デート・ア・ライブ 電子精霊達と共に   作:神谷 莢那

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 書き始めが遅かったこともあるがまあ、楽しんでくれるとありがたいです。次回くらいで一巻終わるかな…?次々回かな…?というスローペースっぷりに自分でもびっくりだわ。
 タイトル思いつかんかったんや。雑だわ。
 候補としては(おそらく)造語の共に歩くで(共歩
 とか考えてたんだけど既存の言葉にしようと思ってね。


友好

 

 「そりゃあそうだよな、例え顕現装置(リアライザ)でも限界はあるよな…」

 

 士道が精霊に(鞠亜が考えたものだが)十香という名前をつけたその翌日。

 学校側からの連絡も無く(これは休校情報を逃しただけなのだが)、そもそも昨日に学校は瓦礫と化したのだから…と思いつつももしものことを考え、鞠亜達…というか、二度手間を好まない鞠奈を気遣った士道は学校にきていた。

 そして目の前には、ぴたりと閉じられた校門。校舎は瓦礫のままだ。

 

 「それじゃ、買い物でもしていくかな」

 

 鞠亜達といることになるだろうし、二人分の材料が余分に必要となると考えると、今の冷蔵庫の中身では少しばかり心もとない。

 

 早めに帰ろうと足早に歩き始めてすぐに、士道は妙な感覚に襲われる。

 

 それはまるで、大きな霊力が世界の狭間とでもいうべき場所からこぼれ落ちてきたかのような。

 

 空間震が震災を撒き散らす、霊力を無理やり引き出してくるものだとすれば、それは霊力が自ら意図して(・・・・・・)震災を起こさぬようにしたと感じられた。

 

 

 今向かっているその方角に発生したそれを確認するべく、士道は半ば走るようにそこへと向かう。そこにいたのは――

 

 「おーい、シドー!」

 

 十日ほど前に、初めて十香と出会った場所。まだ復興部隊が処理を終えていないのだろうその惨状を残すそこに、明らかに街中に似つかわしくないドレスを身にまとった少女がいた。

 

 「十香!?」

 

 視覚情報も、体感的に感じられる霊力からも、それが十香であることは確定だ。だが、一つ不可解なことがある。

 

 「空間震なんて起きてないぞ…?」

 

 ということは、先ほどの感覚はやはり、十香が自らこちらへ来ようとしたもので、空間震無く精霊はこちらに来ることができる…そういうことだろう。おそらくだが。

 

 「ええと、美味しいもの…食べに来たのか?」

 

 すると十香は、満面の笑みで

 

 「うむっ!」

 

 と、頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 士道と十香が食べ歩きを開始してしばしたった頃、服を変えろと言えば道行く人から奪い取ろうとする十香を止め、人ごみを見れば敵かと警戒する十香をなだめ、素直に気になると言わない十香を連れて回り、妙な目線を察知してまこうと試み、心配されないよう霊力を使って鞠亜達に連絡をとり、新たに店に入ったところで琴里を発見した。

 

 

 十香もいるわけだし、と話しかけようか悩んでいるうちにこちらに気づいた様で、ぶふぅぅぅぅッ!? とジュースを吹き出していた。汚いぞ、琴里。

 ともあれ向こうがこちらに気づいたのだし、と席に座って注文をする。大変情けない話だが、電子精霊としての能力を存分に生かした鞠亜達の稼いだ金は非常に多いもので、これは士道のものですから、と、すべて名義が俺のものとなっているのである。まあそれで彼女達にプレゼントを買ったりと返してもいるのだが、まあ情けないことに違いはない。が、それから引き出した余分な金のおかげで今助かっているのも事実なので、素直に感謝することにする。

 

 これまでろくに食べ物を口にしていなかったであろう十香はどれも美味しそうに食べているので見てて気持ちいい。量が尋常でないのは精霊だからなのか。

 

 

 とまあ、十香が満足したところで会計へ。そこに立っていたのは…

 

 「どうしてそこ…」

 

 そこに令音さんがいるんですか、と、レジに立っていた店員こと令音さんに問おうとしたところをギラリと睨みつけられ、言葉を止める。

 その間に素早く会計を済ませた令音が、紙面をトントン叩きながらレシートを渡してくる。

 そのレシートの下の方に『サポートする。自然にデートを続けたまえ』という文字が。嫌な予感しかしないのだが大丈夫だろうか。

 ともかく、こうしてわざわざ十香にこちらが知り合いだと悟らせることなくメッセージを伝えてきたということは、十香にそのことを気づかれないようにしつつデートを続けろということなのだろう。

 

 「……こちら、商店街の福引き券となっております。この店から出て、右手道路沿いに行った場所に福引き所がありますので、よろしければ(、、、、、、)ご利用ください(、、、、、、、)

 

 レジの下からカラフルな紙を取り出し、やけに強調して言ってくるということはそういうことだろう。ほんといやな予感しかしないのだが。

 

 「シドー、なんだそれは」

 

 だが、いかざるを得ないようだ。十香が興味を示してしまったのだから。

 

 「行ってみるか?」

 「シドーは行きたいのか?」

 「まあな」

 「では行くとしよう」

 

 ほんと、素直じゃないよ。鞠奈程でもないと思うけど。

 そんな言葉を心のうちで浮かべつつ、大股で歩く十香の後を追った。

 

 

 

 

 

 「えーと、福引き所はあれか」

 

 先ほどの案内に従った進んだ先に、赤いクロスを敷いた長机と、その上に大きな抽選器(ガラポン)が置かれたスペースが見えた。

 …しかし、抽選器のそばに立つ男から並んだ客まで、全員に見覚えがあるということは、おそらくこれはラタトスクが急ぎで用意したものなのだろう。やることが違う、というか、普通に楽しむだけでいいだろうにどうしてこうも無駄なことをするのかと問うて見たくもあるが、それは後回しだ。

 

 まあ、士道が彼らの顔に見覚えがあろうと、十香に関係はない。「おお!」と、顔を輝かせ、士道が手渡した(欲しそうにしていたため)福引き券を握りしめている。

 

 「ほら、じゃあ並ぶぞ」

 「うむっ!」

 

 最後尾につき、すぐに十香の番が回ってくる。

 

 「これを回せばいいのだな?」

 「ああ」

 

 出てきたのは赤いハズレ玉。「残念だったな」と伝えようとしたところで、ガランガランと鐘の音が響く。

 

 「大当たり!」

 

 へ?と言葉が漏れたが、係員役が1位のところを赤いマジックペンで塗りつぶしているのを見てそこまでするのか…と多少ため息。

 

 「おめでとうございます! 一位はなんと、ドリームランド完全無料ペアチケットです!」

 「おお、それはすごいのか、シドー?」

 「近場のテーマパーク…?」

 

 嫌な予感に従い、霊力を解放。電子の力を使い、携帯端末を使うことなくネットワークを走査すれば、ドリームランドのことは簡単に出てきた。琴里は一度お説教が必要かもしれない。鞠奈に報告して処罰させようか。

 

 「裏に地図が書いてま」

 「無理だ」

 

 言葉を遮ってチケットを突き返し、十香の手を引いて歩く。

 

 「シドー、さっきのは何だったのだ?」

 「まあ…俺達にはまだ使えないものだったからな。そんなことより、ほら、そこのきなこパンでも食べるか?」

 「おお! そうするぞ、シドーよ!」

 

 なんとか話をそらせたようだ。こちらの手を引く十香を微笑ましげに思いつつ、あとを追うのであった。

 

 

 

 

 とまあ、なんとか話をそらし、十香がきなこパンを食べ終えたところで、また見たことのある顔が並ぶ。次なんなんだ一体。

 気づけば、店頭に並べなれたいくつものテレビに、奇妙な番組が映し出されていた。

 

 『やっぱり初デートで手も握ってくれないような人は嫌ですよぉー』

 「そうですよねえ。男ならがっといかないとねえ」

 

 とか話している。周囲を見回せば不自然なほどカップルがいて、さらには中睦まじく手をつないでおり、時折、明らかにこちらに聞こえるようにして「手をつなぐのっていいよね!」やら「心が通じ合う感じがするね!」だとか言っている。つまりそういうことだろう。

 

 確かにキスをしなければならないとなればそういうことも考えなくてはならないのだろうが、なにせ自分には2人も恋人がいる身である。

 後で二人に怒られたら琴里も巻き添えに…などと思いつつ、十香に手を差し出す。

 

 「む? なんだ?」

 「その…手、繋がないか?」

 「手を? 何故だ?」

 

 何故ときたか。

 

 「なんとなく…かな」

 

 誤魔化す様に笑えば、十香もにっこりと微笑んでこちらの手をとる。

 

 手をつなぐことは慣れているが、鞠亜達を除けばむしろ経験が無いくらいで、緊張してしまう。なんとか意識を手からそらしつつ、道なりに歩けば、不審なまでに立入禁止の看板が並んでいた。

 

 どこに誘導されるのだろうかと思いながら、俺と十香は歩いていった。

 

 

 

 

 いつもの(鞠奈に餌付け)

 

 ある日の晩餐、鞠亜達は士道の家に呼ばれていた。

 琴里に付き合っていることを知らせてからというもの、割と頻繁にこの四人で食卓を囲む事があるのだ。

 

 「士道」

 「なんだ? 鞠亜」

 こちらに顔を近づけ、耳元でゴニョゴニョと話しかけてくる鞠亜。なるほど、そういうことか。

 「鞠亜」

 「なんでしょうか士道? なにか説明し忘れたことでも」

 「ほら、あーん」

 言葉を遮り、夕飯の肉じゃがを差し出す。

 「し、士道? それは鞠奈にですね」

 「あーん」

 「で、ですからっ」

 「先に鞠亜の番ってこと…っ熱!」

 案の定というべきか、柔らかくなった具材がそれ以上耐えきれず、受け皿のようにしていた手に落ちてくる。

 「もう、士道の手に火傷でもできたらどうするつもりですか」

 そういって、こちらの手をとる鞠亜

 「鞠亜…?」

 「ほら、じっとしていてください…あむ」

 こちらの手の上に乗った具材を頬張り、舌で手を舐めとる鞠亜。その淫靡に見える仕草に、思わず心臓が高鳴る。

 「ほら、士道、綺麗になりましたから、手を洗って…士道? どうして赤く…っ!」

 先ほどの行動は意識せずしてやったことのようで、自分の行動を思い出したのか顔を赤くして、向こうへと背ける鞠亜。

 「取り敢えず、ほら、鞠奈もあーん」

 「わ、私は構わないわよ」

 「ほら、また落ちてきちまうから、あーん」

 「も、もう、わかったわよ」

そう言って恥ずかしそうにしながら具材をほおばる鞠奈。

 「それじゃ、キミも食べなさいよね、ほら」

 先ほどと逆に、具材を突き出してくる鞠奈。

 「んむ」

 「お兄ちゃん達はラブラブなのだー」

 

 琴里の一言にまた顔を赤くした三人だった




 この間考えた適当な設定的なもの
 13巻最後より、精霊はもともと人間かつ
 二人に別れた八舞姉妹→つまり肉体の半分を霊力で維持もしくは分裂

 これらから、或守姉妹は元士道の体の三分の一プラス霊力で構成もしくは分裂した元士道の体ってことにすればいいんじゃねって考えた。

 まあ、霊結晶がないし、あの二人も、ひとりが別れたのではなくそういう設定というか、記憶を操作した上でそれぞれ用意したとか考えると成立しなくなるんですがね。

 でも、もしあの二人が霊結晶も二分の一なら(というかそれぞれ霊装違うしそうなんじゃないかと思うんだよね)霊結晶の分割も可能なわけで。

 琴里弱体化させたら鞠亜鞠奈の二人も純正の精霊と変わらん感じにできそうや…(こじつけ設定的に)

 とまあ、こんな感じの事を考えた結果、封印したことで力の大半を持ち、さらに強化イベントの炎の繭のとこなんかで完全にカマエルを掌握してるのでその力を二人に回して霊結晶として運用してるという設定に。

 まあつまり、琴里霊装の100%展開をできなくして、その代わりに鞠亜達は肉体を運用できてるって感じです。あの二人は自前の霊装(ゲーム版のやつ)持ってますが、カマエルの限定霊装なら出せることになりますね。


 士道が今回ほいほいと霊力を使ったのは十香の霊力があったためで、隠せない状況だとなるべく使いません。
 今回、原作での琴里視点のところはじめは書いてたんだけど変化を持たせられなかったので書き直して勘がいい士道が説明してくれました。しかし鞠亜達の出番なさ過ぎて辛い。おかげてあれを書いてしまった。思考に変化こそあるもののデレさせなきゃならない手前ふたりを連れ歩いてキスは無理だと精霊側が諦めたらダメな気がするし、仕方ない処置なんだけど…。ねぇ。
 途中の検索能力はまああれです。電波使えるしこんな感じいけんじゃねと思いまして。イメージはSAOのユイみたいな検索です。電脳世界に入り込めるんだからきっと余裕でしょう。
 最後のはいつもの。書きたくなったんだから仕方ない。或守成分が足りなかったんだ。じゃがいもだとか書くのもなぁと思って具材と書きました。いつもは鞠奈が先手な気がしたので今回は鞠亜から。割と今回のは楽しくかけた。
 あとがき千字近いって何なんだろうか。

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