ソードアート・オンライン 黒と紫の軌跡   作:藤崎葵

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いよいよフェアリィダンス編もクライマックスに近づいてきました。

全力で書きあげたいと思いまふ!!



では三十六話、ご覧ください


第三十六話 世界の核心へ

「いくぞ!」

キリトの言葉を合図に、五人はドームの中に突入する。

事前の打ち合わせ通り、キリトとソラが猛烈な加速で天蓋中央のゲートを目指して急上昇を開始した。

リーファ、レコン、アスナの三人は底面付近に留まり、回復(ヒール)スペルの詠唱を開始する。

天蓋の発光部分から、粘液が滴るように次々と守護騎士が生み出されていく。

不気味な咆哮を上げつつキリトとソラに殺到していく。

2人と先陣を切る守護騎士たちが交差した瞬間、轟くような爆音と閃光がドームを揺るがした。

キリトの一撃が複数体を両断し、ソラの正確な剣が確実に守護騎士を仕留めていく。

その様子を見て

「すげぇ……」

「あのソラッて人……的確に守護騎士を倒してる……」

レコンとアスナが感嘆の声を洩らした。

だが、リーファは楽観してはいなかった。

視線の先には次々と新たな守護騎士が生み出されていく。

数十―――いや、数百には届くのではないかという出現だ。

あっという間に守護騎士が、行く手を阻むように壁を作っていく。

その埒外な数に、ソラもキリトも圧倒されている。

守護騎士たちは密集した群れを作り、うねる帯を描いて次々と2人に襲いかかってきた。

その度に眩い閃光が連続し、吹き飛ばされエンドフレイムが飛び散るが、一体倒す度に三体は増える有様だ。

ゲートの距離が半分に詰めた所で、2人のHPが2割減少する。

間髪いれずに、3人は待機状態のまま保持させていた治癒魔法を発動させた。

キリトとソラの身体を青い光が包み、HPを回復させていく。

その瞬間、守護騎士の何体かがリーファ達の方へと向きを変えて、不気味な咆哮を上げ始めた。

「な、なんで僕達がターゲットされるの?」

引き攣った表情で言うレコン。

「多分だけど、ここの守護騎士は外のモンスターとは違うアルゴリズムを与えられてるんじゃないかな?」

険しい表情でアスナが言う。

「それじゃぁ、前衛と後衛に分ける意味がないですよ!」

慌てたようにリーファは叫んだ。

そうしている間にもキリトとソラは守護騎士相手に立ちまわっている。

アスナは上方へ視線を向けた瞬間、翅を広げて飛翔した。

「ア、アスナさん!?」

細剣を抜き放ち、ソラの背後に迫っていた守護騎士へと刺突を繰り出す。

「やぁぁ!!」

切先が頭部を貫いて、守護騎士はエンドフレイムをまき散らして爆散する。

「す、すまない」

「いえ、次がきます!」

アスナの声に、ソラは再び剣を構えて迫りくる守護騎士の撃退を再開した。

「レコン。あんたはここに残って回復に専念して!」

そう言ってリーファは翅を広げて飛翔を―――しようとした時、その腕をレコンに掴まれて止められてしまった。

慌てて彼を見るリーファ。

視界に入った彼の表情はとても真剣なものだった。

「リーファちゃん。僕、よく解んないんだけど……これ、大事な事なんだよね?」

「――――そうだよ。多分、ゲームじゃないんだよ。今だけは」

それを聞いたレコンは息を吐き

「―――――僕が。僕がなんとかしてみせる!!!」

いうや否や、左手の補助コントローラーのボタンを押しこんで勢いよく飛翔した。

「な、レコン!?」

リーファが虚を突かれて立ち尽くすうちに、みるみるレコンは上昇し、守護騎士の群れに突っ込んでいく。

追いかけようとした視界の端で、キリトのHPが減少している事に気付いて回復魔法をかけるリーファ。

レコンは飛行中に準備していた風属性の範囲攻撃魔法を守護騎士たちの正面から浴びせた。

緑色のカッターが数体の守護騎士を切り裂き、エンドフレイムが飛び散る。

歪んだ怒号のような咆哮を上げて、守護騎士たちはレコンへとターゲットを移し効果を開始する。

応じるように他の守護騎士たちもその群れへと合流していく。

迫りくる守護騎士たちを、範囲攻撃魔法でなんとか退けるレコン。

あまりに懸命なその姿にリーファは思わず胸を衝かれたが、それもいつまで続くか解らない。

ついに守護騎士の群れは二手に分かれ、左右からレコンを挟み込むように迫ってきた。

「レコン! もういいよ、外に逃げて!!」

これ以上は見ていられないと、思わずリーファは叫ぶ。

その瞬間、レコンが彼女の方を僅かに振り返る。

ある種の決意の笑みを浮かべて、左手に持っていた補助コントローラーを投げ捨てた。

両手を前に突き出し、新たなスペルの詠唱を開始する。

彼の身体を、深い紫色のライトエフェクトが包んでいった。

「これって、闇属性魔法?」

詠唱しているスペルの属性に気付いてリーファは息を呑む。

複雑な立体魔法陣が展開され、それがかなりの高位魔法だという事をリーファは感じた。

魔法陣はいくつかの軸を作って回転しつつみるみる巨大化し、全方位から迫る守護騎士の群れを包みこんだ。

複雑な光の紋様が一瞬、小さく凝縮し―――次いで恐ろしい程の閃光を放った。

天地が砕けたかと思う程の爆音が轟き、ドーム全体を激しく揺るがした。

閃光が収まると、あれほど密集していた守護騎士の群れが綺麗に消えている。

その中央には紫の残光が小さく揺らいでいるだけだった。

「い、今のは?」

「あれは……自爆魔法」

驚愕の光景にソラとアスナが呟く。

レコンが使ったのは闇属性の中でも禁呪と言われるものだった。

理由は使った者にとても重いデスペナルティを科すからだ。

揺らめいて消えていく残光を見ながらリーファは

「レコンっ……あんた本当に馬鹿だよ!!」

小さく叫ぶ。

たかがゲーム、たかが経験値と他のプレイヤーは言うだろう。

だが、それでもレコンがその為につぎ込んできた努力と熱意は本物の犠牲だ。

「いけ、キリト! 彼の行為を無駄にするな!!!」

ソラがキリトに向かい叫ぶ。

同時に彼は全速で急上昇を開始した。

後少しで天蓋まで届く。

そう思った瞬間、守護騎士たちが再び群れをなしてキリトに降りかかってきたのだ。

「おぉぉぉ!!!!」

黒の大剣を突きだして突破しようとするキリトと守護騎士の群れが衝突する。

だが、あまりにも数が多い。

キリトはそのまま吹き飛ばされる形で圧し返された。

「キリト!!」

「キリト君!!」

彼のもとに向かおうと2人は翅を広げる。

しかし、それさえも他の守護騎士が阻んでくる。

次々と襲いかかる守護騎士にキリトのHPもただ減っていくばかりだ。

リーファはなんとかキリトに回復魔法をかけつつも

「そんな……無理だよ、こんな……こんなの」

絶望に満ちた声で呟く。

そんな彼女に数体の守護騎士が剣を構えて降りてきた。

ジリジリと迫る守護騎士に、リーファは覚悟を決めたように目を閉じた――――その時だった。

後方から、津波のような声が響いてきたのだ。

慌てて振り向いたリーファの目に入ったのは――密集隊形をとって突入してくる、新緑の色に輝く鎧で身を固めたシルフの戦士達の姿だった。

「シルフ部隊か!?」

春の突風を思わせるリーファの傍らを駆け抜け、天蓋目指して一直線に上昇していくその数、50は下るまい。

だが、ここに駆け付けたのは彼らだけは無かった。

シルフの精鋭部隊の最後尾が大扉を潜った数秒後、またも声が響く。

それに重なって、遠雷のような巨獣の雄叫びも響いてきた。

突入してきた新たな一団の数は、シルフ部隊よりも少なかった。

その数は10程だろうか。

しかし、その一騎一騎がとてつもなく巨大だった。

「飛竜!? ケットシーのドラグーン隊?!」

驚きの声を上げるリーファ。

そんな彼女に背後から声をかけるものがいた。

「すまない、遅くなった」

急いで振り返ると、そこはシルフ領主のサクヤと飛竜に乗ったケットシー領主のアリシャが視界に入る。

「ごめんネー。装備を整えるのに時間がかかっちゃたヨ」

耳をピコピコと動かしながら言うアリシャ。

そのまま2人は部隊の先頭へと移動する。

「ドラグーン隊! ブレス攻撃用意!!」

「シルフ隊! エクストラアタック用意!!」

両領主の号令の下、各部隊が陣形を整える。

守護騎士たちは密集しながら彼らに迫ってきた。

ギリギリまで引きつけ、大きく右手を振り、アリシャは叫ぶ。

「ファイアブレス! 撃てぇ――――――――!!!!」

直後、10騎の飛竜が溜めこんでいた紅蓮の劫火を一斉に吹き出す。

クリムゾンレッドの火線が、長く尾を引いて宙を(はし)った。

十本の炎の柱が、次々と守護騎士を焼いていく。

更に追い討つように

「フェンリルストーム! 放て!!」

サクヤの号令と共に、シルフ部隊のエクストラアタックが放たれた。

一糸乱れぬ動作で突き出された長剣、その数50から、眩い緑の雷光が迸り、宙をジグサグに斬り裂いて守護騎士の群れを貫いていく。

迫っていた守護騎士の大群は、二種族の猛撃を受けてその大半がエンドフレイムを散らしていく。

「サクヤ、アリシャさん。ありがとう!」

2人の近くまで飛翔したリーファが心からの感謝を口にする。

「礼には及ばんよ。彼らには大きな借りがあるからな」

「それに攻略の準備だって、彼から預かった大金があったから出来たんだヨ」

返ってきた2人の言葉に、リーファは笑顔で頷いた。

サクヤは一度、息を突き

「全軍、突撃!!」

声高に号令を出す。

同時にシルフ隊、ドラグーン隊が攻撃を開始した。

再び湧いて数を増やした守護騎士たちを次々と撃退していく。

「よし、僕達もいこう!!」

「はい!」

二種族の部隊の猛攻に勇気づけられたソラとアスナも再び得物を構えて守護騎士へと突撃する。

リーファは翅を広げ、愛剣を抜き放って飛翔する。

目指すのは彼のもと。

勢いよく上昇し、キリトの背後に迫った守護騎士を一刀のもと斬り伏せた。

「スグ!?」

呼びかけに応じるように、リーファはキリトと背中合わせになって剣を構えた。

「後ろを頼む!!」

「任せて!!」

同時に2人は守護騎士へと攻撃を開始した。

互いの背後を護りながら、次々と迫る守護騎士を斬り倒すキリトとリーファ。

「2人に続け!!」

号令と共に、二種族の部隊が彼らの前方の守護騎士を蹴散らしていく。

ドラグーン隊の火力が無限に湧く守護騎士の壁を溶かし、シルフ隊がキリト達に寄りつく守護騎士を斬り倒す。

いくら無限に湧き続けようと、前進し続ける限り、その時はやってくる。

「はぁぁ!!」

リーファが守護騎士を倒したその先に、ドームの天井部が見えた。

「おぉぉ!!」

その瞬間を見逃さず、キリトは黒い閃光となって肉壁の間隙に突撃した。

それを阻止すべく、守護騎士は群れをなして雪崩れ込んできた。

「お兄ちゃん!!!」

リーファは本能的に自身の剣をキリトに向かって思いっきり投げた。

それは彼の左手に吸い込まれるように収まり

「うおぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

ドーム全体を震わせるような咆哮と共に、黒の大剣と白銀の剣を驚異的な速さで交互に撃ちだした。

守護騎士の壁を物ともせずにキリトは斬り進んでいく。

「いって! キリト君!」

アスナが叫ぶ。

天蓋まで後少し。

キリトの斬撃はさらに速力を上げる。

「突き抜けろ! キリト!!」

次いでソラが叫ぶ。

天蓋はもう目の前。

キリトの勢いは止まらない。

「いって……お兄ちゃん……いっけぇ―――――――――――――!!!!」

声の限り、リーファは叫んだ。

「おぉぉぉ!!!」

最後の一振りが守護騎士を貫く。

それが最後の壁。

勢いよくキリトは突き抜け、ついに天蓋の扉へと辿り着いた。

それを見届けたサクヤは小さく笑い

「全員反転、後退!」

号令を出す。

直後、シルフ隊とドラグーン隊は反転し降下を開始した。

ソラとアスナも剣を納めて後退を始める。

そんな中、リーファはキリトが消えていった天蓋に視線を向けて

「飛んで――――何処までも空を翔けて―――――世界の核心まで」

そう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「―――なんでだ。どうして開かない」

動揺したように声を洩らすキリト。

守護騎士の壁を突破し、円形のゲートへと辿り着いたものの、それは開く様子を見せなかった。

「ユイ!」

「はい、パパ!」

呼びかけに応じてユイが飛び出し、ゲートに手を触れさせる。

「―――パパ、この扉は、クエストフラグによってロックされているのではありません。単なる、システム管理者権限によるものです!」

「どういうことだ?」

「つまり―――この扉は、プレイヤーには絶対に開けられないという事です!!」

ユイの言葉にキリトは絶句してしまう。

折角ここまで辿り着いたというのに、最後の最後で思いもよらない管理者の悪意にぶつかってしまった。

そんな彼らに追い打ちをかけるように、背後からは守護騎士の群れが不気味な唸り声を上げて迫ってくる。

キリトの全身から力が抜け、諦めかけた――――その時だった。

不意に世界樹の上から落ちてきたものの存在を思い出す。

そう――――アレは―――

キリトは自身の胸ポケットから銀のカードを取り出した。

世界樹の上から落ちてきた、ALOのシステムに唯一干渉できるだろうモノを。

「ユイ。これを使え!」

「はい!」

差し出されたカードに手を触れさせ、ユイはコードを読みとっていく。

「コードを転写します!」

読み込んだコードをゲートに転写するユイ。

瞬間、大きな音が響き、ゲートが開き始めた。

「転送されます! パパ、手を!!」

ユイの言葉に頷いてキリトは彼女の小さな手に触れる。

2人を眩い光が包んでいき、視界が白く染まっていった。

しばらく目を閉じていたが

「パパ!」

呼びかけに応じてキリトは目を開く。

目の前には、小妖精の姿ではない―――本来の、十歳くらいの姿のユイがいた。

「大丈夫ですか、パパ?」

「……あぁ。ここは?」

数回首を振って、キリトは辺りを見渡してみる。

そこはオフホワイトの薄暗い通路だった。

直線的ではなく、緩やかに湾曲している。

「わかりません。マップ情報がないようなので……」

「ユウキのいる場所はわかるか?」

問われたユイは目を伏せる。

大きく頷いて

「はい、かなり―――かなり近いです。上の方……こっちです!」

勢いよく駆け出した。

その後をキリトは追う。

飾り気のない通路を走っていき、不意にユイは壁側へと体を向けた。

壁に手が触れると、ひびが入り円形の穴が開く。

その先にも同じような通路が直線的に伸びていた。

そこを2人は走り抜けていく。

やがて視界に扉が見えてきた。

それにユイが手を触れさせる。

後ろからさらにキリトが思いっきり扉を押していく。

扉は徐々にひびを大きくしていき、ついに開かれた。

その瞬間、視界には世界樹の枝が道を作るように伸びていた。

辺りは夕陽によって深紅に染まっている。

風に揺られて世界樹の葉が音をたてていた。

「ここが……世界樹の頂上?」

呟いてキリトは上を見た。

視線の先には大樹が大きく伸び、幾つもの枝葉が分かれていた。

「……ないじゃないか、空中都市なんて」

どんなに見回しても伝説の空中都市は見つけられない。

「なにがグランドクエストだ。全部ウソじゃないか」

眼前に広がる無情な真実にキリトは怒りを覚えていた。

つまりは中身のないギフトボックスだ。

こんな物の為に、リーファもアスナも、シルフやケットシーやサラマンダー、全てのALOプレイヤーは踊らされていたという事になる。

「―――許されないぞ」

思わずキリトは呟いていた。

この世界を管理しているであろう人物に。

そんな彼のコートの袖をユイが引っ張った。

「……そうだな。全てはユウキを救い出してからだ」

不安そうなユイにキリトは頷いてそう言った。

再び辺りを見回すと、枝の道の少し上の方に何かが光って見えた。

目を凝らしてみると、鳥籠のようなものが見える。

キリトとユイは顔を見合わせて頷く。

手を取ってそこに向かって走り出した。

一方、アルン最上部のゲート前広場。

既にシルフとケットシーの軍隊は引きあげていて、そこにはリーファとアスナ、そしてソラの三人だけが残っていた。

彼らは無言で遥か上空を見つめていた。

不意にリーファが口を開く。

「お兄ちゃん……辿り着けたかな?」

「うん……きっと辿り着いたよ」

リーファの言葉にアスナが答える。

「キリトなら大丈夫さ。必ずユウキを取り戻して帰ってくるよ」

安心させるようにソラが言った。

リーファは2人に視線を向けて

「はい……ソラさん、それにアスナさん。お兄ちゃんに力を貸してくれてありがとうございます!」

深々と頭を下げる。

「ううん。私こそ、キリト君には色々教えられた気がするよ……諦めないことや、人と向き合うことの大切さを」

「あぁ、彼がいたから僕もあの世界で頑張れた。その恩を少しでも返せたなら、それで充分だよ」

アスナとソラは微笑みながらそう返す。

「後はキリトに任せて、僕らはログアウトしよう」

「はい。本当にお世話になりました」

そう言ってリーファは微笑んで左手を振る。

ソラとアスナに手を振りながらログアウトボタンを押した。

瞬間、彼女の身体が光と共に消えていった。

リーファがログアウトしたのを見届けて

「じゃぁ、僕も落ちるか。向こうで朗報を待つことにするよ」

アスナに視線を向けて

「それと、さっきは背中を護ってくれてありがとう」

微笑んでそう言った。

するとアスナは照れたように頬を紅潮させて

「い、いえ! 私こそ、フォローしてもらってましたし!」

手をブンブン振ってそう返した。

ソラはクスクスと笑って

「なら、おあいこになるかな。また会えるといいね」

「そうですね……また会えたら、貴方からもユウキやキリト君との事を聞かせてください」

アスナの言葉にソラは頷いて

「わかったよ」

左手を振ってメニューを出し、ログアウトボタンを押した。

彼の身体が光と共に消える。

残されたのはアスナだけだ。

一度振り返って世界樹を見た後、左手を振ってメニューを開く。

そして、ログアウトボタンを押した――――その時。

アスナの身体が微かにブレた。

「え……?」

声を洩らした直後、彼女の体は光と共に消えていった。




自身を世界の神と語る男。

自分の力がただの偽りと知る少年。

突き付けられた現実に諦めかけた少年の耳に、声が届く。


次回「鍍金の勇者」

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