第二層の扉前
おれとユウキは第二層に続く階段を登り終え、第二層の扉の前にいた。
「え~と?たしかここら辺に、あった。」
「なにを探してるの?」
「彫刻だよ、扉には彫刻が掘ってあって、その彫刻がその層のテーマみたいなものなんだ」
「へぇ~?そうなんだ?」
彫刻には牛が彫ってある。
「次は牛の層だな。」
「どんなフロアなんだろ♪」
前人未到のフロアの筈なのにユウキは気になると言うより、ワクワクしてるな。
「じゃあ、開けるぞ。」
キリトは扉に手を当て、扉を開けた。
第二層フィールド
「わぁ、一面草原だらけだね♪」
「ここは第一層は森や沼が多かったけど、ここは草原と谷、森のフロアなんだ。」
「じゃあ、速く迷宮区が見つかるね。」
言いながらユウキは走り出していた。
ユウキはこのフィールドが気に入ったのか、はしゃいだり、坂を滑り落ちたりしている。
見るだけでも癒されそうなぐらいの美少女なのに。
(はしゃぐ姿を見ているだけでも、疲れがとれそうだな。)
と、キリトが考えていたら、ユウキがこっちに慌てて戻ってきた。
「わぁ!キリト助けてぇ!?」
ユウキは走っていたのはいいが、目の前に敵がポップし、こちらにダッシュで戻ってきた。
追っているモンスターは《トレンブリング・オックス》雄牛だからか、攻撃が《カウ》雌牛より強い、しかもターゲットに一回でも取られると、ものすごく長い時間、距離まで追いかけてくる。
「ユウキ、すぐ近くに主街区がある!!そこまで走るぞー!」
「えええぇ!それって、大丈夫なの!?」
「大丈夫だ、圏内ではHPが減らないし、モンスターが入ろうとすると、鬼強い門番NPCが倒してくれる!!そこまでおもいきり走れー!」
そう言っているうちに主街区が見えてきた。
「飛び込めぇ!!」
飛び込んだ瞬間、圏内に入った情報が視界内に現れ、《トレンブリング・オックス》はいきなり現れた、門番NPCによって、一瞬で排除された。
「うわぁ!?」
呆気に取られたユウキだったが、自分達がやることを思い出したのか、キリトと一緒に、転移門広場に向かった。
「キリト、転移門のアクティベートって、どうやるの?」
「あぁ、違う層の名前を転移門に入力したら、どこの村にでも転移出来るよ。」
と言い始まりの街を入力し、アクティベートを終了した。
「これで、今は第一層の転移門がある、村や街に転移出来るよ。」
「じゃあ、次はどうする?」
「宿屋に行って休もう、もう疲れた。」
「そうしようか♪」
ユウキは近くの宿屋に入り、部屋を頼みその部屋に入った。
だが、その部屋にはベッドがひとつしかない。
「どうする、ユウキ?」
「じゃあ、一緒に寝ようか♪」
多分、ユウキはボス戦の後に、主街区に走り出したんだ、疲労がたまって思考回路が纏まっていないんだ。
キリトも疲れていたため。
「もう、それでいい」と、言って一緒に19時まで寝てしまった。
19時
「お~い!!キリト~、そろそろ街に行くよ。」
「う~ん。」
とキリトを揺すったが、キリトがユウキの腕を掴み、ユウキが抱き枕にされてしまった。
(ええぇぇ!?!?キリトが抱きついて動けない!?どど、どうしよう!?)
ぼくが頭の中でどうするか考えていたら、キリトが目を覚ました。
「ふぁぁ!んん?わぁ!ご、ごめんユウキ今すぐ放す!!」
キリトはぼくから手を放して、後ずさって、土下座をした。
「ごめん!!ユウキこの通り!!」
「ああぁ!?いいよ!いいよ!」
お互い混乱しながら会話を続け、5分後に街に出ていた。
(う~ん?ぼくの頭からキリトが抱きついたことが離れなれない~。)
ぼくはさっきの件があって、キリトとまったく会話が出来ていない。
そうしたら圏外の方で誰かが追いかけられてるのが見えた。
「ねぇ、キリト圏外で誰かが追われてる!!」
「なに!?今すぐ行くぞ。」
(あのローブに移動の速さ、しかもあの小ささは!?)
ようやく追い付いた。
ぼくは今すぐに助けようとしたけど、キリトに止められた。
「どうして!?」
「よく見ろ、追いかけてたのはプレイヤーだ。」
「でも、なんで!?」
「ユウキ、お前に話してなかったが、圏外でプレイヤーにダメージを与えたら、カラーカーソルがオレンジになって、圏内には暫く入れなくなる。」
説明していると声が聞こえた。
「だから、エクストラスキルの情報を売ってほしいだけだ!ちゃんとお礼はする、だから、売ってくれ!!」
「駄目ダ!これを教えて恨まれたくなくないからナ!!」
エクストラスキルだと!?
「いい加減ニ!」
言いながらアルゴが隠蔽スキルを発動した。
「どこに行く気」
「ブルゥゥ!」
気付いたのか後ろを振り向くと、トレンブリング・オックスが雄叫びをあげた。
「「うわぁぁぁぁ!」」
二人のプレイヤーは逃げていった、
「アルゴ、大丈夫?」
いつから気づいていたのか、ぼくたちを見ると笑って答えた。
「ああ、ありがとナ」
「なぁ?エクストラスキルってなんのことだ?」
「恨まないと言うなラ、教えル」
「「恨まない」」
「βテスターのキー坊なら知ってるだろう、《体術》スキルのこと」
「あぁ」
「第二層ではその体術スキルを受けられるんダ。」
「なに!どこでだ。」
「ついてこイ。」
近くの洞穴に隠し扉があった。
「この扉の先に小屋があってその中の老人にクエストを受けられル。」
ドアを開けたら、老人がクエストフラグを示したクエスチョンマークが出た。
「我が試練に受ける覚悟があるのか?」
「ええ、ぼくたちその試練を受けます。」
キリトの言葉を聞かずにクエストを勝手にユウキは受けた。
受けた瞬間老人は胴着の中から墨を取り出しユウキとキリトの顔に塗った。
速乾性なのか水で洗っても落ちない、この時ユウキは何かを察した。
「アルゴ、βテストの時にこのクエストを受けたんだね、でもクリアを諦めてβテストの続きを受けたんだ、それで鼠のアルゴって、名前がついたんだ。」
これを聞いたアルゴは指を鳴らした。
「正解!いやぁ、エクストラスキルの情報に、おれっちのひげの情報がわかったナ!ならついでに教えといてやるヨ、このクエストは岩を壊すクエストだが、それは素手で壊すんダ、しかもその岩破壊不能(immortal object)の一歩手前の固さだヨ。」
「じゃあ、最後にぼくたちのひげってどうなってるの?」
先程から黙って聞いていたキリトもそれには反応していた。
「う~ん、ユーちゃんは細くて長い子猫みたいだナ、キー坊は、キリえもんだナ。」
「な!?」
「あ、ほんとだ!」
「にゃはははははは!」
「アハハハハハハハ!」
ユウキとアルゴは押さえきれずに、お腹を抱えて笑っている。
ユウキとキリトはクエストを3日かけてクリアした。