桜と海と、艦娘と   作:万年デルタ

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ディープキスして告白宣言?したと
思ったらナイスタイミングで敵襲です。

今回は夜戦直前の双方の想いが
メインとなります。

フラグシップ軽巡へ級、一体
何者なんでしょう…?

鳳翔さんのドロップは
しばらくお休みです。

もうちょっとだけ待ってくださいな!




1-7 夜戦突入前 正義と悪 【父島沖】

西之島近くの深海棲艦基地

戦闘開始前

 

 

 

「…フレッチャーちゃん、

この作戦どう思う?」

 

「私も舐められたものだ。

軽空母と重巡は技術部の努力で変換できるようになったものの量産化には時間が掛かる。

 

今回の前段作戦では囮艦隊として日本の海軍部隊を引きつける役割を押し付けられる形となってしまった。

軽空母ヌ級や重巡リ級たちには申し訳ないことをしてしまった。

 

それに父島襲撃を押し付ける形となったことは詫びる。

お前には決死、下手すれば必死の任務をしてもらわなくてはならない…

全て私の弱さ故だ。

 

まさかここまで作戦に言い掛かりをつけてくるとは…

『作戦指揮は駆逐艦風情には難しいだろう』などと戦艦の奴らに言われてしまったよ」

 

 

 

フラグシップの軽巡ヘ級が駆逐棲姫フレッチャーに話しかける。

 

 

 

「私も軽巡だからって軽く見られてるけど、これでも深海棲艦の水雷戦隊の旗艦なんだからっ!」

 

「お前の活躍には期待している。

普段はっちゃけているが戦闘になれば鬼神と化すその腕を評価して、この作戦にお前を引き抜いたのだ」

 

 

フラヘ級は深海棲艦としては

破天荒過ぎる性格と予測不明な行動をするため、戦闘力は高いのだがあまり

前線へと出されることは少なかった。

 

 

フレッチャーはその技量を眠らせておくには惜しいと上に掛け合い、この

『小笠原諸島攻略作戦』に彼女を抜擢した。

 

 

「ねぇみんな~!!

出撃の前に一曲聞いてかなーい?!」

 

フラへ級が基地の中へ意味不明なことを叫ぶ。

 

 

いつもこんな調子で仲間内でもやや煙たがれるフラヘ級だったが、その存在は人類との戦いに明け暮れる深海棲艦たちにとって唯一とも言える娯楽になっていた。

 

 

「お前は深海棲艦ではなくて人間どもが呼ぶ『あいどる』とやらに向いているのではないか?」

 

 

呆れながらフレッチャーが呟く。

 

 

「う~ん…よくわかんないんだけど、

私が頑張ってみんなを元気にできればいいかなって思ってるの」

 

「前世は補給艦か何かだったのか?」

 

「全然覚えてないんだけどぉ…

『地方巡業』ばっかりさせられてた記憶はあるかなぁ~?」

 

 

『チホウジュンギョウ』?

初めて聞く言葉だが特務艦か何かだったのだろうか?

 

 

 

※※※※

 

 

 

フレッチャーがフラヘ級と出会ったのは、深海棲艦として覚醒してまだ

日も浅い頃だった。

 

まだ人員も少なく『指揮官』を始め

30名ほどの深海棲艦しかいない秘密基地とは名ばかりの海底洞窟。

 

その中に一際目立つ存在がフラヘ級だった。

煙たがれてもめげずに明るく歌ったり

踊る彼女は憎しみと怒りが蟠を巻く深海の基地内に癒しを与えてくれた。

 

幹部が増え人員も大幅に増員された基地は本拠地と名を変え、世界各地に新拠点を作り人類反攻への足掛かりを構築していった。

 

 

それに伴い本拠地で浮いた存在となってしまったフラヘ級は左遷を喰らい、戦略的に価値の無い辺境の基地を転々としていた。

 

 

そこに今回の本格的反攻作戦が始動するにあたり、フレッチャーが彼女を拾い上げたという経緯がある。

 

 

 

「フレッチャーちゃんはさ~、

人類のこと憎んでる?」

 

「それはそうだろう。

彼奴らの暴虐のせいで我らは深海棲艦になったのだ!

乱雑に扱われ挙句には標的艦にされたりして無念の内に沈んだ者もいる!

 

私とて不明瞭ではあるが荒い使われ方をされ使い捨てにされたのだけは覚えている…。

 

 

偶に夢を見るのだ…。

今は家族も姉妹もいないが前世の夢では妹たちがみんな沈んでいく。

 

私が沈んだ後も多くの妹が喪われ、

泣きながら冷たい水に消えてゆくのだ…」

 

「フレッチャーちゃん…」

 

「だが夢は所詮夢だ。

今、私はここに存在している!

ただ人類に復讐する為に!」

 

「おおーっ!輝いてるよっ!

いよっ!さっすがフレッチャーちゃんだね!」

 

 

合いの手に思わずずっこけるフレッチャー。

 

 

「そ、そこは共に盛り上がるところでは無いのか…?」

 

「えぇ~、だって私は別に人類に

恨みとか憎しみとか感じてないしぃ~…」

 

 

フラヘ級は不思議な深海棲艦だ。

通常深海棲艦とは人類に何らかの恨みとか憎しみを持つかつての艦船がそれを果たさんとする為になるのだが、

彼女は特殊らしい。

 

 

「そういえばフレッチャーちゃんには

私の野望を言ってなかったね。

私の野望はね……」

 

 

 

フラヘ級が野望を語ろうとしたところで

 

「…間も無く作戦開始の時間となる!

軽空母基幹の陽動艦隊、漸減担当の潜水艦隊、『父島襲撃』担当の水雷戦隊は集合せよ!!」

 

号令が掛かり、フラヘ級は名残惜しそうに集合場所へと走り出す。

 

 

「ゴメン、フレッチャーちゃんっ!

私もう行くねっ!!」

 

「ああ、『父島襲撃』はよろしく頼むぞ!」

 

「このヘ級ちゃん、一番の見せ場です!

作戦が終わったら新曲聴いてもらうからねーーっ……!!」

 

 

 

相変わらずよくわからないことを口走りながら集合場所へと駆けるフラヘ級と二度と会えないような気がするフレッチャー。

 

 

(いや、あいつが負けるはずない…。

だがもしあいつがいなくなったら私は

一体どうしたらいいのだ…?)

 

 

小さくなるヘ級の背中を不安になりながら見送る。

せめて一緒に出撃できればよかったのだがと思うフレッチャー。

 

 

 

だがこれも深海棲艦の宿命。

今の自分にできることをなす、それが

一番の貢献。

 

 

 

フレッチャーは『南鳥島占領作戦』の指揮官として、フラヘ級の挺身に報いるため作戦立案の見直しにかかった。

 

 

 

####

 

 

 

 

 

『重巡の変換が成功した』

 

その報告に喜んだのはフレッチャーだけではなかった。

 

 

上層部は大いに喜び、フレッチャーが立案した『南鳥島占領』を目的とした作戦の大幅な変更を命令した。

変更点は次の通りだ。

 

 

1.最近完成した西之島基地周辺に

日本海軍(海自)を誘引し、可能であれば漸減すること。

 

2.軽巡と駆逐艦が保有戦力の大多数に鑑み、

有力水雷戦隊による父島への艦砲射撃の敢行を実施し、敵戦力を誘引し可能であれば父島を壊滅させること。

 

3.父島砲撃から時期を開け、フレッチャー率いる主力艦隊は南鳥島の砲撃・占領を行う。

この艦隊はフレッチャー他軽巡14隻、

駆逐艦70隻そして潜水艦30隻の兵力を投入する。

上陸部隊については『輸送ワ級』の変換試験が終了次第投入する。

 

 

 

 

フレッチャーは苛立ちを隠せない。

 

(確かに南鳥島占領を目的としたのは

私だが、提出した案では囮艦隊などこれっぽっちも書いていない!

なのに戦艦隊や重巡隊の分からず屋が

勝手に盛り込みおって!

 

囮を使うなど人間がかつて使った作戦と変わらないではないかっ!!)

 

 

バンッ!!

 

 

拳を通路の壁に打ち付ける。

 

 

「ダメだよー?

女の子がそんな乱暴なことしちゃー…」

 

 

そんなフレッチャーに優しく声を掛けたのはフラへ級だ。

そして先ほどの会話へと繋がる。

 

 

(フレッチャーちゃんを宥めるのも

私の務め!

あっ、ついでに新曲聞いてもらおっかな~?)

 

 

 

 

~~~~

 

 

 

父島近海 第101護衛隊

臨時旗艦 阿武隈

 

 

 

「利根、妙高、鳥海聞いてるな!

敵は6隻とはいえフラグシップだ、

恐らく今までの敵とは段違いに強い!

 

お前たちは先行して敵をうまく分散させてくれ。

利根と鳥海は単縦陣で右から、

妙高は単艦で申し訳ないが左から

砲撃しつつ近接。

敵が食いついてきたら、両方とも離隔しながら後方に回り込む。

敵が食いつけばラッキー、ダメならこっちも正攻法で対抗する!」

 

 

 

大まかな作戦はこうだ。

単縦陣で向かってくる敵水雷戦隊に

重巡3隻が反航戦を挑む。

 

 

タテイチの敵を挟み込むように左右から

重巡が砲撃を加えつつ後方に回り込む。

敵の動きとしてはハートの形を取るようになる。

 

うまいこと食いついて敵が分散し、追撃してきたら阿武隈を基幹とした水雷戦隊が後ろから攻撃を仕掛ける。

 

 

重巡が如何に敵に追いつかれない程度の距離を保てるか、そして敵が食いついてくるかがポイントとなる。

 

 

敵がうまく予想通りに動いてくれるか

などという、希望と憶測で成り立つ作戦なんて作戦と呼べないが今の俺たちにはこれがベターと言わざるを得ない。

 

 

 

「もし敵が食いついてこないようなら

探照灯を使って苛立たせても構わん!

うまく敵を誘って水雷戦隊に有利な位置まで引きつけてくれ!」

 

「「了解!!」」

 

 

重巡3人の返事が無線機から届く。

 

 

 

「提督、あたし達はどうするの?!」

 

 

横の阿武隈が指示を急かす。

 

 

「2つのパターンで行く。

1つは普通にこちらも単縦陣で戦う。

 

もう1つは敵が利根たちに食いつかなかった場合。

真っ直ぐ向かってくるなら複縦陣にする。ただし複縦といっても並走はしない」

 

並走はしない、一体どういうことだろうか?

 

 

「敢えてこちらの水雷戦隊を2つに分ける。

左前と右後とずらした陣形にし、

左の部隊は阿武隈、秋月そして黒潮の3人が。

右の部隊は春雨、電、曙そして響の順。

 

真っ直ぐ突っ込んでくる敵に真ん中を通すようにして砲雷撃を加える。

そしたらそのまま両隊とも直進してやり過ごす。

 

反転した重巡が砲撃を加えて敵の陣形を乱したら水雷戦隊も反転してトドメを刺す!」

 

 

我ながらよくパッと思い浮かんだもんだ。

本職の幹部や戦術に詳しい人が見たら

笑ってしまうような用兵・運用だが、

今の俺に求められているのは即応。

 

如何に素早く状況に対応し、適した行動と対処をするかということ。

善し悪しはあれど決断を渋ったらそれは壊滅、父島の陥落を意味する。

 

それを踏まえた上で敵の殲滅を図るとなると並大抵の精神力じゃできないな。

 

 

 

(これが、上に立つものの『重さ』

というやつか…)

 

 

 

横の阿武隈が陣形を作りつつ

指揮官たる俺を不安げに見つめる。

 

後ろを見れば艦橋に詰める妖精たちも

同じように俺を見ていた。

 

 

(ここは…指揮官として、

なにかひとつ激励でもしておこう)

 

 

前に本か何かで見たことがある。

将兵は不安な時に指揮官の顔を見るらしい。

 

指揮官は決して焦りや狼狽、緊張感を

見せてはならない。

それを見た将兵は

余計不安になってしまうそうだ。

 

 

(この中で俺が一番不安なんだけどなぁ…)

 

 

左肩の痛みは注射で多少和らいだが、

顔と背中からは脂汗が出ているし

これから戦闘に突入するのに平常心で

いられるほうがどうかしてる。

 

1ヶ月前にのほほんと平和な国の海軍の下っ端水兵だった俺を、情勢という無慈悲な存在は提督という雲の上の立場にしてしまった。

 

給料上がるし艦娘とイチャイチャできてラッキーと思ったのも束の間、

今こうして艦隊を指揮して戦争をしている。

 

 

 

改めて阿武隈たちを見る。

妖精たちはまだ熟練ではない。

フネや装備の運用ができるだけのヒヨッコと言ってもいい。

 

艦娘たちはどうか。

かつての戦船の記憶はあれどやはり月日が経っているため経験は薄れ、

いわばレベル0に等しい。

護衛艦の経験はあるとはいえ、実戦経験は無い。

 

 

 

艦隊ーー本土にいる他の艦娘を含めーー全部が実戦経験ゼロといっても過言では無いのが現状だ。

 

 

送話器を手に取り自分にも言い聞かすつもりで話し始める

 

「全艦…いや、艦隊総員に達する。

諸君は今…怖いか?」

 

 

阿武隈を見れば何を言ってるのかという顔をしたが、すぐにゆっくりと頷く。

 

妖精たちもぽつぽつと頷いたり、怖いと返答する。

 

 

「フフ…怖いか、実は俺もめっちゃ怖い!!」

 

 

この一言に艦隊の空気が凍りつくのが容易に把握できた。

 

 

「前に村雨にも話したけど戦場って

めちゃこえーんだな、俺もそれがよくわかった。

昼間は曙に乗艦していてビビっていたし、ヌ級に乗り込んで行く時なんか

足はガクガクしたし海に落ちた瞬間なんて頭が真っ白になってマジハンパねぇって思った」

 

 

「…敵艦隊まで20kmです」

 

 

小声で報告する妖精に手を挙げ了解する。

 

 

「今わかったことがある。

それは戦闘中よりも戦闘前のこの瞬間が一番怖いということだ。

『待つのが怖い、敵は強いのだろうか?自分は死ぬのでは無いか?』

そんなことばかり考えてしまう。

 

今諸君がわかったことがある。

それはこの俺、

提督は艦隊一臆病ということだ。

立場と階級だけは立派なヘナチョコな

イケメン、そんな小さい男だ」

 

 

「ちょ、フツー自分でイケメンとか言う…?」

 

「こら阿武隈、勝手に割り込むな!

後で髪をワシャワシャしてやっからなぁ〜!」

 

「ひぇえ〜?!」

 

 

阿武隈の艦橋内が笑い声で満たされる。

他のフネもきっと同じ空気だろう。

 

 

「あー、コホン。

 

俺はここで死なない。

基地に帰ってセクハラするし、デートもしたいし美味いものをたらふく食べたい。

だから作戦遂行に全力で取り組むし、

自分のすべきことをする。

それが生き残るための方法だ。

 

諸君はここで死なない。

基地に帰ってのんびり過ごすし、

旅行もしたいし美味いものをたらふく食べたい。

だから戦闘において全力を尽くし、

各自がすべきことをしてもらいたい。

それが生き残るための方法だ。

 

 

現時刻は2330i、

もうすぐ日が変わる。

あと数分で戦闘は始まる。

 

諸君は今日が命日か?

それとも30分だけ伸びて明日が命日か?

 

違うッ!

命日は自分が決めろ!!

死にたくない奴ぁ、血ぃ流して汗まみれになって涙流して硝煙まみれになってでも戦えッ!!

 

俺ァ死にたくねぇから血でも汗でも涙でも好きなだけ流してでもこのちっせぇアタマ使ってやる!

 

 

 

血を惜しむな、命を惜しめッ!

ケガしても何としても生きろ!

 

汗を惜しむな、戦果を惜しめッ!

敵を何としても撃滅しろ!

 

涙を惜しむな、海色を惜しめッ!

嬉し涙を戦闘後に流させてやる!

 

 

総員で暁の水平線に勝利を刻め!!

 

 

第101護衛隊、戦闘開始ッ!!」

 

 

「「了解ッ!!!」」

 

 

鼓膜に無線機からの返事と阿武隈艦内の返事が飛び込みビリビリと震える。

 

 

演説なんてガラじゃないことをしたが、

効果はあったようで皆活気を取り戻し

目にチカラが籠っているのがよくわかる。

 

俺自身もそんな彼らに励まされ、さっきまで続いていた肩の痛みもなくなってしまった。

興奮による一時的なものだとは思うが、

目の前のことに集中できるのはありがたい。

 

 

「よしっ!重巡隊、撃ち方始めェ!」

 

 

 

※※※※

 

 

「…なぁフラへちゃん、本当に砲撃は取りやめていいのか?」

 

「あんなの囮でも陽動でもないよ、

ただの捨て駒だよ!」

 

 

 

問いかけるフラグシップ駆逐ハ級に

フラへ級が強く答える。

 

 

「だいたい戦争は軍隊同士がやるものであって〜、民間人を巻き込んだらダメなんだよ〜?」

 

 

フラへ級は事あるごとに、人間へ無差別攻撃を叫ぶ上層部にこう言ってきた。

 

それが仇となったのかこうして挺身とは名ばかりの捨て駒艦隊として片道切符を渡されたのだろう。

 

 

「そんなことするよりは敵艦隊に

殴り込みした方がいいでしょ!!」

 

「ま、フラへちゃんが言うんなら

俺も付き合うぜ!」

 

「なんたって俺たち、『フラへちゃんファンクラブ』は地獄の果てまでお供するぜ!」

 

「みんなありがとー!!」

 

 

フラへ以外のフラ駆逐ハ級は全員

フラへの歌が好きなファンで、

上で述べたように無差別攻撃に反対の立場であり、フラへと同じく捨てられてしまった。

 

 

「敵艦隊まで25km!

フラへちゃん、やっちまおうぜ!」

 

「この日の為に火のような錬磨をしてきたんだ!

フラへちゃんにいいとこ見せてやる!!」

 

「敵は連戦で消耗してるみたいだし、

空母はいるが夜は使い物にならん。

重巡が数隻いるのは厄介だな…」

 

「重巡は無視でいいよ!

狙うは軽巡と駆逐艦、水雷戦隊のみ!

 

目には目を、主力艦は無理でも

補助艦さえいなくなればあとはフレッチャーちゃんが仕留めてくれるよ!」

 

「てぇことはあれかい?

刺し違えてでも水雷戦隊は潰す方針

でいくのかい?」

 

「そういう事〜」

 

 

フラへの言う通り、たとえ『大和』のような大型艦であっても補助艦がいなくては多勢に無勢。

艦隊運用とは主力艦と補助艦があって

はじめて機能するのだ。

そこを狙うのは今後の深海棲艦の戦況を有利に持っていく為だ。

 

 

(たとえここで沈んでも…、

フレッチャーちゃんがきっと…

敵を仕留めてくれるッ!)

 

 

「さてさて、私は人間に恨みはないけれど『仲間』の為に攻撃させてもらうよ〜!」

 

「敵艦隊まで20km!」

 

「陣形は私が一番後ろの単縦陣、

みんなが砲雷撃して傷付いたところに

一気にどっかぁ〜ん!!」

 

「俺たちはそのアシストってわけた!」

 

「フラへちゃんまさかのトリ!

『最期』の見せ場ですっ!!」

 

 

 

これから沈むかもしれないというのに

夜戦へと向かう彼女らは悲壮感を

感じさせないトークを最後までしていた。

 

 

(やっぱり地方巡業より華のある夜戦の方が『あいどる』らしいよねー!)

 

 

フレッチャーちゃんには悪いけど、

先に逝かせてもらうね。

出撃前に言えなかったけど、私の野望は歌で人間も深海棲艦も平和にする架け橋になることだよ!

 

この戦いに勝てたら…

フレッチャーちゃんに伝えるんだから!

 

 

 

 

 

 

 




フラへちゃん、前世は軽巡ですね。
…どうせ那珂ちゃんです、ハイ。

深海棲艦の考察については
機会を見つけてさらっと解説したいと
考えております。

『時機を逃したらダメだ』

とある護衛艦で先輩がよく
口癖で言っておりました。

すぐにでも解説せぇや!という方は
是非おっしゃってくださいませ。


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