朝
「ふぁあ。ん?なんだこれ?」
朝、目が覚めると、目の前にウインドウが出ていた。内容は、宛先がシステム、本文はスキルが追加されました。と書いてあった。
「確認してみるか。」
メニュー画面を開き、スキルスロットを覗いて見た。確かに昨日までは無かったスキルが入っている。しかも強制的に追加されるのか、いくら押してもスキルを入れ換える選択画面が出てこない。
ユウキとは結婚しているため、ユウキのステータスを覗けるのと、アイテムストレージが共通されている。スキルスロットは例外では無くこれも覗ける。
「ユウキのにも入ってる、なんだこのスキル?」
スキルのヘルプを覗くと、《このスキルは結婚している相手とスキルが共通出来るスキルです。》ヘルプに書いている内容を読むと、ウインドウの右下に《unique》と書いてあった。
「ユニークスキル!?」
「ん?どうひたのキリト?」
目が覚めたのか、欠伸をしながらユウキが起きてきた。急いでメニュー画面を可視モードにして、ユウキに見せた。
「ここを見てくれ。」
ユウキにウインドウを見せ、Skill Shareの部分に指を指した。
「英語表記のスキルなんて珍しいね。いつもは日本語表記なのに。ええと、スキルシェアー?」
「意味は、スキルの共通。」
「どう使うんだろ?」
「じゃあ、フィールドに行って確かめてみるか。」
皆が起きる前に早々と部屋を出たら、シノンがノックをしようとしてる状態で立っていた。
「なんだ、シノン?」
「キリトって、スキルの事詳しいわよね?」
「まぁ、アルゴ程じゃないけど、そこそこは。」
「じゃあ、《射撃》スキルって知ってる?」
「え?」
「今朝起きてスキルスロット見てたら射撃スキルなんてのがあったの。」
射撃、モンスターの多くが持っているモンスター専用スキルだ。通常、オーク等の多勢で襲ってくるモンスターが多様してくる。勿論、モンスター専用スキルなので、プレイヤーの誰かが使えた、嫌、この世界にはモンスターが弓を持っていても、弓自体はドロップしない。以前に弓を売っているNPC商人が居て、試しに使ったことはあった。だが、いかんせんスキルが無い分、使い勝手が良くなく、今でもストレージ内に入っている。(単に抜くのを忘れていた。)
「ねぇ、この射撃って、銃を使うやつじゃ無いわよね。」
「この世界に銃は無い。世界観が世界観だからな。」
「そう。」
何か安心した様子のシノンに押し付けるがの如く、弓を取り出して渡した。
「矢なら、矢筒の中に大量に入ってる。」
「ご丁寧にどうも。」
「ん?ちょっと待ってシノン。その射撃スキルのヘルプ画面、ぼく達に見してくれない?」
「良いけど。見ても意味ないと思うけど。」
慣れた手つきでメニュー画面を開き、スキルスロットを見してくれた。やはり、右下にuniqueと書いてある。
「これもユニークスキル!?」
「何?そのユニークスキルって?」
「あぁ、説明してなかったな。ユニークスキルって言うのは、おれの二刀流とユウキの空絶剣みたいな、普通に考えたらゲームバランスを崩壊させる様なスキルの事だ。」
「空絶剣?」
「空絶剣の事知らなかったのか。」
「空絶剣は、プレイヤーの敏捷度を+20、武器の攻撃力を+10してくれるスキルだよ♪ソードスキルも、武器の攻撃力で大分違うから、結構強力だよ♪」
「へぇ、じゃあ、呼び止めて悪かったわよね。その様子だとフィールドに行くんでしょ。行ってらっしゃい。」
「「行ってきま~す!!」」
笑いながら答え、エギルの店から飛び出した。
フィールド
「じゃあ、試してみるか。」
「これってどうするんだろ?」
「確か、息が合うと発動って、アバウトな理由だけだったからな~。」
そう言うと、ユウキが構え始めた。いつの間に抜き取っていたのか、片手にはダークリパルサーを持っている。そして、構えは驚くほど隙がない。キリトと一緒に行動を共にしているから出来た物だ。
「はぁあああ!!」
気合いを入れた声を出したユウキは、スターバーストストリームを発動した。
「おお!!」
「で、出来たぁ。」
「な、これって慣れないとキツいだろ。」
「二刀流のスキルって使ってみると強力だけど、こんなにキツいんだ。良く出来たよねキリト。」
荒い息でそう答えると、キリトにダークリパルサーを返した。
「じゃあ、次はおれの番だな。」
キリトはエリュシデータを引き抜くと、中段に3連突き、足に斬り払いを2往復、上段に3連突き。アスナが最も得意としている細剣上位剣技スタースプラッシュ。
からの右上から左下にかけて5連突き、そして、左上から右下にかけて5連突き、最後に一気に引き戻し、全力の突き。空絶剣のひとつしかないソードスキル、マザーズロザリオ。
「ふぅぅ、こっちもキツいな。」
「でもこれならどんな敵にも対応できるね。」
「じゃあユウキ、この剣やるよ。」
キリトはアイテムストレージからひとつの剣を取り出した。
「これは?」
「《エンシャントニーレル》っていう剣だ、マクアフィテルより少し弱いから、使う機会無くてずっと閉まってたんだ。」
「ありがとう♪」
「じゃあ、おれ達が二つもユニークスキルを持ってるなんて知れたら面倒だから、ユウキは二刀流用の剣は隠し持っておいた方がいいな。おれはまぁ、大丈夫だな。マザーズロザリオを間違えて使わなかったら大丈夫だろ。」
「じゃあ帰ろうか♪」
「てめぇ、何やってんだ!!」
後ろから響いた声に驚き振り向いたが、冷静に考えるとこれはクラインの声だ。
「ユウキ!!」
「了解!!」
クラインの声がした方に向かいハイドし、クラインを見ていた。だが、次の瞬間、知っているやつの声が聞こえた。
「おやおや、何の言いがかりだい?」
その声は以前にデュエルをしたアルベリヒの物だった。
サチ達の出番が中々作れません。