城の中の吸血姫   作:ノスタルジー

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十七話目。更新。

原作はまだか。
わかりません。

久々に見るとお気に入りが500件を超えていました。
驚愕。恐縮です。


新たに。今は生活期だ。
京と吸血鬼


 京の街。三人で足を踏み入れようとした。しかし、結界が張ってあることに気づく。結界。今まで主に学んできたものとは違う。ギリシャ語やラテン語で呪文を唱え、魔法陣を描くような魔法、とは違う。東洋魔法、陰陽術によるもの。書庫にも関連する本があった。そこから得た知識を使ったか、頭の中で警告。これはかなり高位の結界。侵入者排除用ではなく、侵入者探知用。どうするか。考える。気づかれず中に入ることはおそらくは、可能。しかし、最悪、入った瞬間に囲まれる。そして、戦闘。それは困る。ふむ。京都に来たのは愚妹の趣味。絶対に行かなければならないわけではない。なら、いいか。よし。撤退。

 結論を出し、それを口にするまでの一瞬。結界に興味を持ったか。観察の後。触れる馬鹿。

 

 「何者か!?」

 囲まれる。迅速な対応。刀や呪符を持った人間や鬼に囲まれる。迅速すぎる。何故だ。もっとゆっくり来い。と愚痴。

 「おい。どうするんだ?」

 私が聞きたいが。

 「聞こえへんかったんか!?お前らが何者やって聞いてんのや!答えろ!!」

 警戒されている。何か感じるところでもあるのか。ふむ。

 「旅人だ。」

 間違ってはいない。

 「嘘をつけ!結界は強力な魔のものであると示した!ただの旅人ではあるまい!!」

リーダーらしき人間が言う。魔のもの。魔のものか。吸血鬼のことか。結界に触れた馬鹿はキメラのようなもの。その中のどれに反応したか。不明。だが、こいつらの迅速な行動の理由はこれか。ふむ。吸血鬼は魔法世界では悪。

 「私たちは吸血鬼だ。」

 しかし。旧世界、しかもこの時代の人間なら。

 「…吸血鬼?何やそれ?」

 だろうな。

 「吸血鬼という種族だ。もともと住んでた土地を人ではないからという理由で人間に追い出された。それで姉妹三人、行くあてもなく旅をしている。」

 魔のものというのは、こいつらにとってイコール悪ではあるまい。その証拠が仲間の鬼や鴉。それに、それ以外にも人間ではないものがいるようだ。

 「父と母と兄様は殺され、そのショックで幼い妹はこんなにもふさぎ込んでしまった…」

 「……」

 エヴァンジェリンは私の考えに気付いたか。心なしか、アリスまでも演技しているように見える。気のせいか。この馬鹿にそんな真似が出来るとは思えんが。ただ立っているだけだろう。

 こいつらが私たちにどれほどの危険を認識しているかが重要。力がある「だけ」の幼気な人外娘三人だと判を押されればいいが。危険人物だと認定されれば。戦闘だろう。戦力確認。こちらは始祖に真祖にホムンクルス。むこうは陰陽師らしき人間が七人、剣士が六人、人外が三体。加えて、ここはアウェー。援軍も視野に入れる。私たちは実戦経験があまりない。魔法世界で少しだけ。経験不足。むこうはどう見てもプロだ。勝てるか。分からない。危険。やはり撤退が望ましい。なら魔法で目をくらまし、転移か。それを二人に念話で伝え、了承の意を得る。そして、むこうの出方を窺っていると。

 

 「……京の街は我ら呪術協会と神鳴流が守護する土地」

 沈黙の後。話し出す。仲間内か本拠地にいるであろう上の人間と念話でもしていたと推測。呪術協会と神鳴流。聴き覚えがあるような気。

 「魔のものは人を脅かすものであることが多いのだ」

 「っつても俺らは魔のものは全て滅する~とか思ってるわけやあらへん。けど嬢ちゃんらはかなりの力を持ってるようやしな。警戒したのも当然やろ?」

 「まぁ事情が事情のようやし、人や街に危害を加えないと約束してくれるんやったら、協会預かりっちゅうことで、多少は面倒みたってもかまへん」

 よく言えば保護。悪く言えば監視。だが、戦闘よりはまし。陰陽術にも興味がある。ふむ。罠の可能性もあるが。ちらとエヴァンジェリンの方を見る。頷く。そうか。

 「いいのか。」

 「この通り、魔のものは仲間にもいる。今更子供が三人増えたところで変わらん」

 「助かる。感謝する。」

 京都。これが吉と出るか。凶と出るか。いくら始祖とはいえ、未来視は出来ない。

 

 本拠地。少なくとも歓迎ムードではない。様子見、といった風。数人の爺が腰を下ろしている広間に通される。爺どもと十分な距離をとって。三人、座る。周りには護衛らしき人間がちらほら。部屋の外にもいる。

 話。上層部らしき爺と。出来る限り、薄幸美少女をアピール。エヴァンジェリンの演技力に脱帽。アリスのポーカーフェイスに感謝。自身の頭を褒め称え、終了。その間際、大事な話があると一人残る。未来への布石。

 結果。滞在許可を勝ち取る。代わりに退魔や魔法の研究に力を貸すことに。自身の有用性をアピールしすぎたか。不覚。西洋魔法の存在は呪術協会も掴んではいるが、情報が少ないらしい。彼らは敵対するやもしれん西洋魔法についての情報が欲しい。そして私たちはそれをある程度持っている。組織体制などは知らんが。魔法の知識はある。それを役立てろということらしい。ふむ。まぁいい。信頼を勝ち取れば、陰陽術についてもより学べるはず。退魔に関しては人外として期待といった感じか。まぁそれは残りの二人に任せる。最善だったかは不明。しかし、少なくとも善ではあったと。自身の行動を、評価。

 

 「この部屋と両隣の二部屋は自由に使ってくださってかまいません。何かあれば、私たちに。では」

 そう言って、案内役の若い巫女が去る。少しの間の後。エヴァンジェリンが口を開く。

 「これでよかったのか?」

 「悪くはなかったと思うが。」

 「まぁ確かにな。魔法の情報を与えたところで私たちに不利益があるわけでもないし。ほとんどデメリットなく衣食住が確保できたのは僥倖か…ここは京都だしな。散策にはホームがあると役に立つ」

 最後のは必要か。まぁいい。

 「魔法については面倒だが、私がやろう。退魔についてはお前たちに任せる。」

 「あぁわかっ…は?いや待て!」

 「危険もあるが。これも経験。獅子は自身の子を谷に突き落とすという。許せ。妹よ。」

 「待てと言ってるだろうが!!」

 「かわいい子には旅をさせろとも言う。許せ。妹よ。」

 「い・や・だ!何故私が退魔になど参加しなければならん!!」

 「わがままを言って姉をあまり困らせるな。そういう契約の下、私たちはここに置いてもらうのだ。さきの話を聞いてなかったのか。」

 「そういう意味ではないわ!!契約については分かっている!退魔に参加するのが何故私なのかと聞いているんだ!!」

 「お前だけではない。アリスもだ。」

 「?」

 お前は分かっていないな。

 「はぁ……では、質問を変えるが。あなたは参加しないのですか?お・ね・え・さ・ま?」

 甘い。甘いな。愚妹。

 「すでに長達の了承は取った。魔法関係は私。退魔はお前たちと決まっている。」

 「なっ!?いつの…あの時か!!一人で残ったときに話を付けたのか!?」

 「私は力は強力だが、体が弱いため戦闘は出来ない。おそらく力に体が圧迫されているのだろうと両親は言っていた。すまないが私は魔法の研究にだけ力を貸すことにしたい。その代り。妹たちが退魔に参加し、素晴らしい戦果を挙げることを約束しよう。」

 「リピートせんでいいわ!!」

 戦闘をする必要はなくなった。とはいっても、戦闘経験は大事。訓練は重ねておこう。と心に留める。妹には負けたくはない。プライド。

 




呪術協会とか神鳴流とかいつからあったのか。

あと京都弁がわかりません。
大阪弁を京風アレンジ。

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