74層迷宮区
青いライトエフェクトと共にキリトがホリゾンタル・スクエアを発動した。
「はぁあ!!」
短い気合いの声に乗って、ソードスキルを炸裂させた。
それでも、モンスターは倒れない、
「ユウキスイッチ!」
「了解!!」
キリトはレベル82のリザードマンの武器を弾き、ユウキとスイッチした。
「はあ!」
ユウキも短い気合いの声をあげ、レイジスパイクで、止めをさした。
「今日はこれで帰るか。」
「賛成。」
迷宮区の外に出て、フィールドを歩いていると、索敵スキルが反応した。
「キリト。」
「解ってる。」
モンスターの名前は《ラグー・ラビット》逃げ足が速いレベル1のモンスターだ。だが、このモンスターの肉は高価で売れる。理由は単純、このモンスターの肉はどの食材の中でも最高の数値だからだ。
「投擲スキルでやるぞ。」
「うん。」
キリトとユウキは腰からピックを取りだし、基本の《シングルシュート》で、モンスター近くの木を狙った。モンスターを狙わなかったのは、確実に倒すためだ。
予想通り驚いてジャンプしたラグー・ラビットは隙だらけだ。
「はぁ!」
ユウキが勢い良くピックを投げた。モンスターのHPは0になった。
「やったぁ!」
「今日の晩飯この肉で頼むぞ!!」
「良いよ、でも、肉が二つドロップしてるから、クライン、アスナ、シリカ、リズ、エギルさんを呼ぼうよ。」
「じゃあ、メッセージ送るから、帰って準備だな。」
「じゃあ、内容は《今日の七時に50層にある、ホームに来て》って書いといて。」
「了解。」
五十層《アルケード》ユウキとキリトのホーム
七時にドアが、こんこん、と鳴った。
「はぁーい。」
「よう、ユウキちゃん!!」
「ユウキさん、こんばんは。」
「こんな時間に呼んで何?」
「おれは店が終わった後だから良かった。」
「今日はギルドの護衛を撒いてから来たから、ちょっと疲れたわ。」
「今日は皆に、ぼくが作ったごはん食べて欲しくて。」
笑いながら言ったユウキの言葉の意味がわからず、アスナ以外は驚いていた。
「まぁ、良いから入れよ。」
奥からキリトが顔を出した。
「あれ?キリト、なんでお前がもういんだ?」
「あ!?」
「クラインとエギルに言ってなかったな。」
クラインとエギルは意味がわからずに首をかしげていた。
「実はおれとユウキ、結婚したんだ。」
一瞬の間を置いてから。
「「なにぃぃぃぃぃ!!」」
「二人共、うるさい!!」
「知らなかったんだ。」
「まぁ、あんまり口に出しませんでしたし。」
「まぁまぁ、とりあえず入れよ。」
二人に連れられ5人はテーブルについた。
「はい、ぼくが作ったシチューだよ♪」
一人ずつ、皿によそったシチューを配られ。
「とりあえず、食ってみろよ。」
「あ、じゃあいただきます。」
5人は同時に口にシチューを含んだ。
「「うめぇぇぇ!!」」
「ホント!!」
「ビックリしました。」
「ユウキ!?この肉何!?」
聞かれて二人は向かい合い、笑ってから答えた。
「驚くなよ♪」
「ラグー・ラビットのお肉だよ♪」
「え?」
「これがあのS級食材の!?」
「うん。今日迷宮区から帰ってる途中に見つけたから、倒したら二つドロップしたから、シチューを作って皆に食べて貰おうと思って呼んだんだ♪」
「うめぇぇぇ!!こんなうめぇ物食ったことねぇ!!」
クラインはユウキの説明の途中でも、がっついていた。
「ちょっ!!クラインそんなに急いで食べないの!!」
「あぁ悪ぃ、こんな旨い物だから、つい。ってか、キリトは羨ましいぜ、こんな旨い飯作れる娘と結婚したなんて。」
クラインの言った言葉を、皆は頷きながら食べていた。
キリトとユウキも、一緒になって食べていた。
シチューを食べ終わった後、
「あぁ、旨かった。」
「ホントにねぇー。」
「ねぇ、キリト君、ユウキ、明日パーティー組まない?」
アスナがいきなりいい始めた内容に、他のメンバーも、私も、おれも、と頼まれた。
「なんでいきなり。と言うより、リズとエギルとシリカは大丈夫なのか?」
「残念、私は明日定休日ですよーだ。」
「おれも明日は素材集めの休みだ。」
「私のレベルは気にしないでください。キリトさんとユウキさんに助けて貰った後に、レベリングに励みましたから、今は85ですよ。」
「私は82よ。」
「あ、安全マージン取れてる。」
「だから、明日は一緒にパーティー組んで迷宮区に行くわよ。」
「クラインはギルドどうすんだよ!」
「あ、おれか?明日は月4の自由の日だ。」
「何!?」
「もう無理だね。」
「仕方ないな、パーティーを組むよ。」
全員とパーティーを組んでから、全員を転移門まで連れていき、見送った。
「大変な事になったね。」
苦笑いしながら言うユウキに黙って頷いた。
「明日の12時に最前線の転移門広場に待ち合わせだって。」
「あぁ、そうか、ならもう寝るか。」
「うん。もうぼく、くたくただよ。」
「じゃあ、速く帰らないとな。」
次の日の為に、二人は帰りの道を歩いた。
同時にカーディナルシステムによって、ロックされていたエクストラスキルの六つの内のカギがふたつが開いた。
エクストラスキルに関しては、ぼくが考えたオリジナルスキルです。
ホロウフラグメント編で出す予定なので楽しみにしてください。