引っ越してきてから二日目、
「ねぇ、キリト♪今日はどこにいく?」
「う~んじゃあ、あそこの森に行くか。」
「じゃあ、お弁当用意するね♪」
少し最前線で気を張りすぎたのか、この層に来てから大分落ち着いてきた。
「よーし!!じゃあ、出ぱーつ!!」
「元気だな、ユウキ。」
ユウキはおれが言った言葉を聞いてから、こちらに振り向いた。
「ねぇキリト。おんぶして♪」
「え、なんで?」
「良いじゃん♪どうせ結婚してるんだし♪」
ユウキに見せられた笑顔で仕方なく承諾した。
「別に良いけど、人、いないかな?」
「大丈夫だって♪」
キリトはユウキを背中に乗せて、歩き始めた。
「にしても涼しいねぇ、まだ現実じゃ6月なのに。」
「このペースなら、今年中にクリア出来たりしてな。」
キリトは笑いながら言ったが、ユウキはこちらに真剣な顔を向けた。
「どうしたんだ?ユウキ。」
「ねぇキリト、この間みたいに無茶しないでね。」
「解ってるよ、でもな、それはこっちもだ。」
お互いに笑いあってから、
「じゃあ、向こうに帰ったら、どこで会うか決めとこうか?」
「クリア目前の99層についてからな。」
「じゃあ、約束してね、絶対に死なないって。」
「あぁ、約束するよ。」
「ん?アハハ、ねぇキリト、残念だったね。」
「何がだ?」
ユウキは喋らずに、目の前に指を指した。
「人、いるじゃんか。」
こちらに気づいたのか、釣り士の人達は手を振ってきた。
「キリトも手を振ったら?」
「嫌だ。」
キリトはその場から、目的の場所に走った。
「ここが今日の向かう場所?」
「あぁ、なんでもここには噂があってな。」
「噂?」
「ここに来て、木こりをしているプレイヤーが、白いワンピースをきた女の子が立ってるんだって、いくら見てもカーソルが表示されないから、プレイヤーの亡霊って言われてるんだ。」
「でも、ぼく達、数ヶ月前にグリセルダさんの霊を見たよね?」
「あぁ、だから今回は本当かどうかで来たんだ。」
「あれ?さっきキリト何をきてるって言ったんだっけ?」
「白いワンピースだけど?」
「アハハ、じゃあ、あれだね。」
「え?」
ユウキが指を指した方向を見てみると、そこには白いワンピースをきた少女がいた。
「あれだな。」
ユウキはキリトの背中から降り、少しだけ警戒した。
その時にぐらりと、少女が倒れかけた。
「危ない!!」
ユウキが倒れかけた少女を受け止めた。
「ナイス、ユウキ!!」
「でもキリト、この子!?」
「プレイヤーだな。でも、カーソルが表示されない。」
「とりあえず連れて帰ろう。」
ログハウス
「ここまで連れてこれたってことは、NPCじゃないな。」
「うん、もしNPCなら、ぼく今頃、黒鉄宮の監獄エリアに強制転移だったからね。」
「じゃあ、この子が起きるまで寝かしておくか?」
「うん、でもキリト、目が覚めなかったら?」
「一応、アバターが残ってるから生きてはいるだろう。」
「じゃあ、今の所大丈夫だね。」
「さぁ、今日はもう遅いから、飯食って寝ようか。」
「うん♪」
ユウキとキリトは少し不安になりながら、眠りについた。
翌日の朝
ユウキは、朝食を作るために起床アラームをキリトの設定より10分速くしている。
「♪~」
(あれ?なんでハミングが聞こえるんだろう?しかもぼくのアラームに設定した、メロディに合ってる?)
ユウキは不信に思い起きて目の前にあったのは、気を失っていた少女が座りながら、目を閉じリズムに合わせてハミングしていた。
「ねぇ!!キリト、起きて!!」
ユウキは急いでキリトを起こして、内容を説明した。
「ねぇ、君の名前は何て言うの?」
キリトは不信に思われないように優しく聞いた。
「な、名前…わからない。」
「じゃあ、おれ達の名前をいってみて。キリト」
「キ…イ…ト」
「じゃあ、ぼくの名前もいってみて。ユウキ」
「ウ…ウ…キ」
「難しかったら、呼びやすい名前で良いよ。」
「じゃあ、キイトはパパ、ウウキはママ。」
これを聞いて、ユウキは物凄く笑顔になり、
「そうだよ♪ママだよ♪」
「ママ!!」
少女はユウキに笑顔で抱きついた。
「ねぇ、ごはんにしよっか♪」
「うん!!」
キリトは(やれやれ)と考えていたが、自分がパパと呼ばれた事に関しては嬉しかった。
ユウキと少女の後を追いかけ、ログハウスの下に降りた。
また同時刻に、カーディナルによって押さえつけられたスキルの鍵の3つ目が外れた。