剣姫と白兎の物語   作:兎魂

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オラリオは夕日に照らされる...


20 ベル・クラネルの一日 3

夕暮れのオラリオはダンジョンから帰ってきた者や夕食の買い出しをしに来ている人で溢れている。

ある者は仲間と共に今日のダンジョンでの成果を語り合い,

ある者は今日はどこで夕ご飯を食べようかと相談している者達もいる。仲睦まじく手をつなぐ男女が寄り添いながら歩いている姿もみかける...

 

「ベル、どこに行こうか」

 

ヘファイストスファミリアの帰りにアイズはベルとオラリオの街を散策する予定だったが自分からどこかへ行きたいと今まで考えたことのないアイズは回復薬などが売っている店や武具関係の店しか知らなかった。

故に今はただ二人で街を歩いている状態だ。

 

(ベルのこと案内しようと思ったのに...私この街のこと詳しく知らない...どうしよう...ベルも私なんかと歩くの嫌だよね...)

 

アイズは自分が案内するはずがうまくいかず自己嫌悪におちいっている。潤んだ瞳でベルの方を見るとベルの紅い瞳と目があった。

 

 

この雑踏の中でもアイズの姿はよく目立つ。金色の美しい髪は夕日を浴びてキラキラと光り輝いていた。その姿はどこか幻想的な雰囲気をかもしだしていてすれ違う人全てが振り返るような美しさだ。

そんなアイズの視線を浴びたベルは一瞬で赤面する。

 

(やっぱりアイズさん...かわいいなぁ...)

 

普段は普通に話せるようになってきているベルだがふとした瞬間に見せるアイズの表情は今まで見てきたどの人よりもかわいく見える。そんなアイズがどこに行くか困っていることを察知したベルは答えた。

 

「えと...僕はアイズさんと歩いているだけでも楽しいです...」

 

自分で言っていながら恥ずかしさのあまり後半部分は声が小さくなってしまっていた。

 

ベルの言葉に照れつつアイズも答える。

 

「そう...私もベルとこうしているだけで楽しい...よ?」

 

お互い頬を赤く染め手が触れるか触れないかという距離で道を歩いている。

誰にもぶつからないのは上手く周囲の人がよけてくれているようだ。

 

ぐぅっっベルのお腹がなる。

 

「ベル、お腹すいてるの?」

 

アイズはくすっと笑いながら問いかけた。

 

「えと...はい...朝あまり食べれなくて...お昼も食べなかったのでちょっとお腹すきました」

 

アイズは何か思いついたようでベルの手を握り歩き始める。

 

「もう少し行ったところに私のお気に入りのお店があるの...すごく美味しいからベルも気に入ると思う」

 

「どんなお店なんですか?」

 

「じゃが丸くんだよ」

 

「じゃが丸くん...?」

 

そんなやりとりをしている間に目的の屋台の前に到着した。

 

「じゃが丸くんの小倉クリーム味2つとプレーン2つください...今日はいつもの店員さんいないんですか?」

 

この屋台の常連でもあるアイズはいつもここで立ち話...(店員側からの一方的な愚痴)を聞いておりそれが日課になっていた為、あまり他人に興味のなかったアイズもその店員のことは覚えていた。

 

「今日はまだ来ていないのよぉ...全く遅刻してくるなんて減給ものね...」

 

屋台のおばちゃんも困った表情を浮かべている。

 

そうですかっとアイズはお金を払いじゃが丸くんを受け取った。

 

「はい、ベルの分」

 

じゃが丸くんの包みを手渡される。

 

「あ...僕お金払いますよ?」

 

そういってあわてて財布からお金を出そうとするベルだったがアイズに止められる。

 

「んと...じゃが丸くん食べたかったのは私だから...いいよ?」

 

アイズの好意を無下にすることもできずおろおろしているベルに助け舟をだした。

 

「じゃあ...今度一緒に来た時にベルが買ってくれたらうれしい...かな」

 

「わかりましたアイズさん!今度は僕が絶対買いますね!」

 

二人とも意識はしていないが他人がこの会話を聞いたら普通にデートをしているカップルの会話のようである。歩きながらじゃが丸くんを頬張る

 

「じゃが丸くんって揚げたジャガイモなんですね...周りはパリパリしているのに中はホクホクですごくおいしいです!プレーンもおいしいですけど...僕この小倉クリーム味すごく気に入りました!」

 

「私も小倉クリーム味が一番好きなの...同じだね。ベル、口の周りについてるよ?」

 

口の周りをこするがうまく取れないようで口の横についたままになっている。

こっちっとアイズが口の横のじゃが丸くんを取りそのまま自分の口に入れた。

 

「あああアイズさん!?」

 

「あ...ごめんね?嫌だったよね?」

 

ベルは今にも火を噴きそうなくらい赤面している。周囲の男から嫉妬の視線が浴びせられる...

 

「全然嫌じゃないです!けど恥ずかし...うわっ」

 

アイズの突然の行動に動揺していたベルは前方から走ってくる子供とぶつかって転んでしまう。

 

「ご、ごめんよ?大丈夫だったかい?バイトに遅れそうで急いでいたから...」

 

ベルは子供に押し倒されている状態だ、背は小さいのに目の前にたゆんと揺れるものに目が奪われる。

 

「そんなに見つめられると照れちゃうじゃないか...おおっと時間がないんだった。そこの屋台で働いているから今度食べに来ておくれよー」

 

そう言い残して女の子はかけて行った。屋台の方からおばちゃんの怒る声が聞こえてくる。

 

「ヘスティアちゃん遅いじゃないかい!」

 

「ごめんよおばちゃん...寝過ごしてさぁ」

 

そんな声が聞こえる。

 

「ベル...大丈夫?」

 

立ち上がりじゃが丸くんの無事を確かめ頷く。

 

アイズはベルの視線が女の子の胸に注がれていた事に気が付いていた。

 

「ベルもやっぱり大きい方が...なんでもない」

 

アイズは自分の胸に手を当てて何事か考えているようだ。

 

「今の人がアイズさんがさっき言ってた人ですか?すごくかわい...」

 

(ベルよ...女子と二人でいるときに他の女子を褒めるものではないぞ...)

 

祖父が昔教えてくれた知識が脳裏に浮かんだベルはハッとなり咳払いをして愛想笑いを浮かべる。

 

そんなベルを不思議そうに眺めているアイズだが特に気にしなかったようでもぐもぐじゃが丸くんを食べ始めた。

 

それから二人は黄昏の館までの道のりでアイズの知っている回復薬が売っているお店などを見物しながら歩いていた。

 

現在二人がいるのは食料品を扱う市場のようなところだ。

 

「僕ここ知ってます!ミアさんと食材の買い出しに来てました!」

 

「ベルって料理作れるの?」

 

「僕村でも作ってましたしミアさんにいろいろ教えていただいて結構得意なんですよ?」

 

「そ...そうなんだ...」

 

アイズは家事全般をほとんどしたことがないので料理などもちろん自分で作ったことはない。

 

「昔僕のおじいちゃんがいってたんですが女の子の手料理は男のロマンらしいので僕もいつか女の子の手料理食べてみたいですね...」

 

(むむ...手料理...)

 

そんな話をしていると市場の人達に声をかけられる。

 

「おや、兎ちゃんじゃないか!今日も買い出しかい?今日はオラリオ大根がお勧めだぜ!」

 

ベルはこの市場の人達にその外見から兎ちゃんと親しみをこめて呼ばれていた。

 

「今日はミアさんは一緒じゃないのかい?」

 

「随分とかわいい子を連れているじゃ...まさか剣姫!?もしかして兎ちゃん...」

 

ベルは元気よく答えた。

 

「はい!僕ロキファミリアに入団決定しました。皆さんいろいろと心配してくださってありがとうございました」

 

市場の人達とはいろいろな情報交換(世間話)をしていた為どこかのファミリアに入るまで豊穣の女主人で働いているという話を皆知っている。そんなことがありベルの言葉を聞いて市場の人達は歓声をあげる。

 

「うおーーー俺たちの兎ちゃんがあのオラリオ最強派閥のロキファミリアにはいったってよ!」

 

「もう豊穣の女主人では見れないのか...残念だけどおめでとう!」

 

「お祝いだ!これ持ってきな!」

 

そういって大きな鯛という魚を手渡される。

 

「ええ!?いただけませんよ!?こんな高い魚...」

 

ベルはこの魚が高額なのを知っている為手をぶんぶんふって遠慮している。

 

「いや俺たちみんな兎ちゃんのファンなのさ...このぐらいさせてくれよ!本当におめでとう!」

 

他のお店の人達もいろいろな食材を渡してくれる。ベルの両手は野菜や果物、肉、魚でふさがっている。

 

「ロキファミリアでは誰が料理作るかわからないけど全部持って行ってくんな!」

 

ベルは困った表情をしていたが今度お金を溜めて何かお礼をしようと考えこの場は素直に受け取ることにした。

 

「皆さんありがとうございます。僕これからロキファミリアで頑張ります」

 

そういってぺこりと頭を下げた。ベルの表情は照れがあるもののとても凛々しく見えた。

 

そんなベルをアイズは優しい眼差しで見つめていた。

 

(ベル...明日から訓練始まるけど一緒に頑張ろうね)

 

今からどうやってベルを訓練しようか考えると自然に顏がにやけている自分がいることにアイズは気が付いていない...

 

「あっ!」

 

ベルが唐突に声をあげる。

 

「ちょっとだけ豊穣の女主人に寄ってもいいでしょうか?ミアさんに合格したら報告しろと言われているの忘れていました」

 

ベルは怒ったミアの顔を思い出しプルプルしている。

 

「うん...いいよ、帰り道だしちょっと寄って行こうか」

 

そのまま道を歩いていき豊穣の女主人に到着する。まだ開店前のようで店の前でアーニャが掃除をしている。

 

 

「ごめんにゃ、開店はまだにゃ...にゃ!白髪頭!」

 

アーニャは驚いた表情を浮かべる。

 

「アーニャさん、ミアさんはいますか?ご報告に来たんですが...」

 

「にゃ、ちょっと待つにゃ!ミア母ちゃん白髪頭が女の子連れて来たにゃ!」

 

「ちょっ...アーニャさん、そんな言い方しなくても普通に呼んでくださいよ!?」

 

ベルはアーニャの微妙な言い回しにあたふたしている。するとミアより先にシルとリューの二人が店から出てきて二人に声をかけた。

 

「ベルさんお待ちしてました!その様子だと無事入団できたようですね。おめでとうございます」

 

「クラネルさん、数日しかたっていませんが以前よりいい顔をしているように見えます。おめでとうございます」

 

シルはベルとアイズの距離が心なしか近いような気がして内心むっとするがベルが元気そうなので気にしないようにした。リューも同様に気にしている様子を一瞬みせたがいつもの表情にすぐに戻り淡々と会話している。

 

するとノシノシとミアが店から出て顔を出した。

 

「ベル、いい顔になってるじゃないか!その顔見るだけでわかるよ。ロキ様んとこに入れたんだね。おめでとう。私がやった酒は飲んだかい?...というかなんだいその大荷物は?」

 

ベルは先ほどの市場でのやりとりを説明した。

 

「ああ...なるほどね。今度行ったら私からもお礼をいっておくさ」

 

「ありがとうございます!すみません、僕まだ飲む機会がなくてお酒飲んでません」

 

ぺこりと頭を下げる。

 

「いいさ、腐るもんじゃない。機会を見て飲んでくれればいいさ。ちょっと今手が離せなくてね、またこの店に食べに来ておくれ!」

 

ちょうど開店前の忙しい時間帯ということを忘れていたベルは慌てて頭を下げまた今度ゆっくり来ますといってシルやリューに見送られて店を後にした。

 

豊穣の女主人を後にして二人でテクテク歩く。

 

「そういえばロキファミリアの夕食は誰が作ってるんですか?」

 

「んと...同じファミリアの担当の人が持ち回りで作ってるの、自分たちで作れるスペースもあるから自分で料理することもできるよ」

 

ベルはふんふん頷いて時間の計算をしている。

 

「自分で食事が用意できるならこの食材痛んでしまうといけないので今日僕がお世話になっているみなさんに夕食を作りたいと思うんですがどうでしょう?」

 

「!ベルの料理なら皆喜ぶと思う...じゃあ急いで帰ろうか」

 

そういうと少し早足で二人は黄昏の館まで向かった。

 

 

 

黄昏の館

 

「アイズさん!僕これから食堂にいって夕食用意してきます!」

 

ベルは何やらウキウキしているのかテンションが高い...

 

「ん...わかった。じゃあ私はみんなに伝えておくね」

 

ベルはありがとうございますっと頭を下げて食堂まで食材を運んで行った。

 

(ベルの料理...楽しみ。私も料理勉強しないと...)

 

アイズは先ほどのベルの話をきいて手作りの料理を作ってあげようと考えており、密かに燃えていた。

戦うことより何倍も難しいと実感するのは少し先の話である...

 

 

ロキの部屋

 

コンコンっ扉をノックする音がする。

 

「だれや?入ってきてええでー」

 

アイズが部屋に入るとロキはなにやら資料に目を通しているところだったようだ。

 

「おお!アイズたんか!ベルとのデートはどやったん?」

 

にやにやしているロキの言葉にアイズは頬を染める。

 

「デートじゃない...ただ二人でオラリオの町を歩いただけ...」

 

(いやいやいや...それをデートっていうんやけどな...)

 

「そ...そか、まあ楽しめたんならええけど。アイズたん、たまにはウチともデートしてえな!」

 

「何もしないならいいけど...」

 

「...それは無理や!」

 

アイズは深い溜息をつく。

 

「そんな溜息つかなくてもええやん...まあええわ。んでどうしたん?」

 

アイズはベルとのやりとりをロキに伝えた。

 

「ぬおお!ベルの手料理!それは楽しみやなぁーー。わかった、ウチからフィン達に伝えとくでぇ!あ...それと忘れとったけど明日ベル連れてギルド行って冒険者登録してきてな!」

 

アイズは黙って頷いた。

 

(料理作るならもちろんエプロン姿やんな?よし!見に行こか!)

 

ロキはいやらしい笑みを浮かべている...

 

 

 

食堂

 

ベルは現在調理場に立っている。身に着けているのはフリルのついたエプロンだ。

なぜそんな恰好をしているかというと、今日の夕食担当の団員から料理をする時はこの服装で...という冗談を真に受けての事である。最初は多少抵抗のあったベルであるが調理をする内に気にならなくなり今では鼻歌交じりに調理している。そんな姿を食堂にいる団員達はほほえましく眺めている。

 

ざわざわ...食堂内が騒がしい...

 

「おいおい...ベルって本当に男だよな?かわいすぎじゃね?」

 

「鼻歌歌っちゃって...かわいいぃー!」

 

「ふむ...いい尻をしているな...」

 

なんだか危ない発言をしている者までいる。そこにフィン達にベルの料理の件を伝え終わったロキが脱兎の如く走ってきて声をあげる。

 

「こらぁーー皆ベルの邪魔になるやろ!おとなしく席についとれ!」

 

そういうとロキはベルが一番よく見える位置まで椅子を持っていき超至近距離で眺めている。

 

「いやいや明らかにロキの方が邪魔になんじゃ...」

 

「ああん?おまえら散々ベルの事見てたんやろ?ウチかてベルのかわいい姿見たいんや!」

 

(((これは何を言ってもだめだ...)))

 

この状態のロキに何をいっても無駄だと判断し他の団員達は席に戻った。

 

ベルは料理に夢中でロキや周囲の団員の様子に気が付いていない。

 

そうこうしている間に他の幹部達も集まってきた。

 

 

「ほう、ロキからベルが料理するからと言われて早めに来たつもりだったがもうこんなに集まっているのか。それにしても見事な手さばきだな」

 

「そうだね、なかなか見事な手際だ。いい匂いもしているし味に期待がもてるね!」

 

「ガハハハ、酒のつまみも作ってくれるとありがたいんじゃがな」

 

リヴェリア、フィン、ガレスの3人がやってきてベルの料理姿を見物してから席に移動する。

 

 

「あ!ベル本当に料理してる!」

 

「こらティオナ!ベルの邪魔しないの!」

 

「ベル...すごい」

 

ティオナ、ティオネ、アイズの3人もベルの様子を見てから席に着席する。

 

「そういえばベートはどうしたの?あいつまだ来てないよね?」

 

「ロキが見つからなかったって言ってたからダンジョンにでも潜ってるんじゃないかしら」

 

「ベート来なかったらあいつの分も食べちゃおうよ!」

 

うししっとティオナが笑っている。

ティオネは自分も愛する団長の為手料理を研究している最中なのでベルの料理がおいしければレシピを聞こうと考えていた。

アイズはベルの手際の良さを見て意外と簡単なのかも!...などと思っていた...

 

ロキもベルのエプロン姿を堪能したのか席について料理の完成を待っているようだ。

 

 

「お待たせいたしましたぁ!そこまで量はありませんし自信ないですがこれからお世話になる皆さんの為に一生懸命作ったのでよろしければ食べてみてください!」

 

ベルは他の団員が作った料理と共に自身が作った料理を並べた。

 

「うまそうやな...それではいただきまーーす!」

 

ロキの号令でロキファミリアの夕食が始まった...

 

 

 

 

ダンジョン中層のとあるルーム

 

バシィィン!

 

「ヴモォォォォ!」

 

獣が威嚇し合う声と鞭のような音が聞こえる。

 

「おらおらくせえ牛ども、この酒が欲しいならもっと殺しあえや」

 

フードを被った数人の男達が酒の瓶を掲げて眼下にひしめくミノタウルスに声を荒げる。

 

「誰もこのルームに近づけさせるんじゃねえぞ!」

 

その中のリーダーらしき男が大声を出す。

 

「問題ありません、数人こちらに近づいているようでしたので消しておきました、そして入り口は塞いでおいたので問題ありますまい。後は上の連中の動向ですが...」

 

そういってちらりと後ろを振り向く。

 

「大手ファミリアはまだ遠征には向かわないようです。そろそろ報酬をもらいたいんですがね...私たちのファミリアもかなりのリスクを負っているんでそれ相応の対価をいただかないと...」

 

フードをかぶった連中が大量の魔石が詰まった袋を投げてよこした。

 

中身を確認して笑う

 

「確かに受け取りました。次回はまた指定された日時に伺います、では...」

 

「おい...お帰りだ。抜け道を案内してやれ」

 

「ハッ」

 

そういって一人が先頭に立ち歩き始めた。

 

フードの男たちが笑う。

 

「地上のやつらでも多少は使える奴もいるようだな、この酒は実に調教に役立つ...魔石などいくらでもくれてやるさ、利用価値がある間だけだがな」

 

「そういえばレヴィス様は今どちらに?」

 

リーダー格の男は眉間に皺をよせながら答える。

 

「あいつは今階層主を相手に実験しているころだろうよ...逆にやられちまえばいいのさ」

 

「そうすればあなたが...ということですね」

 

「そうさ...くっくっくあっはっはっは」

 

フードの男達の下種な笑い声がダンジョンに響く...

 

「ここまでくれば地上はもうすぐだ」

 

そういうとフードの男は影に消えて行った。

 

「気配は消えたか...」

 

「団長、あんな不気味な連中信じていいんですかい?」

 

団員の一人が心配そうに声をかける。

 

「信じている訳がないだろう、絞り取るだけ搾り取って後はギルドにでも報告するさ、絶対他のファミリアにばれてはいけない。最新の注意を払え」

 

「わかりやした...」

 

(いざとなったら全てこいつになすりつければいい)

 

「くっくっくあっはっはっは...」

 

笑い声が響く...

 

 

 

 

 




いつも読んでくださっている皆さんありがとうございます。

今回はアイズとのプチデート?

そしてベルのクッキングでした!

次回続きです。

より読みやすい文章目指して頑張りますのでこれからもよろしくお願いいたします。

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