桜と海と、艦娘と   作:万年デルタ

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“自衛隊と艦これがコラボしたら面白いのでは?”という単純な発想からこの度、筆を取るに至りました。

※タイトルにある『漣』はまだ出ません!
タイトルにたまに艦娘の名前を使う予定ですが必ず登場するというわけでは無いんですハイ…。

ストーリーもプロットも無い状況なので、物語がうまく進まないという行方不明の可能性しかありませんが、皆さんに楽しんでもらえれば幸いです。

「この娘だしてー!」
「こんなストーリーが展開が見てみたい」

そんなアドバイス大歓迎です。

「へたっぴ!」
「我が『むらさめ』を汚すな」
「もげろ!」

批判も全裸正座で待っていますが、あまり強く言われると凹みます。

仕事やプライベートが忙しい時もありますが、頑張って投稿していきます!






0-1 海の異変、漣の予感 【都内某所】

“ある人は艦娘を悪魔と呼び、またある者は兵器と呼ぶ。だが俺はそうは思わない。何故なら、彼女らは俺の愛すべきヒトたちなのだから———”

元艦娘部隊指揮官

海将補 菊池圭人(きくちけいと)

 

—青葉新聞社刊

『世界を救った存在〜艦娘〜』—

 

 

 

 

※※※※

 

 

「———やあ!

俺は海上自衛官の菊池圭人。

同じフネで同期の村上と共に新宿二丁目にホイホイ遊びに行き、なんか筋肉ずくめのヤバイ兄ちゃん達のアブない取引現場(意味深)に遭遇する。取引に夢中になっていた俺たちは背後から抱き付いてくる酔っ払いのソッチ系の兄ちゃんに気付かなかった!

俺達は関係を聞かれ咄嗟に

 

『俺たちカップルです!

これからハッテンします!』

 

と答えて、泣きながらダッシュでその場を逃げ出し、都内に予約してあった健全なビジネスホテルに転がり込んだ!」

 

 

「…いや、だれも名探偵になりきれとは言ってないし、解説しろとも頼んで無いんだが」

 

冷めた声の突っ込みが入る。

 

「なにぃ!?俺の心を読むとは、さては貴様…エスパーだなっ!」

 

「違うぞ」

 

「そこはフツーに答えんなよ!」

 

 

アホなボケとツッコミをかまし合う俺達は海上自衛官であり所属するフネも同じ。

今日は休みで上陸(外出)であり、基地のある神奈川県の横須賀からはるばる東京に遊びに来ていた。

 

 

「まさか菊池が二丁目に行きたいなんて言うとは思なかったぞ」

 

「だって面白そうだって思ったんだもん。百聞は一見にしかずって言うだろ?」

 

「相変わらず“菊池クン”はアホだな…」

 

「教育隊の時にしてた呼び方やめーや。にしても同じ班のやつとこうして部隊でも一緒になるとは思わなかったな、村上ぃ」

 

「他の分隊でもそういう話はあるし、なにも俺たちだけ偶然というわけでも無いようだぞ」

 

「あっそうなんだ…」

 

「うむ」

 

 

冷静にツッコミしてくれているのは村上。

 

まず最初に自衛官としてのイロハを教育する(叩き込まれる)“教育隊”という所で同期———つまり同じ釜の飯を食った戦友だ。別に戦争しているワケじゃないけどね。

 

こいつは歳は一つ下だが冷静沈着、俺も何度か助けられた。もしこいつがいなかったら、教育隊を修業できなかったかもしれない。

 

 

(村上にとって俺はどんな存在かは…)

 

 

わからん、聞けるもんじゃないし。

別にいいや、恥ずかしいし…。

 

 

「まあこうして無事戦場?から帰還したわけだし、共に祝おうや!」

 

「うむ、乾杯だな」

 

 

≪カシュッ!≫

 

 

手に持った缶のプルタブを引くといい音が鳴り、美味しそうな泡が溢れる。

二人ともそんなに酒は飲まないが飲むときは飲むし、陸海空問わず自衛隊という組織においては飲み会という名の対アルコール耐久訓練がそれなりののペースであるため、弱い奴であっても強制的に鍛えられる。

まあすぐ酔ったフリして逃げたりとかトイレで吐くフリを幾度かしてるため先輩方からはあまり誘われないが…。

これがデキる男の処世術ってヤツだ。

 

 

「そもそも村上が前々から“秋葉原に行きたい!”って

言うから俺が丁寧に東京を案内してお前に楽しんでもらおうとだな…」

 

 

「ほう…?だがそれにかこつけて

“ヒャッホー!都会の新宿巡りツアー”とか“東京のオンナをガッポリナンパ作戦”とか訳わからんプラン立てたりするし、ついでに“あ、新宿二丁目でディープなスポットとかも見てぇなあ”とか言ったせいだ、大体は菊池のせいだろ?」

 

「ぐ、ぐぬぬ…」

 

流石に反論できねぇ…!

 

 

「なーにがぐぬぬだ、だから二丁目だけは止めておけと言ったんだ」

 

「ま、そんな時もアルヨネー(棒)」

 

 

村上から目をそらしつつテレビのリモコンを手に取り、電源を入れる。

 

 

「んで、お目当の『艦これ』のグッズは

秋葉原のショップにあったのかよ?」

 

「うむあったぞ、この“金剛”のフィギュアはすごいぞ、最高だ!」

 

「でたよ金剛一筋野郎め。他の艦娘に目もくれないでやんの」

 

「一人を愛せない奴が愛を語るな、とだけ言っておこう」

 

「ケッ…じゃあ言わせてもらうがな、自分を愛してくれるオンナ全員の愛に応えてあげられない奴が簡単に愛を語れるのかって話だ」

 

 

俺たちは二人とも、かの有名なブラウザゲームである『艦隊これくしょん』にはまっている。村上なんて入隊前から提督…しかもまさかの『第一サーバー』、つまり『横鎮組』だったクチだ。俺にはよくわからんが凄いらしい。

入隊当時は艦これという名前しか知らなかったが見事に村上によって布教されてしまった。

 

ちなみに村上は金剛好きな提督で、俺はオールラウンドというか色んな艦娘が好きである。あえて言うなら胸が大きい方が好きだが、最近は駆逐艦もいいなぁと思い始めた。

 

“ロリはダメだ、ロリコンにはならぬ”

と思っていたのだが駆逐艦には保護欲が湧くとでも言うのだろうか、守ってあげたくなる娘が多過ぎる。

 

(全ては可愛いのがいかんのや!)

 

例を挙げると真面目で融通が利かないけれど頑張る某ブリザードだったり、母性強い某サンダーとかドジっ子な某五月の雨な子とかその他諸々。俺を悩殺しに来てるとしか思えん!

 

 

 

(ワイおっぱい星人ちゃうかもしれんな)

 

 

 

取り敢えず言わせてもらうと俺は決してつるぺたが好きというわけではないんだ。

それは本当だ、ウン…。

 

 

 

(もしも提督になれたら俺、艦娘ハーレムを作るんだ…)

 

 

こんな叶うはずのない誓いを立てながら、今という『平和』を満喫していた。

 

 

※※※

 

 

今回、村上が秋葉原に行きたいと言ったのは目当の艦これグッズを買うためだった。まあ俺もフネで他の人に見られてもいい程度のグッズを買ったが、あいつは人目を気にしない。

 

教育隊の班長、まあ学校でいう先生な。それが分隊の学生とトークしたんだか、村上は『艦娘部隊に行きたいです!』なんて言って爆笑を買って、腹筋が攣りかけたことがあった。

ちなみに俺は『私は偉くなって、世界征服したいです』って言ったら同じく笑われガキ扱いされたな、何でだ…?

 

 

二人の話を遮るようにテレビがニュースを流している。

 

《———昨日のタンカー爆発事故の続報です。このタンカーはパナマ船籍で、中東から原油を東京に輸送しており…》

 

「昨日の事故のやつか?」

 

「ああ、爆発で船体に穴が開いたらしい。なんでも油が漏れたりとかじゃなく、外部的要因らしい」

 

 

村上が分析する。顔も見せる真面目なツラになっていく。

 

 

「つーことは昔の機雷とかテロかもしれないのか?」

 

「その可能性もあるな。どうやら市ヶ谷や海保も調査に乗り出してるみたいだし」

 

 

テレビが防衛省と海上保安庁も国土交通省の運輸安全委員会に参加するという事を伝え、少しずつ事態の重大さが明らかになってゆく。

 

 

昨日の時点ではタンカーが油を流出させてそれが引火して船体に大穴が開いたとしかニュースでやっていなかったし、テロとも思わなかったな。

確かに最近ではお隣の国がミサイルやら軍拡やらで、海自としても面倒ごとが増えてきた。仮に近隣諸国の仕業やテロだとしてもこんなに露骨に、というのはどうなんだ?いっそ怪しまれない程度に海自の護衛艦や基地に潜入したり、国民を扇動したりしてデモや政治を揺るがすあたりがあの国やその組織らしいというか…。敵対国への工作のやり方ってそんな感じだと思うんだが、あちらさんはちと血早いのかな?

 

俺はそんな感じにしか思わなかった。

 

 

「○国や北もここん所イケイケだけど、流石にこれはやり過ぎじゃないか?派手すぎるって意味な」

 

「それは俺も感じるな。こんな露骨に怪しいやり方じゃあ軍隊の仕業とも思えないしテロ組織のそれとも思えん。前者は無いとして、後者は犯行声明も出てないし、そして何より……“メリット”が無さ過ぎる」

 

(“メリット”……?)

 

 

テレビは流れ続ける。

 

《先ほどの運輸安全委員会の発表によりますと、船内から硝煙及び船体の材質と異なる()()()()()()()()()金属片が検出されており…』

 

 

 

 

 

 

「うーん爆弾魔の仕業か?下手すりゃ乗員がムシャクシャしてやった、みたいな感じだな」

 

「乗員やテロの犯行にしてもなんか引っ掛かる。わざわざ錆びた砲弾を使って隠蔽工作するにしても、不審な点が多すぎる…。まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()感じじゃないか」

 

 

村上の発想は大袈裟だが、確かに不審点が多過ぎる。わざわざ錆びた砲弾を使う…?テロリストだって爆弾ぐらい手作りして仕掛けるだろうし、ましてや錆びた砲弾だ。ちゃんと爆発するかもわからないシロモノでテロをするだろうか?

そうなると昔の軍隊の残党が敵に攻撃を仕掛けました、のほうがまだ筋が通りそうではある。

 

 

「にしてもなんで民間船なんだろうな?昔の軍隊にしても、ならいっそ自衛隊の基地に攻撃を仕掛けるのが妥当な気がするが。”たまたま目の前に船がいたから”かな?」

 

俺はさっきから思っていた疑問を口に出してみた。

 

 

「昔の軍隊、か……。かつて米軍———太平洋戦争中だと戦略爆撃とか通商破壊がメインだったのは知ってるよな?」

 

「ああそりゃな。島国の日本はそこを攻められて負けたし、その反省として我が海上自衛隊は対潜水艦をメインに創設されたんだ。これでも俺は歴史は得意なんだぜ」

 

 

俺は高校では勉強や授業は嫌いだったが歴史は好きだった。授業態度は最低だったが、テストは90点以下は取ったことはないし、戦史に関しては自分で言うのもなんだがかなり知っていると思う。

 

 

「昔の米軍がタイムスリップして日本の商船を襲った…としたら無理矢理だが筋は通るかもな」

 

タイムスリップとか『ジパ◯グ』かよと思いつつも俺は続ける。

 

「犯人が誰であれ、日本に敵対する存在ってのは言えるな」

 

「昔の連合軍みたいに日本を追い詰めようとしているのかも知らないな」

 

「はぁ?犯人は日本を枯渇させようとしているって事か?」

 

「あくまで仮定の話だ。可能性が無いわけじゃ無いし、そう考えれば粗筋ではあるが話が通る」

 

「…じゃあもしかしたら、また“事故”という名の攻撃が有るかもしれないってのか?!」

 

俺が村上にやや強めに問うと、村上は深刻そうに考え込んでしまった。場の空気が重くなってしまった。

 

 

(ここは少し空気を切り替えるか…)

 

「案外、敵は『深海棲艦』だったりしてな!突然現れた深海棲艦を俺たち海自がやっつける。そして艦娘も現れそれを俺たちが『提督』となって指揮して撃滅!そしてしっぽりムフフという感じでさ…」

 

 

俺はポッと容量の少ない頭から捻り出したアホな考えを口に出してみた。流石にこれは流されると思っていたが…。

 

 

「艦娘がこの世界に現れるということは“金剛”とも仲良くなれるのか?なら頑張るしかないな。月曜日からの勤務は全力で臨むぞ」

 

「おっ、おうそうだな…」

 

まさか村上が乗ってくれるとは思わなかった俺は、こいつの意外性に驚くしかなかった。

 

 

 

———この出来事がやがて人類を揺るがすことの始まりになるとは、この時誰も予想できなかった……。

 

 

 

 

 


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