デート・ア・ライブ 電子精霊達と共に   作:神谷 莢那

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 さて書くかな(12時4分)。

 サブタイはものっそいシンプルに。そんなに重要なワードでも無いんだけどね。


処置

 「ぅん……」

 「起きたか?」

 

 目覚めたそこは、無骨な配線や配管が天井やそこらを這う不思議な場所であった。

 その風景に驚く少女――崇宮真那は、疑問の声を漏らす。

 

 「ここはどこでいやがりますか?」

 「〈フラクシナス〉ってところだ」

 

 起きたか? と尋ねてきたものと同じ声を発した少年――彼女の兄である五河士道は、真那の横に座っていた。

 そこで初めて真那は自らがベッドで眠っていたことに気づく。

 

 「……? どうして……?」

 「えっと、覚えてないかな。オーシャンパークに真那がやってきたんだけど……」

 「っ!」

 

 気を失ったその直前の記憶が蘇る。

 そうであった。ならあの光景は夢なんかではなく――!

 

 「兄様! あれはいったい――」

 「少し落ち着いてください、真那」

 「一から説明するから、ほら、横になって」

 「ね、義姉様達まで……」

 

 そして、兄と未来の姉から語られたのは、にわかに信じ難い話だった。

 ――比較的ましなもので言えば、姉たちも精霊、電子精霊というものであったということ。

 ――兄が霊力を封印し、扱う力を持っているということ。

 ――そんな兄が〈ラタトスク機関〉。噂に聞く、殺す以外で精霊の被害をとめようとする機関にあの義理の妹共々入っていること。

 ――〈ナイトメア〉が改心したということ。

 彼女にとって、最も衝撃的であったのは、

 ――DEMに、自らの知らぬところで体に処理が施され、力の代償に寿命を奪われているということだった。

 

 「そん……な……」

 

 そんなことを聞かされ、それが嘘だと思わなかったのはその証拠を見せられたこともだが、義姉たちが嘘をついていない。そう確信させるナニカを持っていたことだろう。ナニカ、の正体は以前つかめないのだが。

 

 自らの命の恩人だと思っていたDEM。記憶喪失の自分を拾い、助けてくれていたことに感謝さえしていたそれに裏切られていたのだと。そんな真実を告げられ、大きな喪失感に襲われる。

 

 「真那さん、大丈夫ですの?」

 

 こちらを心配に見てくるのは〈ナイトメア〉――時崎狂三で、その姿を見るだけでも殺意が湧いていたというのにこの狂三を見た時には何も起きなかったのだ。理性か、本能か。体のどこかが、本当に彼女が改心したのだと分かっているのだろう。未だに信じ難く、受け入れ難いことでもあるが、事実は事実だ。ちゃんと受け入れなくてはならない。兄がそうさせたのだと思えば少し誇らしくなってくる。

 

 「え、ええ。大丈夫です」

 

 とはいえ、なんとなく大丈夫だとわかっていても体がこわばってしまうのは仕方の無いことだろう。

 

 「DEMが施した処理に関しては、こちらで解析、対処しておきましたから、元通り……とは行きませんがこれから五○年ほどは大丈夫でしょう。それ以上となると難しいでしょうが」

 「全く、情報を持ってくるだけじゃなくて私が処置することになるなんて手間かけさせたんだから、無茶なんてしたら許さないんだからね」

 

 まさかとは思うが、鞠奈姉様一人でやってのけたのだろうか。というか、DEMの科学者たちがひたすら考えてやったのだろうことをいとも簡単に対処してしまうとは、さすが電子精霊と言うべきなのだろうか。

 

 「ありがとうございます、義姉様方」

 「いえ、私は何もしていませんから」

 「ちゃーんと感謝しなさいよね? 鞠亜だって、それ以上寿命を減らさないように丁寧に分析してくれたんだから」

 

 見た目は似ているが、その実正反対なのではないだろうかこの二人、とも思うが仲が良さそうなので別によしとする。この二人なら兄様を任せても大丈夫な気がしやがりますからね。二股はよくねー事ですが、例外は何にでもありです。

 

 「それと。もうあんな無茶しちゃダメだからね?」

 「無茶……?」

 

 何か無茶をしたのだろうか。全く身に覚えがない。

 

 「顕現装置の使用です。全身に施された魔力処置を外しましたから、性能は人並みにまで落ち込んでいるでしょう。ですから、この前に使っていたアレなど、特にいけません」

 

 アレ、と言えば〈ホワイト・リコリス〉の事だろうか。確かに、数一〇分で人を廃人にしたアレを今使うのは何か恐ろしいものがある。

 

 「幸い、〈ラタトスク〉の方と交渉して貴方用の顕現装置を用意してもらえることになりましたから、後で調整しましょうか」

 「調整って、まさか鞠亜姉様が……!?」

 「そうだぞ。俺の持ってる顕現装置も、鞠亜が作ったヤツなんだ」

 

 DEMインダストリーを軽く上回るのであろうその技術力に、真那は頭がくらくらするのを感じた。

 どうやら自分は医療用の顕現装置を使用して三日ほど治療を受けていたのだとかで、目覚めたばかりだというのに体は元気に動いてくれた。

 なので、そこから訓練用の部屋を借り、武装の作成と調整に入るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

――一方その頃(狂三と折紙)

 

 「――見つけた。〈ナイトメア〉」

 「きひひ、わたくしの分体を痛めつけて、なんの用ですの?」

 「戦いに来た訳では無い。これは依頼。貴方の能力を推測した結果、この思考に行き着いた。だから、頼みに来た

 

 

 ――私を五年前に帰して欲しい」




 最後のはまあ、伏線っすな。狂三を殺す気で来てたらヤバかったね。そんなことは無いんだけど。
 救世魔王出したいからこういう展開になるのはまあ見えてたよね。

 そして真那さんはもう既にこちらサイドに。順調に戦力が強化されております。まあ、弱体化するんだけど。でも武装でちょっとは強化はいるかな? イメージ的に折紙と同等まで落ちたって感じ。武装分抜きでな。

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