内容は何も参考にせずの完全オリジナルにつき普段書いてる、原作を少し改変しただけのものと比べてクオリティ低いけど許してくんさい。これが限界なんです……!
時期的に本編と比べて未来の話になるけど、気にしちゃダメです。攻略済みの十香だけでもだそうかとも思ったけど無しで。鞠亜と鞠奈だけだヨー。
「士道、お祭りに行きましょう」
「お、おう……?」
今日は7月7日。いわゆる七夕の日である。「たなばた祭り」の略として七夕と名付けられたもので、天の川に隔てられた
いつぞやにウィ〇ペディアにて調べた事は割と記憶に残っていたようだ。まあつまり、日付から連想して――
「七夕の祭りに行くってことか――?」
「はい。どうでしょうか……?」
「別に構わないぞ。鞠奈もくるのか?」
「はい、もう誘ってあります」
こうして、あっさりと七夕の夜の予定が決まったのだった。
「士道、どうでしょうか……?」
七夕祭りの場所は、電車でいくつか行った先にあり、駅前店で待ち合わせということになっていた。そしてやってきた二人は、浴衣を身にまとっていた。ここ数年、共に祭りに行くこともあったが、浴衣を着ているのは初めて見た。そんな二人の姿に、見とれてしまう。
鞠亜は、白の浴衣に、目立ちすぎない程度の色合いの赤の帯。浴衣の模様は帯と同色の赤みを持つあじさいの花だ。かなりシンプルな形でまとまったその姿に。また、赤という鞠亜に見慣れない色合いについつい目を惹かれてしまう。
対する鞠奈は、イメージカラーの黒……ではなく、暖かみのある青い色合いの浴衣を身にまとっていた。浴衣には小さな桜の花が白と薄い群青との二色で散りばめられている。帯は浴衣と同色で、波模様……では無いのだろうが、不規則な白の線が所々にある。鞠亜と比べ行動的な鞠奈の、落ち着いた浴衣のデザインに、思わず息を呑む。
「ちょ、ちょっと。なにか言いなさいよね」
無意識に見とれてしまっていたようで、感想を聞きたそうにする鞠奈。着慣れない服故か、はたまた士道の言葉への期待によってか、そわそわしているように見受けられる。
「あ、ああ。二人とも綺麗で、つい見とれてた……。うん、ほんとうに綺麗だ」
簡略にしてしまえば、ただ綺麗だと言っただけ。しかし、そこに込められた士道の真っ直ぐな想いは、言葉に乗って二人へと伝わる。
「そ、そう。ありがと」 「ありがとうございます、士道」
自ら二人の手をとって――
「それじゃ、行こうか」
――歩き出した。
「やっぱりお祭りはこうよね……。慣れないけど、嫌いじゃない雰囲気ね」
「こういうのは偶にだからこそ良いって事なんだろうな」
「そうですね。私もこういった雰囲気は良いものだと思います」
軽く話をし、雰囲気を楽しむように少し辺りを見回しながらに向かったのは、祭りの中心部。七夕ということで、大きな笹に無数の願い事が吊り下がっている。
三人が一旦別れて、短冊にそれぞれの願い事を書き込む。
自分の願いは、ただ一つ。力を望んだその時、いや、二人と出会ったその時から変わらない。
二人は何を願ったのだろうと気にしつつも、こういうのは見ないのがマナーなのだろうとそれぞれが別々にそれを吊り下げてきた。
願い事を済ませた後は、そこらの店を歩いて回る。祭り特有の雰囲気を楽しみつついろんな店を見て回り、時々立ち止まって買い物をする。食べさせあいをしてみたり、射的で勝負をしたり。楽しい時間が過ぎてゆく。ちなみに言うと、勝負は鞠奈の優勝だった。
なんてことをしているうち、祭りのメインイベントが始まった。
内容としては、笹に吊り下がった短冊を司会がランダムに手に取り、それらを読み上げていくというもの。読み上げられた短冊は手の届かない高い位置へと置かれ、その願いは叶うという迷信もある。
そうして、一つ一つ読み上げられてゆく願い事。会社のことであったり、学業のことであったり。願いは様々だ。そんな中――
『士道と鞠亜が怪我をせず、元気でいて欲しい。鞠奈』
読み上げられたのは、
驚きながらに鞠奈の方を振り向けば、頬を少し赤くし、目をそらしている。鞠奈も恥ずかしがっているのだろう。
「ふん、せっかくお祈りしてあげたんだから、怪我なんてしたらゆるさないんだからね!」
精霊を救う、という無茶で危険なことに挑む士道達を気遣ったその願い。
「これは簡単には怪我できそうにないな」
「そうですね」
照れくさく思い苦笑する士道と、それを微笑ましく見つめる鞠亜だった。
『二人が笑っていられますように。鞠亜』
続けて読み上げられたのは、士道のゆく道を止めず、しかしそばにいる
「そのくらい当然よ。でも……」
何か変なところでもあっただろうかと首をかしげる鞠亜。鞠奈は、士道と顔を見合わせて――
「「それは鞠亜(キミ)もだろ(でしょ)?」」
――三人で一緒に笑っていたい。
そんな想いを受け、鞠亜は満面の笑みを浮かべ――
一滴の涙を零した。
「で、キミは結局何を書いたのよ」
祭りも終わりへと近づいてきた頃。祭り特有の騒がしさも、徐々に静まってきたように感じられる。もう選ばれることは無いと思ったのか、鞠奈が突然そんなことを聞いてきた。
「――言わなきゃダメか?」
確かに、普段の言動を振り返ればそれほど緊張するほどのことでもないのだが、それでも恥ずかしいものは恥ずかしい。
「当然じゃないの。あたしも鞠亜もバレちゃったんだから」
「……仕方ないか。俺は――」
『最後の短冊です。
ずっと三人で一緒にいたい。士道』
「「――~~っ!」」
偶然にも、三人の短冊は全て選ばれたようだった。
俺は読み上げられたことに驚き、鞠亜と鞠奈はその願いを聞いてか、顔を赤くし、体を硬直させる。
二人を抱き寄せれば、目線を合わせないままにそっと手を握られる。そのタイミングが同時だったことに、血はつながっていなくとも確かに二人は姉妹なんだと再確認する。
「明日も明後日も、その先も――一緒にいよう」
「……はい」「……ええ」
お祭りのあとに一人選ばれなかった士道の願い事を聞くというのが初期案だったけど願い事が叶わないように思えたので流れをちょっと変えてたり。「選ばれなかったわね」「未来は自分の手で掴み取る」口調は違うけどこんな流れを実は考えてたのさ。
そんなわけで七夕特別回。セリフは個人的にやりたいように出来てるので地の文(って言うんだっけ)が充実したらなぁと思うこのごろ。楽しんでいただけたら幸いです。
追求ってやつ
2016/07/08 18:45 に確認したらお気に入り100件行ってました。本当にありがとうございます!