蒼の彼方のボッチズム   作:サラリーマン

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我が翼に蒼の祝福を!

翌日の放課後になった。今日も俺と小町と倉科さんの三人は練習をしている。俺と小町は大分安定して飛べるようになったが倉科さんはまだ安定して飛べないようだったがなんとか飛び続けることはできるようになったみたいだ。そして下校時間になり、俺たちは飛んで帰っている。すると砂浜で高笑いが聞こえてきた。そこにはお嬢様っぽい人と筋肉質の男性がいて男性の方は砂浜に倒れこんでいた

八幡 「あれは?」

ましろ 「ストリートファイトですかね。」

みさき 「違うと思うけど」

小町 「のぞいていきませんか?」

みさき 「そうしよう」

というがはやいか見つからないような位置に降りて行った。

お嬢様 「わざわざ試合を挑んでおいて負けるなんて無様ですわね。だから言ったのですわ。この佐藤院麗子にはむかおうとするのは太平洋でサメと戦おうとしているようなものだと」

男性 「例えがよくわからんが悔しい!」

ほんとによくわからん例えだな。なんであんな例えにしたんだろう

 

八幡 「おいほんとにストリートファイトでもしてたんじゃないか?」

みさき 「あ、あのひと窓果のお兄さんじゃん」

明日香 「なんでしょうか?タイマンですかね?」

 

佐藤院 「フライングサーカスでこの佐藤院に勝てる者など久那浜学院には存在しないのよ」

 

小町・明日香 「フライングサーカス?」

みさき 「グラシュを使ってやるスポーツのこと」

なんだろう火のついた輪っかでもくぐるんだろうか

ましろ 「初耳なんですか?」

小町・明日香 「はい」

 

佐藤院 「さあそれでは久那浜学院の院の字もらっていくわよ」

青柳兄 「そ、そんなぁ~」

 

明日香 「大変ですよ 学校の名前変わっちゃいますよ」

みさき・ましろ・小町 「いやいやいや」

明日香 「あのすいませーん 私がそのフライングサーカスで勝ったら院の字かえしてもらえますか?」

佐藤院 「はぁ?」

青柳兄 「誰だあれは?」

明日香 「私は昨日久那浜学院に転校してきた倉科明日香です。それで返してもらえるんですか?」

 

八幡 「なんで俺たち隠れてんの?」

ましろ 「場外乱闘ですかね わくわく」

 

佐藤院 「つまりわたくしに試合を挑みたいわけね。そんなにフライングサーカスに自信があるのかしら?」

明日香 「いいえ さっき初めて知りました。グラシュを履いて1人で飛んだのも今日が初めてです。」

佐藤院 「ふざけるのもいい加減にしてくれません?」

明日香 「ふざけてません。本気です。」

佐藤院 「そこまで言うのなら手合わせしてあげてもいいですわ」

明日香 「ありがとうございます!」

 

みさき 「倉科さんちょっと待とうか」

明日香 「なんですか」

八幡 「お前ルールとかわかんのか?」

明日香 「わかりません」

小町 「ルールも知らずに試合しようとしてたんですか?」

ましろ 「しかもあの人、高藤学園の生徒ですよ」

明日香 「高藤学園?」

みさき 「フライングサーカスの名門校」

明日香 「フライングサーカスのこと教えてください おねがいします 鳶沢さん!」

 

みさきの話を要約するとフライングサーカスのルールはこんな感じらしい。

・一面300m四方のブイに囲まれた海の上で行われる。

・制限時間は10分で相手より多くの得点をとれば勝ち

・得点を取る方法は2つ 1つは相手の背中に触れる もう一つは4つのブイを順番にタッチすること

おおまかに言えばこんな感じだ。今回は倉科さんが初心者ということもあり、時間は半分の5分でブイは2つにしてくれるらしい。さらに1点でも取れれば勝ちにしてくれるらしいのだが勝てる望みは薄いだろう。こっちはグラシュ初心者でまだ安定して飛ぶこともできないのに相手はフライングサーカスの名門校でそれにグラシュを見ると明らかに俺たちのグラシュとは違うのでたぶん競技用のグラシュなのだろう。だとすると性能はけた違いだろう。あーはいわかります。これ勝ち目がないパターンのやつですね。はい。けど倉科さんを見ていると自分も何か協力したいと思ってしまう。そう思ってからおれが考えたことは1つだけだった。自分もなんとかして試合に出る。だからとりあえず煽ってみた。

八幡 「高藤って名門なんですよね~ その名門の人が初心者相手に1対1とか。それにみたところそのグラシュって競技用ですよね。こっちは一般用なのに性能に差がありすぎじゃないですか?」

できる限り精一杯煽ってやった。

佐藤院 「結局なにが言いたいんですの?」

八幡 「俺も試合に出させてください」

佐藤院 「あなたグラシュ履いてからどれくらいですの?」

八幡 「1日ですかね」

佐藤院 「あなた正気ですの?いいでしょう今回は特別に2人同時にかかってきなさい」

八幡 「ありがとうございます」

みさき 「ちょっとハチ君本気なの?」

八幡 「ああ そして俺がさらに本気を出せば土下座も靴舐めも余裕でできる」

そこにいる全員が(本気の出し方がちがう)そう思った。

みさき 「小町ちゃん止めなくていいの?」

小町 「ああなったらお兄ちゃんは止まりませんし、たぶんお兄ちゃんのことだからなにかしらの作戦があるはずです。」

さすが小町だわかっている

みさき 「ハチ君の作戦ってどんなの?」

八幡 「俺の存在感のなさを利用する。」

全員が首をかしげる。おれはさらに説明した。

八幡 「つまりだ、試合の終盤もうすぐ勝ちだと思って油断するときに倉科さんに一瞬だけでいいから相手の足を止めてもらう。その隙に飛べないふりをしていた俺が背中をタッチするという作戦だ。結構倉科さん頼みの作戦になっているけど。」

みさき 「たしかにその作戦なら何とかできるかも知れないね」

小町 「問題は明日香さんがどうやって相手の足を止めるかですね」

 

佐藤院 「ちょっと早くしてくれませんこと?」

 

八幡 「あまり待たせすぎてもあれだしやりますか」

小町 「お兄ちゃんほんとにできるの?」

八幡 「それは倉科さんに言ってやってくれ」

 

佐藤院 「紫苑さんは審判、そこの黒髪の方はセコンドをお願いいたしますわ。」

青柳兄は紫苑っていう名前だったのか。

明日香 「セコンドって何ですか?」

みさき 「地上で指示を出す人のこと。2人同時にできるかにゃ~」

ましろ 「頑張ってください みさき先輩」

佐藤院 「先に行って待っていますわ。 わが翼に蒼の祝福を!」

そういうと佐藤院さんは飛び立っていった。

残された俺たちは

八幡 「なにあの言葉 中二病入りすぎじゃね?」

明日香 「かっこいいです」

みさき 「ほらあんたたちもぼけっとしてないであの上空にあるファーストブイからスタートするの」

八幡 「りょーかい じゃあ行くか」

八幡・明日香 「Fly」

 

それから試合が始まったのだがやはり一方的だった。残り時間は1分もない。

昌也 「たぶんこれが最後のチャンスだ。これから指示を出すからよく聞いてくれ。」

みさきと変わったセコンドの日向の声が聞こえる。まずは倉科さんに指示を出す。それから俺に、

昌也 「倉科さんでタッチできたらそれでいいし、できなかったら比企谷頼んだぞ。」

八幡 「ああ」

倉科さんが日向に言われた通り足を閉じ仰向けになりながら上昇した。そして相手が真下を通り抜けようとしたところで相手に突っ込んでいった。しかし躱されてしまったが相手の体勢が崩れている。

明日香 「比企谷さん今です!」

八幡 「おう」

無防備な背中に触れようとしたが相手が無理やり体をひねったことで躱されてしまう。

全員があきらめかけたその時、

明日香 「まだ・・・で・・・す」

いつの間にか下にいたはずの倉科さんが佐藤院さんの後ろを取り、背中に触れていた。

昌也 「あれはエアキックターン・・・」

明日香 「やった!私たち一点取りましたよ!」

紫苑 「ポイント えーと・・・」

明日香 「倉科明日香です!」

紫苑 「ポイント 倉科 試合終了 この試合倉科の勝利」

試合が終わったので俺はみんながいるところへ戻る。すると小町が寄ってきてこう言った。

小町 「お兄ちゃんお兄ちゃん。2人で試合してたのに最後明日香さんしか名前呼ばれなかったね」

こいつ俺が少し気にしていたことを言いやがった。

八幡 「そんなことより、日向そのエアキックターンってそんなにすごいのか?」

昌也 「ああ フライングサーカスの中でかなり難しい技の一つだ。空中をけったように自在に飛ぶにはメンブレンを自在にコントロールできないと」

ましろ 「メンブレンって?」

昌也 「反重力の膜のことだよ」

みさき 「それにしても初心者が通学用のグラシュでエアキックターンはふつうありえないって」

明日香 「コーチ!私勝ちましたよ!2人がかりでですけどなんとか勝つことができましたよ~」

昌也 「ああおめで

日向は最後まで言い切ることができなかった。理由は青柳さんのお兄さんが割って入ってきたからだ。

紫苑 「ありがとう 倉科!君のおかげで久那浜学院の院の字は守られた!」

見た目通り熱い人だな紫苑さんは。関わりを持つとめんどそうだから関わりそうになったら逃げるか。そんなことを考えていると佐藤院さんも入ってきた。

佐藤院 「参りましたわ。わたくしとしたことが不覚でした。」

明日香 「佐藤院さん私たちと試合してくださりありがとうございました!」

佐藤院 「貴方なんかむちゃくちゃでしたけど楽しかったですわ。また私と戦いなさい。」

なんかこの上から目線雪ノ下に似てるな。あーあいつら元気かなー

明日香 「はい! その時はよろしくお願いします!」

佐藤院 「では私はこれで わが翼に蒼の祝福を!」

そう言って佐藤院さんは去っていった。

紫苑 「ところで日向君!見事な作戦と指示だった。」

ここでいやな予感がしたので近くにいた小町に「逃げるぞ」とつぶやき、みさきに視線を送る。みさきも理解したのかすぐに倉科さんと有坂に声をかける。

昌也 「いえ作戦を考えたのは比企谷です。」

俺はこれを聞いた瞬間全力で走りだした。全力で走っていたので後ろを振り返る余裕はないが足音からして日向以外の全員がついてきている。それから完全に見えなくなったところで俺たちは止まった。

みさき 「よしじゃあ囮になってくれた昌也がいるであろう向こうに向かってせーの」

全員 「ありがとうございました」

そして俺たちは解散した。

 


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