黒と紫のソードアートオンライン   作:壺井 遼太郎

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思いでの丘

宿屋キリトorユウキの部屋

 

「ふぁ~あ。」

 

シリカは大きくあくびをし、周りを見周渡した。

目の前の机にキリトが寝ていた。

 

(わ、私、キリトさんの部屋で寝ちゃった!!)

 

シリカは驚き後ろに倒れかけ、左腕で体を支えた、支えた時に腕に柔らかい物があたった、シリカはゆっくり振り返って見ると、ユウキが隣で寝ていて、腕がユウキの胸に当たっていた。シリカは急いで手を自分の体に戻し、落ち着いてからユウキを起こした。

 

「ユウキさ~ん、朝ですよー!」

 

「んにゃ。」

 

ユウキは起きてから、ネコのような声を出し起き上がった。

 

「ありがとうシリカ♪」

 

「いえ、こっちもすいません。ベッドで寝ちゃって。」

 

「別に良いよ、キリトもそう言うと思うし、さ、キリト起こして朝ごはん食べに行こうか♪」

 

「はい。」

 

ユウキはキリトを起こし、風見鶏亭で軽い朝食を食べた。

 

転移門広場

 

「じゃあ、行くか」

 

「はい。でも、私47層の名前知らない。」

 

「大丈夫ぼくに捕まってて♪」

 

「「転移、フローリア」」

 

青い光が一瞬身を包み、光が消えた瞬間目の前には、文字通り花畑だった。

 

「このフロアは全体花だらけで、別名《フラワーガーデン》って、言われてるんだ。」

 

「このフロアいつ来ても綺麗だよね♪」

 

シリカは花の中から出た虫を見ていると、デート中のカップルがたくさんいた。

 

(キリトさんとユウキさんにはお似合いのフロアだ♪)

 

シリカはそう考えていると、ユウキから

 

「シリカ?何してるの?」

 

「あ、すいません。じゃあ、花を取りに行きましょうか?」

 

「あぁ、道はこっちだ」

 

道中のモンスターはたいしたことはなかった、でも、見た目が気持ち悪いモンスターが多かった。ぬるぬる触手モンスターに巨大な人食い花型のモンスターがいた。

別の意味で大変だった戦闘を終えると祝福をするかの如く、花を見つけた。

 

「じゃあ、帰ろっか。ここでピナを呼び戻しても危ないしね。」

 

「はい。」

 

「シリカ、これを持っておけ。」

 

「転移結晶?」

 

「帰りでも何が起きるのか、わからない、だから、おれ達が逃げろって言ったらすぐに転移結晶を使え。」

 

「わ、わかりました。」

 

(どうしたんだろう、さっきまでの余裕みたいな表情だったのに、急に厳しくなってたような?)

 

帰りの道中、

キリトとユウキは何かに気付いたかのようにシリカの肩に手をおいた

 

「そこにいるやつ出てこいよ!」

 

「どうしたんですか?キリトさん。」

 

そしたら、木の後ろから赤髪の槍使いが出てきた。

 

「な!ロザリアさん!!」

 

シリカが呼んだ事を無視して

 

「私のハイディングを見破るとは中々に高い索敵スキルをお持ちなのね。」

 

「まぁな、おれとこいつは索敵スキルをマスターしているからな。」

 

「随分と地味なスキルをマスターしてるのね、どうせ、それしかあげてなくて、剣の腕はからっきしでしょうけど。」

 

ロザリアはユウキとキリトを嘲笑うかのような口で喋った。

 

「その様子だと、首尾よく《プネウマの花》を手に入れたようね、おめでとう。じゃ、そのアイテム渡して頂戴、プネウマの花って、今が旬だから、かなり高く売れるのよね。」

 

「な!」

 

「もし、嫌だと言ったら?」

 

ユウキがそう言ったら、ロザリアの後ろからプレイヤーが出てきた。

ロザリアを合わせて、10人近く、その内8人はオレンジカーソル、犯罪者を示す色だ。

 

「この人数相手にたった3人でどうにか出来るかしら?」

 

キリトは気にも止めずに話を続けた、

 

「お前達、一週間前に《シルバーフラグス》って、ギルドを襲撃しただろ。」

 

「あぁ、あの貧乏な連中?で、なに?あんたはそのギルドの生き残りで敵討ちでもしに来たの?」

 

「いいや違う、あんたらにギルドを潰されたシルバーフラグスのリーダーは、最前線で泣きながら敵討ちをしてくれるやつを探してたんだ。ギルドのリーダーは、あんた達を「殺すんじゃなくて、牢獄に入れてくれ」と頼まれたんだ、あんたらにあいつの気持ちがわかるか?」

 

「わかんないわよ、なに熱くなってんの?ここで死んだからって、向こうでほんとに死んでるなんて解る訳ないじゃない?むしろ本当かどうか解ったんだから、感謝して欲しいわ。」

 

ユウキとキリトは笑いながら言うロザリアに、ただらなぬ殺意を出していた。

 

「キリトさん、人数が多すぎます!!逃げましょうよ!!」

 

「大丈夫だ。」

 

キリトは剣を抜きながら前へ歩いた。

 

ロザリアの仲間の一人がキリトと聞いた瞬間、

 

「キリト?もしかしてお前その黒ずくめに盾無しのソードマン、まさか!?《黒の剣士》!?それに、相棒の同じく盾無しの片手剣使いの女、お前が《絶剣》!?不味いよロザリアさん!!こいつら攻略組だ!しかも攻略組のトッププレイヤーだ!」

 

「攻略組!?」

 

シリカとロザリアは同時に驚いていた。攻略組は知らない人など居ない有名なプレイヤーの集団だった。その中で《黒の剣士》と《絶剣》は攻略組のトッププレイヤーと、有名だった。

 

「攻略組がこんな所にいるわけないじゃない!!どうせ、名前をかたびった、偽物に決まってる!!それにこの人数なら攻略組のプレイヤーもどうってことない!!」

 

「そ、そうだ、攻略組ならきっと高ぇアイテムを持ってるに違いねぇ!!」

 

一人がそう言うと、全員がソードスキルを発動して、突っ込んできた。

 

だが、キリトがソードスキルを発動する動きを見た瞬間、笑った。

キリトは剣を振り回し肩に乗せた、片手剣七連撃《デッドリー・シンズ》を発動した。

 

「うおらぁ!」「死ねや!」と声をあげたプレイヤーが動き出した直後、キリトも動き出した。

 

直後信じられないことが起きた、8人のプレイヤーの剣が折れていたのだ。

 

「何が起きたんだ!?」

 

一人のプレイヤーがそう声を発していたとき、シリカは微かに見えていたキリトの動きを思い出した。キリトが目にも止まらぬ速さで、相手の武器に、剣を当て折っていたのだ、だが、それが可能なのかと考えていた。

 

ソードスキルは、なまじシステムアシストがあるためスピードを合わせるのが非常に困難だ、その上今回は、向こうもソードスキルを使っていた、その状態で剣の脆弱部位にあてるなど出来るのか?シリカは疑問に思い、ユウキに訪ねてみた。

 

「ユウキさん、今のは!?」

 

「ソードスキルの出始めと終わりの攻撃判定がない状態で脆弱部位にソードスキルを当てると起こる現象だよ、アームブラスト《武器破壊》って、言うんだ。一応ぼくも出来るけど、キリト程鮮やかにはできないよ。」

 

「そんなのありかよ。」

 

「ありなんだよ!たった経験や数値の差でここまで離れるのが、レベル制MMOゲームなんだ!」

 

ロザリアはキリトが話している最中に腰のポーチから転移結晶を取り出していた。

 

「転移!」

 

ロザリアが叫んだ瞬間、物凄い速さで動いている人物がいた。

 

「おばさん、ぼくがこの距離で逃がすと思った?」

 

言いながらユウキはロザリアの首に剣を突き立てていた。

 

「な、なにをする気!?私を傷付けたらあんたもオレンジになる!」

 

「そんときは、おれがこいつを守る。あんたらはここで死にたくなかったら、この《回廊結晶》で黒鉄球の監獄エリアに飛んで貰う」

 

「嫌だと言ったら?」

 

グリーンのプレイヤーが笑いながらキリトに聞いた。

 

「全員殺す。と、言いたいがこの毒がついた剣で切る、レベル5の麻痺毒だ、10分間動けないぞ、10分もあれば全員投げ込むなんて簡単だ。」

 

もう声をあげるプレイヤーは居なかった。

 

「コリドー・オープン」

 

回廊結晶は砕け、ポータルが出来た。

ロザリアの仲間は自分から足を運んだ、無言で入った者、毒づきながら入っていった者もいたが、ロザリアは頑として動かなかった。

 

「で、あんたはどうする?」

 

「行ってたまるかい!!所であんたら私と組まない?あんたらだったらどんなやつでも」

 

言葉は最後まで続かなかった、ユウキが堪忍袋の緒が切れたのか、ロザリアをポータルに全力で投げ入れた。

 

シリカはユウキとキリトと一緒に風見鶏亭内に入った。

 

「やっぱり、戻るんですか?」

 

「ああ。」

 

「うん。」

 

「二日も前線から抜けちゃったから、戻らないと。」

 

「あの!私」

 

「レベルなんて飾りってキリトが言ってたでしょ♪」

 

「さ、ピナを呼び戻してあげよう。」

 

「はい、でもその前に私とフレンドになってくれませんか?」

 

「「良いよ♪「ぞ」」」

 

シリカはキリトとユウキとフレンドになり、プネウマの花とピナの心を出した。

 

「その中の滴をかければ、ピナは生き返る。」

 

「はい」

 

(ピナ、いっぱいお話ししてあげるね。今日の沢山の出来事を)

 

シリカは笑い、涙をこぼした


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