デート・ア・ライブ 電子精霊達と共に   作:神谷 莢那

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 前話で鞠亜がいろいろせめてたけど、やっぱり事実なんじゃないかなって私思うんだよね。
 四糸乃のときなんて士道が無茶したからやばかったわけだけど、四糸乃が狂三みたいに容赦ない性格で、氷のあれ発動させてきてたら灼爛殲鬼でも回復できなくてつんでたっぽかったし。別に原作展開にケチつけたいわけじゃないけど、そこんところ危険じゃないのかとは思う私です。まあ、面白ければいいタイプなので思うだけなんですが。

 サブタイつけとらんかった。


決意

 

 

 「ところで士道、これからどうするのですか」

 

 鞠亜が見事に琴里を言い負かし、精霊も引っ込んだということでひとまず鞠亜と鞠奈の家にやってきた士道に、鞠亜は唐突にそう切り出した。

 

 「どうするってのは…?」

 「キミ、ほんと鈍いわね。鞠亜は、〈ラタトスク〉とどうしていくのかって聞いてるのよ。全く、それくらいわかりなさいよねこの馬鹿」

 「鞠亜、言い過ぎですよ。私にも言葉足らずなところはありましたから。こほん、まあ、鞠奈の言うとおりです。これから、〈ラタトスク〉とどうするつもりですか、士道」

 「どうするって言われてもなぁ…」

 「ひとまずあの場では拒否しましたが、士道一人でやり方もわからず精霊を助けようとするよりはまだ、ああいった組織の元で動いた方が合理的なのは事実ですからね。それに、向こうには琴里もいますから、組織自体は安全かと。もちろん、琴里を騙している可能性もあるわけですが、おそらくそれはないかと」

 「…? どうしてだ?」

 

 特に洗脳されていると疑うことはしなかったが、逆に否定することもできないと思うのだが。

 

 「私の予想だけど、あれは自己暗示みたいなもの…ってことよね? 鞠亜」

 「はい、おそらくは。琴里のリボンはこの三年、ずっと白色でしたが、あの時は黒色でした。ですから、それがキーになっていると思われます」

 「そ、そうだったのか…」

 

 リボンの色なんて気づかなかったんだが、鞠亜はよく気づいたな…。言われてみればそんな気がしてきた。

 

 「つまり、仕事モードとでも言うべきモードがあの雰囲気の琴里であるということだと思われます。もちろん、確実とは言えませんが、おそらくそうではないかと」

 「つまり、あの五河琴里も普段の五河琴里も中身は一緒ってことね。〈ラタトスク〉で働くためにそうしてるってこと。今度会ったら髪のリボンを外してみたら?」

 

 ふふっ、と笑いながら鞠奈が提案してくる。うん、それで暗示がとけて元の琴里になってたら本人だって確信できそうな気がする。

 

 「はは、確かにそうしてみるのがいいかもな」

 「ただ、一つだけ気になることがあります」

 

 鞠亜が真剣な表情に変わる。

 

 「確かに、〈ラタトスク〉の掲げる目標は素晴らしいものであり、おそらくその心意気も本物でしょう。ですが、何のためにそれを行うのか。それがわかりません。それに、封印をすれば士道に負担がかかります。そこが不安なところですね」

 「そう言われてみればそうよね…。何のために精霊を対話で止めるようとするのか…。まさか士道みたいに善意だけで動いてるなんてことは無いだろうし、かといってそこまでして殺さない理由もわからないわね…」

 

 理由、か。確かに、気になることではある。だが、士道の中で答えはもう決まっている。

 

 何を考えているのか分からない?

 ―別に構わないだろう? 精霊を助けたいと思ってくれている、それだけで。

 

 自分に負担がかかる?

 ―別に、自分が傷ついたって、それで皆を救えるなら構わないだろう? あ、いや、鞠亜と鞠奈を悲しませたくないから、できる限り無茶はしないけども。でも、できる限り頑張るだけだ。負担が辛いものになるまでは、いくらだって背負ってやる。

 

 「俺、決めたよ」

 

 二人共がこちらを向き、一人はただ答えを待つような。もう一人は答えを悟っているのか、少し呆れたような表情になる。

 

 「俺達がさ、いくら〈ラタトスク〉が何を考えてるのか、なんて考えたってわかりっこないんだ。だからさ…」

 

 信じてみないか?

 本心から語られた士道の言葉は、真っ直ぐに二人の心に届く。

 

 「ま、それもそうね。どれだけ考えたって、それは想定でしか無いんだし、人の善意ってやつを信じてみようじゃないの」

 「そうですね、鞠奈、士道。私達を救ってくれた士道なら、きっと精霊達も救える。私はそう信じます」

 「ありがとうっ! 二人共!」

 

 ついてきてくれるか、信じてはいても不安でもあった士道は、思わずして二人を抱きしめる。無意識の行動だが、それゆえに純粋な気持ちは二人に伝わる。

 

 「き、キミ。えっと、そ、その…」

 「士道、その、嬉しくはあるのですが、その、恥ずかしいです」

 

 唐突な出来事に慌てて言葉の出てこない鞠奈と、恥ずかしがりながらもある程度冷静な鞠亜。その様子に、士道もようやく自分のしたことに目が行き、「ご、ごめん」と、こちらも羞恥心で目を直接合わせられないまま二人を離す。

 

 

 「こほん、話を戻しますが、士道」

 

 顔は赤いままに、鞠亜はまた真剣な表情で

 

 「確かに、精霊を救うのはいい事ですし、士道のやりたいことに反対もしません。ですけど、士道は士道を大切にしてください」

 「キミってば、私を助けてくれたときもそうだけど、無茶しすぎなんだからね。私たちを心配させないようにしなさいよね」

 

 こちらの心配をしてくれる二人に、心の内が暖かくなるのを感じる。

 

 そしてまた同じように抱きしめて、今度は二人も士道を抱きしめるようにして甘々になるのであった。




 和解まで行くつもりだったんだけど話し合いで割と長引いた。まあ、普段より少し少なめなんですが。

 読んでくださってる方には大変申しわけないとは思うけど来週まで待ってください…。平日は趣味から勉強とやること多いんだよねぇ…。毎日更新できる人はすごいと思います。

 そんなわけで、楽しんでいただけてたら幸いです。

 電子精霊ならではの記憶を生かした推測、なかなかいいんじゃないかな?

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