悪魔城ドラキュラ Dimension of 1999   作:41

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錬金術研究棟
Alchemist


 

 錬金術……その名の通り黄金を作り出す事を目的とした学問である。

 

中世の人間達も現代の人間以上に黄金の放つ永遠の魔性に魅せられ、何とかして人の手でそれらを作り出そうとしたのだ。最も現代ですら実現していない事からも解るように、当時の未発達な化学技術では金を作る事など到底叶わず、当初の目論見は失敗した。

 

 だがそれらの研究は幾つかの副産物も生み出した。いかがわしい媚薬や若返りの薬等、少々胡散臭い物が作られた一方、硫酸や王水、火薬、蒸留技術等、今日の化学の礎となった物もまた多い。

 

 しかし人間の欲という物は果てしない。時の権力者達はお抱えの錬金術師を使い、政敵を始末するための毒薬や、罪人を裁く拷問器具、戦争のための武器を作り出す。

……やがて歯止めの効かなくなった研究は次第に禁断の領域……不老不死や人工生命(ホムンクルス)の創造、異種族同士の合成(キメラ)等、人間が触れてはいけない神の領域にまで及んで行く事となる……

 

 

 

 

 

 

 本城と施設とを結ぶ長い通路を抜けると、なんとも怪しい研究器材の数々がユリウス一行を出迎えた。恐らくここがスケルトンの言っていた錬金術研究棟だろう。

 

多少のいかがわしさもあったが、全体的に暖かな空気に包まれていた幻夢宮とはうってかわって、この施設からは無機質な……人を寄せ付けない冷たさを壁や天井から感じ取る事ができる。地下にいる訳でもないのにやけに底冷えがする。吐く息も薄っすらと白い物が混じり、3人は無意識の内に体をさすっていた。

 

「何なんだろうなこれ……ラング解るか?」

 

 しばらく進むと、巨大な丸い水槽が無数に、所狭しと並んでいる部屋に出た。何かの実験場だろうか……何年も使われていないのか表面のガラスには薄っすらと埃が被り、水槽内に満たされた液体は緑色に濁って中身を確認する事は出来ない。

 

「俺に聞くな、こういった物はお前たちの方が詳しいだろう。むしろこっちが聞きたいくら…… ……ッ!!」

 

 そこまで言いかけてやにわにラングの言葉が詰まる。その慌てた様子にユリウスが

「どうした」と聞き返す。

 

 

「二人とも今すぐ水槽から離れろ! 今……何かと目が合った。中に何かいるッ!」

 

 

 ラングの鬼気迫る表情と声に、ユリウスとハルカもすかさず水槽から飛び退いた。

次の瞬間、今まで微動だにしなかった数十の水槽が連鎖反応を起こしたかのように割れ、緑色の液体と共に何か得体の知れない生き物が飛び出してくる!

 

「……!? こいつは……!」

 

 水槽から飛び出てきた生き物の姿にラングは見覚えがあった。緑色の液体に包まれてはいるが、その両生類のような不気味な質感、青白いつるつるの皮膚は忘れようと思っても絶対に忘れられない。

 

「ドッペルゲンガーッ!? まさか……ここは化け物共の工場か!?」

 

 ドッペルゲンガー達は生まれたての小鹿のようにプルプルと震えながらも、四つんばいの姿勢から立ち上がろうとしている。このまま放って置けば礼拝堂の時と同じようにまた何者かにその姿を変えるだろう。

 

 

「ッ!!!」

 

 

 誰が合図を取るわけでもなく、既に3人は行動を起こしていた。近場の敵にはユリウスの鞭、

少し離れた敵にはハルカの火炎弾。そして遠距離の敵にはラングの銃が火を吹く。

 

 ここまでの戦いで互いの性質、特性を理解した上での見事な連携だった。変身さえさせなければ恐れるような魔物ではない。20匹はいたドッペルゲンガーの群れは為す術もなく3人の攻撃によって倒される。――だが数匹、他の仲間が倒されている間物陰に身を潜めていた小ずるい奴らがいた。ドッペル達は速やかに変態を終えると3人の前にゆっくりとその姿を現す。

 

 

「ユリウス……」

 

「ラング……」

 

「ハルカ……」

 

 

「……………………ッ!!!」

 

 

 1人はコートを着た老人。もう1人は片腕を無くした兵士。そして最後の1人はハルカ本人……

姿を変えた三匹の魔物はゆったりとした歩みで三人を取り囲むように近づいて来る。その態度は「自分達は攻撃される事は無い」とでも言わんばかりに悠然としている。だがすでに種がばれている手品に驚く義理も時間もユリウス達には無い。

 

「今更そんなこけおどしが効くかッ!」

 

 自らの中にある迷いを断ち切るようにユリウスが叫ぶ。師の姿を謀った魔物に断罪の斧を振り下ろすが如く、怒りのヴァンパイアキラーが空を裂く!哀れドッペルゲンガーは真っ二つに引き裂かれ、醜い断末魔をあげながら泡となって消えていった。

 

 一方ラングは引鉄を引くのを一瞬だけ躊躇した。だが戦友の姿を撃つ罪悪感よりも、二度に渡って友人を弄ばれた怒りの方がはるかに勝った。ジョーンズから譲り受けたアガーテの連弾をこれでもかとドッペルゲンガーに喰らわせ、こちらも難なく撃破に成功する。

 

 

……だがもう1人、いつもなら真っ先に攻撃をしかけるであろうハルカに動きが無い。

 

 既に敵を倒した二人が背後を振り返ると、ハルカは敵が目の前に迫っているというのに目を大きく見開いたまま小刻みに震えている。ドッペルゲンガーはハルカの目前に迫り、今まさに攻撃を加えようとしていた。

 

『ハルカッッ!!』

 

 偽ハルカの攻撃が放たれる寸前、ユリウスとラングの檄が飛んだ。ギリギリで我に返ったハルカはすぐさま杖を前方にかざす! ……が、その時既にユリウスのナイフとラングの銃弾がドッペルゲンガーの体を撃ち抜き、偽ハルカは元の醜い魔物の姿に戻っていた。

 

 

 

 

 

 

「死んでない……死んでなんかいない……ッ」

 

 脅威はひとまず去った。にもかかわらずハルカは杖を前方にむけたまま、うわ言のように呟いている。その体はたいした戦闘でもないのに激しく上気し、肩が大きく揺れている。

 

 いくら呼びかけても反応を示さない少女に、ただ事ではないと判断したユリウスはハルカの正面に回ると、少し強めに少女の頬をはたく。何度目かの呼びかけの後、ようやく少女の翡翠色の眼に生気が戻った。

 

「おいハルカ!しっかりしろ!俺がわかるか?」

 

「あ……ユリウス……?え……うん、大丈夫……でも……わたしに化けるなんて失礼しちゃうよね?わたしまだ生きてるよ?」

 

「当たり前だろ?しっかりしろよ。それとも今俺の目の前にいる奴はゾンビか何かか?」

 

 まだ少し動揺が残るハルカを落ち着かせるように、ユリウスは出来る限り優しい口調で語りかけながらハルカの頬をグニグニとつまんだ。普段は絶対見せないようなユリウスの気遣いに、ハルカの顔に少しだけ笑顔が戻る。

 

「そうだ笑ってろ。怯えてるお前なんて逆に気味が悪い」

 

 ハルカの頬をつまみながらユリウスが言う。気がつけばハルカも落ち着きを取り戻し、

場には和やかな空気が流れていた。が……

 

 

……………ぐにぐに

 

「…………ひょっと?」

 

……………ぷにぷに

 

「ひょっとユリウひゅ?いいひゃげんに……」

 

 

「(……思いのほか触り心地がいい……)」

 

 

 

 

 

 

 

”ゴチン!”

 

 

 ヴェルナンデスの杖の一撃がユリウスに振り下ろされた。頭を抱えうずくまるユリウスに背を向け、ハルカは膨れっ面でプリプリと怒りながら先へ進んでしまった。

 

 

「おー痛え……あいつ冗談通じねえな……」

 

 やがて痛みも引いたのか悪態をつきながらユリウスもヨロヨロと立ち上がり、ハルカの後を追った。しかしただ1人、ラングだけは何か考え込むようにその場から動こうとしない。

 

 

「……有角の話なら奴は死者にしか化けられない筈……何故ハルカだけ本人の姿に?」

 

 スミスが死んでいるのは確認している。あの老人も、年齢から察するに恐らく故人だろう。だがだとしたらハルカだけ何故?いつもの無邪気な態度とはまるで違う先程のハルカの様子といい、

ラングはどうにも腑に落ちなかった。しかし……

 

「おいラング、何ぼけっとしてんだ。置いてくぞ!」

 

 ユリウスの呼びかけに振り返ると、既にその後姿は階段に消えかけていた。こんな所に1人で置いていかれては敵わない。まあ何事も例外はある、さっきの奴らは生まれたばかりで安定していなかったようだし、咄嗟に目の前の人間を真似たのだろう……ラングは些細な疑問で気を紛らわせてはいけないと、無理矢理に自分を納得させると、二人の後を追った。

 

 

 

 

 

 

 ドッペルゲンガーの部屋を抜けた先には、また同じような水槽の立ち並ぶ通路が続いていた。

やはりここは化け物の製造工場で間違いないようだ。再び襲って来られては堪らないと、3人は

出来る限り気配を押し殺しながら、スケルトンの指定した最奥の研究所へと急いだ。

 

 

 20分も歩いただろうか……古ぼけた木製の扉が三人を出迎えた。扉の上の表札のような物にはこれまた古ぼけた字で何か書いてある。

 

「ラテン語だね………… ”生物研究所” だって、多分ここで間違いないよ」

 

 即座にハルカが解読する。どうやら無事に目的地まで辿り着いたようだ。だが相手はあの

スケルトンだ。どんな罠を張っているか解らない。ユリウスは慎重に扉を開けた。

 

 

 部屋に足を踏み入れた瞬間、3人はすぐに異変に気付いた。粗悪な蝋燭が焦げる匂いに混じって、奥の方からかすかな血の匂い……それも間違いなく人間の血液の匂いがするのだ。

 

 奥へ一歩進むごとに生酸っぱい血の臭気はその輪郭をはっきりさせ、目的の部屋の明かりが見える頃には若干の腐臭も混じっていた。奥の部屋の入り口には扉は無く、中の様子をそのまま探る事が出来る。室内戦に慣れているラングが先行し、壁に身を隠しながら中の様子を探る。

 

 

 ふとラングが止まれのサインを二人に送った。部屋の中央、薄暗くてよく見えないが何者かが背を向けて立っている。……注意深く確認する。白い頭に赤い服。間違いない、例のスケルトンだ。

 

 スケルトンは何か大きな台に向かってカチャカチャと金属製の音をたてている。一体何をしているのか確かめようと身を起こしたその時……

 

 

「いギィぃいいいィィィ――ッ!うぐぅぅああァァッッ!!」

 

「ええい!この程度で騒ぐな!頑丈さだけが取り柄の下等民が!!」

 

 

 静寂を裂き、耳を覆いたくなるような女性の苦痛にまみれた叫びと、それを罵る男性の声が部屋に轟いた。ただ事ではないと思わずユリウスが飛び出す。

 

 

「おいお前!一体何をしてやがる!」

 

「!? な、何だ貴様ら!?」

 

 

 予期せぬ来訪者の登場にスケルトンが取り乱しながら振り返る。だが……

 

 

「スケルトンじゃ……無い!?」

 

 

 振り返った男の顔を確認する。髑髏に見えた頭部は酷く痩せこけてはいるが肉のついたれっきとした人の顔。そして赤く見えた服は……返り血で赤茶色に染まった手術着だった。

 

 

「誰の許可を得て……いや、そもそもどうやってここを見つけた!?」

 

 

 老人が憤怒の表情で三人を睨みつける。だが3人の視線は目の前の骸骨のような老人ではなく、その奥の手術台に注がれていた。薄明かりの下、手術台には裸の女性が寝かされていたのだが……

 

 

「…………う…………あ……」

 

 

「何で……何で生きていられるの……!?」

 

 

 手術台に横たわっている女性には下半身がほぼ無かった。いや、それだけではない。解剖実験のカエルのようにパックリと開かれた上半身はグチャグチャに掻き回され、本来生存に必要な臓器が散乱している。にもかかわらずそれらが静かに上下しているのだ。心臓は鼓動し、肺は頼りなく伸縮運動を繰り返している。女性は間違いなく生きて……いや、無理矢理生かされていた。

 

「ええい!この程度で気絶するとは!検証にもならんわ!」

 

 老人が台の上でか細く呻く女性に対し吐き捨てるような罵倒を投げかける。目の前の惨状に思わずハルカが口元を押さえる。ハルカだけではない、戦場で死体を見慣れているラングでさえその哀れかつ異常な光景を直視する事は出来なかった。

 

異質な空気に呑まれかかっている二人に代わって、邪気を振り払うようにユリウスが先鞭を開く。

 

 

「お前は誰だ!スケルトンの仲間か!?今すぐやめろ!」

 

「人の研究室にズケズケと入ってきて何を言う!貴様らこそ儂の研究を邪魔しに来たのか!」

 

「研究……?そんなもん知るか!こっちはお前の仲間に呼ばれて来たんだよ!」

 

 

 ユリウスと老人が語気を荒げ激しい言葉の応酬を交わす。だがどうにも話が食い違い要領を

得ない。件の老人はやや困惑の色を浮かべユリウスへ問いただす。

 

 

「仲間だと……?訳のわからん事を!!」

 

「しらばっくれるな!赤いタキシードを着たいけ好かないスケルトンだ!お前らの仲間だろう!」

 

 

「……()()……タキシードだと?」

 

 

 それまでの荒ぶり様が一転、ユリウスの言葉に老人の剣幕がピタリと収まった。やがて老人は

静かに俯くと、何事かブツブツと呟き始める。

 

 

「ふ……ふふ……」

 

「フハハ……フハ……」

 

 

「フハハハハハハハハッ!!やはり奴か!また私の研究の邪魔をしに来たという訳だ!!」

 

 

「…………出て来いサンジェルマンッ!!どうせ今も見ているのだろうッ!!」

 

 

 突然声を張り上げ狂ったように笑い出したかと思えば、今度は一転夜叉のような形相で宙に向かい怒鳴り始める。老人の奇怪な言動に3人は気圧され気味だったが…………その異質な空間は聞き慣れた”あの”音で終わりを告げた。

 

 

”パチィィィンッ・・・”

 

 

 まるで時が止まったかと思える程の静寂が部屋を包む……そして穏やかな、だが嫌に無機質な声を発しながらその男は現われた。

 

 

「やれやれ……どうして解ったのでしょうか?魔物に姿を変え、あまつさえ服装も現代風に替えていたというのに……」

 

「ハッ!相変わらず気障な奴め……この城でそんなふざけた格好をする者など貴様以外におらんわ!」

 

 

 その初老の男はいつの間にか3人の背後にすらりと立っていた。現役の海兵隊員が一番後ろに陣取り、尚かつ周囲を警戒していたにもかかわらず、である。

 

 

 ――男の姿は有体にいえば”気障な伊達男”といった感じだった。シルクハットに赤い燕尾服。手には真っ白な手袋をはめ、腰には煌びやかな装飾のほどこされたサーベルと、20世紀も終わろうかという時代にそぐわない事さえ除けば、まさに洒落者の紳士といった容貌だった。

……ただそれと同時に完璧なまでにキューティクルの整ったサラサラの長髪と、ピンと跳ね上がった口髭が何ともいえない胡散臭さも醸し出していたが……

 

 

 血まみれの老人、半死半生の女性、そして突然現われた初老の紳士。目まぐるしく変わる状況に3人の思考は一時的に許容量を超え、パニック寸前まで追い詰められる。だがうろたえる三人を尻目に件の紳士が親しげに話しかけてきた。

 

「ここまでの道中いかがでしたか?皆さんお元気そうでなによりです……♪」

 

 紳士は実に気品に満ちた……しかし何とも胡散臭い微笑をユリウスに投げかけてくる。だが見も知らぬ紳士にいきなり話しかけられたユリウスはただただ困惑するばかりだ。

 

 そんなユリウスの顔を見て、紳士はしばらく首をかしげていたが、何かを思い出したのかわざとらしく手を叩くと優しく三人に語りかけた。

 

「ああそうでした、あなた方とこの姿でお会いするのは初めてでしたか。でもこちらの姿ならばきっと思い出して頂けるでしょう……」

 

 紳士は悠然とした仕草で右手を掲げ、指を弾く。途端気品溢れる中年紳士は嫌でも見知っている骸骨の魔物にその姿を変えた。

 

 

「!!……てめえ……ッ スケルトンッ!!」

 

 闘技場以来の見知った敵の登場に、3人は即座に紳士から距離をとり戦闘態勢をとる。一方老人は想定の範囲内だったのか妙に落ち着いた口調でスケルトンに話しかけた。

 

 

「なるほどそんな姿に化けておったか……仮装パーティーにでも出るつもりか?生憎ここは

ベルサイユではないぞ?」

 

「あなたも大概執念深いですねカリオストロ()()?ブルボン王朝も絶えて久しいというのに

ペテン師呼ばわりされた事をまだ恨んでいるのですか?」

 

「……黙れッッ!貴様が入れ知恵をしなければ今頃私は……ッ」

 

 

 老人とスケルトンには何かお互いに因縁でもあるのか、ユリウス達を気にも留めず一方的に会話を続けている。だが一刻も早く薬を手に入れ、アルカードを救いたいユリウスにとってみれば、それは不愉快な挑発以外の何物でもなかった。

 

 

「おい!俺たちを無視するな!お前の言う通りに来てやったんだぞ、早く薬をよこせ!」

 

 

 苛立ちを隠そうともせずユリウスがスケルトンに食って掛かる。スケルトン……もといサンジェルマンと呼ばれている紳士はユリウスの方を振り返ると慇懃に非礼を詫びる。

 

「おやおやこれは申し訳ない……古い知人との再会についつい昔話に華が咲いてしまいました。

 ええ、もちろん薬はお渡しします、ただ……その前に1つお願いを聞いて欲しいのですが……」

 

 やはりそうきたか……スケルトンがただでそんな物をよこすはずが無い。ユリウスは一体どんな無理難題を吹っ掛けられるのかと若干身構える。が、スケルトン……サンジェルマンの申し出は時計塔の時と同じ、又も意外なものだった。

 

「そうかしこまらず……なに簡単な事ですよ、ちょっとそこにいる知人から”石”を取り返していただきたいのです。もし取り戻してくれたなら御友人を救う薬を差し上げましょう?」

 

 

 ユリウスの困惑の表情がさらに挿す。正直スケルトンが何かしら取引を持ちかけてくる事は予想していた。しかし石を取り返せとは一体……?スケルトンの意図が読めず要求を聞き返す。

 

 

「……ええ石です。別に高価な宝石という訳でもありません。まあ巷では ”賢者の石” などと大仰に呼ばれているようですが……ね?」

 

 

 スケルトンから元の姿に戻った紳士の口元が、少しだけ歪んだように見えた……

 

 

 


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