デート・ア・ライブ 電子精霊達と共に   作:神谷 莢那

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 なんだかんだ悩んだものの、落ち着くところはこんなもの。
 てことで、まあ前回のあとがきの悩み事がどうなったかは見てもらえばわかるかと。

 追記 タイトルつけてなかったぜよ。即興で考えました。原作のを使うのはないかなぁ。後でと跡でを掛けたつもり。面白くないって?サーセン。


十香

 駆けること数分。霊力すら使用してファミレス前についた途端、士道は悪寒を感じ、ピタリと立ち止まる。

 随分と修練した結果に身につけた霊力()を即座に使用して、体を電子で覆う。次の瞬間、士道はそれまでの学生服ではなく、白く機械じみた装備へと切り替わっていた。士道が客観的に見たならば、これを『鞠亜の霊装と似ている』と言うだろう。

 しかし、これは単なる装備である。

 

 士道には、もう一つ手札がある。炎の精霊であり、自らの知らぬうちに自身に封印されていた〈灼爛殲鬼〉という存在が。

 しかし、この力を振るうことは出来ない。

 なんの力によってか霊力で構成されたわけでもない肉体を得た鞠亜と鞠奈ではあるが、彼女らが士道を起こすためなどに使用している力の大元は士道であり、つまるところ士道と経路(パス)がつながっているのだ。それにより、制限されているものの二人はある程度までの力を使うことができる。ここで何が問題になるかといえば、使用されるわけでもなくお互いの間を霊力が行き来しているということだ。

 そして、士道の全力たる霊装を展開するには、士道の持てる力の全てをつぎ込まねばならず、その際には彼女らとのパスを切断しなくてはならない。実験したところによれば、もう一度キスをすることによってパスは繋がるのだが、パスが切断されれば二人は本格的にただの無力な人間となり、安易な霊装で身を守ることすら出来なくなる。それ故に、灼爛殲鬼は使用出来ないのだ。

 

 もちろん、今展開した鞠亜の霊装に酷似したなにか、は霊装ではなく、着用型接続装置(ワイヤリングスーツ)顕現装置(リアライザ)である。電脳世界にて鞠亜が作成したもので、鞠亜と似た姿なのはずるいとの鞠奈の声で(もちろん、素直に言われたわけではなかった)、鞠奈に酷似した見た目のもの、そして霊力が足りず使用する機会のない、霊装と併用することを前提とした最低限のパーツのみで構成された見た目と、三パターンに変化させられる。

 

 そして即座に随意領域(テリトリー)を展開し、防壁を作り出す。

 

 次の瞬間、三人の前方で光を伴った爆発が発生する。

 衝撃波と風圧を完全に防ぎきり、ひとまず安心と言ったところか。

 

 「大丈夫か、鞠亜、鞠奈」

 「え、ええ」

 「はい、問題ありません」

 

 二人の安否を念のためと確認した士道は、目の前の光景に眉をしかめる。

 そこには、今の今まで目の前にあった町並みが、抉り取られでもしたかのように消え失せた風景が広がっていた。

 そして、その中央にいる存在に目をやる。

 RPGに出てきそうな玉座らしきものに立っている、奇妙なドレスを纏った少女。霊力で強化された身体能力は、少女の長い黒髪と不思議な輝きを放つスカートを見て取る。

 ――彼女が精霊か

 こちらが何をするという前に、その少女は玉座から巨大な剣を引き抜く。幻想的な輝きを持つ、霊力を持った刃。

 そして、横薙ぎに一閃。

 どう考えたって届くわけのない距離から振るわれた斬撃は、咄嗟に随意領域によって斬撃を逸らした先にあった様々なものを切り倒していった。

 

 「お前達も、か」

 

 と、いつの間にか目の前な移動していた少女は、こちらを見てそうつぶやく。

 

 「それは、どういう意味ですか?」

 

 気休め程度でも、彼女らを守れるように、前に出る。

 

 「お前達も、私を殺しに来たんだろう?」

 「はぁ? わけわかんない。そもそも、初対面の相手に何をそんな当たり前だろーなんて言ってんのあんたは?」

 「は?」

 

 どれだけその少女の心が擦り切れているのかはわからない。目を見れば、今にも泣き出しそうな、それでいて憂鬱そうないろいろなが見て取れる。その少女が誰からも命を狙われてきたと証明するその言葉を、鞠奈は素で返した。

 

 「待て待て待て、お前達、私を殺しに来たんじゃないのか?」

 

 明らかに少女は動揺を見せる。

 

 「だーかーらーっ、どうしてあたし達があんたを殺さなきゃならないのよ」

 「い、今まであった奴らは皆…」

 「他人は他人、あたしはあたしよ! 全く、一部だけを基準に決めつけないで欲しいわねこの馬鹿」

 「ば、馬鹿…っ」

 

 あ、ちょっと泣きそうになってる。こうしてみると普通の女の子なんだな。

 

 「全く、言い過ぎですよ、鞠奈は。ええと、あなた、名前は…」

 「名か。そんなものはない」

 

 そう言った時の顔が、ひどく悲しげに見えて。

 

 「先程は鞠奈が失礼しました。全く、鞠奈が余計な事を言うから…」

 「また喧嘩売ってるわけ? いいわよ、買ってやるわよ?」

 「わ、私はどうすれば…」

 

 今度はオロオロしだした。というか、もうすっかりいつもの雰囲気だな。空間震あったばかりなのに。

 

 「そ、そこの男」

 「ん? 俺か?」

 

 喧嘩を始めた二人には話しかけにくかったみたいだ。

 

 「そ、そうだ。お前達、本当に私を殺しに来たのでは無いのだな?」

 「ああ、ここにもちょっと人を迎えに来ただけだしな。そうだ! せっかく知り合ったんだし、友達にでもならないか?」

 

 救う方法はまだ見つからないけど、その一歩になると信じて。

 

 「友達? なんだそれは?」

 

 そこからか、なんて苦笑する士道だった。

 

 「む」

 「っ!?」

 

 友達の説明をしようかと思ったところで、唐突に嫌な気配を感じ、そちらを見ればミサイルが飛んできているのを確認できた。鞠亜と鞠奈を抱き寄せて随意領域を縮め……精霊たる彼女を見て、そちらに近寄って少しの随意領域を広げる。

 

 「? なにをするつもりだ?」

 

 きっと、この少女にとってこの程度の攻撃はなんてことはないのだろう。まあ、歩み寄ることが大事なんだと信じて。

 

 「出来ることは少ないけど、このくらいの攻撃からだったら守ってみせるから」

 

 流石に守るという言葉の意味は知っていたようだ。そしてその言葉を耳にして、少女の表情が少しばかり明るくなる。

 

 ミサイルを防いだ直後、俺の体は浮遊感を感じ、次の瞬間には見知らぬ所にいた。




 戦闘描写できるか不安しかないけどそれでも強化したから書きたい莢那です。こう、「なっ!?」って感じで驚いてるのを見るのが好きなんですよね。相手が慢心してたらなおさら好み。なので私のマイブームは異世界にクラスごと連れてかれて、主人公が弱くて見捨てられる→強くなってそのうち勇者とかと出会ってかるく蹂躙。
 こういう流れは割と好みだったりします。

 特に理由乗せてないけど、作者的には鞠亜と鞠奈の受肉は灼爛殲鬼が本気で頑張って魂だけから肉体を作り出したと思ってたり。霊力だけで作られてたらキスで事故るから考えただけなんでいろいろおかしいとは思いつつ、霊力だから仕方ない。

 で、パスが切れるだとか言ってるくせに琴里とのパスが切れないのは、察せる人なら察せるだろうけど鞠亜と鞠奈は力を貸与しているだけで、琴里からはむしろ力を受け取っているから。士道に力の大半が移ったとはいえ元が琴里だからなのです。

 顕現装置装備時の士道は今回は士道が鞠亜の霊装をつけただけな感じで、士道自身の見た目の変化はありません。パスを切断して本気を出せば顕現装置ではなくそれに酷似した霊装が出てきて、髪の色などが変わります。が、霊力の総量の都合上制限があります。

  ちょっとネタバレになりますが平日アップ厳しい以上忘れそうなのでここに書いておくけど、最後のところ、琴里がフラクシナスに引き上げたってのはわかりますよね? で、このとき、琴里は士道が何をしてたか知りません。精霊が出てくるのはいつもの事なので適当にスルーしてたら(士道の顕現装置は生成魔力使ってるので直接見ないとASTと区別できない)誰かが士道の生命反応が真下にあるのを見つけてはぁ!?ってなりながらもとりあえず確保した感じです。服装変わったのも見てないことに。そうしないと都合が悪くなっちゃうからね、ほんとすまないね。

 あとはいつもの流れになっちゃう鞠亜と鞠奈。精霊の前なのにいつもどうりというね。これでこそこの二人っぽい気がします。作者的にはですけど。二人の名前の入れ間違えには注意してるんだけどあったらすいません。報告願います。

 そして昨日友人と行われた謎のFate談義。プロトセイバーやらプロトアーチャーにBBやら玉藻やらと、とにかく作品があっちこっちする話でした。いやぁ楽しかった。

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