346のプロデューサー達の女難な日常   作:黒いファラオ

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ままゆの誕生日に加蓮の誕生日話を投稿するという大遅刻。ままゆに加蓮ということは、つまりはLove∞Destinyなのでは……?

冗談はさておき、ままゆの誕生日話も投稿する予定ですので。まずは加蓮をお楽しみください


誕生日おめでとうなお話『北条加蓮』

「加蓮、起きてるか~?」

「うん、起きてるから入っていいよ」

 

 見慣れていてなおかつ、久しぶりに見る加蓮の部屋の扉を開けると、加蓮はパジャマ姿でベッドに座っていた。

 

「俺が来るの分かってたのか? あ~、そうか。凛と奈緒が先に来てたんだったか」

「うん。それもあるけど、こういう時にお兄ちゃんはいつもお見舞いに来てくれてたからね。今回も来てくれるだろうな~って」

 

 バレてたか。と言いながら、ベッドの側に座る。

 

「それにしても……」

「誕生日にこうなるなんてね~。私らしいけどさ」

 

 

 

 

 

 時間を少し遡ろう。ご存知だとは思うが、8月の終わりからウチのアイドル達の誕生日が畳み掛けるように連続する。

 そこで、誕生日のお祝いの予定を纏めて決めることにしている。

 

「かれん~、誕生日どうするんだ~?」

「どうしようか~?」

「私たちは加蓮の誕生日だから5日は空けてあるよ」

「どうせならしっかりと祝いたいからな。休みにしといた」

「さっすがお兄ちゃん!」

 

 加蓮はソファで足をパタパタと動かし喜ぶ。

 

「喜ぶのはいいんだけど、どうするのってば」

「加蓮は何かしたいこととかないのかよ?」

「ん~、ポテト食べたい」

「そりゃ何時もの事だろうよ。なんだ、誕生日プレゼントにポテト贈ればいいのか? 俺は一向に構わんぞ」

 

 俺の言葉に不満気な目を向けてくる。

 

「酷くない?」

「だと思うんなら真面目に答えろっつの」

「ん~、じゃあさ3人とも私の買い物に付き合ってよ」

「別にアタシは構わないけど」

「私も大丈夫だよ。遼哉さんは?」

「俺も問題ない。で、何買うんだ?」

 

 俺のその質問に、加蓮が待ってましたとばかりに目を輝かせた。

 

「前からみんなのことコーディネートしたいって思ってたんだぁ……奈緒にはやってあげたことあったけど、凛とお兄ちゃんにはやったことないからさ」

「加蓮監修の遼哉さんの私服……面白そうだな」

「もちろん奈緒にもしてあげるからね~?」

「アタシもかよ!? まあ、別にキライってわけじゃないからいいけどさ」

「私も、加蓮にコーディネートされたらどうなるか気になるしね。それでいいよ」

 

 バッと、3人6つの目が一斉に俺を捉えた。お前ら、そんな所まで息合わせなくていいから。だいぶビビった。

 

「心配しなくても大丈夫だって。逃げたりしねぇよ」

「分かってはいたけど一応ね」

「んじゃ、連絡とかおいおいすることにして。とりあえず今日は解散な」

 

 

 

 

 

「「風邪引いたぁ!?」」

『うん……ごめんねぇ~。私もビックリだよ』

「アタシたちはいいけどさ、加蓮は大丈夫なのかよ?」

『熱が少し上がっちゃっただけだよ。今はもう下がってるし。でも、一応今日は大事をとってって』

「そっか。とりあえず今から、お見舞いに行くね」

『いいよわざわざ』

「ダメだ。今日会って渡す予定だったプレゼントも持ってくからな!」

「それまではちゃんと寝てなよ?」

『分かったよ。もう、2人とも心配性なんだから……』

 

 

 

「加蓮が風邪引いた? そりゃまたなんとも加蓮らしいというかなんというか……」

「アタシたちは今から加蓮の家に見舞いに行ってくる。どうせ暇だしな」

「遼哉さんはどうする?」

「見ての通り、急な仕事が入っちまってな。これを終わらせないことには行きたくても行けない。後から行くって伝えておいてくれ」

「了解。んじゃ、行ってくるわ」

 

 

 

 

 

「加蓮、寝てなくていいのか?」

「お兄ちゃんまで……凛と奈緒にも散々言われたんだから勘弁してよぉ。心配してくれてるのは分かるけどさぁ」

「諦めろ。とにかく顔も少し赤いし、少し寝ておいた方がいい。大方、3人が揃って少し盛り上がりすぎたんだろ?」

「うんまあ、そうなんだけどさ」

「それでぶり返したんだろ。ほれ、寝てろ」

 

 起こしていた身体をベッドに横たわらせ、布団を掛けてやると加蓮の口からいつもとは違う力の無い声が漏れた。

 

「側にいてくれる?」

「ああ。もちろん」

「そっか」

 

 次に聴こえてきたのは、加蓮の寝息だった。

 

「おやすみ、加蓮」

 

 加蓮の髪を撫でながら、起きないように小さな声で囁く。それから俺は鞄から書類を取り出し、加蓮を起こさないように書類に書かれている案件について考え始めた。

 側にいると約束したから。

 

 

 ある程度書類の案件について考えが纏まった所で、時間を確認した。加蓮眠って1時間って所か。

 

「それにしても……」

 

 加蓮の本当に気持ちよさそうな寝顔を見るのは何時ぶりだろうか。入院していたあの頃の加蓮の寝顔は安らかながらも、何処か翳りを感じるものだった。

 

 加蓮の寝顔がここまで綺麗になった理由は分かっている。

 

「今は身体も良くなって、友達も仲間もいる。あの頃とは大違いだな」

「お兄ちゃんのことも忘れないでよね」

「起きてたのか」

「うん、ついさっきだけど」

 

 むくりと加蓮は身体を起こした。位置関係的に胸が見えてしまいそうだったので、胸元のボタンを締めてやる。不満そうに睨まれた。何故。

 

「電話の時はお見舞いに来るって言われて遠慮したけどさ、本当は嬉しかった。『あ、あの時とは違うんだ』って改めて実感した。お兄ちゃんだけしか来なかったあの頃とは」

「なんだよ、俺じゃ不満か」

「そうじゃないよ」

 

 身体を乗り出してキスをしてくる。

 

「何時だってお兄ちゃんは私にとっての恩人だし、愛してる人だよ」

「…………」

 

 照れ隠しに頭を掻く。

 

「そりゃどうも」

「照れたいのは私だって……」

「恥ずかしいならやらなきゃ良かっただろうに」

「チャンスだと思ったんだもん。最近忙しそうだし、一緒にいられなかったから」

「まあな。悪いとは思ってるよ」

「まだ私のじゃないから仕方ないよ」

「まだか」

「いつかは私のモノにしたいよ、もちろん」

「まあ頑張ってくれ。敵は多いぞ」

「知ってるよ。お兄ちゃんなんかよりよっぽど」

「そりゃそうか」

 

 ゴソゴソと鞄から小さな箱を取り出す。

 

「はい、プレゼント」

「ありがとう。開けてもいい?」

「もちろん、どうぞ」

「……これってペンダント?」

「何にしようか迷ってたんだが、ペンダントは見たこと無かったからな」

「うん、しっくりくるのが見当たらなくて。でも、これいいね。ありがとうお兄ちゃん。付けてもらってもいい?」

「……仕方ない」

 

 お互いに無言で、ペンダントを付ける。風邪を引いているから、熱っぽい吐息と寝ていた名残の汗ばんだうなじが色っぽくて、大人になったんだな改めて実感させる。

 ……加蓮も女なんだと、認識した。

 俺の動揺が悟られないように落ち着いてペンダントをつけた。手は震えていた気がする。

 

「……ほら」

「……ありがとう」

 

 バレていたかもしれない。

 

「似合ってる?」

「ああ、似合ってる。俺の見立ては間違ってなかったな」

「えへへ、そうだね」

 

 何時もとは違う柔らかなほにゃりとした微笑みにドキリとする。なんか変だ。

 

「私、これ大事にするよ」

「そっか。誕生日プレゼントで加蓮にこういうしっかりしたのを贈るのは初めてだな」

「うん、その思い出。私から頼んだ物じゃなくて、私のことを考えてお兄ちゃんがくれた物だから」

 

 もう一度微笑むと疲れたのか流れるようにベッドに戻って眠った。

 俺は加蓮の額にキスをしようと顔を近づけ……やめて、そっと唇にキスをした。寝ているのをいい事に。

 

「おやすみ……加蓮」

 

 また起きて4人が揃ったら、改めてお前の誕生日を祝おう。だから、今はおやすみ。

 

 俺は加蓮の寝顔を何気なく見続けていたのだが、

寝ている加蓮の寝顔を見続けていたら何かが我慢出来なくなるような……そんな気がしてやめた。

 着実に俺の中の加蓮という存在が『妹』からだんだんと『女性』に変わっているのに気づかない振りをしながら、さっき終わらせた書類とは別の書類を取り出して自分の気持ちから目を逸らした。




地の文はいらないんじゃないかと思い、ほぼ会話文です。
加蓮のほにゃりとした微笑みは、Sレア[煌めきの乙女]北条加蓮の苦笑いを柔らかくしたイメージ。

誕生日が隔日で来るのやめて欲しい。俺にそんな短時間で書き続ける能力はありません。マジで。

ままゆのお話も急ピッチで書き進めてます。すごく頑張ってる。

なんでこんないい感じの終わり方してるのに、本編とは関係ないんだろうね。
というか、誕生日関連のお話ってそのままR18移行できそうですね(小声)

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