクに

明日の作戦について提案が

あるんだけどサー…」

 

「お、なんじゃい?

言ってみ言ってみ!」

 

 

……

 

 

カップに口を付ける前に金剛が話す。

興味を惹かれた俺は耳を傾ける。

 

結果的に紅茶は冷めてしまったが、

金剛の提案はそれを無視できるほど

有意義で、かつ単純なことだった。

 

 

「…ふーむ、開始直後から命中すれば

うまく戦局も流れるとは思うなぁ」

 

「やっぱりナイスアイディアデース!

これなら他の艦娘の為にもなりマース!」

 

 

明日の残存敵艦隊掃討戦は

少し変わった戦闘になりそうだな…。

 




艦娘と敵が入り乱れる大乱戦も
良いと思ったのですが、
被害を受けてしまう可能性も
あるのでそれを避ける形に。

実際に深海棲艦と戦争になれば
艦娘もドンパチするのでしょうかね?
ミサイルを撃ちまくれば完勝すると
思いますが、弾が無くなりそうですね。

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