そんなわけで昼間まるまる遊んでの深夜執筆開始です。安定だネ!
最近は週末二回更新を守れてない感があるので寝落ちしないようにしたいです。
物語も大詰め。イレギュラーにより時期が早まった鳶一折紙の攻略。果たして士道は彼女を救えるのか――!?
みたいな感じでどぞ(っ´∀`)っ
ちょっとEXTELLAの影響で変なのが冒頭にありますが気になさらずに()
黒い羽が宙を舞い、彼女の周りで固定されては闇色を凝縮したレーザーを放つ。
その羽に囲まれる彼女は、漆黒の礼装を身にまとっている。その顔には意志が見られず、まるで何かに操られるかのようにただ攻撃を繰り返す。
――終わりになんて、させるものか!!!
反転した精霊の放つ圧倒的な暴力。それでも五河士道は怯まず、ただ彼女――鳶一折紙――を救うため、力を振り絞り手を伸ばす。
そして、その傍に寄り添う二人のイレギュラー。本来存在するはずはなくそれゆえに無意識ながらに世界に歪みを与え、そして五河士道の心を支え寄り添う者達。
早まった時と、それゆえに不足した力。
正史と異なる道を歩む少年少女の運命は如何に――
折紙とのデートももうすぐ終わる。士道は〈フラクシナス〉の指示に従い、景色の綺麗な――正しくデートの終わりに訪れるに相応しい場所へと来ていた。
『シン、よく聞いてくれ。彼女の精神をパラメータ化したところ、好感度が一定のラインに到達した時点でまた下がってしまうという現象が起きている。おそらくは、彼女は幸福になる度になにかを思い出し、それ故に進めなくなっているのだろう』
一瞬の間を開けて
『彼女の持つ後悔か、トラウマか。それを聞き出し、受け止めて見せたまえ、シン』
「……了解」
折紙が抱えるもの、か。
どう聞いたものか。そう考え始めた士道に、折紙は存外にあっさりとその事を告げてきた。
「ねえ、五河くん。私の話、聞いてもらってもいいですか?」
「ああ」
「私、五河くんにあってから時々思うことがあるんです。私の命は、五河くんや鞠亜さん、鞠奈さんがいたからこそ助かりました。だから、私は三人のために何かしなくちゃいけないんじゃないかって」
もちろんそんなことして欲しいと思わないことも分かるんですけどね、と折紙は自嘲するように小さく笑う。
ハッキリとしたものではないが、折紙の抱えるものが少し、掴めた気がした。
「望まれていないって思っても、それでもやっぱり私が生きていられるのは三人のおかげで、私の命というのは三人のためにあるんじゃないかって。そんなふうに考えちゃうことがあるんです。死んでしまった両親の分まで私がしなきゃって」
折紙を縛るのは、俺たちが彼女を助けたという事実だ。俺たちは確かに、鳶一折紙という少女を救った。言い換えれば彼女の命と等しいだけの恩を売ってしまった。そういう風にも取れるのだ。もちろん、そんなことを気にしない人間もいる。だがしかし、鳶一折紙はそれを恩として受け止め、返そうとする真面目な人物に育った。
しかし、命と釣り合う恩とはどれだけのものか。
それはあまりにも重いものであり、士道には想像も出来ない。
折紙が抱えるのは、つまるところ自らの幸せよりも他人――というよりは俺たちのみ――の幸せの方が大事なのだという勘違い。間違った価値観だ。
そこまで理解出来たのなら、もう十分だ。
どうすればいいのかなんて、決まっている。
「そんなことはない」
「五河……くん……?」
「折紙は、自分のために幸せになっていいんだ」
「え……?」
間違った価値観をもつ事は、無い事じゃない。そういったものは、社会に出て、他人との差異によって修正されていくものだ。つまり。
それは間違っているのだと考えを否定する答えを返し続け、正しい価値観を与えればいい。
「俺たちのために折紙が命を使うなんて間違ってるよ」
続ける。
「確かに、折紙の命を救ったのは俺たちだ。でも、それはやりたくてやった事なんだから」
だから。
「助けられた折紙が責任を感じる必要なんてない。俺たちがいたのも、助かったのも、ただの偶然なんだから。だから、偶然に恩を感じる必要なんて無いんだ。ただ、運が良かったんだと喜べばいい」
「でも……っ!」
「それに、折紙が楽しくしてくれないと俺たちだって報われないだろ?」
「え?」
「助けられたって思うのなら。両親の分までしっかりしたいと思うのなら、俺たちが助けてよかったって思えるくらい幸せになってくれ」
なんとわがままな発言なんだろうかと自嘲しつつも、士道は言葉を止めない。それが彼女を救う最善だと信じるから。
「だから、幸せになれよ、折紙」
「わ……た、し……!!」
涙を流し始めた折紙を抱き寄せる。
『シン、鳶一折紙の好感度が封印可能レベルにまで上昇した。彼女の抱えるモノは上手く解消できたようだね』
良かった。これで彼女の心も救われた、そう自惚れてもいいだろう。
「私、本当に幸せになってもいいの?」
「ああ。そうしてくれ」
「本当の本当に?」
「本当の本当だ」
折紙は涙で腫れた目をこちらに向ける。体重をこちらに預け、瞳を閉じ唇が近づいて――
ミシリ。そう音がしたその時にはもう遅かった。
老朽化していたのか、背もたれにしていたガードレールが二人分の体重を受け止めきれず、折れた。
重心を傾けていた俺は即座の反応ができず、こちらに体重を預けていた折紙と共に低い崖下へと落下する。
ガサガサ、と木の葉に引っかかれながら、数十メートルほど落下。姿勢を制御し、自分が折紙の下になるように地面に落ちる。
「い、五河くん、大丈夫………」
「ああ、大丈夫……折紙?」
こちらに声をかけてきた折紙は、言い終えた時の姿勢で固まっている。その視線の先を辿れば、霊力の炎が傷口を舐めるように癒していた。
オート発動が仇になるとは。
折紙の瞳から光が失われ、黒い霊力が形を成す。
そして、漆黒の礼装を纏う魔王が顕現する――。
戦闘に入るかと思ったけど案外長くなったのはEXTELLAやったせいかもしれない。エクストラCCC思い出して攻略がそれっぽくなりかけたのたか途中でもう戦闘せずにキスして終わりでいいんじゃね、と適当な思考になったのも気のせいです。
サブタイは被りにくそうなので最後のところから「落下」で。
布団に入って執筆してますので、ガードレールだったっけとか崖の高さとかそもそも崖だったのかとかいろいろうろ覚えですがまあこの世界ではそういうことにしといて下さい。