デート・ア・ライブ 電子精霊達と共に   作:神谷 莢那

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 また寝落ちしてました。あと400字程度で書き上がってたんだがなぁ。ではどうぞ。


女装

 

 「おはようございます、琴里ちゃん。もう朝ごはんは出来てますよ?」

 「ちょっと士道!? 貴女誰よ!?」

 

 朝。目覚めた琴里がリビングに降りると、知らない女性が立っていた。髪は腰ぐらいの長さでピン止めを付けている。メイクはうっすらと施されているだけなのだが、ボリュームアップした瞳や桜色に色づけられた唇は少女の印象を大人びさせていた。――というのは、昨日女装した士道と何ら変わりは無い。ただ、その性格が完全に違った。一緒に暮らしてきた琴里誰だか一瞬分からなかったほどに。

 誰って嫌だなーもう。貴女の姉の、五河士織ですよ? そう士道……否、士織は思っている。心の底から。

 

 「ま、鞠亜! 鞠奈! な、何したのよ!?」

 「何って別に……」

 「徹底的にいろいろ叩き込んだだけと言いますか」

 

 具体的には女性的な仕草や言葉遣いが自然に出るようにと、その姿に違和感を抱かないようにしたり。見た目だけで男性だと判別できる要素を完全になくそうとしたわけだ。

 ……ただ、やりすぎ感が半端なかったわけだ。

 

 「あれじゃあもう別人じゃないの!?」

 「いやぁ、あたし達も口調や仕草をそれらしくするだけのつもりだったんだけどね」

 「私たちの前でそうすることが恥ずかしかったらしく、ああして別人格になりきることでなんとか平常運転になったと言いますか」

 「平常運転どころか完全に変わっちゃってるんだけど!?」

 「ま、まあ、今回の攻略には必要ですから、ね?」

 「い、一応服装でオンオフが切り替わるみたいだから平気よ。多分」

 「貴方達、いつに無く説得力がないわね……」

 「もう、どうしたんですか三人ともー。仲間はずれにしないで下さいよー」

 

 甘えるような声が耳元に聞こえて、琴里は体をビクリとさせる?その後、声について引っ掛かりを感じて首を傾げる。

 

 「ってそうよ! 士道、貴女声はどうしてるのよ!?」

 

 〈フラクシナス〉の方で、少年探偵もビックリなアイテムを用意していたのだがそれを使用している様子は見えない。

 

 「士道? 琴里ちゃん、もしかして彼氏の夢でも見たんですか? うふふ、可愛らしいですねぇ」

 

 ダレダコレハ。そんな言葉が頭の中を過ぎっていくが、琴里は瞬時に思考を切り替えた。

 

 「ま、鞠亜。この声って?」

 「自然にこの声を出せるよう特訓を重ねてもらいました。もうこれがデフォルトです。なんなら歌も歌えますよ」

 「いやぁ、声帯によっては無理だったんだろうけどほら、士道って結構こういう女装でも普通に合っちゃうでしょ? 喉もそんな感じだったのよね」

 

 つまり、これすら特訓の成果であるというのか。琴里は、頭を抱えたくなるのを必死にこらえ、士道――現状士織に声をかける。

 

 「し、士織。貴女、やるべき事は分かってるのよね?」

 「士織なんて呼び捨てにしないで、士織お姉ちゃんと呼んでください。いいですね、琴里ちゃん?」

 「そんなことは……ああもう分かったわよ、士織お姉ちゃん」

 「はい、何なのですか?」

 「貴女、やるべき事は分かっているのよ……ね?」

 

 琴里としても少々不安に駆られたがきっと大丈夫……なはずだ。

 

 「ええ、十香ちゃんや耶倶矢ちゃん、夕弦ちゃんに折紙ちゃん。それに四糸乃ちゃんや狂三ちゃん。そして琴里ちゃんみたいに、可愛そうな目にあってる精霊さん達を助けることなんだよね?」

 

 琴里は戦慄する。え、まさか記憶まで飛んでるの!? と。まあ、そういうことはなく、士織は士織という自意識があるために士道がやった事と自分が行ったことが同一だと認識できていないだけである。だけ、と言えるものでもないのだが。

 続いて疑問が浮かんでくる。

 

 「鞠亜達との関係はどうなってるのかしら……?」

 

 士道と士織が異なる人として自身らを認識しているということは、鞠亜や鞠奈との関係性は良好なままなのかと――まあ朝から共に料理をしていたのだろう様子から想像はついたが――問うて見たわけだ。

 

 「鞠亜ちゃんも鞠奈ちゃんも私のお嫁さんでお婿さんなの。えへへ」

 

 どうしてそこは両方で同一の見解なのか。そうツッコミたい気持ちを抑え、琴里は朝食を食べ始めるのだった。

 

 五河士織の波乱の一日は、ここから始まる。

 

 遭遇(十香編)

 「おお、シドーではないか! ……どうしたのだ、その格好は?」

 「やあ、十香ちゃん! あと、私は五河士織。よろしくね?」

 「むぅ? シドーではないのか?」

 「ううん、違うよ。それで、そのシドーくんっていうのはどんな人なの?」

 「うむ、それはだな…………」

 

 四糸乃編

 「し、士道……さん?」

 『やっはー、士道くぅん。と、こ、ろ、で。その服装はどーしたのかなぁ?』

 「四糸乃さんもですか。私は五河士織と申しまして、士道という少年じゃないんです」

 「……え?…………へ?……」

 『そっかそっかー。それじゃ、よしのんと四糸乃のことよろしくね、おねーさん!』

 「よ……よろしく、おねがいします」

 「うん、よろしくね!」

 

 狂三編

 「やっほー! 狂三ちゃん!」

 「あら、士織さんではありませんの。よくお似合いでしてよ?」

 「ほんと!? ありがとう!!」

 「え、ええまあどういたしましてですわ。あの、そのような口調でしたかしら?」

 「何言ってるのよ、私は前からこうだよ? 覚えてなかったのー、もう」

 (士道さん、ほんのからかいのつもりでしたのにどうしてしまったのでしょうか……?)

 

 折紙編

 「し、しおりちゃん?」

 「やあ、折紙ちゃん。どうしたの? 不思議そうな顔して」

 「い、いえ、何でも無いですよ?」

 「ふーん。変な折紙ちゃんだー。全くもー」

 (べ、別人みたいですね、五河くん……。流石です)

 

 八舞姉妹編

 「ぬ、お主は……?」

 「耶倶矢ちゃん、夕弦ちゃんよろしくね? 私は五河士織」

 (推定。耶倶矢。士道に琴里以外の兄弟がいると聞いた覚えはありませんし、士道でしょうか?)

 (あ、あたしに聞かないでよ!? え、ええと、もう! どうにでもなれ!)

 「カカカ、其方の真の名、しかと聞き届けたぞ士織。我らは二人で一つの八舞にして風を統べる者だ!」

 「か、解説。こちらの小やかましいのが八舞耶倶矢、私が八舞夕弦です。宜しくお願いします、士織」

 「うん、よろしくね!」

 

 

 EX、鞠亜&鞠奈との初会合(覚醒時点)

 

 「き、キミ? 急に黙り込んでどうしたの? 大丈夫?」

 「ええ、大丈夫ですよ鞠奈ちゃん」

 「………………へ?」

 「どうしたんですかもぅ、そんな惚けた顔をして」

 「ま、鞠亜! これって一体!?」

 「あまりに精神的に辛かったために二重人格化した、とか、そういうことでしょうか?」

 「大人しく見てないでどうにかしなさいよこれ!!」

 「私のことをこれ扱いとはなんですか! もー」

 「攻略にはこれが最適であるとは思いますが……とりあえず、衣装を変えてみましょうか」

 「…………。あれ、どうしたんだ、鞠亜、鞠奈。不思議そうにこっち見て……終わったの、か?」

 「い、いえ、何でもないわ」

 「え、ええ。何もありませんでした」

 「……? そうか」

 




 もはや原型がない。が、オリジナリティのためです。というか、監修に二人がつくなら下手なボロ出さないようにするだろうし、そうするとどうしても士道の精神衛生上こっちの方がいいと判断。
 士道の主観的に見ると、鞠亜と鞠奈は恋人のままだけど精霊たちはどんな子かよく知ってるのに初見のつもり。存在しない架空の琴里の姉というポジション設定なのだ。

 そもそも原作のあれですらバレなかったのにそこで徹底に走ってしまったのは鞠亜達の失敗だったのかもしれない。でも新鮮だし相も変わらず士道に愛されてると実感できる2人はたまに困りつつも結局嬉しそうだったりする。
 ちなみに士織のイメージは美九のような優しめのイメージと士道の行動力や意思の強さを合わせた感じ。お姉ちゃんって立場を演じようとしてるからこそのああいうキャラであり、話しかけられない時はクール系だったりもする。
 サブタイはまあ、分かるわなぁ。

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