そんな感じで完全に執筆忘れていた莢那です。いやぁ、日付感覚完全にとんでたね。今日はセンターの同日受検とやららしいので頑張ってきます……辛そう。
深夜二時なう。そして布団にインしてるなう。寝落ちしそうだしそうじゃなくとも耶倶矢書けねぇんじゃ……? うろ覚えの原作なんぞほっぽりだして何となく進めてみます。厨二度が薄いのは許してください私の限界です。寝落ちせずにいけましたよ!
あの後、十香が目覚めるのを待ってから一行は旅館に移動。部屋に荷物を運び終えた後は夕食を済ませ、各々自由時間を満喫していた。一部の精霊関係者を除いて。
具体的には士道、鞠亜、鞠奈と令音。それと、実のところ生徒でない以上カウントするべきなのか悩ましいところでもある耶倶矢と夕弦の計六名である。
令音が上手くやってくれたのか、話を終えてからというものどうも大人しくなったようだがなにかアプローチは仕掛けてくるのだろうなぁ、と受け入れつつもため息を吐く。理解はできても納得はできないのである。
――確かに、精霊の攻略は大切なものだし、自分がやろうと言い出したことだ。それは今も変わらない。
だけど、二人は恋人で。身勝手なわがままだけど、少しくらいの独占欲を見せてくれても良かったんじゃないか、なんて――
そんなことを考えていたからだろうか?
渡りに船、というには都合が良すぎるというか、偶然が過ぎると言うべきか。士道の目の前には二人が立っていた。
「鞠亜、鞠奈? 耶倶矢と夕弦はどうしたんだ?」
確か、二人に質問攻めにあっていたと思うのだが。
「用事があると言って離れてきました」
「ええ、とても大切な用事よ」
「用事…………?」
「分かりませんか? それはもちろん、士道との触れ合いです」
「あの子達――夕弦と耶倶矢の攻略のためにも、士道とくっついたりすることも許しはする――けど、それでもあたしとしては嫉妬しちゃう部分もあるのよ」
「ですから、士道は私達をたくさん甘やかす義務があります。いいですね?」
何がもちろん、なのかとか、義務なのか、なんて言いたいことはいくつかあれど、全く気にならなかった。そんなことよりも、二人が自分と同じような気持ちでいてくれたという事実に喜びを感じる。
「それでは、お風呂に行きましょう。タオル等は中にあるそうですから」
「風呂に……?」
「ええ、そうよ。私達と洗いあいっこするの」
恥ずかしげにそう言う鞠奈に手を引かれ、士道は浴場へと向かった。
三人で同じ脱衣所に入り、どうせ後で見られるし目に入るものだと分かっていてもやはり気恥ずかしく、さっさと服を脱ぎタオルを携えて湯気で曇った引き戸を開ける。
「おお……! すごいじゃないか!」
岩で作られた巨大な浴槽にはわずかに褐色がかった湯が満ち、湯気を立ち上らせており、浴槽のすぐ先には海が広がり、静かにさざ波の音を響かせている。
まだ入浴時間ではなく、また鞠亜が清掃中の立て札を立ててきたので、士道以外に人はいないししばらくは来ないだろう。準備がいいことだ。
士道は手早く体と頭を洗うとタオルを岩場に置いて体を湯に沈める。
力を抜き、浴槽内で体を伸ばす。はあーー、と年寄り臭い声を漏らし、一息つく。
ちょうど、扉の開く音が聞こえた。二人が来たのかと士道が振り返るとそこには――確かに、二人がいた。だけど、どうして。
「なんでタオルもなにもつけてないんだよッ!?」
「その、どうせ入ったら脱ぐものだから要らないと鞠奈が言いまして」
「どうして人のせいにするのよ! キミが士道に強く意識させるにはどうしたらいいのかって聞いてきたんじゃないの!」
鞠亜が口ごもるという滅多にないことをしている辺り、鞠奈の言うことが本当に違いない。全く、嘘をつくのが下手なやつだ。
「それよりもほら、早く身体を流しますよ鞠奈」
「そんなことって……もう、別にいいわよ、早くしましょうか」
士道と同様に手早く体と頭を洗うと、士道に密着するようにして二人が入ってきた。触れる肌が、お湯よりも熱いのではと錯覚するほどに熱を持っている。
そこからはなんとも甘々であった。訳すならばそう言うのが適切だろう。抱きつかれたら抱きしめかえし、キスを交わし――この年頃にしては少々過激と言わざるを得ないほどには深いスキンシップをしていたのである。
「ねえ、キミ、分かってるのかしら?」
「ええと、何を?」
「あたし達は、キミのやりたいことを止めるつもりもないし、手伝いたいとも思ってるけど、恋人はあたし達だけなんだからね?」
「そうですよ士道。士道を誰にも譲るつもりはありませんし、奪わせもしません。ですから、もっと私達を感じて、士道を感じさせてください」
「ああ、もちろんだ」
甘々な空気の中で三人、思いを確かめ合っていると再び扉が開く音が聞こえた。誰かが入ってきたようだ。その事に気付いた士道は我に返る。
「ちょ、ちょっと待て!誰かが入ってきたぞ!」
宿の人なりが出した覚えのないソレを見つけて直してしまったのだろう。おそらく。清掃中じゃなければまあ、誰か入ってきてもおかしくないだろうし。
「と、とりあえず転移します! 私に捕まってください!」
慌てて鞠亜に触れれば、ふにょん、と柔らかい感触が。いわゆるラッキースケベというやつ。先程まで自分の体に当てられたりしていたけど、手で触るとやっぱりいろいろ意識してしまうというかその――
なんてとりとめもない思考をしているうちに転移したのだった。
転移した先で服のかわりにと霊装ではなく霊力を使って服を作る。霊装のように防御力こそ持たないが、イメージしだいで自在なものができるのが便利かもしれない。二人との触れ合いと先ほどの驚きで二重にドキドキとした心臓を抑えつつ、俺は鞠亜達ともう一度だけキスを交わした。
脱衣所に置いてきてしまった服などは、後にある程度事情を察していたのか折紙が苦笑しながらに持ってきてくれたのだった。俺の下着にどう見ても女性のものであろう長い髪の毛がついていたが、原因は不明である。不明ったら不明なのだ。
その夜。耶倶矢と夕弦に関しての作戦会議ということで、深夜にも関わらず俺達三人は令音の部屋へと向かった。
「令音。〈フラクシナス〉との連絡は復旧したのですか?」
「……いや、ダメだ」
「となればやはり何らかの妨害工作を疑うべきかもしれないわね。〈フラクシナス〉だって単純な原因ならすぐに解決してるでしょうし」
「そうか………それじゃあ耶倶矢に夕弦の事を教えてくれないか?」
「……ああ」
鞠亜と鞠奈は情報こそあれ、古いものが多い。〈フラクシナス〉より情報提供を受けているようだが、AIだった頃と違ってデータをインストールして手に入れることできず人として覚えるしかないため効率が良くないのだ。
「実は彼女らは我々の間ではちょっとした有名人でね。風の中の二人組の精霊でなんとなく目星はついていたんだ」
「確か、人目を気にしないとかなんとか?」
「まあ、その通りだ。通称〈ベルセルク〉」
「確かそうだったな。全く、物騒な名前だな」
「……彼女たちは世界各地で現界が確認されている二人組の精霊だ。こちらに現れては常に二人でじゃれ合ってるいるだけなのだが……その規模が問題でね」
現れる度にあんな天候になっていたらそりゃあ問題にもなるだろう。
「各地で起きてる突発性暴風雨の何割かは彼女たちのせいだろう。その上目撃情報も非常に多いと来ている。アメリカではゴシップ記事に写真を取られ、天使かUFOか、それとも空飛ぶスパゲッティ・モンスターかでちょっとした論争が起きているらしい」
「……それ、大丈夫なのか?」
写真まで取られているのは流石にまずいのでは?
「その点は問題ない。DEMインダストリーの方がきちんと対応しているからね。心霊写真等と同列に扱われる程度さ。霊装姿というのもそれを助長しているみたいだね」
空を飛んであんな服装をしていたらそうもなるかもしれんなぁ、と一人納得する。
「ああ、それと確か海の上とか被害の少ないところで現界するとか」
「……ああ、その通りだ。ベルセルク二人の空間震規模はAランク……十香達とは比べ物にならない大爆発だが、どういうわけかその多くは何もない空中で起こっている」
「それじゃどうやってここに……まさか飛んできたりとか?」
「……ああ、その通りだ。数百キロと言う距離を二人で組んず解れつしながら、わずか数分でね」
前々から思ってたけど霊力ってなんでもありすぎるだろう。そのおかげで何度も助かってるんだけどな!
「……世界を悩ます意思ある台風さ。人間への明確な攻撃意志を示すでも、世界を憎むでもなく、二人で争う余波だけで森を、山脈を、街を壊滅させる気紛れな狂戦士さ」
なるほど。ベルセルクと言う名前も納得できる。納得したくなかったけど!
「彼女らの被害は甚大。おまけにその姿を何度も衆目にさらしており。精霊の存在を秘匿しておきたい組織にとっては悩みの種だ。ゆえに多くの組織が優先目標にしているのだが……今まで彼女らに接触で来たものはいなかった」
「そりゃあ数〇〇キロが数分で移動できて余波だけでも近寄り難い。厳しすぎるだろうさ」
「その通りだ。ああ、それと作戦についてだが――」
「――ああ、わかった」
軽い作戦会議は終わった。結局、人(精霊)の相手をする以上感情という要素が関わってくるため完璧な作戦など不可能なのだ。それで、指針や出来事を軽く決める程度の本当に軽い作戦会議となるわけである。
そうして士道達は令音の部屋を後にした。
お風呂イベントは二人が持っていきました。転移で脱出して十香の出番消えるくらいのつもりで書いてたらいつの間にかイチャイチャと。いやぁ、つい。
他作者様ので流れを確認したので表現とか一部パクってます。どれが原作のセリフか分からんからビクビクしながらコピってましたよ……。
サブタイは被りを避けるためにも今回のイベントということで「風呂」というところで。
ではまた次回ですー。