黒と紫のソードアートオンライン   作:壺井 遼太郎

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74層迷宮区

74層の転移門広場

 

「来ない。」

 

「ほんとだね、アスナに何かあったのかな?」

 

今回の事を提案した本人が来ないので、おれ達は心配していたが、転移門からアスナが急いだ様子で出てきて、ユウキを連れて壁に走った。

 

「ユウキごめん!!今すぐハイディングして!!」

 

「え?どういう」

 

「良いから早く!!」

 

ユウキは言われるがままにアスナを連れて壁にハイドした。

 

ハイドした次の瞬間、転移門から血盟騎士団の団員が出てきて、アスナを探していた。

 

(((((あ、こいつ(この人)から逃げてきたんだ。)))))

 

「おい!アスナ様がどこに行ったか知ってるか!?」

 

「いいや。」

 

「おれ達は迷宮区に行くから、タンクのメイス使いを待ってるんだ。」

 

「そうか。」

 

身を翻し転移門まで歩いていき、転移門に入る瞬間、

 

「アスナ様はどこに逃げられたのだ。」

 

転移した団員を見るとユウキとアスナはハイドを解除した。

 

「ふぅ、今のは護衛の《クラディール》で、朝から私の家の前にいたのよ。」

 

「大変だな。」

 

「でも、迷宮区には行くわよ。」

 

「じゃあ、行こうか♪」

 

「「「「「「おー!!」」」」」」」

 

74層迷宮区

 

迷宮区の大分奥に来たキリト達は《デモニッシュ・サーバント》と戦闘していた。

 

「てりゃあ!!」

 

アスナが気合いをこめてはなった、細剣カテゴリ8連撃の上位剣技《スター・スプラッシュ》を放ち、スタンした時に、

 

「ユウキ、スイッチ!!」

 

ユウキは空絶剣のスキルを選択して片手剣のスキルを使い倒した。

 

空絶剣はソードスキルがひとつしかない代わりに、片手剣のソードスキルの威力を上げてくれる上に、パッと見は片手剣のスキルなのでキリト以外の全員からはAGIに振っている、スピード型の剣士にしか見えない。

 

「ナイスユウキ!!」

 

「ありがとう♪」

 

「じゃあ、奥に行こうか。」

 

奥に進むに連れてオブジェクトが重くなっているように感じた。

 

「ねぇ、これって。」

 

ユウキが何かを見つけたようで見てみると、扉があった。

 

「あぁ、ボス部屋だ。」

 

「どうするキリ公?」

 

「覗くだけ覗いて見よう。」

 

「あぁ、その方が良いと思うぞ、どんなやつか見ないと対策のしようがねぇ。」

 

キリトとエギルが扉に手をつき、

 

「開けるぞ。」

 

全員が頷くとキリトとエギルは、扉を開けた。

 

「え?あれって!?」

 

リズが、扉を開けてボスが見えたのか驚きの声をあげた。

 

「何が…え?」

 

ユウキがリズに聞いたが、ユウキもボスを見つけた。

 

「これって。人型とかのモンスターじゃなくて、《悪魔》だ!!」

 

そう言ってる間に悪魔のモンスターは両手剣を持って、恐ろしいスピードで、こちらに走ってきた。

 

各々が絶叫をあげ、全速力で走り出した。

 

74層迷宮区安置

 

「いやぁ、逃げた逃げた♪」

 

「特にユウキが早かったね。走り出したのはほぼ同時なのに、ユウキだけ、完全に独走状態だったからね。」

 

「私よりスピードに振ってるのね。」

 

「まぁ、そう言うことかな♪」

 

「それより、俺は腹へった。」

 

「なら、はい。」

 

ユウキは紙袋を一人づつ投げた。

 

「サンキュー。」

 

「今日の朝に作ってきたから♪」

 

「今日のは、」

 

「ハンバーガーだ!!」

 

「うめぇぇぇ!!」

 

「醤油とマヨネーズの味の再現が出来たから作ってみたんだ♪」

 

「旨すぎる、けど、なんかおれの辛すぎるような。」

 

「あ!!キリトとクラインの間違えた。」

 

クラインはそれを聞いてから、

 

「辛ぇぇぇ!!キリトはこんな辛い物食ってんのか?」

 

「あぁ、おれは辛い物好きだからな。」

 

「だからいつもは、キリトのだけは辛すぎるように作ってるんだ♪」

 

「こりゃ辛すぎるだろ。」

 

「そのくらい辛くないとキリトは嫌なんだって。」

 

一連のやり取りを見ている内に本題に戻った。

 

「にしても、あのボスをどうするかだよな。」

 

「確か名前は《gleame eyes》、グリームアイズだったな、日本訳は輝く目だな。」

 

「両手剣オンリーぽいけど、特殊なんだろうな。」

 

「そう言えばキリト君?リズに作って貰った剣どうしたの?」

 

「え?」

 

「あ!私もそれ考えてました。」

 

マズイ、とキリトとリズとユウキが考えた時に足音が聞こえた。

 

「誰かがこっちに来てるな。」

 

安置に入ってきたのは、《軍》だった。軍は以前まで最前線の攻略組だったが、今はとある理由で弱体化した。

 

「私は、《アインクラッド解放軍》の《コーバッツ大佐》である。君達はこの先をマッピングしているのか?」

 

「あぁ、ボス部屋までな。」

 

「なら、それを提供してもらおう。」

 

「な!」

 

「てめぇ!マッピングする苦労がわかってんのか!!」

 

「我々はアインクラッドの解放の為に戦っている!!そのぐらいは当然だ!!私の部下はこのぐらいでへこたれはしない!!」

 

「別にいいよ、どうせ街に戻ったら公表するデータだ。」

 

「おいおい、そりゃ人が良すぎるぜ。」

 

「では。」

 

コーバッツは後ろの部下に鞭を叩くように、急かした。

 

「どうする?」

 

「追いかけておこう、もし戻ってこなかったら寝覚めが悪いし。」

 

「キリトなら特にね♪」

 

「うん。キリト君はいつも寝てるからね。」

 

「と、ともかく追いかけようぜ。」

 

追いかけている最中にモンスターの大群に出会い、戦い終わったときに。

 

「なぁ、もう帰ったんじゃねぇのか。」

 

「ここまで追いかけて居ないんだったら、その可能性はあるな。」

 

「じゃあ、もう帰ろっか。」

 

ユウキがそう言い出した時に、叫び声が聞こえた。

 

「な!?」

 

「行くぞ!!」

 

全員が先程のボス部屋に向けて走り出した。


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