桜と海と、艦娘と   作:万年デルタ

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勢いで書いてしまったら
すごいことになりました。

一体いつからーーーー
鳳翔が初ドロップ艦になると
錯覚していた?


主人公が色々と人間じゃなくなって
ますが、そこはグッと堪えて
いただければと思います。


ついでに曙ちゃんと、曙提督の方
本当にすいません!





1-6 冥土の土産にディープキスを

 

西之島沖海上

 

 

 

ヌ級の沈没後、提督は見つからなかった。

 

 

 

ヌ級から流出したと思われる浮遊物が

見つかるたびに艦娘が血眼になって

提督の姿を求めるが、それに反比例する

ように視界にあるのは残骸のみだった。

 

 

 

 

ここにきて日向と蒼龍は捜索中止、

提督はMIA---戦闘中行方不明であると

判断せざるを得なかった。

 

 

 

他の艦娘から反対意見が出るも、

ここに至っては覆すことの出来ない

紛れもない事実であった。

 

 

 

海幕に報告すると正式に『MIA』と

決定され、父島に戻り補給艦から燃料等をもらった後横須賀に帰投せよと

指示を出された。

 

 

 

海幕のあっさりした提督行方不明の反応に怒りさえ湧いてしまう。

 

 

 

 

この海域は横須賀からくる増援の

護衛艦部隊と硫黄島にきている航空部隊に任せて、101護衛隊と護衛艦、補給艦は

一時撤退することに決まった。

 

 

 

 

 

 

 

捜索にあたっていた搭載艇の

揚収作業もほぼ終わり、残すは曙の

内火艇のみとなった。

 

 

 

最後まで粘って探していた妖精たち

だったがここに至り中止となる。

 

 

 

中部甲板で曙が目を赤く腫らして

内火艇の帰還を見守っていた。

 

 

 

 

(……嘘つき)

 

 

 

出発前にちゃんと帰ってくると

約束したのに。

 

 

 

(『また』大切な人がいなくなった…)

 

 

 

太平洋戦争でも艦娘の損失は多かった。

みな笑いながら明るく振舞って

出撃していった。

 

 

 

(そして…みんな還って来なかった)

 

 

 

 

 

戦争において奇跡とか

偶然というものは起きない。

 

 

 

キスカ撤退作戦のような奇跡は

特例中の特例だが、通常は淡々と

戦備を行い演習で技能を磨き

本番で最大限の努力を行うことが

生き残る唯一の手段である。

 

 

 

(じゃあ『提督』が行方不明になったのは何が悪かったの?

 

海幕が提督に行くよう指示を出したから?

 

提督自ら乗り込むと言いだした時から?

 

敵の軽空母を先に沈めずに

残してしまったから?

 

提督が私に乗り込むことになったから?)

 

 

 

頭の中に後悔の念が溢れる。

 

 

 

「きっと私のせい、なんだわ…」

 

 

 

曙の呟きに何も言えない妖精たち。

誰もがそれは違うと思っていても、

今の彼女に掛ける言葉は見つからない。

 

 

 

 

もうすぐ最後の内火艇が到着するという

ところで、見張妖精のある報告が

落ち込む曙の耳に届いた。

 

 

 

「右30度300メートルに浮遊物!

あっ、発光しています!

救命胴衣灯らしきものが点滅中、

提督ですっ!

間違いありません!!」

 

 

 

妖精の報告を聞き言われた方向を見ると

確かに真っ暗な海の上に

白灯が点滅している。

 

 

 

提督かどうかは視認できないが、

確かに人の様なシルエットは確認できる。

 

 

 

「衛生妖精は私について来て!」

 

 

 

それだけ言うと曙は目の前の

到着したばかりの内火艇に乗り込む。

 

 

 

準備を終えた衛生妖精も乗り込み

提督がいる場所まで内火艇で急行する。

 

 

 

(お願い…無事でいて!!)

 

 

 

 

 

-------------------------------------------------------

 

 

 

 

これは夢だろうか。

冷たい水の底に引き込まれる

夢のような感覚。

 

 

 

 

見えない何かが俺を引っ張る様に

ゆっくりと沈んでいく。

 

 

 

引っ張るのは深海棲艦か

はてまたまだ見ぬ艦娘か。

 

 

だが不思議と死の恐怖は無かった。

 

 

 

ただ生きている間にできなかったこと、

艦娘を幸せにできなかったことが

ひたすら悔やまれる。

 

 

 

村雨、加賀、曙そして他の艦娘の

悲しそうな顔が浮かんでは消えてゆく。

 

 

 

(ゴメンな、みんな…)

 

 

 

届かないと知りつつも謝罪の

言葉を言わずにはいられない。

 

 

 

セクハラやいたずらをしては

艦娘を困らせていたが、それは

俺なりの愛があったからだ。

 

 

 

(みんな顔を赤くして

嫌がっていたっけなぁ…)

 

 

 

やはり俺は彼女たちにとって

『提督』以上の存在には

なれなかったのだろう。

 

 

俺のセクハラを拒絶するでもなく

顔を真っ赤にして受け入れていたのは、

上官の俺を気遣って抵抗しなかった

だけのことだったに違いない。

 

 

 

(嬉しがってこんな変態のセクハラを

受け入れてくれる艦娘が

いるわけもない、よな…)

 

 

 

村雨や飛鷹、加賀…今思えば

みんなびっくりして体が

硬直していただけなのだろう。

 

 

 

(やっぱ俺ってクズだわ…)

 

 

 

そこまで考えたところで

意識が朦朧としてきた。

 

 

 

(でも最期に、

キスぐらいはしたかったな…)

 

 

 

乗り込む前に最後に見た

曙の顔がふと思い出された。

 

 

彼女とのキスを

冥土の土産にするとしようか。

 

 

 

実際なら曙が俺とキスをすることなど

絶対に無いだろうが、せめて死ぬ前

ぐらいはと相手に選ばせてもらった。

 

 

 

目を閉じた曙の唇がゆっくりと迫り

俺の唇と静かに合わさる。

 

 

 

不思議と唇だけは感覚があった。

 

 

 

(どうせ死ぬんだ…。

ならディープぐらいしてもバチは

当たらんだろう…)

 

 

 

重い右手に渾身のエネルギーをこめ、

彼女の頭の後ろへ持っていく。

 

 

 

レロレロと曙の口の中を蹂躙し、

彼女が驚愕の表情をする。

 

 

 

十分堪能したところで手を放し

顔を離して一言。

 

 

 

「愛してるぞ、曙…」

 

 

 

何故か言葉がはっきり出た。

 

 

 

だがそれももう終わりの様だ。

 

 

 

まるで『夢が覚める』ような感覚が

訪れ、俺はあの世とやらへ旅立つ。

 

 

 

 

(我が生涯にッ…、

悔いはあるけど悪くはなかったぜ!!)

 

-------------------------------------------------------

 

 

 

「ダメです、意識無し!

心肺停止状態です!」

 

「なら人口呼吸をするわっ!」

 

 

 

提督はいた。

 

 

 

それだけで艦隊全体が湧き上がったが

いざ救助してみると提督は息をしておらず、心臓は役目を終えたと言わん

ばかりに止まっていた。

 

 

 

堪らず曙は人工呼吸を開始する。

 

 

 

唇は青い。

 

彼が演技をしているのでは

無いことは明白だ。

 

 

 

吹き込む息に願いを込めて、

ひたすら心臓マッサージと

人工呼吸を繰り返す。

 

 

 

(お願いだからっ!還って、来てっ!)

 

 

 

その思いが通じたのか提督の

右手がピクンと動いた。

 

 

 

「右手が動きました!」

 

 

 

妖精の言葉に思わず嬉し涙を流す曙だが、

人工呼吸は続けたままだ。

 

 

 

(この調子でっ、続ければっ!)

 

 

 

 

 

 

「「あっ…」」

 

 

 

 

突如妖精が抜けた声を発したと思ったら

後頭部に何かが押し付けられ、そのまま

提督の顔へと押し付けられる。

 

 

 

(んんっ、何?!)

 

 

 

 

 

左側に僅かに見える提督の右手。

そして動くその右肩。

 

 

 

 

つまり…これは…

 

 

 

 

一つの結論に至ったところで

曙の口の中に何かが入ってくる。

 

 

 

「んーっ?!んぐー!!」

 

 

 

提督の舌が曙の口の中で暴れ回る。

 

 

 

突然のことでリアクションできない曙。

 

 

 

口が塞がっているため、

鼻から息をするしか無い曙。

 

 

ずっと人工呼吸をしていたため

息が上がっており、必然と

鼻息も荒くなる。

 

 

 

そのせいか提督の

ディープキスに興奮していまう。

 

 

 

提督が意識を取り戻したことと、

息が上がっていたこと、そして

ディープキスをされたことが重なり

自らもひたすら提督の舌を求める。

 

 

 

端から見る妖精が耳を

真っ赤にして事態を見守る。

 

 

正確には目を離そうにもあまりに

衝撃が強すぎて目を離すのを

忘れているだけなのだが。

 

 

 

何分過ぎただろう。

引き寄せていた右手が放され

曙は解放された。

 

 

 

蕩けた顔で目も虚ろな

言うなればオンナの顔の曙。

 

 

 

そして目を開けた提督に妖精が湧き立つも曙は依然心ここに在らず。

 

 

 

 

 

 

 

「愛してるぞ、曙…」

 

 

 

そう言って再び意識を手放そうとした

提督を横にいた妖精が必死に起こす。

 

 

 

「…んぇ?もう死んだんじゃ無いの?

 

 

てかさっきのディープキスも最期の

妄想みたいなものなんじゃ…?」

 

 

 

まるで寝ぼけているかのような提督に

妖精が現実だと告げる。

 

「いえ、その…マジです」

 

「え、てぇことはもしかして

まじで俺は曙とディープしちゃった…?」

 

 

 

コクコク

 

 

頷く妖精

 

 

 

 

(ヤベエ、曙に殺されるゥ?!)

 

 

 

 

目の前でトロけた顔の曙が正気に戻ったら間違いなくあの世に強制送還になる!

 

 

 

死にかけて復活してよかったと思ったら、

速攻逆落としであの世とか嫌だ!

 

 

 

(あ、でも曙の唇柔らかかったなぁ

……グヘヘ)

 

 

 

 

 

 

 

「……バカ」

 

「すまん曙、悪気は無かったんだぁ!

 

もう最期だと思うと死にきれなくて、

せめて最期に曙とディープキスをしたいと思って…嫌だったら本当に謝る…」

 

 

 

なんで死にかけてたのに謝ってるんだと

心で思いつつも、横になったまま

謝罪の言葉を正直に言う。

 

 

 

「…バカ」

 

「セクハラばっかりの俺が嫌いなのは

わかるちゃいるけど、死にかけで

意識朦朧だったからまさか現実だと

思わなかったんだ!

 

 

そう、これは事故!

決して曙にイタズラしようだとか

そういった悪意はなくてだな……」

 

 

 

「…何で私とディープキスを

したいって思ったの?」

 

 

 

俯きながら話す曙は怖かった。

ヘタに言い訳したら何されるか

わかったもんじゃあない。

 

 

正直に、赤裸々に

曙が可愛いからだと答えた。

 

乗り込む前に最後に見た艦娘だったから

というのもあるかもしれないが、

死ぬ前に曙と仲良くなりたかったんだと

はっきり答え、曙の判決を待つ。

 

 

 

近くへと寄ってきた他の艦娘の内火艇と、それに乗り込む全艦娘が俺を見て

嬉し泣きながら近寄ってくるが曙の様子と場の雰囲気の違和感を感じ取る。

 

 

 

妙高「提督ご無事ですかっ!!

……あら、何かあったのですか?」

 

電「司令官さんと曙ちゃん、

なんだか近い気がするのです…」

 

黒潮「なんやこの雰囲気?

なんだかちぃとエッチぃんとちゃう?」

 

秋月「司令ご無事ですか?!

…な、なんでしょう、この空気は?」

 

神通「何でしょう。嫌な予感がします…」

 

春雨「司令官が無事ならよかったです、はい!」

 

響「司令官は不死鳥だね、

無事そうで何よりだ。

 

…でもこの空気は

ただ事じゃなさそうだ。」

 

阿武隈「あたし的には、

なんだか不穏…?」

 

蒼龍「提督っ!

死んだかと思ったじゃないですかッ!!」

 

日向「海幕から撤収の指示が出た時は

流石に君が生きてるとは思わなかった…」

 

鳥海「司令官さんがご無事で何よりです!

…ところで曙ちゃんは

どうされたのですか?」

 

 

 

近寄ってきた艦娘に軽く答えるが、

相変わらず曙が黙ったままで動かない。

 

 

 

「この……クソ提督!」

 

 

 

げ、アケボノ様のお怒りだ!

てか久しぶりにクソ提督って

言ってくれて嬉しいぞ、実は。

 

 

 

「すいません許してください曙様

ちゃんと反省しますから!!

 

確かに曙が可愛いからと調子に

乗ってしまいましたが決して

……んんっ?!」

 

 

 

チュッ……

 

 

 

周りの艦娘が仰天する。

あの曙が、『あの』曙が突然提督に

キスをしたのだ。

 

 

 

「「ええーーっ?!?!」」

 

 

 

俺も含めその場全員が目が点になる。

 

 

 

すぐに唇を離していつもの凜とした

状態に戻る曙。

 

 

「し、死にかけてたからって

ムードが台無しじゃない!!

 

こ、こうなった責任!

ちゃんと、取りなさいよね

このクソ提督!!」

 

 

 

ど、どうしてこうなったんだ?

 

 

 

「すまん、はなしがわからん」

 

「恥ずかしいんだから

何回も言わせないでよ!

 

私『も』好きになっちゃったのよっ!!」

 

 

 

一同ポポポポカーン…。

 

 

大胆な告白は女の子の特権とは

聞いたことあるが、これは…。

 

 

 

「む、ムード?」

 

「台無し?」

 

「私『も』好きになった?」

 

 

 

再起動した艦娘たちから疑問が湧き出る。

 

 

 

「…司令官、説明してもらおうか。」

 

 

 

響が目の前に来て、こうなった

経緯の説明を催促する。

 

 

 

「いや、そのネ、ちょっとした

勘違いがあって…

うん、別に…」

 

「そうか、話したくない

ならしょうがない。

 

 

 

 

……さて、殺りますか。」

 

 

 

チャキ…

 

 

 

内火艇に寝たままの俺に

9mm拳銃を突きつける響。

 

 

「ちょっ?!どっから持ってきた?!

てか撃つなよ、絶対に撃つなよ?!?!」

 

「司令官がいきさつを話すのであれば、

考えてあげないこともない。」

 

「それ後で撃っちゃうパターン!!

てか俺さっきまで死にかけてたし、

身体中ボロボロなんすけどー?!」

 

 

 

俺さっきまで死にかけてたんだよな?!

 

いつの間にか仲間に殺されることに

なりかけてるんですがいったい

どうなってんだよ?!

 

 

 

他の艦娘からも早く説明しろとの

黒いオーラが凄くて渋々話し始める。

 

 

 

 

 

~事情説明中~

 

 

 

 

「…まぁそれが死ぬ間際にせめてディープ

キスぐらいしたかったなぁと思ってな、

朦朧とした意識の中浮かんだ

曙に致してしまったわけだ…」

 

 

 

曙に説明したように正直に話す。

 

 

 

「…つまり自分は艦娘にあまり

好かれていないから絶対に

キスなんてできないと

思っていた、と?」

 

「だって俺がなんか言うとみんな顔を

赤くして黙っちゃうし、触ったりすると

拒絶反応なのかたまにクラッと

倒れる娘もいるし…」

 

 

 

「「はぁ~~……」」

 

 

 

え、なんでみんなため息つくの?

 

 

 

死から舞い戻ったと思ったらいきなり曙にキスされたり、俺がモテないと言ったら

ため息つかれたりと訳がわからん…。

 

 

 

「司令官さんはかっこいいのです!」

 

「おっ流石電、フォローが上手いな!

なでなでしてやろう…」

 

「はわわっ……」

 

 

 

なでなで

 

 

 

「提督よ、お主のそういったその態度が『誤解』を招いていると自覚してないのが一番悪いのではないのか?」

 

「???」

 

「本当に君は鈍いな…」

 

 

 

日向が大げさにため息をつくが、

本当に何がなんだか理解不能。

 

 

 

「提督にお世辞で格好いいとか

みんな言わないと思いますよ。

 

提督はもう少し褒め言葉をストレートに

受け取った方がいいんじゃないですか?」

 

 

蒼龍の解説でなんとなく

言いたいことが理解出来てきた。

 

 

 

(それは、つまり…)

 

 

 

「俺って…実はモテてる?」

 

 

 

コクン

 

 

 

やや控えめに頷く曙以外の艦娘。

 

 

 

「じ、じゃあひょっとして俺のことを

好きな艦娘も…実はいちゃう系?」

 

「それについては私から

言いたいことがありますっ!」

 

 

 

手を挙げて話そうとするのは春雨、

何やら真面目そうな顔をしている。

 

 

 

「司令官は村雨に今までに何を言ったか

覚えてますか?」

 

じっと見つめる春雨に

思わずドキッとしてしまう。

 

 

(春雨ちゃん、近すぎっす…)

 

 

 

「え?えっとー、横須賀に帰ったらずっと

面倒を見るとか、命を賭けて一生

村雨を守るとか言ったっけな…」

 

「それ、それです!

 

司令官は深い意味は無しに言っているようですが、それを言われる艦娘としては

どう聞いてもプロポーズにしか

聞こえないんですよ!」

 

ビシィッ!!

 

 

 

裁判ドラマの弁護士の様に

人差し指で強調させる春雨、かわいい。

 

 

(プロポーズ??

何処にそんな要素が…?)

↑モロ有ります

 

 

 

「一生守るということは婚約と

同義だと女性は受け取ると思う。」

 

「響の言う通りだ。

君はどう責任を取るつもりなんだ?」

 

 

 

えっと、これはつまり

モテ期が到来しているということか?

 

 

 

「で、できればこの戦いが終わったら

俺を慕ってくれる娘とケッコンしたいし、ゆくゆくは家庭を持って子供も作って

のんびり暮らしたいと考えてます…」

 

 

この際ヤケだ、俺のハーレム人生の

全貌をぶちまけてやる。

 

 

「そうは言っても結婚は日本では

1人を選ばないといけませんよ。

 

司令官さん、

その辺りはどうお考えですか?」

 

 

 

「そりゃわかっているさ。

でも俺は1人だけを選ぶなんてできない。

 

 

 

仮に複数俺のことを思っている娘が

いるのであればその全員の気持ちに

応えたいと思ってる。

 

 

ハーレム野郎やら

最低野郎と思われてもいい。

 

 

だが俺を思ってくれている娘を

見捨てるなんてできないし、したくない。

 

 

それに好きに順番なんてつけられないし、

俺はみんなが好きだ。

 

 

たとえ、ある艦娘が俺を嫌いだとしても

俺はその娘を愛すだろうし、俺を

慕う娘だって等しく愛すと断言できる。

 

 

 

ま、普段クソ提督言ってくる曙が

俺のことを少なからず思ってくれて

いたとは思わなかったがな…」

 

 

 

隅で赤くなっていた曙に軽く

ウインクすると、再び真っ赤になり

目をそらす仕草が可愛いのなんの。

 

 

 

「ま、ぶっちゃけ言わせてもらうけど

俺のセクハラは愛情表現なワケ。

 

 

例えで言えばクラスの好きな女子に

イタズラする男子みたいな感じの。

 

 

される方の気持ちは考えていなかったな。

 

俺のしたいことを一方的に

しているだけだけどね」

 

 

 

「わ、私にしてきたセ…セクハラもっ、

私のことがす、す、好きだから!

…でしょうかっ?!」

 

 

神通の告白とも取れる発言に

笑いながら答える。

 

 

「あったり前よ。

だって神通可愛いし、ちょっと内股キャラで弄りたくなるし…。

 

自覚ないかもしれないけど、

神通、めっちゃ可愛いぜ?」

 

 

もう知らん。

ムードもクソもない、

全部言いたいこと言ってやる。

 

 

 

謎告白のバーゲンセールやぁ〜!

 

 

「そ、そんな…か、可愛いだなんて…」

 

「そんな謙遜するなって。

他の娘もそうだけどみんな美人だから

好きにならないはずがないだろう?」

 

 

当たり前だが艦娘はみんな美人だ。

 

 

「「っ!!」」

 

「ここで突然だが俺のみんなへの

イメージを教えてやろう。

 

 

電は大人しいキャラだから

弄りたくなるし、可愛いから

なでなでしたくなるしこれからもなでる。

 

 

妹の様な存在だしそれ以上の関係に

なりたいと思う。

雷と間違えたりなんてしないし、

電は自信を持つんだ。

 

 

 

響はクールで言葉遣いも

大人びてるところがまた容姿との

ギャップを感じさせていてgood。

 

 

だからこそデレさせたいしデレさせる。

もっと甘えてくれていい、

むしろ甘えなさい。

 

 

黒潮は大阪出身で中学の

クラスメートのイメージ。

 

司令はんと京都弁を喋るところが

またミステリアスな感じを醸し出してて

高評価。たこ焼きパーティの後に

酔いつぶれたところをいただきたい。

 

 

 

春雨はほっぺた突っついた後に

いろんな意味で食べたくなる。

 

時雨や白露たちがドロップしたら

白露型全員で海に行きたい。

 

 

てか帽子の中が気になる。

いつか見せてくれ。

 

 

秋月はしっかり者の後輩。

凛々しくて可愛いというナイス

ポイント。

 

照月が俺にくっ付いてるのを

実は羨ましがってそう。

甘えてくれると俺も嬉しいな。

 

忠実なしもべ的存在。

かわいいなコンチクショウ。

 

 

阿武隈はドジっ子なイメージだけど

そこがまたポイント高い。

 

髪いじると嫌がるけどそれがまた

可愛いからついやっちゃう。

もっと自信持って欲しいし、

あとこれからも弄る。

 

 

妙高は真面目な長女、

でも2人っきりならデレるし可愛い。

世間じゃ中破ネタでいじられてるけど

そんなんシラネ。

いいお嫁さんになるだろうし、

手料理も食べたい、うん食べたい。

 

とにかく食べたい。

 

 

 

利根はなんか残念なお姉さんだけど、

放っては置けない保護欲とか

可愛がりたくなるキャラだな。

 

お姉さんぶって背伸びしてるけど、

2人きりのときに正直になって

なでなでしたい。

 

 

 

日向は大人びたキャラな1コ上の先輩。

俺を君とか呼んじゃう時点で

先輩っぽさ出してるけど、

プライベートではかなり乙女。

 

 

難しいことを話すけどそんなの俺には

関係ない、意外と甘えん坊かもしれん。

 

 

んで蒼龍は胸の大きさのことで弄られる

高校のクラスメートだな。

 

飛龍がドロップしたら3人でデートしたいし

それ以上のことも色々したい。

 

両手に華と言うがそれ以上。

もっと抱きついて来て欲しい、

抱きつかせたい。

 

 

 

…ふぅ、どうだ。

これが俺のお前たちに対するイメージだ!

 

 

…流石にドン引きしたか?」

 

 

 

辺りに漂うコメントし難い空気。

 

 

 

勢いで講評を述べてしまったが、

言いたいことは言った。

ここで平手打ちされようとも

海に放り投げ出されようとも

言い遺すことはない、さぁ来い!

↑ヤケ

 

 

 

横になったまま静かに

彼女らの反応を待ったが、

意外にもドン引きされるとか

怒られるといったことはなかった。

 

 

 

電「し、司令官さんになでられるのは

恥ずかしいですが、嬉しいのです…。

 

もっとなでてもらいたいのです…」

 

響「で、デレるなんて柄じゃ無い。

 

でも司令官がそれで喜んでくれるなら、

喜んでするさ…。」

 

春雨「ほ、ほっぺたを突っつきたい

なんて…司令官は意地悪です!

 

でも、私は2人っきりで

海に行ってみたいな…」

 

黒潮「み、ミステリアスなんて

初めて言われたでぇ…

 

し、司令はんがウチのこと食べたいって

言うんやったら、別に…」

 

曙「く、クソ提督の馬鹿!

この場の全員を口説いてんじゃ

無いわよっ!

 

 

私のこともコメントしてよ…(ぼそっ)」

 

 

 

あ、曙が混ざってきた。

真っ赤になって暴言吐くのも

可愛いなコンチクショウ!!

 

 

 

神通「……モジモジ」真っ赤

 

阿武隈「髪を弄るのは…その…、

あんまりしないでね…?」

 

日向「せ、先輩?

ま、まあ、悪くは…ないな…」

 

蒼龍「な、何ですか胸のことで弄られる

クラスメートって?!

 

でも提督と一緒のクラスなら

喜んで行きたいです…」

 

 

 

なぁにこの可愛い娘たち?

みんなモジモジしててお持ち帰り

したいんですけど。

 

 

 

よし、さっさと横須賀に帰って

イチャイチャせねば…な……?

 

 

 

 

 

……ん?

 

 

……………

 

 

 

 

アレ、今俺たち一つの内火艇に

集まってるよな…?

 

 

 

 

艦娘は全部フネを離れている。

恐らく全艦クラッチを切っていて

止まっている状態。

 

 

 

「なぁ蒼龍…?」

 

「え?何ですか提督、もしかして

もうデートのお誘いですかっ?!」

 

 

 

両頬に手を当て惚気る蒼龍をスルーして

真面目に尋ねる。

 

 

「今全艦止まってるよな…?」

 

「えっ、はいそうですけど…?」

 

「警戒は、大丈夫か?」

 

「上空には哨戒機がいるので対潜警戒は

バッチリです!」

 

 

 

キーンと上空をゆっくり

P-1が航過していく。

 

 

 

「いや、今めっちゃ明るいじゃん?」

 

「…そうですけど?」

 

艦娘がキョロキョロと見渡せば

全艦が探照灯を点けており、海上に集まる各艦がはっきり映っているのがわかる。

 

 

 

「「…だから?」」

 

 

全員がハテナマークを浮かべ

首を傾げている。

 

 

 

「これ、警戒しているとはいえ

敵からしたらただの的なんじゃ…」

 

 

 

「提督っ!

大変です!!

 

 

哨戒機から通信!

 

父島方向から敵艦隊、敵戦力は不明なれど中型艦と思われる反応1、小型艦5!

 

 

単縦陣を取っている模様!!

 

 

30ktでこちらに向かって

きているそうですッ!!

 

 

間も無く距離30kmを切りますっ!!」

 

 

 

「「……へ??」」

 

 

ポカーンとする艦娘に流石の俺も

堪忍袋の緒が切れる。

 

 

「このすっとこどっこいがぁ!!

 

 

俺のことが心配なのはわかるが

ここが戦場なのを忘れてんじゃねーよ!!

 

敵はいつ現れるかわかんねぇんだそ?!

 

てか全員クラッチ切って迎えに来るとか

何考えとんじゃいマジで!!

 

とにかく全員すぐに自分のフネに戻れ!

最悪内火艇は揚収出来なくてもいいから、

戦闘できる態勢を作れ!

 

 

俺は阿武隈に移乗する、

荷物は曙が持っとけ!

 

衛生妖精は俺を阿武隈の

内火艇に移載、すぐに!

 

日向と神通は損害がまだ

あるようだから参加は無し!

 

 

日向は至近距離まで敵が突破して

きたら発砲を許可!

 

蒼龍は2人にくっ付いて待機!

夜間発艦とか無茶やらかしたら

マジ許さんからな!

 

 

阿武隈と他の駆逐艦は敵に

肉薄すっから覚悟しとけよ!

 

鳥海と妙高、利根はまだ弾薬が

有るならすぐに迎撃!

 

 

 

あーーもうっ!!

詳しい作戦指揮は迎撃しながらやる!

とっとと自分のフネに戻りやがれっ!!」

 

 

 

「「り、了解っ!!」」

 

 

 

蜘蛛の子を散らすように阿武隈以外の

艦娘が自艦に戻っていく。

 

 

「おいアブゥ、早く連れてけ!

治療は戦闘が終わってからでいいから

まずは艦橋に行かせろ!」

 

「ひぇ、やだ私っ?!?!

妙高さんや鳥海さんたちの方が…」

 

「夜戦で単縦陣の中1小5っつったら

水雷戦隊の編成だ!

 

 

こっちも水雷戦隊で当たるしか

打つ手がねえっ!

 

マトモに夜戦指揮を取るなら

お前に乗るっきゃない!

 

鳥海たちには漸減をさせる!」

 

 

 

さっきの本音のラブトークは

なんだったんだろな。

 

俺も死に掛けてたとはいえ

まさか全員止まっているなんて

思わねえっての!

 

 

 

 

 

…案の定、全艦が内火艇の揚収を諦め

海上に放棄される搭載内火艇。

 

 

 

「提督、哨戒機からです!

全機対艦ミサイルは装備しておらず

対潜爆弾のみの為、一時帰投し

装備換装後、再度航空支援を行う!」

 

「了解した!

ついでに敵艦隊の兵力を

探るように言えっ!」

 

 

通信を伝えてくれる妖精に

哨戒機への連絡をさせつつ

作戦を練り始める。

 

 

対潜爆弾(爆雷)を敵の上から

落とせばいいんじゃないかと思ったが、

当たったとしても効果は薄いし命中精度もゼロに等しい、そして対空砲火も

シャレにならんだろう。

 

撤退する哨戒機は仕方ないにしても、

せめて敵の情報は掴んでもらいたい。

 

 

 

「哨戒機より通信!

敵艦隊は軽巡1、駆逐艦5!

 

駆逐艦を先頭に最後尾に軽巡!

 

 

なお全艦に金色のオーラの

ような物が見えるそうですっ!」

 

 

 

げっ、しかも全部フラッグシップかよ?!

てかなんで父島方向から

湧いてきてんだよ!

 

あいつらなんなのマジで?!

 

 

いきなり湧いてきやがって…!

 

 

湧いてくるとか『温泉システム』か?!

 

そんでもってランダム襲撃とか

糞ゲーすぎんだろ…。

 

 

 

『事実は小説より奇なり』って言うけど

現実でやられるとムカつくなオイ。

 

 

 

 

 

 

 

死の淵から還ってきてよかったと思ったら曙にディープかますし、嫌われるかと

思ったらまさかのみんな好意を

寄せてたという急展開。

 

全艦止まってるわ、そこを敵の

フラッグシップ艦隊に狙われるわの

どんでん返しもいいとこだ!

 

 

 

喜んだり困るヒマもねぇ…。

 

 

 

担ぎ込まれた阿武隈の艦橋で

混乱する頭を戦闘モードに

切り替えながら、どうやってこの危機を

乗り切るか策を練り始める…。

 

まずは濡れた作業服と救命胴衣を脱ぎ、

予備で置いてあったサイズの合う海曹士用の青い作業服を手空きの妖精(男子)に手伝ってもらいながら着替える。

 

「おっ、やっぱこっちの色の方が

馴染んでるなぁ…やっぱ。

 

てかパンツも濡れてっから

替えんといかんなぁ、

今はノーパンで我慢だな」

 

「ちょっと提督っ!

なにこんなところで脱いでるのっ?!」

 

「うっせー!

濡れたまんまだと風邪ひいちゃうだろ?!

 

別に見られて恥ずかしい身体してねーし

俺は問題ないぞ、見るか?」

 

「あたし的には問題

大アリなんですけどっ?!」

 

 

 

阿武隈が顔を真っ赤にしてキャーキャー

騒いでいるが、それどころじゃないって。

 

 

着替えが終わり一息つくと、

思わず頭を抱えたくなり

『左手』を額に持っていく。

 

 

 

 

グキッ…

 

 

あ……。

 

 

 

「え、何…今の音?」

 

 

阿武隈がキョトンと呟く。

 

 

 

………

 

 

 

あ、そういや俺、左肩骨折して…

 

 

 

 

 

「痛〝ぁ〝あ〝あ〝あ〝

あ〝あ〝?!?!」

 

「なにっ?!提督どうしたの?!」

 

「すっかり左肩骨折してんの

忘れったああああああ!!!!」

 

 

 

ただでさえ変な方向に曲がっていた

左肩が更にヤバイ方向に…。

 

 

 

 

これを言い表すならば

『提督、中破ッ…!』

 

 

 

「…ってンなこと

考えてる場合じゃねぇ!!

 

 

衛生妖精、痛み止め持ってこぉーい!

 

泣いちゃうううう!

 

肩が、骨がおかしな動きしてて精神が

どうにかなっちゃうのぉおおお!

 

なんかプランプランしてて、

それ以上いけないを超えてもっと

いけそうな状況になってるう

ううううううぅ?!?!」

 

 

 

 

人生初の男泣きをしつつも

艦隊は戦闘へと突入していく。

 

 

 

(もうやだ、提督辞めたい…

 

てか鳳翔どうなったんだよ…?

まさか結局この世から

いなくなっちまったのか?!)

 

 

「衛生妖精ぇーっ!

提督の左腕と肩に包帯を巻いてぇ!

こっちまでおかしくなりそぅ〜!!」

 

 

 

……

 

 

 

 

グダグダしつつこれから始まる夜戦が

父島を救うことになろうとは、

誰も知るよしもなかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





曙にディープかます、
挙句にハーレムがしたいです発言の
セクハラ大魔王、菊池提督。


恋愛ストーリーのカケラも無い
展開ですがこれからもっと
艦娘からのアプローチが増えますので、
こういった描写が無理な方は
見限ったほうが賢明と考えます。


提督は見つかりましたが
敵の水雷戦隊が接近中との情報が。

駆逐艦が前で軽巡が殿という
並びに何の意味があるのか…?

次回は敵サイドもほんの少しだけ
描いていきますので是非!



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