剣姫と白兎の物語   作:兎魂

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ベルはアイズの背中が見えなくなるまでバベルの前から動かなかった。


35 白兎

(アイズさん、さっきちょっと変だったな。どうしたんだろう)

 

先ほどのアイズの表情は鬼気迫るものだった。無論キスうんぬんの前の表情である。

ベルの脳内ではティオナの額にキスした、されたことよりもアイズのあの表情が離れなかった。

 

「ベル!」

 

ベルが後ろを振り返るとベルの今のパーティーの仲間である3人が立っていた。3人も遠征に行く皆の為に見送りに来ていたようだ。

 

「あ!皆さんおはようございます!」

 

「あんたさっきアイズさんたちと......いや、何もいうまい......」

 

先ほどのベルとティオナやアイズとのやり取りを見ていたのでいろいろ言いたいことはあったがリリーは口をつぐんだ。

 

「あの、何か?」

 

「拙者にも再開のち、誓いを......」

 

「ベル、我と契りを交わすなら接吻を許すことを考え......な、なくもない......」

 

ベルと再開の誓をする姿を妄想して二人は頬を染めた。

 

「あんた達......恥ずかしがるならいうのやめなよ......」

 

 

ベルは3人の行動がよくわからず首をかしげていた。

 

「そういえば今日の予定を聞いていなかったんですが今日はどうしますか?」

 

いつもは黄昏の館の前に集合してダンジョンに潜っている時間だったが今日は見送りがあったので何の用意もせずバベルの前にいる。

 

「今日は今から武器や防具のを見に行くのとアイテムの補充かな。ベルも一緒に行くかい?」

 

「僕も一緒に行っていいなら行きたいです!そういえば皆さん武器や防具はどこで買っているんですか?」

 

ベルの装備は貰ったもの以外はほとんどがヴェルフにオーダーメイドで作ってもらっていた。

 

「我らはバベルのヘファイストスファミリアが作っているところで購入している。まだ我に見合う装備を献上する輩は現れぬのでな」

 

「ルナ......そろそろベルの前でも普通にしゃべってもいいんじゃないかい?」

 

「!まだ......恥ずかしいから、ごにょごにょ」

 

先は長そうだねっとリリーは溜息をついた。

 

「あのー皆さん、決まった鍛冶師の方がいないのでしたら僕の友達のところにいってみませんか?最近鍛冶のアビリティも手に入れてすごくいい装備を作ってくれるんですよ!」

 

ベルは自分の事のように......そして嬉しそうに相棒であるヴェルフの話をした。

 

「ベル、おまえもう専属の鍛冶師がいるのか。それならウチらも見に行ってみるか」

 

いいよな?とリリーは他の2人に視線を向けると二人はなんの躊躇いもなく頷いた。

 

「それではご案内します!ヘファイストスファミリアから少し離れてはいるんですがついてきてください!」

 

 

この4人でのパーティーも大分慣れて会話も自然にできるようになってきた。連携も以前より練度が増し、ロキファミリアのレベル1、レベル2混成パーティーの中では上位に食い込むことだろう。ただ、お互いにまだまだ隠している力があるのではっと周囲からは言われている。

 

リリーにしてみてもいつもは大剣を使用しているが格闘の技もかなりの実力だという噂もある。刹那は東方の出身で侍に憧れる前は隠密行動を主とする部族に属していたらしい。ルナは言わずもがな、自ら五感の一つである視覚を眼帯で隠しているし魔力に秀でた一族であるエルフの中でも貴族に分類される種族の出身だ。皆何かしらの理由があり、今の戦闘スタイルをとっている為理由は深く追求できないがベルはいつか話してくれるのではと思っている。

 

テクテクと歩くこと十数分、ヴェルフにあてがわれた工房が見えてきた。

 

「ここが僕の友人のヴェルフの工房です!」

 

(((......ここが?)))

 

そこはお世辞にもきれいとはいいがたい場所だった。周囲は草が生えているし壁が一部壊れていたりと女性である3人にとっては警戒しかない。

 

 

「ヴェルフー!いるー?」

 

工房の扉をベルがノックした。中から男の声が聞こえる。

 

「おお!ベルか!この前頼まれた籠手ができてるぞ。入れ入れ!」

 

ベルは後方で固まっている3人に手招きをしてヴェルフの工房へと足を踏み入れた。

 

「ベルよく来た......な。誰だそいつら?」

 

ヴェルフはベルの方に目を向けると見知らぬ女性が3人も入ってくる状況に驚いていた。

 

「ヴェルフ!今日は今僕がパーティーを組んでもらってるロキファミリアの皆さんを連れて来たんだ!」

 

そういうとベルは3人を紹介した。

 

「ベルの仲間か、よろしくな。俺はヴェルフ。ベルの専属の鍛冶師として契約をしている。レベルは2で鍛冶のアビリティも持ってる」

 

「ヴェルフすごいよね、あっという間にレベル2になっちゃうんだもん!」

 

ヴェルフはベルと契約をした日から団長である椿からの拷問のような訓練を受けていた。共にダンジョンへ籠りモンスターを倒し続けた結果、無事にレベル2になり鍛冶のアビリティーをゲットしたというわけだ。

 

「俺はレベル1でくすぶっていた時期が長かったからな。それに一人でダンジョンに潜って死ぬような経験は何回もしていたしな。それより今はおまえがどんどん装備を摩耗させるから鍛冶の腕がメキメキ上がってるよ」

 

苦笑しながらもヴェルフは楽しそうだった。装備をみればどれだけベルが訓練を頑張っているか分かるからだ。ベルが頑張れば頑張るほどヴェルフもそれに対抗していい装備を作る。相乗効果は絶大だ。

 

「それより3人共、ここの工房にある武具で何か使いたい物があれば言ってくれ。調整してやる、ベルも籠手を着けてみてくれ。お前の手には合わせてあるが違和感があったら調整する」

 

「大丈夫だよ、いつもみたいにばっちりだよ!」

 

「まあお前の為の防具何個作ったかわからねえからな。兎鎧(ぴょんきち)ももう何代目か......」

 

あははっと乾いた笑い声をあげるベル。

 

「この大剣なんだが、使ってみても?」

 

リリーが立てかけてあった大剣を手にして重さの確認をしていた。

 

(この工房の外見からは想像もできないくらいいい武器が揃ってるな。ならば何故こんな場所に......?)

 

「ああいいぜ、そうだな。俺の依頼を聞いてくれるなら一人一個武器でも防具でも持って行っていいぜ!」

 

「ホントでござるか?拙者この防具が使ってみたいでござる!拙者が使用しているこのような刀はここには無いようでござるから」

 

「ああーそういう武器はまだ造ったことないな。悪い。どちらかといえばそれは椿が得意にしているからな。俺でよければ今回依頼する内容に材料追加していいなら作ってやるが?」

 

皆の方を振り返ると問題ないと頷かれた。ベルの装備を作っているということは何階層まで潜れるかわかっているということだからだ。この後消耗品を買って準備してからいけばいい。

 

「我はこの漆黒のマントがいい。我の体から溢れるオーラを消すにはちょうどいい」

 

「??あ、ああ。それが気に入ったのならサイズの調整するから待っててくれ」

 

(面白い言い回しをするやつだな......)

 

その後、4人の装備の調整を行った。多少の調整だけで装備はすぐに使えるようだ。

 

「じゃあこの紙に書いてある物を持ってきてくれ、全部上層で手に入れられる筈だ」

 

「わかったよヴェルフ!行ってくるね!」

 

「ああ、そうだベル!お前剣姫はいいのか?タイプは違うがそんなかわいい子ばかり連れて怒られないのか?」

 

「ええ!?たしかに皆さんかわいいですが......というよりアイズさんに紹介してもらったから怒られないと思うけど」

 

「そうなのか?だってお前剣姫がっっ」

 

ベルはヴェルフの口に手をあてそれ以上はしゃべらせなかった。ただそのやり取りは後方の3人には見られていない。なぜなら、純粋に何の企みもなく相手を褒めるベルのかわいいという言葉に照れてそれどころではなかったのだ。

 

(べ、別にベルにかわいいなんて言われたってウチはうれしくないし......)

 

(ベルにかわいいっていってもらえたでござる!)

 

(......恥ずかしい......)

 

 

(天然のジゴロってのはいろんな意味で怖いな......その内後ろから刺されないか心配だ。背中を護る防具ももう少し考えるか)

 

 

ヴェルフの工房を後にした4人は行きつけの青の薬舗へ行きポーション類を購入した後装備を整えダンジョンへと向かった。

 

 

「皆用意はいいか?まずは12階層まで下りて依頼にある物を採取する」

 

リーダーであるリリーが皆に指示をだした。

 

「上の方にある物は採取していかないんですか?」

 

「ベル、上で採取した物を持って12階層に降りるより先に降りて登りながら採取した方が効率がいいだろ」

 

「さすがリリーさん!」

 

「ふん、行くよ!隊列は前衛ウチ、中衛刹那、次にルナ、最後尾をベルが担当してくれ」

 

 

「「「はい」」」

 

各自各々の役割を忘れてはいけない。それは上層でも、中層でも、深層でも変わらない。ルナのような近接戦闘は苦手だが魔法が強力な団員は極力周囲の団員が壁となり魔法を発動させる時間を稼がなければならない。魔法使いはそんな自分を護ってくれる皆を救うのが仕事だ。

 

12階層

 

「ここまでは問題なく進んでこれたねっと!全員戦闘体制!」

 

12階層は霧で見通しが悪くモンスターの接近を許すことが多いが、レベル2の感覚器官は少しの足音や息遣いを見逃さない。

 

「オーク3匹!インプ5匹。各自戦闘に移れ!」

 

リリーは地面を蹴りオークの群れに飛びかかって行った。先ほどヴェルフのところでもらった大剣がオークの巨体に食い込む。

 

ザシュッ

 

ズズーンッッオークの巨体が地面へと倒れた。3体とも......

 

ルナを護衛する刹那は見ていた。圧倒的なスピードで周囲を取り囲もうとしたインプを蹴散らしオークに止めを刺さないまでも足の筋を切り付け無力化したことを。以前にも増してスピードが上がっている、それに迷いもない。

 

いつ詠唱したか分からないがベルは雷の魔力を帯びていた。ベートに貰った靴の効果もあるが飛躍的に上昇したスピードはこの魔法の力だろう。

 

「ベル、おまえ今のどうやったんだ?」

 

リリーがオークに止めを刺し、ドロップアイテムを回収しながらベルに話しかけた。

 

「実はですね、前からずっと練習してきた技がありまして。それが上手くできるようになったので実戦で使用してみました。技自体はベートさんのお墨付きですしロキ様に名前も付けていただきました!」

 

実際に毎朝血のにじむような鍛錬をしてようやく自分のものにできた技術である。誰よりもはやく仲間の元へ行き護れるように。ベルが速さにこだわる理由はそれが一番大きいだろう。速さだけでいいものではないがベルのステイタスと技術なら上層の敵ならば問題はない。

 

「今の戦闘拙者たち何もやってないでござるー......ベルはもうちょっと仲間を頼ってもいいでござる」

 

「同意」

 

出番のなかった刹那とルナは不機嫌そうだ。ベルの気持ちはパーティを組んでいてわかっているが、異常なほどに仲間が傷つくことを恐れているように見える......

 

「す、すみません」

 

ベルは申し訳なさそうにぺこりと頭をさげた。

 

「もちろん信用はしているんですが......ごめんなさい」

 

「わかってるでござる。ただひとつ言えるのはいつかいったことがあるかもしれないでござるが、ベルが拙者たちを護りたいと思ってくれてるのと同じく、拙者たちもベルを護りたいんでござる。それが仲間でござる」

 

 

ニパっとベルの方を向いて笑う刹那の笑顔にベルはドキッとした。

 

「全く、ウチのセリフ全部言われちまったね。つまりはそういうことだ。ウチらは仲間だ。今の刹那の言葉忘れるんじゃないよ!」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

 

 

しばらく12階層11階層で素材を集めたのちバックパックの限界が近づいたため更に上に戻ることにした。

 

 

 

ダンジョン8階層

 

「ひっっ」

 

小柄な小人族(パルゥム)の少女が冒険者から暴力を振るわれていた。

 

「てめえ、このくそパルゥムが。そんなに死にてえのか」

 

「あうっ」

 

少女は男に腹を蹴られて床を転がった。

 

(りりが.....りりが何をしたっていうんですか)

 

「盗みを働いてることはもうわかってんだよ、くく、ここはダンジョンだ。死んでもモンスターに殺されたと思うはずだ」

 

剣を振りかぶった男が少女に危害を振るう瞬間

 

「旦那ぁ、いけませんな。他ファミリアへの暴力行為は」

 

「てめえはカヌゥ、なにしやがる」

 

カヌゥと呼ばれた獣人の男はどうやらこの少女の仲間のようだ。それにしても先ほどから背中に何かを背負ってる。

 

「ひっっ」

 

少女がカヌゥの背中にキラーアントの首が背負われていることに気が付いた。

 

ぎちぎちぎち

キィーキィーと嫌な音を立てている。

 

キラーアントは巨大な蟻のような姿をしておりレベルの低い冒険者にとっては強敵である、その固い殻は刃を通しにくくもっとも厄介なのは......

 

「てめえ、なんてもんもってやがる。そんなことしたら......」

 

「ええっ早く逃げた方がいいですぜ」

 

にやりとカヌゥは嗤った。

 

 

キラーアントの最大の特徴は瀕死になると大量の仲間を呼び集めるということだ。カヌゥがどこから持ってきたかはわからないがすでに辺りには大量のキラーアントの群れが集まり始めていた。

 

「ちっくそがぁーーーー」

 

剣を鞘にしまいまだキラーアントが集まっていない場所から男は逃げ出した。

 

「あぁ、そっちには罠を仕掛けさせてもらいやした......」

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ......」

 

遠くの方から先ほどの男の絶叫が聞こえた。

 

「あ、ありがとうございます。カヌゥさっっ」

 

「アーデ!助けてほしいだろ?ならさっさとだしな。お前が数多くの冒険者から盗みは働いて溜めこんでるのはわかってるんだ。こいつらに食い殺されるなんて嫌だろ?」

 

絶望した彼女は助かる為に一つのカギを取り出した。

 

「ノームの貸金庫の鍵です、盗んだ物は宝石にして溜めてありまっっ」

 

ぶちっと少女の首にかかっていたカギを奪い取るとカヌゥは立ち上がった。

 

「え?カヌゥさん?」

 

「ご苦労だったなぁアーデ。哀れなサポーター。最後に冒険者の俺たちのことを助けてくれ。それにデカい客を捕まえてな、おまえはもう用済みなんだ」

 

影に隠れていた他数人がカヌゥの周囲のキラーアントを薙ぎ払った。

ガシッと少女を掴むと離れた場所へと投げつけた。

 

「カハッ」

 

背中から叩きつけられた少女は息ができずにもがき苦しんでいる。

絶望に打ちひしがれる少女をその場に残して男たちは嗤いながらその場を去って行った。

 

(何が冒険者ですか......もう少しで、あと少しでソーマファミリアから抜ける為の、自由になる為のお金が集まったのに)

 

少女は両親が死んで以来、このソーマファミリアという地獄の中で生きてきた。弱い者は蔑まれ毎日暴力を受けた。その内に毎月お金を要求されるようになった。だから生きるために盗んだ。大嫌いな冒険者たちを騙して盗んだ。生きるために......

 

(りりの人生はなんだったんでしょうか......誰もりりに優しくしてはくれなかった。誰も信用できなかった。自分の力で自由を勝ち取らなければならなかった。でも、もう終わり、りりはここで死ぬ。きっと次目を開けたら幸せな人生がまってるはず、そう、きっと。昔読んだおとぎ話のように優しい王子様が助けてくれる......)

 

大量のキラーアントに囲まれた少女は涙を流しながら目を閉じた......

 

 

 

 

 

「あのー、リリーさん。何かおかしくないですか?」

 

「何が?」

 

「いつもならこの階層もっとキラーアントがいると思うんですが」

 

「そういえば全然出てこないね。後はキラーアントの殻が必要なのに、しょうがない、ちょっと遠回りになるけどこの階層の端にルームがあったろう、そこまで行くよ!」

 

ヴェルフに頼まれた依頼の為、キラーアントを探し始めたロキファミリアの面々。ルームに向かうにつれ妙な気配が漂ってきた。

 

「皆さん気が付きましたか?」

 

「この奥から大量のモンスターの気配がするでござる......」

 

「リリーさん、ちょっと僕先行して偵察に行ってきます!」

 

この中で一番敏捷性が高いのはおそらくベルだ。それにパーティーのリーダーが外れるのは好ましくない。

 

「わかった。何かあったらすぐに知らせに戻ってくれ」

 

ベルは頷くと一人ルームまで急いだ。ルームに近づくにつれ濃くなる気配、ベルは神経を集中させ気配を探った。

 

ルームについた時に目にしたのは覆い尽くすほど集まった大量のキラーアント。そして壁際には冒険者とみられる一人の少女が見えた。ベルには少女の助けてという声が聞こえた気がした......

 

瞬間ベルは魔法を唱えていた。

 

目覚めよ(テンペスト)(ドゥンデル)

 

 

雷の魔力に覆われたベルはキラーアントの大軍へと突っ込み少女の前へと躍り出た。

 

 

「大丈夫ですか?これを飲んで!」

 

ベルはレッグホルスターに入れていたポーションを少女に飲ませた。

 

「王子様......」

 

そういった後少女は気絶した。

 

(一体そうしてこんな状況に。いや、考えている時間はない)

 

 

 

(ドゥンデル)最大出力!

 

魔力を最大限にした状態で足へと魔力を溜めた。

 

【電光石火】

 

ベートにもらった靴のおかげもあるが意識を集中しなくても魔力を溜めた状態で動けるようにまでベルの技術は向上していた。速力の大幅な上昇、単純に早いというだけでキラーアントはベルに触れることさえできないでいた。数で勝るキラーアント達にもう一撃、

 

【ライトニングボルト】

 

ベルの手に集められた魔力はベルの声と同時にモンスターの群れへと放たれた。この魔法も以前からずっとベートと共に練習してきた物だ。実戦で使うのは今回が初めてだったがうまくいったようだ。

 

「ベル、無事か!?」

 

帰ってこないベルを心配して仲間達が迎えに来たころには大量にいたキラーアントたちはほぼ全て倒されていた。残ったのは大量の魔石とドロップアイテムの山だ。

 

「......ベル、説教は覚悟しておけよ?事情はその子みれば大体分かったけど一人で無茶しやがって」

 

ゴスッとリリーの鉄拳がベルの頭に振りおろされた。

 

「す、すみません。緊急事態だったのでっ」

 

ゴスッまたもや重い一撃がベルの頭におろされる。

 

「団長から聞いてると思うけど、基本ダンジョンでは他のファミリアには不干渉だ」

 

「わかっています。それでも僕は、目の前で失われようとしている命を見捨てることができません。すみません......」

 

「わかってるさ、おまえがそういうやつだってことはな。全く、心配かけさせやがって」

 

(これはウチらがもっと強くならないとな、それにしてもこの数は......ベルはまだウチらに本気は見せていないってことかい。自主練増やそう......)

 

「まあいい、とりあえずこの話は後だウチとルナはこの魔石とドロップアイテム拾ってくから刹那とその子を地上に送ってやりな」

 

「わかりました、刹那さんすみません」

 

「いいでござるよ!その子のケガももう回復しているはずでござるからとりあえず地上まで急ぐでござる」

 

ベルと刹那は一足先に地上へと帰還した。

 

「それにしてもこの子は装備もなくなんであんなところにいたんでござるか......」

 

「ですよね、考えたくはありませんがもしかしたら仲間に裏切られて殺されるところだったのかもしれません......そうなればこの子はもう死んだいると認識されているはずなので、楽観的ではありますがもうああいうことはないのでは......と思います。とりあえずどうしましょうか。ロキ様に相談してもいいんですが、他ファミリアの問題という問題もありますし......」

 

 

「ええーじゃがまる君はいかがですかぁー!じゃがまる君はいかがですかー!おや?ベル君じゃないかい。どうしたんだい、女の子を抱えたまま」

 

「!ヘスティア様!いいところに!」

 

「ど、どうしたんだい?顔が近いよ......照れちゃうじゃないか」

 

「すすすすみません。とりあえず説明させてもらえますか?」

 

説明中

 

「なるほど、事情は理解した。僕のホームならしばらく誰にも見つかららないはずさ!それに僕には眷属がいないからね。ファミリア間の問題にはならないさ。保護しているだけだからね!」

 

「ありがとうございます!ヘスティア様!」

 

「じゃあ君たち、ついておいで!僕のホームに!」

 

 

 




いつも読んでくださっている皆さんありがとうございます。

今回は少々長くなってしましました。

......リリは助けたかったんです。それだけです<m(__)m>

次回はアイズ編2を書きたいと思いますのでお楽しみに!

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