デート・ア・ライブ 電子精霊達と共に   作:神谷 莢那

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 悩みに悩んで構想だけでなかなか時間をかけましたがクオリティは変わらないんだろうなぁと思いつつ執筆し始める今回であります。

 二人の性格だとか、そのへん考えてみたりゲーム版採用しようか、いやでも同じような展開は良くないしなぁなんて悩んだりした結果、まあ作者的には納得のいく行き先が決まりました。理由というか、何故そこにしたのか、みたいなのはそのキャラの回のあとがきにでも載せておきますね。



鞠亜

 

 

 

 「士道。私、楽しいです」

 「ああ、俺もだ」

 

 今はだいたい朝の10時ごろ。

 俺と鞠亜は、デートに来ていた。

 そもそものはじまりは、昨日の夜に遡る。

 

 

―――――昨晩―――――

 

 「士道。デートをしましょう」

 

 金曜日の夜。学校は明日、明後日と休みになるその日の夕方頃。遊びに行くと琴里に伝え、やってきた鞠亜と鞠奈の家――内装はシンプルなもので、機能性を重視したように見える。しかし、その中には二人がもはや機能性等を追い求めるだけの機械ではないという証のように、少ないながらも私物が置かれていた。士道はそんな二人の私生活を目の当たりにして、少しばかり嬉しく思われた。――にて、鞠亜は唐突にそんな話をきりだした。

 

 「へ? デート?」

 

 正直に言わせてもらえば、二人と共に学校に通い、そしてこうして一緒にいられるだけで満足していた士道にとってはすっかりデートなどということは頭から抜け落ちていたのだが、言われて初めてそういえば恋人なんだからそう言うのもあるなぁ、なんて思い出した。

 

 「はい、デートです。私たちは一度もデートをしたことがありませんからね。二日間の休日もありますから、丁度良いのではないでしょうか?」

 「キミってば、ほんと話が唐突なんだから…。で、それは三人で行くつもりなの?」

 「二日ありますから、一日交代でどうでしょうか?」

 

 士道が口を挟む事もなくデートが決められていく…が、少し待って欲しい、いくら自身が中学生であるとはいえ、自分は男なのだ。ちょっとぐらい見栄をはらせて欲しい。

 

 「二人共」

 「はい、なんでしょう」「何かしら」

 

 一度区切り、二人がこちらへと意識を向けるのを待ってから。

 

 「俺とデートしてくれないか」

 「「―っ!」」

 

 こちらからきりだすのとは違う、士道からのデートのお誘いに、二人は顔を赤くし、同じような仕草でこくりと頷いた。

 

 

 

 

 そして安易にじゃんけんで順番が決定され、パーを出した鞠亜がグーを出した鞠奈に勝利し、土曜日たる今日、デートをしているのだ。

 

 デートプランについても士道が決めようとしたのだが、二人の行きたい場所の方が良いだろうという発想に至り、今回のデートプランは鞠亜と鞠奈の二人がそれぞれ考えている。

 

 そして鞠亜が提案したのは、近場を動き回るデート。いわゆる、地元デートなんて呼ばれるものだ。

 

 昼食を外で食べられるように余裕を持って11時に集合としたのだが、初デートという緊張やらで1時間もはやく家を出た士道は、丁度同じタイミングで家を出てきた鞠亜と遭遇し、共に歩き出す。そして冒頭へと至るわけだ。ちなみに鞠亜の服装は、いつもの修道女のような白い服ではなく、白い半袖の服にピンクのカーディガンを、前だけを止める形にし、下はフリルのついた青い短めのスカートだ。思わず見惚れてしまったのは言うまでもない。

 

 徒歩で二人が向かう先は特に決まっていない。気の向くままにである。そしてその最中、士道は鞠亜の手が空中をさまよっているのを目にする。まるで、手をつなごうとして躊躇しているように見えた。

 士道はその手をぎゅっと握りしめ、少し緩めて手をつなぐ。つなぎ方はもちろん恋人つなぎだ。

 はっと驚いた顔をこちらに向けた鞠亜は、少し顔を赤らめながら、花の咲くようなというのが誇張でないほどの満面の笑顔を浮かべる。

 

 そして、気分をよくしたのかるんるん、と言った様子で少し早足になる鞠亜と、それに気を使い、足幅をあわせて歩く士道。そんな二人は、どこから見ても初々しいカップルであった。

 

 

 

 

 

 通りがかりの店に入ったりなんかして寄り道をしつつ天宮タワーや新天宮タワーの、傍から見て目立つ建物を見て回っていると、時間も丁度お昼時になる。「少しついてきてください」と、鞠亜に手を引かれてやってきたのは、士道の家からそう遠くない公園であった。

 

 「少し待ってくださいね」

 

 そして、鞠亜の手元に電子が収束し、木で編んだ籠が作り出される。

 

 「持ち歩くのに不便でしたので、こうしてお弁当を保管していました。さあ、めしあがれ」

 「お…おお! いただきます!」

 「いただきます」

 

 鞠亜が作ってきてくれたのは、サンドイッチだ。外でも食べやすいようにとチョイスされたものだろう。ベンチに横並びに座り、いただくことに。具材は定番のものばかりではあるが、味も申し分ない。

 

 「うん、うまい! 上手だな、鞠亜!」

 

 ある程度家事をこなしている士道としては、これまでに料理の経験なんてないであろう鞠亜がここまでの料理を作れることに驚きを隠せなかった。

 

 「そうですか、それは良かった。知識では作り方などもわかりますが、実際に作った経験はありませんでしたからね。士道の口にあったようでなによりです」

 

 自身の料理を褒められて誇らしげにする鞠亜。

 

 「士道。あーん、です」

 

 頬を赤くしながら鞠亜はサンドイッチをこちらの口元へ差し出してくる。士道もそれに恥ずかしくなりつつ、サンドイッチをいただく。

 

 「じゃあ、俺も。あーん」

 

 今度はこちらが、と今度は士道が鞠亜にあーんをする。

 

 そんな甘甘な様子で昼食を進めていく2人は、もはやバカップルであった。

 

 

 

 

 そんな二人が次に向かったのはゲームセンターだ。特に行く場所もないからと、何気無しに入ってみたのだが、士道は鞠亜の目線が物欲しそうにあるものを見ているのを確認する。

 視線の先を見てみればそこにはUFOキャッチャーの筺体があり、なかには小さなリスのぬいぐるみのキーホルダーが入っている。

 

 「よし鞠亜。ちょっとなにかやってみるか」

 

 自分から何を欲しいと言い出さない鞠亜を想い、士道はさりげなくその筺体に鞠亜を誘導する。

 

 「そうですね、試しに挑戦してみます」

 

 目がガチなのだが、まあそれは本人にはわからぬことだろう。というか、リスが好きなんだなー、なんて事を思う士道。目の前では、鞠亜が四回目の挑戦を失敗に終えたところだ。ここはいっちょ、やってやりますか。なんて気合いを入れる。

 

 「鞠亜ってば、リスが好きなんだな」

 「なっ、そ、そんなわけでは」

 

 顔を赤くして否定しても無駄だろう。

 

 「まあ、任せとけって」

 

 筺体の前に立ち、獲物を見据える。

 そうして一度で獲物を取ってみせた士道は、それからゲームセンターによく通う様になり、そのゲームセンターで有名になるのであった。

 

 その後の二人は神社へ行ったり、住宅街を歩き回ったりと、デートを満喫したのであった。




 そういえば書き忘れてたんですが、鞠亜と鞠奈の家は、ゲーム版の凛祢の家です。位置的にも毎朝来るんだろうし、近い方がいいかなと適当に決めましたが、おそらく決めたところで大した役割もないと思います。一応考えてたので載せときました。

 鞠亜が地元デートを選んだのは、やはり知識ではわかっていてもそれがどんなものか知りたい、という感じですね。つまるところ二人でいろんなところを見て回りたい、でしょうか。そこがどんなところなのかは知っているけど、実際に士道と見て回りたい。そんな気持ちじゃないかなぁ、なんて思って書きました。鞠亜はやたら悩んだ。鞠奈のが構想だけなら早く決まってたのよね。

 実は鞠奈が後ろからこっそりとかも考えてはいたんだけど描写難しいからやめますた。
 あと、服装は或守インストールを参考にしてみた。用語とかうろ覚えな上見た感じで決めたから名前とか違うかも。

 世界を滅ぼしうる災厄をお弁当の保管に使うとは…(笑)。考えといて笑えた。弁当持っていかせたいけど、かご持ってたらネタバレだしなぁと考えた結果である。

 ゲーム上手い士道君なので筺体でも上手です。そして常連さんになります。理由はなんとなく。かっこいいところをまた見せてくれるんでしょう。

 鞠亜がリスを好きなのもなんとなく。ゲームセンターでUFOキャッチャーまでは決めたところで、何ほしがるかなぁ、と悩んた結果ラタトスクってリスのなんかだったよなと思ってリスにしました。鞠亜の通学カバンについてるかもね。

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