黒と紫のソードアートオンライン   作:壺井 遼太郎

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少女の親探し

少女を抱いていったユウキは、自分とキリトと少女の朝食を用意して、食べていた。

 

(どこにもないな。)

 

キリトは食べながら新聞を見ていた。新聞には子供を探す掲示板のような物はあるが、どう探しても、黒髪のロング、ワンピースを着ている少女の情報はなかった。

 

「キリト、あった?」

 

「いいや、どこにもない。」

 

そう言ってると、少女は指を人差し指と中指を合わせて何度も降ろしていた。

 

「何してるの?」

 

「パパとママのマネです♪」

 

「ねぇ、メニュー出てきた?」

 

「出てこないよ。」

 

少女は何度も降ろしていたがメニューは出ない様子だったが、左手を降ろしたら出てきた。

 

「あ!でたでた!!」

 

「ちょっとごめんね。」

 

ユウキは少女の指を掴むと、勘で可視モードのボタンを押した。

 

「なにこれ?」

 

「《MHCP-01 yui》?何の名前だ?」

 

「ねぇ、ユイちゃん?ユイちゃんて呼んで良い?」

 

「良いよママ♪」

 

「ユイちゃんの親の人ってどんな人?」

 

ユイは下を向いて唸ったが。

 

「わかんない。」

 

「じゃあ、第一層に戻って、探しに行こうか?」

 

「うん♪」

 

ユイは張り切ったように、走り回った。

 

「ねぇ、キリト。このままユイちゃんの親が見つからなかったら、ぼく達で面倒見るけど、見つかったら…」

 

ユウキは落ち込んだように声を止めた。

 

「仕方ないよ、親の人達も今頃心配してるだろうし、な?」

 

「うん。そうだよね♪」

 

ユウキは落ち込んでいたものの、ユイの為と言うことで親を探す事に決心した。

 

「ユイちゃん、行くよー!!」

 

「は~い♪」

 

ユイは走ってドアまで行った。

 

「ユイ、おんぶしてあげようか?」

 

ユイはこちらを向き、両手を出した。

 

「さて、行くか。始まりの街に。」

 

「うん♪」

 

第一層始まりの街、転移門広場

 

「さてと、ユイ、どこかに見覚えあるか?」

 

ユイは首を横に振った。

 

「まぁ、まだまだ広いからね♪そういえばキリト、始まりの街に、介護施設があるらしいから行ってみようよ。」

 

「へぇ、介護施設なんてあったんだ。行ってみるか。」

 

ユウキとキリトは施設に向かい歩いたが、ある疑問が浮かんだ。

 

「ねぇキリト、この街って2000人近くの人がいたよね?」

 

「ああ。」

 

「でも、全く人がいないね。」

 

「建物の中にいるな、何かに怯えているのか?」

 

「まぁ、とりあえず行こうか?」

 

「おい!お前達!!」

 

いきなり後ろから呼び止められて振り替えると軍の制服を着ているプレイヤーがいた。

 

「何?」

 

「お前達の持っている、金かアイテムをよこせ。」

 

「嫌だって言ったら?」

 

「まぁ待て、ユウキ。ほらこの剣をやるよ、持てたらな。」

 

キリトは笑いながらエリュシデータを出して、片手で渡そうとした。

 

「持てたらこの剣をやるよ。」

 

「ほう、だが片手で持てるのならそう重たくは無さそうだな。」

 

エリュシデータは筋力、つまりはSTRが72も無いと持てない、だがここは第一層、ここにずっといると言うことは、

 

「ぐお!?」

 

そう、低層プレイヤーには両手を使っても、持ち上がらない。

 

実際、キリトがこの剣を持てたのは、60層くらいでようやく、エギルのようなSTR極振りのプレイヤーでも、50層の安全マージンをとって、やっと持てる程度。

 

「なら、こいつならどうだ?」

 

キリトは、今度はダークリパルサーを出して投げた。

 

「も、もう無理だ!!」

 

ダークリパルサーも、見た目は華奢で透き通っている為軽そうだが、実際、キリトの好んで使う剣なので、STRが70も無いと持てない。

 

「うわぁぁ!!」

 

軍のやつは、剣から急いで手を抜き、尻尾を巻いて逃げ出した。

 

「やっぱ、この2本の剣って、片手剣スキルを持ってても、おれじゃないと持てないな。」

 

「うん。ぼくにも重すぎるからね♪」

 

ユウキもSTRには振っているが、ユウキのマクアフィテルは、細剣のように細い、その為か、STR欲求値はあまり高くない。その上ユウキのマクアフィテルにはカテゴリで、片手剣と書いてある、だが、ユウキは細剣スキルも入れているが、何故か細剣のソードスキルも使える。何かの時の奥の手のために、キリト以外には誰にも見せていない。

 

「もうすぐ介護施設が見えるよ♪」

 

少し歩くと目の前にあったのは大きな建物だ。

 

「ここだな。明らかに子供のプレイヤーを全員入れても大丈夫そうだし。」

 

とりあえず建物の中に入ってみることにした。

 

「お邪魔しまーす♪」

 

「誰もいない、訳じゃないな。」

 

索敵スキルは熟練度が上がると、壁一枚挟んだプレイヤーも見つけることをできる。

 

「すいませーん!!子供を連れてきたんですけど?」

 

ゆっくり扉が開き、女性のプレイヤーが出てきた。

 

「あの、軍の人じゃないんですよね?」

 

「あぁ、違いますよ♪」

 

「本当?」

 

また扉が開き、いっぱい子供が出てきた。

 

「あ!あんた達、出ちゃダメじゃない!!」

 

「なぁ!武器見してくれよ!!」

 

「ねぇ、どこからきたの?」

 

キリトとユウキは中層ゾーンで手に入れた剣をテーブルの上に置いて、子供達が遊んでいた。

 

「すいません、いつもの事なんです。」

 

「良いですよ♪」

 

ユウキが答えたときに玄関が勢いよく開いた。

 

「サーシャ先生!!ケン兄達が軍のやつらに!!」

 

「え!?」

 

聞いた瞬間、キリトとユウキは急いで動き出した。


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