桜と海と、艦娘と   作:万年デルタ

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本格的戦闘回なのかは人次第ですが、
私としてはこれが精一杯でした…。


その辺のクレームも受け付けております。
この小説は皆様のご意見で
進行するかもしれません。






0-7 暁の水平線に浮かぶ影 【東京湾】

 

 

 

 

むらさめCIC 0404i

 

 

 

 

 

「リスクが高いが、それしか無いな」

 

 

 

 

 

 

 

 

作戦会議(オペ)の最中、

司令が村雨の提案を聞き終わってから、

そう呟いた。

 

 

 

「しかし司令、無謀すぎます。

もっと遠距離からでも…」

 

 

 

 

 

「その言葉、このAISを見てから言えるのか?」

 

 

 

 

 

 

反対する砲雷長に、司令があるモニターを向ける。

画面にはAIS、自動船舶識別装置が映っており、

先程海上保安庁に通報した”敵”のデータが

ゆっくりと東京湾内に進みつつあった。

 

 

 

 

「見ての通り時間がないのだ。

ヤツをここで見逃せば、

東京湾は火の海と化すだろう」

 

 

 

 

 

 

 

…ガタン。

 

 

 

砲雷長は悔しそうにしたが、言葉を返さずに

椅子に深く腰掛ける。

 

 

 

 

 

他にも船務長といったフネの幹部が揃い、

隊勤務の幹部も空いている椅子に座っている。

 

 

 

 

 

 

 

俺と村雨は司令の横にちゃっかり座り、

やや居心地悪そうに座っていた。

 

 

 

 

 

 

ちなみにETの村上はというと、

俺が司令に頼んでET室から呼んでもらった。

 

 

 

 

 

 

テーブルの隅でソワソワしている。

 

 

 

 

先程の様に経緯を説明したのだが、

こいつはまったく失礼な事に、

俺が夢と現実がわからなくなったとか、

これはドッキリなのではとか思っていたらしく、

けしからんことに村雨のほっぺたをつねったり

引っ張ったりしやがった、羨ましい…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司令が村上に事実だと告げると、

渋々引き下がったが未だに半信半疑。

いや、一信九疑といった顔をしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

(…にしても村雨も結構危ない作戦を考えるなぁ)

 

 

 

 

 

 

 

俺たちは村雨の提案を聞いていた。

 

 

どんな内容かと思えば、

とんでも無いことを言い出して驚いた。

 

 

 

 

 

だが司令が言ったように、時間が無いこと。

それが確実に敵を倒せるであろう方法。

 

 

流石第四水雷戦隊の駆逐艦と心で褒めて

しまうような、だが蛮勇とも取れる作戦。

 

 

どうか、うまくいってほしいものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

だが敵がどう出てくるかがわからんな。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

ーーーー話は作戦会議前に遡る…

 

 

 

 

 

 

 作戦会議(オペ)開始前 0340i

 

 

 

 

そろそろ偵察も終わる頃だが…

 

 

 

 

 

 

「いかづちのHS(『エイチエス』、

SHヘリの事)、まもなく本艦に着艦する!」

 

 

 

 

 

ヘリとの交信を担当する電測員が

声を張って教えてくれる。

 

 

 

 

 

いかづちのヘリが偵察を終え、戻ってくるようだ。

 

 

 

むらさめに着艦するのは偵察結果を司令部に

直接報告する為なのだが、この後の作戦で

いかづちがあんな目にあうとは両艦の乗員は

この時点では考えていなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…でして、この敵艦『駆逐イ級』の武装は

5インチ砲一門と思われます。

対空火器は無いと考えておりましたが、

ヘリが迎撃を受けた際の映像を見ますと

トップからの対空砲火。映像を見る限り一門、

曳光弾の飛翔速度と火線の太さから

恐らく12.7ミリ機銃程度と思われます」

 

 

 

 

 

解説者、村上士長。さすがだぜ。

 

 

 

 

 

モニターに映る深海棲艦の『駆逐イ級』。

 

 

 

いかづち所属のヘリが撮影できたのはいいが、

隊勤務や砲雷長も誰もそれを説明できない、

分析できないで困ったから

俺は『艦これ』で元帥な村上に丸投げした。

 

 

 

 

 

 

敵が深海棲艦という事がわかったのはいいが、

俺はあまり敵のデータは知らないし、

村雨にも聞いたが戦った事が無いから

分からないとの事。

 

 

 

『艦これ』では深海棲艦が相手だったが、

現実では普通の軍艦として生きてきたから、

あくまで”ゲームとしての深海棲艦を

聞いた事がある”程度だそうで、

その辺の知識が豊富な村上に頼んだわけだ。

 

 

 

 

 

 

にしてもこいつ詳しすぎるだろ、

もう深海棲艦幕僚とかでいいんじゃね?

 

 

 

 

 

まあ俺や村上が海曹士の司令部要員としての

転勤はあっても、

幹部として任命される事はあり得ないし、

ましてや『提督』として隊司令や群司令のような

艦隊司令官になれる確率はゼロだ。

 

 

 

 

 

 

 

そういえば村雨は『艦これ』知ってるって

話してたけど、なんで知ってるんだろう…。

 

 

 

 

 

 

 

 

つんつん。

 

 

 

 

 

「村雨はさ、さっき深海棲艦はゲームでしか

知らないって言ってたけど、

なんで『艦これ』知ってんの?」

 

 

 

 

 

村上が解説している中、

俺は村雨の肩をつっつき話をする。

 

 

 

 

「私はやったこと無いけど、いつも提督や

村上さんが居住区とかで話してるでしょ。

よく私のこととかイベントの事とか話してるの、

横で聞いてたよ」

 

 

 

 

 

 

えっ、隣に村雨ちゃんいたんですかい?

 

 

 

 

 

「それじゃあ、あんな事や

こんな事まで聞いてた系?」

 

 

 

 

 

「た、確かに村雨も駆逐艦にしては胸はあるけど、それをモ、モミモミしたり顔を埋めたりしたいとか言われると恥ずかしいというか、

困るんですけどー…」

 

 

 

 

 

 

オゥッ!?あのトークを聞かれていただと?!

それも本人に!

 

 

 

 

 

 

なんというセクハラ海士長。

もうだめだぁ、おしまいだぁ…。

 

 

 

 

 

 

たしかあれはだな、村上と艦娘の胸のトークに

なった時に、村雨の胸って結構あるよな?

って話題になった時だ。

 

 

 

 

 

そんときモミモミやら埋めたいだの

言いたい放題言ったら、

横に本人がいたでござるの巻。

 

 

 

 

 

 

もうお婿にいけねぇ、なんも言えねぇ…。

 

 

 

 

 

 

だが俺はめげずに攻めに出るぞ!

 

 

 

 

ピンチは最大のチャンス。

ここでうまく丸め込めれば、

俺の株は保たれるばす!

 

 

 

 

 

 

「村雨はさ、もっと自信を持たなきゃ!

君は可愛いんだから、

自分の事を認めて武器にしていかないと」

 

 

 

 

 

俺のでまかせトークで論点をすり替える戦法。

 

 

 

「そっ、そうかなぁ…」

 

 

 

やや照れる村雨、なにこの娘かわいい。

 

 

 

なんかモジモジして照れる姿みてると、

もっといぢめたくなりそうだ。

 

 

 

 

 

 

フッ、だがここで引くのが大人の醍醐味。

 

 

 

雰囲気を切り替えてカッコいいとこ見せましょ。

 

 

 

説明していた村上に質問が上がり、

返答に困っているところに

俺がすかさずフォローを入れる。

 

 

 

 

 

 

「その件に関してですが私から…」

 

 

 

村雨との話を一方的に打ち切り、

オペに入っていく俺。

 

 

 

 

 

 

べ、別に村雨とイチャついていただけじゃ

無いんだからね?!

 

 

 

 

 

 

 

村上の解説も2割は聞いてたんだからなっ!

いや、訂正。1割強です、すんません。

 

 

 

 

少しずつだがオペも活発になってきた。

 

 

 

 

 

 

敵の情報さえわかれば、用兵家である幹部も

考えが浮かぶようだ。

 

 

 

 

 

 

さて、この調子で作戦を煮詰めていきますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 東京湾沖 0418i

 

 

 

 

あれからアルファ、駆逐イ級は速度を3ktに下げ

ゆっくりと海を回り始めた。

 

 

 

 

 

 

少し進んでは変針、その繰り返しだ。

 

 

 

方位を変えて進んでも、他の船舶はAISで

イ級の動きを知り逃げていく。

 

 

 

どうやらイ級は襲撃する対象を探しているらしい。

 

 

 

そのまま東京湾内に進出し襲撃すると

思われていた為、これは俺たちには好都合だ。

 

 

 

 

 

 

なお彼我の距離は18kmを保っている。

これ以上はやつの5インチ砲の射程に

入る危険がある為だ。

 

 

 

 

現代の76ミリ速射砲の射程は約23km、

大戦時の127ミリ砲の射程のデータは

わからんが、これだけあれば被弾は無いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

…ここらで攻勢に出るべきか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「司令、敵はこちらの出方待ち

といった状況かと思います」

 

 

 

 

俺は司令にそう告げた。

 

 

 

 

「うむ、わかった」

 

 

 

 

 

そういうと司令は隊無線がリモートされた

送話器を手に取り、スイッチを押す。

 

 

 

 

 

 

ピリピリと秘話がかかっている事を示す音が鳴り、ゆっくりと話し始める。

 

 

 

「All unit in CED1、this is CED1。

ガード(聴取)している通信員は『むらさめ』

『いかづち』両艦の乗員に放送してくれ」

 

 

 

 

 

 

司令の指示で両艦の通信員は

隊無線を艦内に流す操作を行う。

 

 

 

 

 

 

 

両艦から用意よしが上がったところで、

司令は話し始める。

 

 

 

「これよりアルファ目標、

すなわち敵への攻撃、撃沈を行う。

作戦は先程各艦長から達せらせた通りだ」

 

 

 

 

オペが終了してから、

その詳細は両艦長を通して乗員に伝えられていた。

 

 

 

 

 

 

 

隊無線の向こうではいかづちの乗員が強張る姿が

頭に浮かぶ。

 

 

 

 

 

むらさめでさえそうなのだから、

あちらも変わらないだろう。

 

 

 

 

 

「リスクが高いが、

今はこれがベストであると私は思う。」

 

 

 

 

 

 

 

「死中に活を求める、

諸君らの奮闘を期待している。

だから無理はせず、もし被弾したら即撤退しろ。

これは命令だ、out」

 

 

 

 

 

 

司令は無線を『over』と返信を求めずに、

『out』と一方的に打ち切った。

 

 

 

 

 

 

今司令の近くにいるのは俺と村上、

そして村雨だけだ。

 

 

 

 

他の人は指示出しや本来の配置に着いている。

 

 

 

 

 

 

 

「司令、我々は戦闘時

ここにいてもよろしいですか?」

 

 

 

 

 

俺は3人を代表して司令に尋ねる。

 

 

 

「ああ、構わんよ。むしろいてもらわなけば

私が困るというものだ」

 

 

 

 

司令の許可をもらい、

俺たちはそのまま司令席のそばに留まる。

 

 

 

 

 

 

俺や村上は本来の戦闘部署の配置に、

村雨はきっと軟禁ぐらいされているだろうが

今は非常時だ。

 

 

 

村雨は立案者だし、

この作戦の推移を間近で見る権利と義務がある。

 

 

 

 

 

 

 

もうすぐ発動だ。

村雨や村上と一時の談話を楽しみたいが、

それは深海棲艦に勝ってからに

とっておく事にしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 東京湾沖 0435i

 

 

ピリピリ!

 

 

嵐の前の静けさで満たされたCICに、

隊無線の秘話適用のベルが鳴り響く。

 

 

 

「All unit in CED1、This is CED1!」

 

 

 

司令が送話器を手に取り、

作戦を発動させようとする。

 

 

 

 

「Imidiate excute

(イミディエートエクスキュート、即時発動法)。

 

Operation(オペレーション、作戦)

 

 

Stand by(スタンバーイ、発動用意)……、

 

 

Excute(エクスキュート、発動)!」

 

 

 

 

 

 

 

司令が直に作戦を発動させる。

 

 

 

 

 

人類初の火蓋は此処に切られた。

 

 

 

 

 

 

「いかづち、敵艦に接近しますっ!!」

 

 

 

いかづちは敢えて敵に向かっていく。

 

 

 

 

それも最短CPA(Closest Point of Approach、

最接近距離シーピーエー)

 

を取り、敵のアタマを抑えるコースでだ。

 

 

 

 

なぜ敵の射程内に入ってまで近付こうとするかと

いうと、村雨の作戦によるものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

村雨の作戦、それは『いかづち』を囮にして

敵がいかづちに夢中になった所を

『むらさめ』が叩くというものだ。

 

 

 

 

この提案をするまでは対艦ミサイルで攻撃といった安全策であったが、村雨が発言した

ロシアでの襲撃時の敵の耐久性、ミサイルの有効性への疑問から、砲熕兵器による有効射程から

敵艦の指揮中枢区画と思われる頭脳付近への

精密射撃及び短魚雷での雷撃に方針が変えられた。

 

 

 

 

 

 

映像分析の結果、

敵は5インチ砲らしきものが一門、

それも艦首というか口の中に固定されていた。

 

 

 

 

 

そこで敢えていかづちを追いかけるように仕向け、攻撃を受けないむらさめが叩く事となった。

 

 

 

 

 

 

いかづちは30ktを優に越える速度

でイ級に進んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

にしてもいかづち飛ばすなぁ…。

 

 

 

 

 

護衛艦の最高速度は公称30ktと言われているが、

実際にはよんじゅ…いや、止めておこう。

 

 

 

 

 

 

取り敢えず大戦時の最速駆逐艦である『島風』で40ktと言われるぐらいだから、

現代のガスタービンはかなり凄い!

とだけ言っておく。

 

 

 

マジで加速が半端ないんだな、これが。

 

 

 

 

 

「This is Ikazuchi、敵艦発砲。距離、140(14km)!」

 

 

 

近付いてきたいかづちに、イ級が砲撃を開始する。

 

 

 

 

 

とはいえ命中精度もそれほど高くなく、

発射速度も8秒に1発といった具合だ。

 

 

 

 

続けて入ってきた報告によると、

一番近くの着弾は800mの地点らしい。

 

 

 

 

 

 

 

油断は禁物であるが、

敵はそれほど練度は持ち合わせていないようだ。

 

 

 

 

 

 

 

いかづちが彼我10kmを切ると、

反航を同航に変えわざと追われる体勢に入る。

 

 

 

 

 

 

「よし、本艦も敵艦に針路をとるぞ!

いかづちを砲火から早く逃すんだ!」

 

 

 

艦長が気合の入った指示を飛ばす。

 

 

 

 

むらさめはイ級の左140度方向から

追走するコースを取る。

 

 

 

 

 

「ETA(Estimated Time of Arrival、

到着予定時刻エコータンゴアルファ)

今から19分後!」

 

 

 

 

 

電測からイ級までのETAが伝えられる。

 

 

 

 

 

 

 

「機関科!最大速力だ!最大戦速じゃないぞ、

最大出力で回せっ!!」

 

 

 

 

 

 

「了解、最大出〜力!」

 

 

 

 

艦長から艦橋の機関科リモート員に

『最大出力』の命令が出され、

むらさめのガスタービンが聞いた事のない

唸り声を上げる。

 

 

 

 

 

 

護衛艦には、戦闘時に出す

『最大戦速』というものがあるのだが、

『最大出力』とはその上。

 

 

つまりレッドゾーン上限まで、

エンジンに過負荷がかかり異常をきたす可能性が

ある速度を出すということだ。

 

 

 

 

俺も初めて聞いたな、機関科の人間も

最大速力は経験がないんじゃないか。

 

 

 

 

 

すぐに足元から経験した事のない

加速の感覚が伝わってくる。

 

 

 

 

 

 

心なしか僅かに聞こえるガスタービンの音も

悲鳴の様に甲高くなる。

 

 

 

 

(深海棲艦にミサイルは効かないのか?

決して無効というわけでは無いだろうが、

致命傷を与えられないとなると

今後の作戦はかなり厳しくなるぞ…)

 

 

 

 

 

イ級にむらさめが突進する中、

俺はこれからの深海棲艦との戦いを思い浮かべた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 イ級まで8km 0458i

 

 

 

 

「敵艦まで8km!」

 

 

 

 

「右、砲戦!」

 

 

 

艦長が砲撃戦の指示を出し、

むらさめの76ミリ砲がイ級の方を向く。

 

 

 

 

ウィイーン。

 

 

 

 

昔の戦艦や重巡の砲塔が重々しく動くのとは

異なり、現代の軍艦の艦載砲は工業マシンが

動くかの様に軽快にかつ機械的に動く。

 

 

 

 

 

76ミリがイ級を捉える。

 

 

 

 

 

 

「CIC指示の目標!」

 

 

 

 

 

敵は1隻、しかも大砲が既にイ級を捉えているのに

律儀に目標の指示を出す。

 

 

 

 

 

 

しかし問題はミサイルが効かないイ級に、

76ミリの豆鉄砲が効くかだ。

 

 

 

 

 

もしもイ級が無傷だったらどうするのか。

先程の作戦会議でもそういった議論も

あったのだが、結論は出なかった。

 

 

 

 

 

 

司令は被弾覚悟で接近してゼロ距離砲雷撃を

ぶち込むしかないと発言し、その場では

反対意見こそ出なかったが皆不安を

隠し得なかった。

 

 

 

 

 

 

発言した司令が苦い顔をしていた。

既に航空集団司令部に哨戒機の要請を出し、

対艦ミサイルを搭載したP-1は離陸しているが、

前述の通り深海棲艦にミサイルは期待できない。

 

 

 

 

駆逐艦クラスとはいえ、装甲やミサイル自体の

信管が対現代艦の設定では望みが薄い。

 

 

 

 

 

まずは何発か命中させ、砲弾の効果を確認した後に再度本射撃、要あればミサイル攻撃と雷撃といった流れになる。

 

 

 

 

 

 

 

「主砲緩射3ぱーつ!打ち方始めぇ!」

 

 

 

「打ちー方始め!」

 

 

 

 

同じCICの少し離れたところにいる射撃管制員が

そう宣言し、手に握る射管グリップを握る。

 

 

 

 

76ミリ砲が火を噴き、黎明の海上に

むらさめの艦影を映し出す。

 

 

 

 

 

 

 

バァン!…バァン!…バァンー!

 

 

 

やや間を空けて放たれた砲弾は、

イ級に進んでいく。

 

 

 

 

 

 

「スタンバーイ、…マーク!」

 

 

 

 

 

 

 

ズズーン!

 

 

 

 

ズズーン!

 

 

 

 

 

イ級の周囲に1発、2発と水柱が上がる。

 

 

 

 

 

…ドゴーン!

 

 

 

最後に撃った1発がイ級の左舷に命中する。

 

 

 

 

「3発目命中!被害は確認できない!」

 

 

 

 

艦橋から砲弾命中の報告がもたらされる。

 

 

 

 

明け方だがまだ空が暗い事もあり、

イ級に与えた被害は確認できない。

 

 

 

 

 

 

 

「再度6kmまで距離が詰まったら、緩射5発だ。

次は全弾命中させろ!」

 

 

 

 

 

「艦長、さすがに近過ぎます!

もう少し距離を空けては…」

 

 

 

 

艦長の無謀とも言える命令に、

砲雷長が異を唱える。

 

 

 

 

 

いくら『いかづち』がイ級に追われている

とはいえ、敢えてこちらにも危険がくる戦法を

取らずとも良いのではないかと言いたげだ。

 

 

 

 

 

 

そんなやり取りを司令は何も言わずじっと見守る。

 

 

 

司令が何も言わないならばと、

俺や村雨たちも何も喋らずに艦長たちの口論を

傍観する。

 

 

 

 

「砲雷長、おめぇは正しいよ。いくら『いかづち』が追っかけられてるとはいえ、

俺らはフネを預かる身分。

 

 

最悪いかづちが撃沈されても、

この『むらさめ』だけは沈めちゃならねぇ」

 

 

 

 

 

艦長がチラッと村雨を見る。

 

 

 

 

 

「だがよ、俺らは自衛官である前に人間なんだ。

目の前で仲間がやられてて、

放っておけるかってんでぇ!」

 

 

 

 

艦長が啖呵を切る

 

 

 

 

 

「砲雷長、おめぇは知ってるか?

帝国海軍が負け戦の時に

沈められたフネの乗員を見捨てて帰投したのを。

 

 

 

俺の親父は駆逐艦『磯風』に乗ってた

一兵卒だったんだがよ、戦いの名前は忘れたが、

負けたあと海上を見れば沈められたフネの乗員が

おーいおーいと泳ぎながら手を振っていたそうだ」

 

 

 

 

 

艦長は続ける。

 

 

 

 

「親父が上官に助けないんですか?と聞いたんだ、そしたらそんなヒマは無い、

そんな事をしてたらアメ公に自分たちが

やられるって怒鳴られたそうだ」

 

 

 

「親父が飲んだ時はいっつもその話だったよ、

泣きながらな…。

俺だったら助けるのに、俺が沈められた乗員なら

助けて欲しいのにっつってた」

 

 

 

「艦長のお父上は駆逐艦乗りだったんですか」

 

 

 

「おうよ、生粋の江戸っ子でよ、

戦後もちっさなもんじゃ焼き屋をしながら

飲んではよくそんな話を

ガキの頃から聞かされてよ。

 

 

でも自分が幹部になってみるとよ、

その気持ちがよくわかるんだわ。

 

 

 

兵士を見捨てる国は国民を見捨てる、

俺ぁそう思うぜ。

たとえ自分の命が無くなろうとも、味方を、

仲間を見捨てる軍人にはなりたくねぇって

必死に生きてきた。

 

 

 

ウチの司令はそんな俺を可愛がってくれて、

俺が上に突っかかっても助けてくれたし、

こうやってむらさめの艦長にまでさせてくれた。

俺は仲間の為に戦いたいんだよ、砲雷長ぉ…」

 

 

 

 

最後の方は嘆くように砲雷長に語りかけた。

 

 

 

「申し訳ありませんでした、艦長。

私が間違っていました、『いかづち』の、

いや『仲間』の為に戦いましょう!」

 

 

 

 

 

砲雷長の目に光るものが見える。

 

 

 

 

「よし!距離が詰まったら緩射5発、

全弾命中させろよ!

射撃員は今のうちに即応弾を補充しておけ、

次からは全部ぶち込むぞ!!」

 

 

 

目を腕で擦ってから、砲雷長の指示が

関係各部に飛ぶ。

やや走り過ぎな指示だが、

艦長に感化されたものか。

 

 

 

 

 

 

「へぇ、艦長の親父さんが

磯風にのっていたとはな」

 

 

 

「あら、提督は『私』よりも

磯風に乗りたかったかしら?」

 

 

 

 

 

俺の呟きに村雨が茶々を入れる。

 

 

 

「何っ!菊池、おまえ村雨ちゃんという者が

居ながら!」

 

 

 

「えーん、私なんて色気が無い

無装甲の護衛艦ですよーだ…」

 

 

 

「お前らやめろ。村上も変なツッコミすんな、

村雨も棒読みな発言やめろって」

 

 

 

 

 

村上と村雨に冷静に突っ込む俺。

村雨に「色気あるから!

そんな胸の駆逐艦いないから!」とかフォローを

この場で言わなかったのは

日頃の徳が有るからだな。

↑有りません

 

 

 

 

 

 

 

そんな俺たちをにこやかに見守っていた司令に

俺は話しかける。

 

 

 

 

 

 

「司令は艦長の事、知ってらしたんですか?」

 

 

 

「うむ、当然だよ。部下の身上把握は

上官の鉄則だよ」

 

 

 

「そういえば、よく艦長と飲みに行ってましたね」

 

 

 

「艦長は防大4年の時の同じ中隊の1年で

入ってきてな、よく可愛がったもんだ」

 

 

 

 

 

 

 

ケタケタと笑う司令、こんな一面もあったんだな。

 

 

 

 

 

 

艦長もいい先輩と巡り会えたな。

 

 

 

 

 

「司令さんはどうして海自に入ったんですか?」

 

 

 

村雨が質問する。

 

 

 

「うむ、よく聞いてくれたと言いたいところだが、もうすぐ敵に接触するようだ」

 

 

 

司令が向いた方向を見れば、

もうイ級に7キロに迫っていた。

 

 

 

 

外を写すモニターにも、

水平線上に黒い点の様なものが見えている。

 

 

 

 

 

 

 

間も無く二回次の砲撃が始まる。

 

 

 

 

そう思うとただ座っていられなくなり、

司令にせめて艦橋に上がっていいかと聞くと、

私も行こうと司令の他に俺たちや

隊勤務数名が艦橋に上がることとなった。

 

 

 

 

…イ級ってどんな感じなんだろな。

焼いたら食えるんかねぇ。

 

 

 

 

磯風に魚を焼かせたらイ級の丸焼きになりそう…。

 

 

 

 

 

そんな事を考えつつCICから艦橋に移動した。

 

 

 

 

 

 

 

「敵艦から6キロの位置に着きました

艦長、砲雷長!」

 

 

 

「よし!」

 

 

 

「了解!」

 

 

 

 

報告に対し艦長と砲雷長が了解する。

 

 

 

 

「緩射5発、打ちーかた始め!」

 

 

 

「打ちぃーかた始めー!」

 

 

 

 

既に狙いを定めていた76ミリ砲から、

必殺の志がこもった砲弾が放たれる。

 

 

 

互いに動いているとはいえ、

こちらは高性能な頭脳を持った現代の護衛艦。

今度は5発全弾を命中させた。

 

 

 

 

「アルファ目標、行き足止まります!」

 

 

 

電測から報告が上がる。

 

 

 

ピリピリ!

 

 

 

「CED1、むらさめ、this is いかづち。

敵艦の行き足止まった、本艦至近弾あるも

急速探知の結果致命的な被害無し、人員異常無し!貴官らの奮戦、決断に感謝する、out!!」

 

 

 

 

いかづち艦長から司令とむらさめ宛に通信が入り、感謝の意が伝えられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「司令、やりましたね!」

 

 

 

「いかづちも助かりましたし、

敵艦も撃破しましたよ!」

 

 

 

 

司令の周りに幹部が集まり、労いの言葉をかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…あまりに呆気なさすぎないか?

 

 

 

 

 

 

 

俺や村雨、村上はやや疑念にかられた顔をする。

 

 

 

 

 

 

 

司令を見れば俺たちと同じ様な顔をしている。

 

 

 

 

 

「まだ終わってはおらん。

艦長、砲雷長、速射砲及びハープーン打ち方待て」

 

 

 

 

 

「り、了解。砲戦、ハープーン戦用意。

打ち方待て」

 

 

 

司令に言われるがまま砲撃戦と

ミサイル戦の用意を下令する艦長。

 

 

 

 

 

「800メートルまで警戒しつつ接近。

その後速射砲を30発、ミサイル2発打込め、

責任は”俺”が取る!

短魚雷も発射準備だけしておけ!」

 

 

 

 

 

 

 

ざわっ!

 

 

 

 

司令の命令にCICがざわめく。

 

 

 

「マジかよ!」

 

 

 

「そこまでしなくてもいいんじゃねぇか?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ふむ、どうしたものか。

 

 

 

 

 

「村上はどう思うよ?」

 

 

 

「司令の言うことは正しいと思うが、

慎重過ぎると思うな」

 

 

 

俺は村上に意見を仰ぎつつ、隣の村雨を見る。

 

 

 

 

 

 

村雨は納得はしていない様だが、

当然だと言わんばかりの顔をしていた。

 

 

 

 

 

「でもテレビで見たでしょ?

あれはイ級後期型とはいえ、

ヘリコプターの機関砲とミサイル攻撃を

ものともしてなかったわ。

 

 

いま行き足を止めたのだって、もしかしたら

私たちの油断を誘うためなのかもしれないし…」

 

 

 

 

 

 

 

やや歯切れが悪そうに村雨は言う。

 

 

 

 

 

言われてハッと俺たちは気付く。

 

 

 

 

 

 

「そういやそうだったな、ロシアでのヤツは

戦闘ヘリからの攻撃をものともしてなかったな…」

 

 

 

「ああ、『戦闘』に勝っただけで、

『戦い』にはまだ勝ったわけではないんだ」

 

 

 

 

 

俺たちの会話は声が大きかったらしく、

気付けばCICの人間がこちらを見ていた。

 

 

 

 

「そういうことだった村雨ちゃん、菊池士長。

皆、勝って兜の何とやらだ。

 

 

敵は完全に沈黙した訳ではない、

それを実際に確かめてこそなのだ」

 

 

 

 

司令が締めの言葉を言い、

CICは再び号令や指示の嵐に包まれる。

 

 

 

 

 

 

慢心してはダメって赤城も言ってたしな。

 

 

 

『帰港』するまでが戦いとは言わないが、

軍人として気を引き締めないとな…。

 

 

 

 

 

そんな一悶着もあったが、『むらさめ』は

ゆっくり確実に、イ級の残骸らしきモノに

接近していった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 イ級残骸目前 0518i

 

 

 

 

司令が指示した通り、イ級に砲弾とミサイルが

撃ち込まれ、やはり生きていた様でギェエエ!と

表現し難い断末魔を海域に響かせながら

イ級は完全に沈黙した。

 

 

 

 

 

 

 

 

((危なかった……))

 

 

 

 

 

むらさめ乗員はきっと同じ事を思っただろう。

 

 

 

 

司令と村雨は流石だ、

戦場の空気を肌で感じているとしか言いようがない。

 

 

 

 

ヘタしたら回頭したイ級に

砲弾を撃ち込まれていたかもしれない。

 

 

 

 

「残骸の回収は難しそうか?」

 

 

 

「はい、見る限りこちらの攻撃の後

急速に浸水している様で、海面に漂う油の他は

浮遊物は残らないと思います」

 

 

 

 

司令の問いに艦長が答える。

 

 

 

 

 

艦橋のウイングに出てイ級を直に見ながら、

俺たちはどうしようもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前にはイ級の残骸、

至る所に命中した砲弾の穴が見受けられる。

 

 

 

 

 

煙と炎を拭き上げつつ、

浸水した海水が上部から噴出し、

ゆっくりと海に還って行くイ級。

 

 

 

 

 

 

 

 

内火艇を下ろしたものの、炎と油で近づけず、

また沈没時の渦に巻き込まれない様に距離を空け、

その様子をビデオで撮りながら

見守るしかできなかった。

 

 

 

 

イ級の大きさは100メートルほど。

ゲームやアニメで想像したような大きさでは無い、実物の艦艇と変わらない大きさだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんなのと戦わなければいけないのか…。

 

 

 

 

 

 

確かに俺は『提督』になりたいとは思っていたが、

戦争はこんなにも生々しく、

華が無いものとは思っていなかった。

 

 

 

 

 

 

今回はどうにか両艦無傷で勝てたものの、

『艦これ』のように連戦や被弾したら即故障、

大破、悪ければ轟沈するだろう。

 

 

 

 

 

 

俺でさえそうなのだから司令や艦長は

どんな思いなのだろうか?

 

 

 

 

 

 

右舷の舷側に俺たちは立ち尽くす。

司令から村上が、目の前で沈みゆく

イ級を見ながら何かを考えている。

 

 

 

 

 

 

後ろに目をやれば村雨のみがいる。

 

 

 

 

 

顔色はあまり良くなさそうだ。

 

 

 

 

そんな村雨に俺は慰めの言葉をかける。

 

 

 

「村雨、よくやったな。『いかづち』も被害無し、お前も無傷。S勝利だ、横須賀に帰ったら

忙しいだろうがちゃんと”面倒を見てやるぞ”。

俺が”責任をとるからな”」

 

 

 

俺はこれから忙しくなるであろう事を

暗に伝える意味で言う。

 

 

 

「ち、ちょっと提督!

そんな事こんなところで言うセリフ?!」

 

 

 

 

…なぜ赤面して困っているんだ?

 

 

 

あん?もしかして熱でもあるのか?!

それとも最大速力を出し続けた所為で、

どこかに不具合がっ?!

 

 

 

 

 

 

俺は村雨の額に手を当て、熱が無いか確かめる。

 

 

 

 

 

 

ぴとーっ。

 

 

 

 

「ひゃんっ?!」

 

 

 

 

なんか村雨の可愛い声が聞こえたが、

今はそれどころじゃない!

 

 

 

 

 

 

「村雨大丈夫か、どこか痛むところは無いか?」

 

 

 

「う、ううん。どこも痛くは無いけど、

ちょっと困るぅ〜…」

 

 

 

 

 

困る?何が困るって言うんだ…?

 

 

 

 

うむっ、額から伝わる脈拍が少しばかり

速い気がするぞ!

 

 

 

 

 

 

 

俺は無意識に、空いていた左手を

村雨の首の後ろに回し、首の動脈も測ろうとする。

 

 

 

 

 

「あぅあぅ〜…」

 

 

 

 

 

 

いかん、目も焦点が定まっていない。

まるで目がハートになっている気がする。

すっかり顔も蕩けてしまっている。

 

 

 

 

 

 

「司令、艦長!『村雨』の様子が変なので、

医務室に連れて行きますっ!」

 

 

 

 

「あ、ああ。ぜひそうしたまえ」

 

 

 

 

イ級を見ていた司令が少し驚きながら

返事を返した。

 

 

 

マトモに返事を聞かずに俺は村雨を

胸の前に抱きかかえ、医務室に急ぐ。

 

 

 

 

 

既に艦橋から各部にテレトークという交話装置で

医務室までの閉鎖通路は開ける様に伝えてある。

…司令命令という職権乱用で。

 

 

 

 

 

 

村雨が沈むことは無いだろうが、

もしもがあったら大変だ。

 

 

 

 

お姫様抱っこというロマンチックな光景だが、

今はそんな事に構っていられん!

 

 

 

 

ふと胸元の村雨を見れば意識を失ったのか、

”なぜか”幸せそうな顔をして静かに息をしている。

 

 

 

 

 

 

 

(艦娘とはいえ、流石に初の戦闘となれば

疲労も出るだろう)

 

 

 

 

 

顔色も良くなっており、ただの神経衰弱のようだ。

それならと、医務室に向かう足を緩め、

村雨の髪をそっと撫でる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現実に現れた『艦娘』と『深海棲艦』。

艦娘が現れたことは嬉しいが、深海棲艦との戦いがどうなるのかはまだわからない。

 

 

 

 

 

これから泥沼化してしまうと考えると、

日本は、世界はどうなっていくのだろうか。

 

 

 

 

 

 

この戦闘は艦これで言うと

『1-1』といったところだろうか。

 

 

 

 

 

だかそれは横須賀正面、日本の東京湾沖という

ちっぽけな海域だけの話だ。

 

 

 

 

 

 

日本各地の海で、いや世界各地で深海棲艦の襲撃があるとしたら、流通は途絶え、世界経済はたちまちマヒしてしまうだろう。

 

 

 

 

 

 

 

俺は世界を、日本を守れるのだろうか…。

 

 

 

 

 

 

「うぅ〜ん…」

 

 

 

 

 

俺が思い詰めていると村雨が目を覚ました。

 

 

 

 

 

「村雨、気分はどうだ?」

 

 

 

「ちょっと気が動転しただけ、平気よ」

 

 

 

 

 

俺の問いに村雨はにこやかに答える。

 

 

 

 

これから横須賀に帰ったら面倒事が多そうだな。

 

 

 

 

まずは司令や艦長たちと一緒に

総監部で取り調べを受けて、

あーだこーだ聞かれたら

関係各所を回って少なくとも

市ヶ谷・海幕までは行くだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

ヘタしたら村雨が研究の名目で

いかがわしい実験をされるかもしれん。

 

 

 

ぬぅう〜けしからん!

…じゃなかったゆるせねぇ!

 

 

 

 

 

 

 

「安心しろよ村雨!俺がお前を守るからな!

変なヤツについて行くなよ、俺がいるからな!」

 

 

 

 

 

ガッ!

 

 

 

「きゃっ!」

 

 

 

村雨がイタズラされる事を想像したら

ムカムカしてきた!

 

 

 

 

つい勢い余って村雨の肩に力を入れてしまう。

 

 

 

 

 

 

「ホントに村雨を(一生)守ってくれるの?」

 

 

 

 

「あったり前だろ!俺が(横須賀に帰っても)

ずっと面倒を見てやるさ!

一緒に戦って、ちゃんと母港に帰って、

お風呂(入渠の意味で)入ってから

可愛がってあげっからな!(日常生活的な意味で)

 

 

寝かさなねぇぞ?(もちろん関係各所巡りの意味で)」

 

 

 

 

 

 

「ホントにホント?村雨を見捨てたりしない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

…なんかがっついてくるなぁ。

俺ってそんな面倒見悪く見えんのかなぁ?

 

 

 

 

 

「もちろんさぁ!」

 

 

 

ニカッ!

 

 

 

 

某ハンバーガーショップのキャラのセリフを吐き、ありったけのスマイル(0円)を提供する。

 

 

 

 

「あぅあぅ〜…」

 

 

 

 

あ”、また目を回した。

目を覚ましてすぐの会話は流石に辛かったかな。

 

 

 

 

 

 

にしても会話のキャッチボールができていなかった様な気がすっけど、大丈夫かな?

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は別に誤解を生むような会話は

してないんだが…(無自覚)

 

 

 

 

 

 

 

再び目を回してしまった村雨を

ゆっくりと医務室に連れて行き、

医務長に後を任せる。

 

 

 

 

 

 

 

『対水上戦闘用意用具収め』

 

 

 

おっ、戦闘も終わりか。

 

 

 

 

 

 

 

 

フー、と静かに息を吐く。

 

 

 

これからのことはこれから考えればいい。

 

 

 

 

今は村雨と、どう向き合っていくかだけを

考えよう。

 

 

 

 

 

俺は踵を返し、CICの司令の元へと戻り始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

海の上の暁の水平線には沈みゆくイ級の

僅かな残骸の影と、涙の様な油だけが

静かに漂っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




とりあえず1-1S勝利となった次第です!

主人公は女の子にアプローチを掛けますが
毎回失敗し、無自覚で意味深の発言をしては
勘違いをさせる様なラノベ風な展開に
いたしました。


見ていて面白いと思ってもらえれば幸いです。




今後の展開は未定!
故に長期の待機をお願いします。

ストーリーを考えねば…



アイデア募集中!
とりあえず1護隊の『いかづち』
『いずも(飛鷹)』は
この後でてきますが、その後は誰にしようか…



自衛艦隊これくしょんといっても、
結構な艦娘がいますし
全艦娘を出すとなると10年はかかりそうです。



仮に出せてもストーリー厳しいです、はい。



とりあえず、ここで序章は終了です。
世界や日本各地で襲撃を起こそうかと
思いましたが、流石に私の頭と腕では
厳しいと実感し断念。


まずは横須賀鎮守府(総監部?)から
話を作っていきます。

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