ユイはボスを倒したあと、先程の安置に入った。中は綺麗な正方形で、大理石のような四角形のオブジェクトが浮かんでいた。数分黙っていたユイがいきなり喋りだした。
「私の正体は、《メンタルヘルスカウンセリングプログラム》通称《MHCP-01》と呼ばれるプログラムです。」
MHCP-01 それはユイのメニュー画面に書いてあった物だ。
「このソードアートオンラインが始まる前には、カウンセリングの人達で十人以上のスタッフを参加させる予定だったのですが、彼等はそれもプログラムに任せるようにしました。MHCP-01それがコードネームyui.私です。デスゲームと宣告された日に、カーディナルシステムからプレイヤーの接触を禁止され、エラーを蓄積していた私は気づいたら森の中にいたんです。」
「AIなの…ユイちゃん…は。」
「はい。プレイヤーに不信に思われないように私達には感情模範プログラムが導入されているんです。偽者なんです…この涙も。」
ユイは両目から涙を流していた。
「これからもずっといたいです。」
「これからもずっと一緒だよ、ユイちゃん。」
ユウキはユイを離さないように抱いた。
「残念ですが、それは無理です。」
「どうして!?」
「私の記憶が戻ったのは偶然あの石に触れたからです。」
ユイは後ろにある空に浮かんでいる大理石のようなものを指した。
「あれは、緊急時用のシステムコンソールなんです。私はカーディナルの自己修復プログラムにより破損していた言語力と記憶が戻りました。でも、それはカーディナルは私に目をつけた事にもなります。私は異物と確認され、消去されると思います。」
ユイは泣きながら、光に包まれ始めていた。
「行くな!!ユイ!!」
「ユイちゃん!!」
「さようなら、パパ、ママ。」
ユイは最後に言い残し、ユウキの腕の中から消えていた。
ユウキはその場で泣き叫んだ。
翌日
ユウキが作った料理を施設の皆とシンカーとユリエールに振る舞っていた。
「この世界にこんなに旨い物があったんですね。」
シンカーは夢中に料理を食べていた。隣でユリエールが笑いながら見ていた。
「あの?そういえば、昨日の子はどこに行ったんですか?」
サーシャさんからの質問が入り、答えた。
「ユイは家に帰っちゃったんだ。」
「そうなんですか。」
サーシャさんは気を使ったのかそれ以上聞こうとしなかった。
昨日の時にキリトがした行動をユウキは思い出した。
「カーディナル!!そういつもいつも思い通りに行くと思うなよ!!」
キリトは大声をあげ、コンソールのホロウキーボードを操作し始めた。
「なにやってるのキリト?」
「今ならまだ間に合うはず」
キリトはキーボードをいじり色々な項目を進み、横線が右まで行くとキリトは白い閃光と共に吹き飛んだ。
「キリト!?」
吹き飛ばされたキリトの手には大きな涙のような宝石がついたネックレスだった。
「ユイの心だ。ユイが削除される前に、コアプログラムをおれのナーヴギアに入れたんだ。ネックレスはユイだ。」
「ユイちゃん。」
ユウキはその場でもう一度泣いた。今度は悲しみではなく、安心と嬉しさの涙だった。
ユウキはその瞬間を思いだし、ネックレスに触れた。
「軍はこれからどうするんですか?」
「キバオウとその一派は除名しました。でも軍自体を解体しようと思います。」
「随分と思いきりましたね。」
「軍は大きくなりすぎたんです。だから今回の事が起きたんです。だから解体して、一からやり直します。」
「「サーシャさん、申し訳ありませんでした。」」
頭をいきなり下げられたサーシャは戸惑ったが、
「良いですよ!?軍の良い人達にはフィールドで子供達を助けてもらいましたし。」
「では、ぼく達は帰るね♪」
「はい。ありがとうございました。」
最後にお辞儀をされ、転移門にむかい、帰った。あの思いでの森の家に。