デート・ア・ライブ 電子精霊達と共に   作:神谷 莢那

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 琴里との和解は出来ましたが結局駆け足になってしまうであろう四糸乃編、始まります。
 読み返したら「結末」にて士道が十香の元に向かう際に何かを使ってた描写が無いや。というわけでテレポートしたことに。しかし、琴里は半ば茫然自失的な感じだったろうし、前回も鞠奈とのあーだこーだあったから士道が霊力を自由自在に使えること把握してないという。驚くところ書きたいんだがどうするべきか。
 タイトルは味物。クッキー回なので美味しいものという意味のこれにしてみたぜ。あじものって読むんだぜ。


味物

 

 「シドー! クッキィというのを作ったぞ!」

 「十香、焦って砕いてしまっては元も子もありません。丁寧に渡しましょう。士道、私の分はこちらです。ほら、鞠奈」

 「わ、分かってるわよ。その、キミのために作ってあげたんだから、その…美味しくないかもしれないけど、感想聞かせなさいよね」

 

 何かあったのだろうか。

 普段そうそう本音を口にしない鞠奈の一言に、ついそう思ってしまったのは悪い事だろうか。

 

 「ああ、ありがとう、三人とも。じゃ、鞠奈のから貰うかな。ところで…その…」

 

 鞠奈の様子について、どう聞いたものかと思ったのだが。

 

 「鞠奈ですか? たまに私と勝負をしていして、鞠奈はこれまでのことを含め、あと二回私の言うことを聞かなくてはならないのです。今回は、正直に士道にクッキーを渡す、というものですね」

 「覚えてなさいよね。次こそは私が勝って鞠亜にも何かやってもらうんだから」

 「なるほど、そういうことだったのか…」

 

 鞠奈の、見た目の整ったクッキーを食べてみる。少なくともコゲなどは見られないし、失敗していないように見えるのだが…?

 …ふむ。

 市販品にも劣らない、十分な美味しさだ。食感も良いし、形も揃っているから、市販品と混ぜられても気が付かないレベル。さらには、二人が作ったのだと思うだけでさらに美味しくなったような気がする。つまりは

 

 「ものすごく美味いぞ、鞠奈」

 「ほんと!? はあ、がんばったかいがあったわ…」

 「あれだけのものを作れたのにどうして自信が無かったんだ?」

 「士道とデートをした時に甘い物を食べるのは好きなのですが、家で作ることはありませんでしたから。レシピを知っていても、うまく出来るとは限らないでしょう?」

 

 なるほど、そういうことか。初めて作るものだったのなら、理解はできる。しかし、普段自炊は出来ている二人がまさかデザートを作ったことがなかったなんてな。

 

 「シドー! 次は私のものだ!」

 

 手にしていた容器の蓋を開くと、形が不揃いでところどころ焦げていたりもするがまあクッキーと呼べるものが入っていた。十香は料理をしたこともないだろうし、頑張ったのだろう。

 

 士道、十香に鞠奈、鞠亜は全員同じクラスなのだが、個々の作業量が充実するようにだかなんだかという理由で少人数に分けられていたのだ。

 

 士道が感じたのは、羨望九割、怨嗟一割ほどの目線。

 この学校でかなりの人気を誇る士道だが、常に鞠亜か鞠奈がいるために、アタックされることはそう無い。故に、女子達に囲まれるなんてこともなく、平穏に過ごしてきた。そこにやってきたのが十香だ。既に鞠亜と鞠奈という二人の美少女を連れているのに、そこにこれまた冗談のように美しい美少女を増やしてしまったので、事情を知らない男子達は恨めしさと「五河スゲー」という感情を抱いているのである。

 

 今日も今日とて男子達の嫉妬の的となりつつ、士道はクッキーを食べるのであった。

 

 ――あ、鞠亜のは鞠奈のとそっくりな味だ。でもちょっと甘めだな…。うん、美味しいな。

 ――士道っ、その、不意打ちは…。いえ、その、声に出ていましたので…

 

 今日も今日とて、五河士道はイチャイチャしていた。

 

 

 

 

 

 そんな日の、帰り道。

 

 「雨……?」

 

 ぽつん、という冷たい感触ののち、徐々に大粒の雫となり、アスファルトに染みを作り始める。

 

 部屋干しのことだとか、所帯じみた思考を浮かべつつ、来ていたブレザーを二人に渡し、前を走る。霊力を使えば雨を弾くことも家に速攻で転移することも不可能ではないのだが、少し警戒せねばならない。毎朝起こしにやってくる二人はテレポートに霊力を使っているが、あれは例外だ。やり方から違う。体を電子へと変化させ、ネットワークを経由してうちのPCへと移動し、出てきているのだ。使われる霊力が非常に少なく、部屋の外まで出ないほどなので、安易に使うことが出来るわけだ。

 だが、ここは外でその上十香が暴れたところだし、近辺での空間震も多い。向こうの警戒レベルが上昇していてもおかしくはないのである。

 

 

 そんな理由から、三人は雨の中を走るのであった。

 

 

 

 




 四糸乃まで行くには時間が足りんかった。あと文章量。ちょっと多くなりそうなので明日に回す。短くなったらしらん。あしたで四糸乃とよしのんと話をして訓練かな…どうしよ。まあ、今回大したことありませんでしたね。次回をお楽しみに。

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