黒と紫のソードアートオンライン   作:壺井 遼太郎

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第二層ボス攻略

ボス攻略の連絡が来てから1時間後

 

キリト達攻略組はボス部屋目指して迷宮区の奥深くまで来ていた。

 

「なんでおれたちは会議に呼ばれなかったんだ。」

 

「βテスターなんだから会議に出さなくても良いって、ALS側から意見が来たんだって。」

 

先日、強化詐欺の一件からユウキがレジェンドブレイブスの事を聞いていた時に、攻略組が二つの勢力に別れていることがわかった。

ディアベル率いる、ドラゴンブリケードナイツ、通称DKB

対してキバオウ率いる、アインクラッド解放隊、通称ALS

 

どうやら、第一層でおれとユウキのことがいざこざの原因となり、今のDKB側がLAを取られたことを、今のALS側が「攻略出来ればLAなんぞくれてやったれ!」との意見の口論により、攻略組は二つに分断しているところにレジェンドブレイブスのチームが攻略組に入った、という事になっていた。因みにどちらにも攻略組の半分は行ったものの、どちら側にも属せず中立にいるメンバーがいるらしく、聞いてみれば、アスナとエギルのパーティーらしい。

 

「なんか、おれたちのせいで攻略組が二分されたなんて、なんかいやだな。」

 

「そうだね、ぼくたちはただ、戦線が崩れかけたからボスを倒したからね。」

 

「それが問題になったんだろう、なんせおれとユウキが奇跡的にLAをとっちゃったからな。」

 

何億万分の一の確率でシステムがおれとユウキが同時の《バーチカル・アーク》により、コボルドロードから、二つのユニーク品がおれとユウキにドロップし、それが今現在装備している、黒と紫の《コートオブ・ミッドナイト》だ。

 

そうこう話している内にボス部屋前の扉に到着した。

 

「ジブンら!絶対に一人も死なずに第二層にいくでー!」

 

キバオウが音頭を取った。

 

「おー!!」

 

「ほな、行くで!」

 

キバオウが扉を開けた。

 

部屋に照明がついた瞬間に、2体のボスが現れた、《ナト大佐》、《バラン・ザ・ジェネラルトーラス》2体共に2m半を越える巨体だ。

 

「行くぞ!!」ディアベルが叫んだ同時にボスも、攻略組も動き出した。

 

「スイッチ!!」

 

「はぁ!」

 

ボスの行動パターンは単純だった。《ナミング》と、武器を使った攻撃だけで、大佐のHPは2本、バラン将軍は3本だけだった、弱点は頭なのだが、2m半を越える敵なので、頭は狙えない。だが、後ろに回って攻撃を繰り返すだけで大佐と将軍の体力はイエロー間近になっていた。

 

「喰らえぇぇ!」

 

将軍の体力はイエローになった、こちらも負けずに大佐の体力をイエローにした。

 

(このままだったら、一人も死なずにクリア出来る。)確信を持った瞬間、部屋の真ん中に光が走り、モンスターが出現した。

 

《アステリオス・ザ・トーラスキング》

 

(HPが6本!?、こいつはβでは出ていない!βテストからの変更!?大佐と将軍の体力をイエローに落とすと出現するのか!?)キリトは撤退しろと伝える為に、今出せるソードスキルに最大のブーストをかけて大佐を倒した。

 

王様が突然現れたことにより焦るのが目に見えてわかった。

 

将軍に回り込まれ、ユウキとキリトは退路を作る為に将軍を倒すことを専念した。

キリトとユウキはソードスキルのバーチカル・アークを発動したが、倒しきれなかった。

だが、キリトは左手で体術スキルを発動した。体術単発技《閃打》を発動させ、残っていた、将軍の体力を削り取った。

 

だが、僅かなディレイの間に王様のブレスをくらい、デバフが発動した。

デバフがスタンなら一時的に動けないだけで済んだが。発動したデバフは《麻痺》が発動した。《麻痺》はポーションを飲めばすぐに治るが、飲まないと、時間経過でしか回復出来ない。

 

「キリト!!」

 

「駄目だ、来るなユウキ。」

 

キリトが倒れたのを見たユウキは、キリトを守るために走っていた。

 

「キリトは絶対にぼくが守る!!」

 

王様は口を上にあげた、先程のブレスの前兆だ。

 

(せめて、ユウキだけでも、)

 

キリトは防御の体制に入ってるユウキをどかそうとした、だが、麻痺のせいで体が動かない。死を覚悟したキリトは(ユウキだけは守る!!)キリトは麻痺状態にも関わらず、ユウキを横に飛ばした。

 

「な!?キリト!?」

 

投げたキリトはもう目を閉じていた。ブレスを口から発車する直前、

 

かぁん!!と甲高い音を放った、目を開いたら目の前にあったのは、王様に丸い金属製の武器だった。

キリトはあれを見たことがあった、モンスターからのレアドロップのチャクラムだ、だが、キリトはあれはある人物に渡していた、チャクラムは見えない糸があるかのように、Uカーブして戻っていった。

 

チャクラムを持ったのは、ネズハだ。

キリトはチャクラムをネズハに渡し、体術スキルを覚えるようにマップデータを渡していた、体術スキルを覚えるように指示したのはチャクラムを使うためだ、あのチャクラムを使うには、投擲スキルと体術スキルの両方が必要なのだ 。

 

キリトは誰かに抱き上げられ、ネズハはこちらを見て、叫んだ。

 

「ぼくがボスを引き受けます!!その内に回復を済ましてください!!」

 

その言葉に被さるように声が聞こえた。

 

「すまねぇ、オレとしたことが足がすくんじまった!」

 

エギルは謝罪しながらキリトを運んでいた。

 

またもや、ブレスの前兆を示すように上を見上げた。だが同時にネズハのチャクラムが頭に当たり、王様がスタンした、

 

「ブレスを吐く直前に王冠の宝石が光んダ、光った時に王冠の宝石に攻撃すると、スタンするんダ。」

 

そう言い、口に消痺ポーションを突っ込んできた人物はアルゴだ。

 

「キー坊、ユーちゃんを守るためだからといっテ、自分が死んだら、ユーちゃんを泣かしちゃうだロ。」

 

キリトは後ろを振り向くとユウキはキリトを見て、泣きそうになっていた。

 

「キ、キリトの、ばかぁ。」

 

嗚咽まじりでユウキはキリトを怒った。

 

「ごめん、ユウキ。」

 

「いちゃつくのは後にしロ、もう麻痺は消えてるゾ。」

 

HPバーは、麻痺を示すアイコンが消えていた。

 

「行くぞ!!ユウキ!!話はボスを倒し終わってからだ!!」

 

ユウキは顔を拭ってから、

 

「うん!!」

 

「「うおぉぉぉぉ!!」」

 

キリトとユウキはタゲを取っていたネズハから、自分達に移し、攻撃を始めていた。

 

二人に連れて、「行くぞー!!」と、攻略組全員が突撃を始めた、攻撃している最中キリトの視界左側にログが現れた。

 

片手剣の熟練度が150になりました。

 

キリトはβテストの時に目に焼き付いたスキルリストが頭に流れた。

 

「うぉぉぉぉぉ!!」

 

キリトは気合いを入れて、片手剣水平四連撃《ホリゾンタル・スクエア》を放った。

 

「グォォォッ!!」

 

王様は断末魔をあげ、爆発した。

 

congratulation

 

「よっしゃー!!」攻略組のメンバーが大声をあげた。

 

だが、攻略組の一人がネズハに話しかけた。たしか、シヴァと言う男だった。

 

「お前、あの時の鍛冶屋だったろ。その武器、たしかモンスタードロップだったよな。」

 

その時キリトが、先程の攻撃の最中にネズハが言っていたことを思い出した。

 

(ありがとうございますキリトさん、これでもう思い残すことはありません。)

 

キリトはその言葉を思いだし、ネズハが何をしようとしているか悟った。

 

「ナタク、君は」

 

ネズハ、いやナタクは、ここで粛清を受けるつもりなんだ。

 

「ナタク!!やめ」

 

キリトが言い切る前にネズハは大声をあげて、強化詐欺の内容について喋り始めた、キリトの言葉はネズハに遮られた。

 

ネズハの話を聞きシヴァと言う男は口を開いた。

 

「なら、その金でおれたちの剣を買い戻せるか?」

 

「いえ、そのお金をぼくは宿屋代と食費にして、殆ど無くなりました。」

 

「お前!お前ぇぇぇ!」

 

シヴァは怒りながらネズハの胸ぐらを掴んだ。

 

「わかってるのか!!おれたちが剣を目の前で壊された気持ちが!!最前線にもう戻れないかと思ったんだぞ!!」

 

「はい、わかってます。」

 

シヴァは手を放した。

 

「もう二度とこんなことをするな。」

 

「ちょっと待て!!それだけじゃない!!」

 

誰かが、声をあげて会話を遮った。

 

「それだけじゃない!!そいつに武器を壊されたプレイヤーがそいつに渡された武器で、今まで倒せた、モンスターに殺されたんだ!!」

 

ボス部屋が静まりかえった。

 

「そ、そんなの、pkじゃねぇか!」

 

広場から、殺せぇ!、等の声があがった、その中で剣を抜いたプレイヤーがネズハに近づいた。

 

「オルランド。」

 

ネズハの口からオルランドの名前が出た、オルランドは剣を上に掲げた、ネズハの体力は4発攻撃されれば、ネズハのHPは無くなる。ユウキが止めに入ろうとした直前に、4人のプレイヤーが出てきて、オルランドが剣を投げ捨てた。

 

「え?」

 

ネズハは訳がわからずに声をあげていた。

 

そして5人は全員に向けて土下座をした。

 

「ネズオは、ネズハはおれたちの仲間です、強化詐欺をさせたのはおれ達です。」

 

第三層に向かう階段の途中

 

「良かったね♪」

 

「あぁ。」

 

「でもキリト、なんでさっきはぼくを突き飛ばしたの?」

 

怒りながらユウキはそう聞いてきた。

 

「いや、おれが死んでも、ユウキを死なせたく無かったからなんだ。」

 

「あ、ありがと。//」

 

ユウキはお礼を言って、あることを考えていた。

 

(やっぱりぼくはキリトのことが好きだ//キリトはぼくが絶対に守る!!)

 

そう決めたユウキだった。




他のと比べると圧倒的に長いです。
次回は月夜の黒猫団です。

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