四十八層《リンダース》
私はこの家を見たときに、「ここしかない!!」と思い、ここで鍛冶屋を構えた。
場所は変わり、五十層《アルケード》
「う~ん、そろそろ新しい剣を持たないとな。」
「え、でも、キリトの剣って《エリュシデータ》だっけ、あれって魔剣クラスの武器だよね?」
魔剣クラス、確かにおれの持ってるエリュシデータは魔剣クラスの剣だ、身近ならユウキの剣も魔剣クラスだ、PoHの持っている《友切包丁》(メイトチョッパー)も魔剣クラスだ。
「いいや、そう言う意味じゃなくて、二刀流の為のもう一本の剣だよ、いつも熟練度あげの為にユウキからいつも《マクアフィテル》借りんのも、出来る限りしたくないし。」
「う~ん、じゃあぼくが前に言ってた、鍛冶屋の友達の所に行く?」
「じゃあ、そうさせて貰うよ。」
そこから少し時が進み、四十八層《リンダース》
「やっほー来たよ~!!《リズ》」
「んが!!」
女性プレイヤーは変な声をあげた。
「あ、ユウキ来たんだ!!今日は何?」
「ええと、今回はぼくじゃなくて、こっちの人の用事で。」
「どうも。」
「初めまして。《リズベット武具店》へようこそ。」
「じゃあ、この剣と同等の物を作ってくれ。」
「はい、ってわぁ!!」
剣を渡され両手で受け取った瞬間、もの凄い重さが身を襲った。
「えーと、この剣と同等って言われても、じゃあこれでどう?」
キリトは受け取ってから、軽く2回振った。
「軽いな。」
「金属がスピード重視のやつだから。」
「じゃあ、ちょっと試してみていいか?」
「え、試すって何を!?」
「耐久力をさ。」
「そんなことしたら、あんたの剣が折れちゃうわよ!!」
「それじゃあ駄目なんだ、そん時はそん時っ、さ!!」
キリトは受け取った剣をソードスキルを発動させ、エリュシデータにぶつけた。
そして、見事に折れた、私の作った剣が。
「きゃああ!」
「ああああ!」
ユウキとリズベットが驚愕の声をあげた。
「修復不可能。」
リズベットはその場で倒れこんで、肩を震わせた。
「な、何すんのよー!!」
キリトの胸ぐらを掴み、叫んだ。
「ご、ごめん。まさか折れるとは。」
その時、頭にカチンと来た。
「へぇ、じゃあ私の剣が予想以上に柔かったってことなのかしら。」
「えぇ、う~ん、まぁ、そうだ。」
「あ、キリト開き直った。」
「じゃあ、そんな事言うんだったら、金属取りに行く所まで付き合って貰うわよ。」
「まぁ、そうだよね。」
「な、ちょっ!!ユウキ!!」
「う~ん、やるよねぇ、リズの剣折っちゃったんだから、その位しないとねぇ。」
笑いながら、怒りが籠ったその声に反論する気は失せた。
「はい。」
「じゃあ、55層の《グランザム》にあるから向かうわよ。」
「おぉー!」
「お、おぉー。」
55層《グランザム》
「ううぅ、寒い。」
「まさか、雪原フィールドとは思わなかったな。」
「二人共、これ。」
ユウキが言いながら、コートを投げてきた。
「ぼくが作ったやつだよ。それ着てれば暫く大丈夫の筈だよ。」
「サンキュー。」
「ありがとう。」
「お前、途中何してるかと思ったら、コート作ってたのか。」
「うん、前に来たことがあったからね。」
雪原の中を歩く二人にリズベットはあることを考えていた。
(二人は付き合ってるのかな?)
「ねぇ、ユウキ。」
「ん、な、わぁ!!」
「どうしたんだよ。」
「キリトはあっち向いてなさい!!」
「わ、わかった。」
「ねぇ、ユウキ。」
「な、なにリズ、小声で。」
「良いから、あんた、キリトと付き合ってるの?それとも好きなの?」
「え!?ええ!!」
「で、どうなの?」
「ええと、後者かな。」
照れながら、ユウキは答えた。
「へぇ、ねぇ、キリト。」
「あ!!リズ、絶対言っちゃダメだよ。」
「解ってるわよ。」
笑いながらリズベットは答えた。
「キリト、あんたとユウキは付き合ってるの?それとも好きなの?」
「え!?なに聞いてんだよ!?」
「どうなの?」
「こ、後者。」
ユウキと同じように照れながら、答えた。
「へぇ。」
「言うなよ。」
「はいはい。」
リズは笑いながら答えていた。
「さ、そろそろ着くわよ。」
「あぁ、そうなのか。」
「キリト、どっちが先につくか競争だよ♪」
「あ、待てユウキ!!」
「ふふふ。」
「わぁ、ここが金属のある所なんだ。」
「えぇ、そうよ、ドラゴン型モンスターが持ってるって、話よ。」
「なんで確証がないんだ?」
「ドロップしなかったのよ、来る前にクエスト受けるためにNPCが言ってたでしょ。竜は腹の中で金属を生成するって。」
「じゃあ、も一回倒してみるか。」
「リズ、一応転移結晶用意しておいてよ。」
「わかったわ。」
転移結晶を出しながら、奥まで歩いていった。
「出たぁ!?」
水晶で出来たドラゴン型モンスター名前は《白竜ゼーファン》
「攻撃パターンは、突風、ひっかき攻撃、ブレスだから気を付けて。」
「わかった。」
「行くよ、キリト。」
戦闘は明らかに優戦だった、キリトとユウキの息の合った動きにより、体力を一気に削られていた。
「あと、もうちょっとよ!!」
「馬鹿!まだ出てくるな!!」
「なによ!あとちょっとじゃない!!」
ゼーファンが突風攻撃により、3人を吹き飛ばした。
「え!?」
リズが驚きの声をあげた、理由はリズが飛ばされた所には地面が無かった。
「嘘ぉぉぉぉぉ!」
「リズ!!」
ユウキがリズを追いかけ、穴に飛び込んだ。
「ユウキ!!」
「キリト!!リズをお願い!!」
ユウキは叫び。リズを投げてきた。
「リズ!!急いで転移しろ!!」
「え、でもユウキとあんたは?」
「良いから早く!!」
「て、転移《リンダース》!!」
リズが転移した瞬間、キリトは穴に飛び込んだ。
「ユウキー!!」
「キリト!?」
キリトはユウキを胸に抱き、穴の底に落ちていった。
「どうして!?死ぬかも知れないよ!!」
「なら!!お前だけは守る!!お前だけは死なせない!!」
「キリト。」
ユウキはそう言われ、キリトに抱きつき最後かも知れない言葉を考えた。
(キリト、大好きだよ。キリトがどこに行ったって、ぼくはついていくよ。)
キリトとユウキは底まで落ちていった。