これを投稿し初めてから、はや二か月。
春休みの暇つぶしに書き始めたのに。
まさかこんなにお気に入り登録されるとは。
驚きです。感謝です。
前話に続きを書きました。
見ていらっしゃらない方がいれば、そちらを先に見ていただくようお願いします。
5/5。
約五年後。
「こんなとこおったんか~お師匠はん、掃除終わったえ?」
城の庭。昔はなかった白いテーブル、白い椅子。そこに座り優雅に紅茶を飲む少女。つまり、私だ。その優雅なひと時を邪魔したのは我が弟子、近衛木乃香。こいつには城の掃除を命じてあったが。えらく速い。茶々丸を使ったか。
「そうか。」
「はよ、今日の修行始めるで~」
その言葉は教わる立場の人間の言葉ではない。と言いたい。どうも私の弟子は師に対する敬意が足りないようだ。と静かに憤慨。一番足りないのは、もちろん愚妹。まぁいい。今はこいつだ。ふむ。
「今日は模擬戦だ。」
自分の師の力をしっかり見せておく必要があるようだ。
「模擬戦?それまたお師匠はんは見てるだけやろ?」
「今日は私が出てやろう。」
「へ?何言うてんの?お師匠はん、吸血鬼のくせに日浴びてるから頭おかしなったんちゃう?」
「刹那とエヴァンジェリンと詠春を呼んで来い。一度お前の教育についてじっくり話し合う必要がある。」
「せっちゃんとエヴァはんは別荘の中やえ?お父はんは京都。集合はかけられへんな~」
「あいつらは別荘か。ちょうどいい。私たちも向かうぞ。」
「え?ええの?話し合いは?」
「今日は肉体言語だ。」
爆音。派手にやっている。派手好きは駄目だ。スマートさが足りん。愚妹。
「くっ!?―――雷鳴剣!!」
「ふっ、雷鳴剣」
刹那と同じ技。わざわざ同じ技を選択するとは。性格の悪さが窺える。昔の純粋さなど、もはや欠片もない。
「ぐぅぅぅ…」
「もっと気を込めろ!何のための半妖だ!」
魔の血が濃ければ濃いほど、潜在魔力や気の量は増える。人間は魔力量という点では大したものではない。ただそれを扱うのがうまいというだけ。半妖である刹那は比較的扱える気の量は多い。人間並みの器用さもある。恵まれた存在。
「ぐっ――あぁ!?」
しかし。鍔迫り合いに負け、吹き飛ぶ刹那。音を立てて地面を転がっていく。
「せっちゃん!」
木乃香が刹那に近づき、治癒魔法をかける。なかなか出が速くなった。治療相手が半妖ということを考えても。治癒速度は上々。
「このちゃん…ありがとう」
「ええんよ、せっちゃん」
素晴らしき主従愛だな。私も刹那のような従者が欲しかった。そういえば、アリスはどこへ行ったのか。私の従者は。付き従え。
「アリスならタカミチのところだ」
「何。」
「あいつはどうも出来の悪い奴がお気に入りのようだな…お姉さんぶりたいんじゃないか?」
そんな年頃か。知らんが。幾つだ、あいつ。婆だ。
「で?何しに来たんだ?」
「今日は模擬戦をする。」
「また二対一か…?」
嫌そうな顔。
「安心しろ。今日は私が出る。」
「は?」
「木乃香。エヴァンジェリンの耳が悪いようだ。年かもしれん。診てやってくれ。」
「エヴァはんもお師匠はんも自分の年考えてーな」
おい。何故私もなのか。あと。私はエヴァンジェリンより年下だ。言わんが。
「…やっぱり私に出させろ」
顔が怖いぞ。愚妹。
「落ち着け。」
「なぁ!?いつの間に護符を!結界か!?こら!!解け!!」
「私が出ると言った。お前は下がっていろ。」
「わかったから解け!!子供かお前は!?」
「その結界の外部からの攻撃に対する防御力は皆無。だからそのままでいろ。」
「因果関係がおかしいぞ!?」
ギャーギャー喚く愚妹を置いて、二人の元へ向かう。
「お師匠はん、ほんまに模擬戦やるんえ?」
治療を終えた木乃香が尋ねてくる。
「当然だ。」
「え?え?こ、このちゃん…アイリスさんが相手なん?」
不安げな刹那。何をそんなに恐れているのか。私とエヴァンジェリンなら私の方がいいだろう。
「そうやえ?」
「け、けど…アイリスさんって体弱いから戦ったら死ぬって聞いたで…?」
忘れていた。その設定。
「刹那。」
「は、はい!」
「喜べ。エヴァンジェリンが稽古をつけてくれるらしい。」
まさか自分の設定を忘れているとは。不覚。エヴァンジェリンも忘れていたようだが。
えらく気合いが入ってるいるな。エヴァンジェリン。木乃香ばかり狙っている。後衛を狙うのも立派な戦術。そういうことにしておいてやろう。という姉の優しさ。
「そろそろか。」
ネギがもうすぐ何とか魔法学校を卒業するらしい。来るだろう、ここに。
その時は、ナギへの対価を払わねばなるまい。
短いですが、やっと原作1巻のスタートができそうなところで切ります。
主人公戦闘させようかと思いましたが、引っ張ります。