正直今後のこと言わせてもらうと折紙を先に攻略するってのは展開的にもありなんで入れたんだけどそこからどうするのか決めてないのよね。士道が精霊だってことに苦悩するとことかは書くだろうけどできれば〈
「さて、シン。狂三のことについて、話がある」
「……? 狂三がどうかしたんですか」
狂三の封印を終え、その翌日。俺から離れようとしない狂三をそのまま引き連れ(鞠亜達は止めずに二人ともくっついてきた)四人でテレポートしてダイナミックに帰宅した。周囲にはジャミング系の霊力を張り巡らせていたし、そもそも霊力を存分に使った後だったので気にしても無駄であった。そして翌日になってようやく落ち着いたようなので、検査のためこうして〈フラクシナス〉へと連れてきたわけだ。そこで話しかけてきたのは令音さん。
「彼女が今後学校に通うことは難しいだろう」
「どうしてですか……?」
「シン、考えてもみたまえ。彼女はASTの鳶一折紙や崇宮真那にその外見をよく覚えられてしまっている。いくら霊力を封印したとはいえ、十香達と違って大量の殺人を行った狂三は警戒の対象になることは避けられないだろうし、無理やりな手段に出てこないとも限らない」
一瞬その無理やりな手段、というものを想像してぶるりと体を震わせる士道。
「そして話の内容はここからなんだが、彼女は今こそ多少落ち着いてはいるがそれでもまだ不安定と言える。シンや鞠亜、鞠奈がいなければ今にも霊力が逆流しかねないほどに、ね。よって、今の狂三から君たちが離れる事は得策とは言えない」
まあつまり、何が言いたいのかといえば。
「そういうわけだから、これから狂三がきちんと落ち着くまで――おそらくだが一週間程度の間、学校を休んでもらいたい。学校感染症の類いにかかったことにして出席停止ということにしておこう」
ということらしい。
あの後、「琴里がずいぶんと君のことを気にしていたようだったから会いに行ってきてはどうかね」という令音さんの提案に大人しく従うことに。
「おにーちゃん!」
黒リボンで司令官モードの琴里がひしと抱きついてくる。それを見た〈ラタトスク〉の面々がざわざわとしだす。
「ど、どうしたんだ、琴里」
「全く、心配させないでちょうだい。急に霊力反応が確認されたと思ったら少ししてモニター用の装置が片っ端から機能停止になってそれが終わればもう封印が終わったですって? もっとこっちを頼りなさいよね」
……ああ、なるほど。何を言いたいのかわかった気がする。
「心配かけてごめんな、琴里」
「ん、心配したんだからね……」
――パシャッ
俺に抱きついたままに、音のした方を振り返った琴里の視界に入ったのはカメラマンが持つような一眼レフとかそう言われるのであろう立派なカメラとそれを構える神無月の姿。
その現場にいなかった〈ラタトスク〉のメンバーは、その直後に獣が吠えるような叫び声を聞いたという。なお、椅子にされていた神無月との関連は不明だったらしい。
「士道、オーシャンパークへ行きましょう」
「キミ、いきなりどうしたのよ」
狂三の検査を行う二人を待つ間に真那のお見舞いに行ったのだが、特別処置室とやらに入っているらしく面会は不可能だった。一般人には見せられない
そんなわけでこれといった収穫もなく戻った〈ラタトスク〉にて、鞠亜は唐突に切り出してきた。
「それより狂三の検査はもういいのか?」
「ええ。と言ってもまだ一次の検査のみですが」
「ずっと検査ばかりしてたら息が詰まっちゃうだろうからこうして外出の許可を貰ってきたのよ。で、どうしてオーシャンパークなのよ」
「いえ、別に出かけるのはどこでも良かったのですが、偶然株主優待があったので行ってみようかと思いまして」
この二人は〈ラタトスク〉からの支援を受けていない。僅かな元手を使い、非合法な手段で手に入れた情報を使い合法的に金を増やしているだけである。それによって学費その他を稼いでいるのだ。これまでにも株主優待を使っているところを見たことがある。
「……狂三はどうやって連れていくんだ?」
今は何かと不安定と聞いたんだけど。
「霊力を少し使って認識阻害を行おうと考えています。顕現装置がなければ観測できない程度にかけておけば大丈夫でしょうから。あとは分体を遠くで目撃だけさせて囮にしておけば、まずこちらにASTの注意が向く事はないでしょう」
「――それでは、水着でも買いませんこと?」
短いですがここまで。琴里がないからちゃちゃっと四巻はとばしていきますそれでは。