黒と紫のソードアートオンライン   作:壺井 遼太郎

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ユウキとキリトの一日

朝の5時

 

キリトは目が覚めると、とても心地好い場所の感じがした。上を見上げるとユウキの寝顔があった。

 

「ユウキの膝の上か。」

 

キリトは落ち着いた様に言葉を発したが、実際はどういう状況か分からない。なんでユウキに膝枕してもらって寝ているんだろう、と考えていた。

 

「痛てて、昨日何があったんだ?」

 

昨晩の事を思い出そうとしても一行に思い出すわけもなく、首の辺りが痛いのを感じるだけだった。

 

「……ユウキの膝の上、もの凄く居心地良いな。」

 

キリトはその状態のまま、もう一度眠ってしまいそうになった。

 

ユウキの夢の中

 

「ユウキー!!」

 

「あ!!おーい!!キリトー♪」

 

「悪かったな遅れて。」

 

「良いよ♪」

 

「今日は何処に行く?」

 

「じゃあねぇ、…」

 

ユウキは夢の中で現実に帰った時の自分とキリトの幸せな日常を見ていた。

 

「ずっと一緒に居られたら良いね♪キリト♪」

 

「え!?」

 

ユウキの寝言につい反応してしまったキリトは恥ずかしさと嬉しさの戦いが心の中で始まった。

 

ようやく平常心を取り戻したキリトも、

 

「おれはずっと一緒に居るぞ、ユウキ♪」

 

「ふふ♪」

 

幸せな夢を見ているのだろうか、ユウキは笑っていた。

 

朝の7時

 

「ふあぁぁー!!」

 

(そろそろ起きるな、そうだ!!ちょっとやってみよう。)

 

キリトはユウキにバレないように寝たフリをした。

 

ユウキは欠伸をした後に、時間差で目が覚めた。

 

「キリト、まだ寝てる。」

 

正直、キリトは今笑うのを我慢している。キリトはいたずらで思いきり笑ってしまうので、今回も例外では無かった。

 

「キリト、大好きだよ♪ずっと一緒に居ようね♪」

 

ユウキがその言葉を言うのをキリトは待っていた。

 

「ああ、良いぞ。」

 

「え?」

 

「ははは。」

 

「起きてたの!?」

 

「オウ!!」

 

「わぁああぁあ!!」

 

ユウキがいきなり暴れ出し、キリトは膝の上から落ちた。だがキリトは耳まで真っ赤になっているユウキの顔を見逃していなかった。

 

ユウキは恥ずかしすぎて隠れたいのか、紺色の長い髪で顔を隠し出した。

 

「悪かったよユウキ。今日は何でも言うこと聞いてやるから。」

 

「本当?」

 

「本当だって。」

 

「じゃあ、今日は攻略お休みにして、ぼくと一緒に居てくれる?」

 

「良いぞ。」

 

「……分かった。」

 

ようやく機嫌を直してくれたのか、ユウキは髪を戻し始めた。

 

「じゃあ、何処に行く?」

 

「じゃあ、今日はアークソフィアを歩き回ろうよ♪」

 

「よっしゃ!!じゃあ、下に行ってアスナ達に今日は攻略を休むって伝えるか!!」

 

「ちょっと待って、一応朝食食べないと。」

 

「そうだな。」

 

軽く朝食を済ますと下の酒場に行った。だが、アスナ達は居らずエギルだけがいた。

 

「あれ?アスナ達は?」

 

「その事で手紙を預かってるぞ。中身を見るなんて野暮な事はしてねぇよ。」

 

「どうも。」

 

エギルから手紙を預かると、中には、「ユイちゃんは私達が面倒見るから、今日はユウキと楽しんで。」と書いてあった。

 

「なんて書いてあったの?」

 

「はい。」

 

ユウキはキリトから手紙を貰うと、読み始めた。

 

「おれからもなんだが、これどうだ?」

 

「これって?」

 

「おれの知り合いが作った入浴剤だ。」

 

「貰っとくよ。」

 

「アスナ達、ものすごく気を使ってくれたね。」

 

「良し、じゃあ行くか!!」

 

キリトはユウキの手を握って外に走り出した。

 

その日、キリト達がやっていた事は、ユウキにとってもキリトにとっても幸せな事だった。相性診断の占いで懐かしい剣が出てきたり、水をかけあったり、馬上練習をしたりと、充実した一日だった。

 

ユウキとキリトの部屋

 

「たーのしかったー♪」

 

「このアニールブレードどうしよう?」

 

「ぼくの持ってたアニールブレードはインゴットにして剣を作ってを繰り返して、マクアフィテルになってるけど、キリトのアニールブレードってどうしたの?」

 

「同じ様にインゴットにして剣を作ってたけど、鍛冶屋のミスでダガーになって、シリカに渡した。」

 

「あれアニールブレードの派生だったんだ。」

 

「まぁ、良いか。ユウキ、風呂先に入るか?」

 

「うん。」

 

「じゃあ、エギルに貰った入浴剤と一緒にお湯も入れてくる。」

 

「ありがとう。」

 

2分後

 

「お湯入れてきたぞー。」

 

「じゃあ先に入らせて貰うね♪」

 

「じゃあおれはアイテム整理でもしとくよ。」

 

「OK♪」

 

10分後

 

「お風呂から、れらよ~キリト♪」

 

バスタオルを巻いた状態でおかしなテンションでユウキが出てきた。

 

「どうしたんだユウキ?」

 

「ふぇ?別に何とも無いけろぉ。」

 

「嫌、何でも無い訳無いだろ。」

 

「アハハ~、キリトが揺れて見える~♪」

 

「ユウキ!!」

 

ユウキが笑った後に、後ろに倒れかけた所を何とか受け止めた。

 

コンコンと扉をノックされると部屋に入ってこやずに、扉の外から声が聞こえた。

 

「キリト、悪ぃちょっと気になって調べてみたら、あの入浴剤を使った風呂に入るとのぼせるそうだ。」

 

「ならもうちょっと早く教えてくれ!!」

 

キリトはアイテムストレージからユウキの服を取り出すと、ユウキの身に付けているバスタオルと入れ替えた。結婚していると、服を一瞬で着替えさせられる事を利用し、一気に着せた。

 

「今日はおれが寝かせるか。」

 

キリトはユウキをお姫様抱っこの状態で布団に一緒に入り眠った。

 

カーディナルシステムにロックされた六つの鍵が外れ、ユウキとキリトのデータに入り、キリトとユウキに専用スキルスロットが追加され、新たなスキルが現れた。

 

スキルの名前は《Skill Share》意味はスキル共通




今回で、50話とお気に入り登録100人記念です!!

投稿した当初は、「登録者20人くらい。」と思っていた事が、5倍の100人になったのには驚きました。次回作も作るのは確定事項なので楽しみにしておいてください。

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