城の中の吸血姫   作:ノスタルジー

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二十四話目。

これを投稿し初めてから、はや二か月。
春休みの暇つぶしに書き始めたのに。
まさかこんなにお気に入り登録されるとは。
驚きです。感謝です。



前話に続きを書きました。
見ていらっしゃらない方がいれば、そちらを先に見ていただくようお願いします。
5/5。




麻帆良の吸血鬼

 約五年後。

 

 「こんなとこおったんか~お師匠はん、掃除終わったえ?」

 城の庭。昔はなかった白いテーブル、白い椅子。そこに座り優雅に紅茶を飲む少女。つまり、私だ。その優雅なひと時を邪魔したのは我が弟子、近衛木乃香。こいつには城の掃除を命じてあったが。えらく速い。茶々丸を使ったか。

 「そうか。」

 「はよ、今日の修行始めるで~」

 その言葉は教わる立場の人間の言葉ではない。と言いたい。どうも私の弟子は師に対する敬意が足りないようだ。と静かに憤慨。一番足りないのは、もちろん愚妹。まぁいい。今はこいつだ。ふむ。

 「今日は模擬戦だ。」

 自分の師の力をしっかり見せておく必要があるようだ。

 「模擬戦?それまたお師匠はんは見てるだけやろ?」

 「今日は私が出てやろう。」

 「へ?何言うてんの?お師匠はん、吸血鬼のくせに日浴びてるから頭おかしなったんちゃう?」

 「刹那とエヴァンジェリンと詠春を呼んで来い。一度お前の教育についてじっくり話し合う必要がある。」

 「せっちゃんとエヴァはんは別荘の中やえ?お父はんは京都。集合はかけられへんな~」

 「あいつらは別荘か。ちょうどいい。私たちも向かうぞ。」

 「え?ええの?話し合いは?」

 「今日は肉体言語だ。」

 

 

 

 爆音。派手にやっている。派手好きは駄目だ。スマートさが足りん。愚妹。

 「くっ!?―――雷鳴剣!!」

 「ふっ、雷鳴剣」

 刹那と同じ技。わざわざ同じ技を選択するとは。性格の悪さが窺える。昔の純粋さなど、もはや欠片もない。

 「ぐぅぅぅ…」

 「もっと気を込めろ!何のための半妖だ!」

 魔の血が濃ければ濃いほど、潜在魔力や気の量は増える。人間は魔力量という点では大したものではない。ただそれを扱うのがうまいというだけ。半妖である刹那は比較的扱える気の量は多い。人間並みの器用さもある。恵まれた存在。

 「ぐっ――あぁ!?」

 しかし。鍔迫り合いに負け、吹き飛ぶ刹那。音を立てて地面を転がっていく。

 「せっちゃん!」

 木乃香が刹那に近づき、治癒魔法をかける。なかなか出が速くなった。治療相手が半妖ということを考えても。治癒速度は上々。

 「このちゃん…ありがとう」

 「ええんよ、せっちゃん」

 素晴らしき主従愛だな。私も刹那のような従者が欲しかった。そういえば、アリスはどこへ行ったのか。私の従者は。付き従え。

 「アリスならタカミチのところだ」

 「何。」

 「あいつはどうも出来の悪い奴がお気に入りのようだな…お姉さんぶりたいんじゃないか?」

 そんな年頃か。知らんが。幾つだ、あいつ。婆だ。

 「で?何しに来たんだ?」

 「今日は模擬戦をする。」

 「また二対一か…?」

 嫌そうな顔。

 「安心しろ。今日は私が出る。」

 「は?」

 「木乃香。エヴァンジェリンの耳が悪いようだ。年かもしれん。診てやってくれ。」

 「エヴァはんもお師匠はんも自分の年考えてーな」

 おい。何故私もなのか。あと。私はエヴァンジェリンより年下だ。言わんが。

 「…やっぱり私に出させろ」

 顔が怖いぞ。愚妹。

 「落ち着け。」

 「なぁ!?いつの間に護符を!結界か!?こら!!解け!!」

 「私が出ると言った。お前は下がっていろ。」

 「わかったから解け!!子供かお前は!?」

 「その結界の外部からの攻撃に対する防御力は皆無。だからそのままでいろ。」

 「因果関係がおかしいぞ!?」

 

 

 ギャーギャー喚く愚妹を置いて、二人の元へ向かう。

 「お師匠はん、ほんまに模擬戦やるんえ?」

 治療を終えた木乃香が尋ねてくる。

 「当然だ。」

 「え?え?こ、このちゃん…アイリスさんが相手なん?」

 不安げな刹那。何をそんなに恐れているのか。私とエヴァンジェリンなら私の方がいいだろう。

 「そうやえ?」

 「け、けど…アイリスさんって体弱いから戦ったら死ぬって聞いたで…?」

 忘れていた。その設定。

 「刹那。」

 「は、はい!」

 「喜べ。エヴァンジェリンが稽古をつけてくれるらしい。」

 

 

 

 まさか自分の設定を忘れているとは。不覚。エヴァンジェリンも忘れていたようだが。

 えらく気合いが入ってるいるな。エヴァンジェリン。木乃香ばかり狙っている。後衛を狙うのも立派な戦術。そういうことにしておいてやろう。という姉の優しさ。

 「そろそろか。」

 ネギがもうすぐ何とか魔法学校を卒業するらしい。来るだろう、ここに。

 その時は、ナギへの対価を払わねばなるまい。

 




短いですが、やっと原作1巻のスタートができそうなところで切ります。


主人公戦闘させようかと思いましたが、引っ張ります。

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