黒と紫のソードアートオンライン   作:壺井 遼太郎

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陽気な女性プレイヤー

76層アークソフィア

 

「ユウキのプレゼント、どうしようかな?」

 

キリトは独り言を呟きながら、街を歩いていた、今まで攻略にかかりきりだった為、ユウキのプレゼントを買ってあげた事なんか一度も無かった。

 

「やっぱ、誰か女性陣の一人連れてこればよかったな。」

 

キリトが今更過ぎる事を考えていると、嫌な予感のような物が後ろから感じた。ユウキ達ではない、隠蔽スキルを持っているのはユウキだけ、だが、ユウキはイタズラしようとしても、すぐボロが出てしまう。

 

(確かめてみるか。)

 

キリトは一気にその場から走り出した。だが、一向に嫌な予感は消えようともしない、その上、さっきから一度も索敵スキルに反応がない。仕方がなく、

 

「さっきから、着けてるやつ、出てこい。」

 

「あーあ、ばれちゃったかー。」

 

気の抜けた声を聞いてみると、女性プレイヤーの声だ。だが、こんな声は一度も聞いたことがない。建物の壁から声の主が現れた。なにか特徴がないか、少しだけ見ていた。胸元にホクロが三つと、シノンと同じように顔の両隣から、髪の毛を垂らしていた。

 

「こんにちわ。」

 

「どこかで会ったことは?」

 

「ううん、始めましてだよ♪」

 

「なんでおれを着けてた?」

 

「解んない♪」

 

悪意も何も籠っていない声を聞くと、pk目的のプレイヤーではない事は解った。

 

「じゃあ、おれはこれで。」

 

「あ、ちょっと待って、確かさっきプレゼントを探してたよね?」

 

「!?聞いてたのか!?」

 

「手伝って上げるよ♪」

 

「解った。こっちも困ってたしな。名前は?」

 

「《ストレア》だよ♪」

 

無邪気な笑顔で言われ、プレゼントをあげる相手を知りたいと言われ、以前、記録結晶という現実で言うカメラに撮った写真を見せた。

 

「じゃあ、これだね♪」

 

「これって、リボン?」

 

「だってその子、リボンを頭に着けてるじゃん、それでたまには違う色のリボンでもプレゼントしたら喜ぶんじゃないの?」

 

「赤いリボンか、ユウキに似合いそうだな、いつもは黒だからな。」

 

「じゃあ、決まりだね♪」

 

キリトはNPCに代金を支払うと、ストレアにお礼を言い、別れて、建物の影に隠れ、隠蔽スキルを使い、ストレアの後を追った。

 

数分後、エギルの店

 

「ただいまー」

 

「おかえり♪どこ行ってたの?」

 

「その理由は今教えるから、ユウキ、目をつぶってくれ。」

 

「こう?」

 

キリトはユウキが目を閉じると、メニュー画面を開き、ユウキのリボンを外し、プレゼントのリボンをターゲットした。

 

「キリトー、まだー?」

 

「もうちょっと待ってくれ。」

 

キリトはユウキの頭に黒いリボンの代わりに、赤いリボンをつけた。

 

「もういいぞ。」

 

キリトはユウキの黒いリボンを手に持っていた、持っていないと替えた事に気づかない可能性が高かったからだ。

 

「あれ?なんでぼくのリボン持ってるの?じゃあ、ぼくが今つけてるリボンって、何?」

 

「おれからのプレゼントだよ。いまつけてるのは赤いリボンだ。」

 

「ありがとう♪大切にするね♪」

 

「どうも。」

 

「でも、キリトがこんなプレゼントくれるなんてね、どうやって決めたの?」

 

「実は手伝って貰った」

 

「ただいまー!!」

 

タイミングが良いのか悪いのか、アスナ達が帰ってきた。

 

「皆お疲れ、迷宮区どうだった?」

 

「簡単だったわよ、ボス部屋も覗いてみたけど、扉が開くと同時に出現したけど、レベルは大した事無かったわよ。結晶も使えたしね。」

 

「じゃあ、問題ないな、でさっきの続きだけどな、」

 

キリトは昼にあったことを全て話した。

 

「じゃあ、そのストレアって人に手伝って貰ったんだ。」

 

「でも、そんな人知らないよ。」

 

「おれも、知ってるのは76層の裏路地にある宿屋に住んでいるってくらいだ。」

 

「逆になんで知ってるの?」

 

「ストレアの事が少し気になったから追いか」

 

「ヤッホー!!キリトいるー♪」

 

話の途中で元気の良い声が、キリトの声を遮った。

 

「ストレア!?なんでここに!!」

 

「キリトの事を情報屋さんに聞いたの♪」

 

「ん?情報屋さん?」

 

「ようキー坊。」

 

後ろから声をかけられると振り向いたら、そこにはいつの間にかテーブルについていた、鼠のアルゴがいた。

 

「来てたのか。」

 

「まぁナ。」

 

「うわぁ、お兄ちゃんって、どれだけ女性プレイヤーの知り合いがいるの。」

 

「それより、どうしたんだ?今からおれ行きたい所あるんだが。」

 

ユウキの肩に手を乗せて話している時点で、ストレアとアルゴ以外察した。

 

「ううん、ただ会いに来ただけ♪」

 

「そうか。じゃあ、おれとユウキはちょっとホロウエリアに行ってくる。」

 

「ホロウエリア?」

 

「皆、アルゴに説明頼む。」

 

キリトはそう言い、ユウキの手を掴み、走っていった。

 

「あ、ちょっと!?」

 

「逃げた。」

 

「お兄ちゃん、いつも面倒な事は人に頼んで自分は逃げるんですよ。」

 

「と、とりあえず教えて貰おうカ、そのホロウエリアって言うノ。」

 

そこから先は、当の本人のキリトが居なかったので、説明が中々進まず、一時間かけてアルゴとストレアに説明した。


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