桜と海と、艦娘と   作:万年デルタ

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今回は戦闘のみ。
量も少なめでサクッと読み終わります。


現時点戦力・被害比較
◯第101護衛隊
・戦闘参加艦
鳥海ー小破
その他ー被害軽微

・不参加艦
蒼龍ー被害無し(夜戦は不可能)
日向ー小破(残弾僅か)
神通ー中破(何故か火照ってる)

◯敵水雷戦隊
フラ軽巡へ級1(旗艦らしい?)
フラ駆逐ハ級5
内1隻は小破




1-7A 夜戦前編 命中、だが敵も…

 

「よしっ!重巡隊、撃ち方始めェ!」

 

 

俺の号令により利根たちが敵を左右から

挟み込むように砲雷撃を加える。

 

 

重巡は20.3センチ砲、敵は軽巡と駆逐艦のみのため最大15.2センチ。

実質重巡の砲撃のみの一方的な鉄の雨を浴びせる。

 

 

艦首に砲塔が集中している利根が

右から惜しげも無く砲弾を放ち、

その後ろの鳥海が左正横を変わった

敵艦隊に後部砲塔から牽制弾で追い打ちをかける。

 

その敵の反対側、左からは妙高が

利根らに劣らぬ高密度射撃を放ち、

敵の陣形を乱しつつ散開を妨害する。

 

 

逃げ場の無い敵はその場を切り抜けようと砲撃を放ち魚雷を遠くの重巡へ撃とうとするがお互い距離があるのと、

反航故の双方の速力と変針が狙いを狂わせフラグシップの腕をしても雷撃を成功させるには至らなかった。

 

 

 

「こちら利根、敵2番艦に命中!

艦首付近のようで被害は軽微のようじゃが速力が落ちた!

反転してあやつを狙うっ!」

 

「こちら妙高!

至近弾はかなりありましたが

命中弾なし!敵もなかなか巧みに

回避したようです、申し訳ありません!!」

 

「謝ることじゃ無いさ。

それに3人が被弾や被雷もしてなくて

よかったよ…!」

 

 

妙高が申し訳なさそうに無線越しに

謝罪するが何をそんなに悔やむ必要がある。

 

「妙高は真面目すぎるぜ、まぁ

そこが可愛いところの1つなんだがな」

 

「そんな…可愛いだなんてっ!!」

 

「…提督ぅ〜、戦闘中にイチャイチャしないでくださいませんかぁ〜?」

 

 

俺と妙高がいい感じになっていると

夜戦に参加せず待機していた神通が

静かに、だが声は鳥肌が立つぐらいの恐ろしさを持っていた。

 

 

「すいませんマジ調子乗ってました」

 

「夜戦の後に覚えておいてくださいねぇ〜?」

 

 

おお怖い怖い…。

戦闘に参加していないとはいえ

夜戦モードの神通は人が変わるんだな。

 

 

ん、じゃあ神通と『夜戦』する時には

すごく激しかったり…?

 

 

「いますごくヘンなこと想像していませんでしたかぁ〜?」

 

 

ドキッ!!

 

 

「いいやしていないです、ハイ」

 

「嘘をついていたら、わかってますよね〜?」

 

「おっと戦況が動きそうだから

ここらで無線を切るぞー(棒読)」

 

 

一方的に打ち切る提督。

 

 

(全く…提督ったら!)

 

神通は怒った口調(むしろ雰囲気か?)で話していたが、こんな夜戦も

悪くないと思い始めていた。

 

(でも『昔』のように機械のように

無機質に戦うより、仲間との繋がりを常に感じながら戦うのも悪くないのかもしれませんね…。

提督もそこまで見越してあえて

緩すぎるぐらいの交話を行なっているのでしょうか…?)

 

 

神通の予測は果たしてハズレなのだが、

こんなのんびりムードの無線とは反比例するように戦闘は更に激しさを増していく。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「こちら鳥海っ!

敵艦隊は重巡には目もくれずそちらに直進していきますっ!!」

 

慌てた声の鳥海が敵が誘導に引っかからなかったことを報告する。

 

 

「焦るな鳥海。その為の腹案だ、

戦いとは常に相手の先を取らないといけない。

さっき伝えた通りこちらもそれに対応するだけだ。

 

重巡隊は手筈通りハートを描くように反転して敵を後方から追い立ててくれ!

 

水雷戦隊、みんな準備はいいか?!」

 

 

ちらと右舷にいる阿武隈を見る。

俺の意図を解したようで、すぐに送話器を手に取る。

 

「あたしはオッケーです!」

 

「秋月、魚雷の残弾は少ないですがやれますっ!!」

 

「黒潮、いつでも魚雷発射可能や〜!」

 

 

左部隊は用意よし!

 

 

「春雨、いつでも大丈夫ですはい!」

 

「電です、すごく怖いのです…。

でもそれ以上に頑張りたいと思うのです!

魚雷は装填完了ですっ!」

 

「曙、いつでも撃てるわ!

…か、活躍したらご褒美、ほしいかも…」

 

「響、緊張していない訳じゃないが

司令官がいれば大丈夫さ。」

 

右部隊も準備万端のようだ。

 

 

「いいか無理はするなよ!

敵を倒すことに集中し過ぎると

自分が被弾するからな。

 

一撃で仕留めるなんて、重く考えなくていい。

肉薄も禁止だ、隊列を維持しつつ

敵の攻撃を流すように攻撃するんだ。

こっちは連戦続きで弾も少ないし

疲労もあるしな。

 

神経を無駄に使わないように。

気張り過ぎるとロクなことにならん。

敵を撹乱させる程度でいこう!」

 

 

 

いよいよ水雷戦隊の出番なのだが、

俺は不思議なくらい冷静だった。

 

人間には緊急事態になると2つの状態になるらしい。

 

1つは混乱して正常な判断ができなくなる状態。

もう1つは逆に頭が冴えて普段ではあり得ない才能を開花させたりと非凡な能力を発揮する状態。

 

 

俺はどうやら後者の状態のようで、

ヌ級脱出時の別れ道だったり今のように敵との交戦においても第五感のような閃きが頭にパッと浮かんだりする。

 

 

別に大した考えは浮かばないのだが

混乱して指示を出せないよりかは

かなりマシだ。

 

 

 

「阿武隈と秋月は砲撃で敵艦隊に

ありったけの弾幕を張れ!」

 

 

下令するとすぐに阿武隈と続航する秋月から砲身が焼き付くのではないかと不安になるぐらいの砲撃が開始される。

 

 

一航しただけで全弾撃ち尽くすのではないかという数の砲弾が夜の空を舞う。

 

 

敵がいかに手練れであろうと現代の

技術を応用したレーダー射撃を始めとした精確さには敵わない。

 

 

攻撃を集中させた先頭の1番艦が被弾炎上し、

それを避けようとした後続が転舵したことにより僅かだが陣形が乱れる。

 

 

「よしっ陣形が乱れた!

黒潮、ぶっ放せ!」

 

「ウチにまっかせといてぇな!」

 

 

最後尾の3番艦の黒潮が意気揚々と

魚雷を敵の予測進路上へと放ち、

右部隊の攻撃は一旦終了する。

 

 

 

この時点で敵は1番艦中破停止し

炎上しており、2番艦は重巡の

砲撃により小破。

 

 

こちらは至近弾はあれど被害軽微、

だが敵の雷撃は向かってきている。

これをいかに見つけて避けるか。

 

 

幸い敵の使用する魚雷は空気魚雷であることがこれまでの戦闘からわかっているため、見落とさず適切に回避すれば被雷せずにやり過ごすことが可能であろう。

 

 

阿武隈と秋月に雷撃をさせなかったのは

この一航過だけで魚雷を使い果たさないためだ。

 

 

 

3番艦の黒潮のみが雷撃を実施し、

左部隊にバトンを渡す。

 

 

黒潮から酸素魚雷8本が放たれ、

反航しながら砲撃を続ける敵水雷戦隊

へと向かう。

 

 

 

酸素魚雷の射程は20キロ程度。

通常の空気魚雷のそれは良くても6、7キロというのを比べても3倍近くの航続距離があり、コストを無視すれば

ほぼ無傷で敵に大打撃を与えられる

兵器である。

 

 

命中率は極めて低いが駆逐艦のような

小さなフネから大口径砲に匹敵又はそれ以上の破壊力をアウトレンジから

一方的に撃てるのは旧式の軍艦といえど魚雷を積んだ艦艇の強みであろう。

 

 

 

反航する敵艦隊とも距離を空けてあるし、

砲撃も5インチ6インチの小口径砲では

ギリギリ届くだけの頼りない存在。

 

その中で艦娘が操るかつての戦船は

例え敵が優秀であろうとも、

遠距離から必殺攻撃を仕掛けることが

可能となった。

 

 

 

「流石に魚雷に射管装置は載せられなかったけど、こちらにはレーダーを始めとした現代の科学技術がある!」

 

 

レーダーで的針的速、つまり敵の針路と速度を割り出しそのコースをある程度予測し、その未来位置へと魚雷を

放てば高確率の命中が期待できるというわけだ。

 

 

敵が第二次大戦時の軍艦を催しているのならレーダーは『まだ』つんでいない筈だし、それを証明するように逆探装置にも反応はない。

 

 

今後増強されていく可能性はあるだろうがそれは今考える時ではない。

 

 

「当たってぇなー!!」

 

8本のウナギは長距離を泳いで

敵艦隊に殺到する。

 

先述の通り命中率は極めて低いのだが、

偶然か必然か炎上停止していた敵1番艦を見事仕留めることができた。

 

これは航行する敵艦隊を狙った魚雷が外れただけなのだが、命中しないよりかはマシだ。

 

 

 

しかし雷撃をしたのは

こちらだけではない。

 

 

 

やや遅れて発射された敵の魚雷が

間も無く殺到する頃だ。

 

 

空気魚雷が発する雷跡は

月明かりに照らされることなく

目前に迫る……。

 

 

 

 

 

 




現在の彼我の参加部隊被害

◯第101護衛隊
・重巡隊ー鳥海小破、他被害軽微

・水雷戦隊ー被害軽微

◯敵水雷戦隊

フラ軽巡へ級ー健在
フラ駆逐ハ級4隻ー健在

フラ駆逐ハ級1隻ー撃沈


〜〜〜〜

戦闘描写は難しいですね…。
場面をイメージしていただけるか
とても不安です。

オススメの描写がある小説等
教えていただければと思います。


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