それ以前に4か月ぶりの更新って……はぁ~あほくさ。
はい、お久しぶりです。2人の魔法使いの方は更新できていたんですが、こっちはこんなにも時間がかかってしまいました。
「おはよう、浅葱プロデューサー……って何その袋」
未央が俺の持ってきた袋を不思議そうに眺める。
「おはよう未央。あぁ……そうか。未央はまだ経験してないから知らないのか。今日は何の日?」
「ねのh……じゃなくて、バレンタインデーでしょ? 私も、みんなに渡す分のチョコレート持ってきてるよ。浅葱プロデューサーの分も後で渡すね」
「そう。正にそれだ」
「どういうこと? あっ、そういうことか」
「職業柄、スタッフや同僚から貰うことが多い。かといって、普通に仕事で使ってるコレには入りきらない。そんな物入れる想定なんてしてないからな。だから、チョコを入れておく用のバックを毎年持ってくるようにしてんだよ。これ割と色んな人がやってると思うぞ」
駿輔や彰も勿論持ってきている。
「そんなにいっぱい貰うの?」
「アイドルだけでも
「1,2,3,4……うわぁ」
想像して数えてみたらしい未央がなんとも言えない渋い顔になった。例え、一つ一つが小さい物だったとしても塵も積もればなんとやら。と言うよりも小さい物が多い方がきつい。小さいと持ち運びにくいんだこれが。そのためにも袋は大事。
一年目はやらかしたものだ。まさかあれだけの量を貰うとは思わなかった。
「貰えるのは嬉しいけどねぇ」
「そういうこと。そうだ未央、お前にもたくさんチョコが届いてるはず」
「私に? なんで? 私女の子だよ?」
「お前だって凛や卯月たちに友チョコを渡すだろ?」
「うん、そりゃ渡すけど」
「そんな感じでファンから贈られてくるんだよ。まあ例えると、ファンレターの代わりか付属品みたいなイメージだな。……たまに本命混ざってたりするけどな」
「えっ」
信じられないような目で俺を見るけど、これが本当なんだなぁ……。美嘉も楓も貰ってるから。
「まあ、七割は害がない物だし大丈夫だろ」
「残りの三割は!?」
「ファンレターは俺ら一回確認してるってのは知ってるよな?」
「うん。変なことが書いていないかとか、封筒に危ない物が入ってないかを調べてるんだよね」
「そうそう。チョコも同じように調べてる」
「なんで? あっ、ちょっと待って。チョコに何か入ってたりしたとか……」
「
ゲンナリとした顔をする。
「アイドルって大変なんだね……」
「まあな。嫌味な言い方になるけど、ウチは金があるからそういうのを調べるモノがある。それでしっかりと調べてあるから、お前らに渡されるのは大丈夫なモノだけだ」
「それを聞いて安心したよ」
割と最近導入したものだけどな。それまでは大変だった……。
「じゃあ浅葱プロデューサー、はいチョコレート」
「ありがとう。纏にはしっかり渡してきたか?」
「もちろん。感想はまだ聞いてないんだけどね。後で味わって食べるってさ」
「おやおやお熱いこった」
「浅葱プロデューサーには言われたくないなぁ」
言うようになったじゃないか。
「いじられ慣れてきたからね」
「あらま。まあ、慣れもするか。未央、今日の予定は把握してるか?」
未央から貰ったチョコレートを袋にしまいながら、未央に確認をとる。
「うん。レッスンだよね」
「そう。NGとCIでダンスレッスンだ。他にも何人か参加するみたいだから、よろしくな」
「了解」
「伊吹あたりだったはずだから、学んで来い」
「わかってるってば」
荷物を持って立つ。
「じゃあ俺別の仕事あるから」
「はーい、いってらっしゃーい!」
「遼哉さん」
「お、美嘉か。もう仕事上がったのか?」
別の場所に向かっている途中、
「調子よかったからね~♪ 早く終わらせたかったのもあるけどね」
「というと?」
「こ~れ!」
美嘉が手渡してきたのはチョコレート。まあ、当然か。そもそも何をくれるのかわかってたし。美嘉は毎年くれるからな。
「今年もありがとよ」
「わかってると思うけど、それ本命だからね★」
「その積極性を最後まで保てればカリスマなのになぁ」
「ちょっと! それは酷くない!?」
「ははは、改めてチョコありがとうな。お返し楽しみにしておけよ」
「うん。それ目的なわけじゃないけど、いつも楽しみなんだよね~!」
当然だが、しっかりとお返しは渡している。グレードがあって、渡し方とかくれた物とかでお返しは分けてる。適当に渡してきたのにこっちが一生懸命作る義理ないし。
といっても、渡してくる奴は大体しっかりしたものくれるからみんなにそれなりの物を渡している。本命と言って渡してくる美嘉たちには個人個人の物を用意している。
「毎回言ってるけど、意味とかは特に含めてないからな」
「クッキー、マシュマロとかを貰ってそういうことかってむやみに凹むな……でしょ?」
「その通り。作りたい物も作れなくなるからな。マシュマロとか食べる機会なんてそうそうないだろ。できればそういうのを作りたい」
「なんかわかるな~……あっ、次のレッスンそろそろだし準備してこないと!」
「ん、じゃあ行ってこい。俺も向かう場所あるし」
「そうだったの? ごめんね遼哉さん、なんか呼び止めちゃって」
「大丈夫だって、いってらっしゃい」
はーい!と手を振りながら去っていく美嘉を見送ってから改めて目的地へと向かう。といっても、美嘉と出会った場所は目的地のすぐ近くだったので向かうと言うほどではなかったが。
「入るぞ~」
ガチャリとドアを開けて部屋に入る。そこにいたのは
「あらプロデューサー、おはよう」
「プロデューサーちゃんじゃん! おはー!」
「おはよございます、浅葱さん」
奏、唯、ありすが入ってきた俺に気づいて挨拶をしてくる。ここはプロジェクトクローネのプロジェクトルームだ。
「おはようございます、遼哉さん」
「おはよう、文香」
仕事というのももちろんあるが、正直なところ文香に会うことの方がメインな気もする。
「フレデリカ、奈緒、加蓮は仕事でいないからOK。アーニャと凛はシンデレラの方。ん、周子どこいった?」
レッスンを終わらせてプロジェクトルームにいるはずの周子がいない。時計を見て確認してみるが、この時間にはもうレッスンは終わってるはずだ。そう考えていると、後ろのドアが開いた。
「あ、ごめん。待たせちゃった?」
「そこまで待ってた訳じゃないけど、どうした?」
「いやぁ、着替えの後にいろいろ話し込んじゃっててさぁ」
「特に変なことがあったわけじゃないならいいけど、遅刻はしないように」
「はぁい」
これで今いるメンバーは揃ったな。
「じゃあ、来週の業務連絡するぞ~。つってもみんな撮影なんだが。奏と周子は雑誌の撮影。ありすと文香は番組の撮影。唯は奏周子とは別の雑誌の撮影な。なんか質問は?」
「はいはーい」
「周子か、なんだ?」
「アタシと奏ちゃんをキャスティングしたってことは大人しめかクールな感じのファッションってことでしょ? どっちかなって思ってさ」
「クールめだな。lippsのイメージでのキャスティングだ」
「あ~、なるほどね。りょーかーい」
ぐだ~っとなりながら返事を返す周子。一見グダグダで適当そうに思えるが、周子然りフレデリカ然りやるべき仕事はしっかりとこなしてくれる。ただ……ただ……普段がフリーダムすぎるだけで……。
「はーい、連絡は以上でーす。今日はもう何もないなら帰ってもいいぞ~」
「はいはーい。帰る前にこれ、どーぞ」
周子からチョコを渡される。
「おお、用意してくれてたのか。ありがとな」
「いつもお世話になってるしねぇ。あたしたちの面倒見るの大変だろうし」
「なら大人しくしててくれ」
「あはは~、それは無理やないかな~」
この……直す気0かよ。まあ、それが魅力なんだけども。
「プロデューサー、彼は?」
「駿輔か? あいつ今なにしてたかな……忙しいのは分かる。ただ、2,30分すれば終わる仕事だったはずだからCPルームで待ってたらいいんじゃないか?」
「そう、ありがとう。これお礼にどうぞ」
「こちらこそどうも。普通に渡してくれればいいのに、素直じゃないな」
「そういうの私のキャラじゃないというか、苦手なのよ。知ってるでしょう?」
「知ってるよ。ただ、あいつに迫るならいつも通りのお前の方がいいと思うぞ」
「アドバイスありがとう。それじゃあ行ってくるわ」
そう言って奏はCPルームへと向かっていった。肝心なところでヘタレるからなぁあいつは。正妻戦争に入り込んでいけるかどうか……
「プロデューサーちゃん、唯からもあげるー!」
「私もプロデューサーに用意してます、どうぞ」
「唯もありすもありがとう」
「お返し楽しみにしてるよ~! プロデューサーちゃん料理上手だって聞いたし!」
「期待には応えるよ」
唯に答えるが、背中にすごい視線を感じる。誰かは分かってるんだけども。視線の出所を辿ってみれば文香が本から顔を半分出してその上半目で俺をじとーっと見つめていた。
「この仕事柄たくさん貰うことになるのは知ってるだろ……」
「……そうですね。でも、この仕事に入る前の学生の時にもいっぱい貰ってて私はずっとやきもきしてたのは先輩も知ってますよね」
「まあ……そうだな」
「……ですが、
そう言うとてくてくと近づいてチョコを手渡してくれた。
「言い切る訳じゃないんだな」
「私は……他の皆さんのチョコレートを味見したわけではありませんから」
「そういうところ律儀だなホント」
ありがたく受け取る。
「私もお返し楽しみにしていますので」
「半分それ目的でもあるだろ」
「勿論です」
なんでこんなドヤ顔なんだ……後ろにありすが乗り移ったみたいになってるぞ。チョコをしまいながらバッグを手に持つ。
「あれ、プロデューサーさんもう帰るんですか?」
「まあな。今日は用事があるんだよ」
「……用事ですか?」
「そう、用事」
「なんだろ?」
不思議そうに首をかしげる3人を横目に見ながらクローネのプロジェクトルームを出た。そしてそのまま家へと車を走らせた。
「ただいま」
「あ~、おかえりなさ~い」
「やっぱり飲み始めてやがったなこの呑兵衛。なぜ帰ってくるまで待てない。物理的に酒断ちしてやろうか」
「ひどい! 反省しまぁす」
「ったく……」
帰ってきた家には楓がいた。そして予想通りにもう飲み始めてた。
「男から言うのもおこがましい話ではあるんだが、今日はバレンタインデーだぞ? 単純に飲みに来たわけじゃないんだろ?」
「勿論ですよ。毎年渡してたでしょう? ちゃんと今年も作ってきました」
「良かった。楓のことだから本当にただ飲みに来ただけの可能性がある」
「信頼されていない信頼ですね……遼哉は私に対するそういう扱いをもっと優しくしてくれてもいいんですよ?」
「楓が酒を辞めるってんなら改善してやる」
「実質不可能じゃないですか……」
「酒を辞める努力をしようとしないところがホント流石だわ」
「それほどでもないですよ」
スーツを脱ぎ終わった俺に楓が酒を注いでくれる。
「それに、これが俺と楓の距離感だろ」
「ふふっ、それもそうですね」
「「乾杯」」
楓がいつから飲んでいたのかは分からないが、それほどの量は飲んでいないらしい。がっつり飲んでいたら楓はもっとめんどくさいからな。
「それで遼哉」
「あ?」
「どれぐらいチョコレート貰ったんですか?」
「まあ、大体今までと同じくらいだなぁ。いや、CPとクローネ分は確実に増えたな」
「そうですかぁ~」
楓はぷく~っと頬を膨らませている。
「文香と同じような反応するんじゃないの」
「理由も一緒だと思いますよ~」
「だろうな。気持ちは分かるが美嘉や加蓮を見習ってくれ」
「2人にも貰いました?」
「ああ。加蓮は朝方だけどな。学校行く前にわざわざ家に寄ってな」
「すごいですねぇ……学校って逆方向じゃなかったでしたっけ?」
「ああ。結構早かったな」
「ちゃんと起きててあげてたんですね」
「うっさい」
見透かされてた。照れ隠しで目を逸らしながら酒を口に運ぶ。それからも酒宴は続いた。
「一回やったけど、改めて。俺たちの幸せなバレンタインデーに。乾杯」
「乾杯♪ 1か月後楽しみにしてますね」
「満足はさせてやるよ」
大人の夜は更けていく。
こんなに時間がかかってしまいましたが、読んでくれている人はいるだろうか。
まあ、読んでくれる人のためにも更新は続けていきますよ。直近としてはホワイトデーですね。え、今日?知ってるよ!(現在時刻午前4:25)
まあ、今日中に更新を無理しない程度に頑張ります。なお、一文字も書いていない模様。構想はできてるから安心して!
楓さんパートに入った瞬間すらすら指が動く動く。あんなに途中苦戦してたのに。久しぶりの出番だったからだろうか。
言っておきますがこれからも更新は続けますので。やめませんよ。