BLEACHの世界でkou・kin・dou・ziィィンと叫びたい   作:白白明け

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三つぐらいのENDを考えて、どうしようか悩んだ挙句に書きたいものを書くことにしました。
皆を幸せにしたいって願う阿片狂いが主人公なんだから、やっぱりハッピーエンドがいいよね。
(; ・`д・´)
というわけでハッピーエンド(笑)に向けて突っ走ります。

皆様の暇つぶしになれば幸いです<(_ _)>





二度目の出会いが彼らを変えた

 

 

 

 

 

--其処(そこ)は温かかった。

 

(ぬる)く。(ぬく)く。(あたた)かい。その場所を誰もが知っている。

孕み生まれた時に初めて実感する世界は、己の為だけに存在する胎盤(せかい)

その温もりを、誰もが知っている。けれど、誰もが忘れてしまっている。

 

その場所に俺は居た。

 

『…■…■…』

 

母が腹を撫でながら俺の名を呼ぶ。胎盤の中に居る俺はそれを自覚しながら、微睡の底へと堕ちていく。

此処(ここ)はいい。もう何も怖くない。何の不安もない。

母親の胎盤の中。自分だけの為に存在するこの世界は、俺が目指した桃源郷に他ならない。

苦しくない世界。悲しみのない世界を望むのならば閉じてしまえばそれで良い。快楽の歌に溺れてしまえ。

 

俺がそう思うのならば、それが全てだ。

この世界の中では、それが全てだ。

 

---俺の意識は沈んで行く。

---なにかと戦っていた筈だ。

---なにかを護ろうとしていた筈だ。

 

『■■』

 

けれど、母が俺の名を呼ぶ度に俺の中にあったそんな思いは消えていく。

 

---そうだ。俺は本当は戦いたくなど無かったのだ。

---何かを護る為に何かと戦わなければならない世界など嫌だった筈だ。

 

---阿片に酔い酩酊(めいてい)の中で自分の形に閉じた世界で夢を描くことこそが幸せだと説いた筈だ。

 

---ならば、やはりここが俺の目指した桃源郷。

---俺の為に創られ、俺だけを受け入れてくれる世界。

 

俺は今ここで至ったのだ。これほどの幸福があるモノか。

---最早、眼など開く意味もない。

 

俺は藍染惣右介の斬魄刀『鏡花水月』の能力によって桃源郷へと沈んで、消えた。

 

 

 

『風守さんを一番愛しているのは私です』

『いや、私が一番、風守を大好きだ』

 

 

 

眼はもう閉じていた。けれど、耳は閉じれなかったから俺一人の世界である筈の其処にそんな声が聞こえてきた。

---”風守”?それは誰だ。俺はそんな名前は知らない。俺の名は、母が名付けてくれたものだけだ。

 

風守(その名)”は俺の世界には要らぬモノ。

---ああ、なのに。なぜ。なぜだ。なぜその名を叫ぶ、その声に俺の胸が高鳴っている。

 

争う二人の女の声がする。俺の知らぬ名を、俺の知る声が叫んでいる。

---”風守(その名)”と俺に、何の繋がりがあるというのか。

 

『■■』

 

混乱する思考の中で母が俺を呼ぶ。俺の思考に立つ波は、その一言で消えていく。

---そうだ。関係ない。俺ではない誰かを呼ぶ誰かの声など、俺は知らない。たとえそれを愛おしと感じたとしても、その愛は母の愛には届かない。

 

 

 

 

愛があった。愛であった。”風守(その名)”を呼んだ二人の死神の声は疑いようもない愛情に満ちていた。

それは愛した男を死なせたいと願う女の狂った愛だったかもしれない。

それは恋した男を助けたいと願う少女の普通の愛だったかもしれない。

 

けれど、それは確かなものであったから、あるいは”彼”を(まぼろし)の中から引き上げることが出来たかもしれなかった。”彼”は優しい。自分の為に二人が争っていると知ったのなら、幻など破り二人の元に駆け付けて二人共を抱きしめていたに違いない。

女二人が刃物を振り回す様を見ながらも笑いながら、---善哉善哉。お前たちはそんなに俺が好きなのだな。---そんなことを言ってのけるのが”彼”だ。

 

けれど、”彼”の幻は解けなかった。斬魄刀『鏡花水月』が”彼”に見せた者が、それを阻む。相手が悪かった。愛では勝てぬ。勝ちうる筈がない。子を見守り成長を願う母の愛に勝る愛などありはしない。

 

 

だからこそ、”彼”を斬魄刀『鏡花水月』の完全催眠から救い出したのは、もっと別のものだった。

 

 

 

『この、馬ァ鹿ヵ者がァァあああ‼‼』

 

 

 

響いた声は怒りだった。沸き立つ程の感情だった。古今東西、母親の愛に並び立つモノは決まっている。それは駆け引きもなく。抵抗も許されず。しかし、揺るがぬ理由と意志により発する衝動。

子を愛する父親が絞り出す怒声に似たその声によって”彼”は斬魄刀『鏡花水月』の完全催眠から抜け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍染惣右介は後悔した。目の前で斬魄刀『鏡花水月』の完全催眠へと沈んで行く風守風穴を見ながら、らしくもない後悔の念に苛まれていた。

 

「…こんなものか。…こんなものなのか。…君は、こんな程度の死神だったのか」

 

千年を生きた死神。瀞霊廷創世記。最強の死神に率いられながら、尸魂界に秩序を()いた死神の負け際は、敵である藍染惣右介にして苦言を呈さずにはいられない程に無様に過ぎた。

確かに藍染惣右介は万全を期した。一度は自分に敗北より屈辱的な勝利を()いた風守風穴を前に藍染惣右介は考えうる全ての手を打った。虚圏に築き上げた虚夜城(ラス・ノーチェス)を捨て、多くの部下を犠牲にし、志を共に戦った一人の友すらも捨て駒として扱った。

風守風穴が藍染惣右介の前に立つまでの戦歴は計り知れない。そもそも風守風穴が虚圏へと攻め込んできた時に起きたウルキオラ・シファーとの戦いで既に風守風穴は卍解と言う奥の手を切らされていたのだ。続く戦いの中で疲弊していることは分かっていた。

 

こうして藍染惣右介の前に立った時から、風守風穴は満身創痍だった。

そうなる様に戦ったのだから、そのことを藍染惣右介は理解している。

 

それでも藍染惣右介の口から毀れるのは、苦言で在り、後悔でだった。

 

「風守、風穴。私は君に勝つ。これは揺るがない。だが、この程度か。…違う。私が敵と定めた君がこの程度で在っていい筈がない‼」

 

倒した敵を前にした支離滅裂な言動であることを藍染惣右介は理解していた。

それでも藍染惣右介の口は止まらなかった。

 

「さあ!斬魄刀を握れ!私の『鏡花水月』を打ち破れ!私はまだ卍解も『崩玉』も奥の手は何一つ切ってはいない!この程度なものか!私と君の決着が、この程度で終わっていい筈がない!君を倒す為に要は死んだぞ!私は他者の手に縋るという屈辱に塗れた!ならば…君は立たねばならぬ筈だ!」

 

藍染惣右介の腕が風守風穴の胸倉を掴んだ。

 

「立て…最悪の死神。立て…阿片窟(とうげんきょう)の番人。立て…風守風穴。立て…この、馬ァ鹿ヵ者がァァあああ‼‼」

 

そこまで言って藍染惣右介は固まった。そして、固まったまま顔から血の気が引いていくのを感じた。

 

---まて、私は今、何をしている。

 

その思いが藍染惣右介の動きを止めていた。万策を弄し好機を狙いようやく打破した最悪の死神。多くの時間と犠牲を伴い斬魄刀『鏡花水月』の完全催眠によりようやく眠りについた風守風穴という死神。

 

---それを私は…なぜ起こそうなどとしているのだ。

 

風守風穴という死神は()()()()()()()()()()()

その考えに嘘はない。落胆の思いは確かある。自らが敵と定めた死神があっさりと沈んで行く事を認めたくないという感傷も認めよう。

だが、しかし、だとしても、倒した敵の再起を願うなど狂気の沙汰ではないか。

藍染惣右介らしくないどころの話ではない。

 

戦いの中で敵の為に祈るなどと、それはまるで風守風穴のようではないか。

 

---まさか。

 

藍染惣右介は愕然とする。

 

 

『風守、風穴。私は君に勝つ。これは揺るがない。だが、この程度か。…違う。私が敵と定めた君がこの程度で在っていい筈がない‼』

 

『さあ!斬魄刀を握れ!私の『鏡花水月』を打ち破れ!私はまだ卍解も『崩玉』も奥の手は何一つ切ってはいない!この程度なものか!私と君の決着が、この程度で終わっていい筈がない!君を倒す為に要は死んだ!私は他者の手に縋るという屈辱に塗れた!ならば…君は立たねばならぬ筈だ!』

 

『立て…最悪の死神。立て…阿片窟(とうげんきょう)の番人。立て…風守風穴。立て…この、馬ァ鹿ヵ者がァァあああ‼‼』

 

 

つい先ほど吐いた自分の言葉に鳥肌が立った。

意味不明。支離滅裂な言動は---酔っ払いのそれではないか。

 

 

 

「ぁぁ…」

 

 

 

藍染惣右介の耳に囀る様な小さな声が聞こえた。

掴んでいた風守風穴の胸倉を離し、思わず後退る。

 

 

 

「ぉまぇは そんなに ぉれが すきなのだな」

 

 

 

認めたくない現象が目の前で起きていることに藍染惣右介は気が付いた。

そしてそれを一時とはいえ願った自分が真面ではなかったことにも気が付いた。

 

断言しよう。風守風穴 対 藍染惣右介の戦い。

一見すれば好カードにも見えるこの戦いだが勝敗は初めからついていた。風守風穴は藍染惣右介には最初から勝つことが出来なかった。

それは霊圧だとか剣術だとか鬼道だとか白打だとか能力の相性だとか、そういうものとは一切関係ない所で決まっていた。

風守風穴は藍染惣右介に対してお前を救ってやろうと言っていた。

生粋の狂人である風守風穴ではあるが、その言葉を違える事だけはあり得ない。

 

ならばこそ風守風穴を殺そうとした藍染惣右介とは気概が違う。圧倒的な戦力差があったなら、その気概の差があったとしても風守風穴は藍染惣右介を倒すことが出来ただろう。

しかし、風守風穴も認めていることだが霊力は拮抗していた。剣術は風守風穴が勝っていたけれど鬼道では藍染惣右介が勝っていた。白打は互角だった。斬魄刀の能力の相性も悪くはなかった。

故に風守風穴は藍染惣右介には勝ちえない。それは最初から決まっていたことであり、風守風穴もまた気が付いていたことだった。

 

だから風守風穴が策を弄したなどと言うことは無い。彼には藍染惣右介や浦原喜助の様な頭脳はない。経験はあるがそれだけでは真の天才を陥れる策など打てるはずがない。

だから、風守風穴はともすればあっさりと死ぬつもりだった。死んでも良いと考えていた。

だから、風守風穴は卯ノ花烈に自分が死にそうになっても手を出すなと言外に伝えていた。

 

 

けれど、だからといってこの結果。一度は斬魄刀『鏡花水月』の完全催眠に陥り死んだはずの風守風穴が再び息を吹き返したのが、ただの偶然であったというかというと少し違う。

こんな奇跡的な偶然はあり得ない。こんな悲劇的な奇跡もあり得ない。

 

 

「しんじて、ぃたんだ。そぅすけ、ぉまぇをぉれは、しんじてぃたぞ」

 

 

斬魄刀『鏡花水月』の完全催眠に陥れば破る術はない。

例え未来を見通す天眼を持つ者が居たとしても、あるいは未来を改変する神眼を持つ者が居たとしても斬魄刀『鏡花水月』が発動してしまえばその幻を破ることはできない。

 

そう只一人、斬魄刀『鏡花水月』の所有者である藍染惣右介を除いては---

 

 

 

「私が、願ったというのか。風守風穴の復活を願い。斬魄刀『鏡花水月』の能力を無意識の内に解除したというのか‼‼」

 

 

「そうだ。惣右介」

 

 

藍染惣右介の怒声に対して返ってきた声は冷静で平坦な声だった。

 

「阿片に痴れて漏れたお前の本音が助けてくれたから、お前の声があったから、俺は『鏡花水月』の幻から目覚める事ができた。ありがとう、惣右介」

 

「………ふざけるな」

 

「これは俺達二人の、俺と惣右介の、友情の勝利だ」

 

「ふざけるなァアアア‼」

 

藍染惣右介が振り上げた斬魄刀が振り下ろされるよりも早く、風守風穴の斬魄刀の切っ先が藍染惣右介の身体に埋まる。

 

「『鴻鈞道人』の刃に含まれる阿片の濃度は生成される煙の比じゃない。切っ先一つ埋まれば終わる。阿片に痴れて忘れて締まったのか、惣右介。だから、お前は常に俺に先んじる形で戦っていたんじゃないか」

 

「………風守、風穴」

 

「もう一度、礼を言うよ。惣右介。お前を信じた俺は間違っていなかった。お前の矜持を信じて本当によかった」

 

「………くそ」

 

そうして戦いは終わった。

阿片の毒に侵され意識を失いもたれ掛かってきた藍染惣右介を風守風穴は優しく抱き留めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

阿片に痴れて意識を失った藍染惣右介を抱き留めながら、俺は長かった戦いがようやく終わったことに安堵した。藍染惣右介の死神の虚化という研究から端を発した百余年にも及ぶ戦いは傍から見れば藍染惣右介自身の自滅によって幕を閉じた様に見えるだろう。

だが、そうではないことを俺は知っている。

確かに俺との戦いで藍染惣右介は阿片の煙に晒された藍染惣右介は僅かながらではあるが阿片に痴れ、その結果、俺を斬魄刀『鏡花水月』の完全催眠から解き放つという悪手を打った。そして、俺に敗れた。

だが、しかし、それは悪手ではあったかもしれないが、愚行ではない。

対峙した敵に真摯に向き合い、倒した敵の為に祈ることは聖人の行いに他ならない。

 

「あるいは惣右介。お前は変わったのかもしれないな。昔のお前ならば、俺が出会った当初の藍染惣右介であったならきっと顔色一つ変えずに俺をただ殺していたのだろう。昔のお前はそういう眼をしていたよ」

 

目的の為なら手段を選ばず。自分以外の全てを道具の様に見ていたお前なら、感傷に流されずに俺を殺せたかもしれない。

 

「だが、変わってしまったお前だからこそ、成し遂げられたこともある。お前は東仙要を友と呼び、東仙要は俺に癒えぬ傷を刻む付けた。それはお前が変わってしまっていたからこそ成し遂げられた成果だろう。この心の傷がなければ俺はお前と一対一で戦おうなどとは思わなかった。山本重國と共に護廷に仇名すお前を討とうとした筈だ」

 

そして惣右介は山本元柳斎重國と俺の共闘の前に成すすべもなく蒸発していただろう。

 

「ジレンマという奴か。変わなければ俺を討つ好機は無く。変わってしまったからお前は俺に討たれてしまった」

 

どちらが幸せであったかを論ずるつもりは俺には無い。惣右介がどう考えるかはわからないが、俺は命あっての物種(ものだね)と考える性質だ。

どうあれ五体満足で生きているこの状況が最悪だとは俺は考えない。

 

「中央四十六室はきっとお前を殺すことはしないだろう。惣右介。お前の頭脳は、殺してしまうのはあまりに惜しい。かつて阿片窟(とうげんきょう)の番人ですら利用価値があると生かした奴らだ。お前のことも()()()()しようと考えるだろう。たぶん、中央地下(ちゅうおうちか)大監獄(だいかんごく)の最下層『無間(むけん)』に幽閉され薬物実験やら人体実験をされて脳ミソがグズグズにしながら、お前の知識を引き出そうとするだろう」

 

それはとても辛いことかもしれない。それはとても痛いことかもしれない。

俺はそんなことをされたことがないから何とも言えないが、もしかしたら所謂(いわゆる)死んだ方がマシというヤツなのかもしれない。

 

「けどな、惣右介。安心しろ。生きていれば、きっと良いことがあるさ」

 

俺は意識のない藍染惣右介の顔に顔を近づけて笑顔を浮かべる。

 

「何なら俺は俺が山本重國の手によって殛刑に処されるまでの間は毎日お前の面会に行こう。勿論、手土産として仙丹の妙薬も用立ててやろう。だから、何も怖がらなくていい」

 

そう言って俺は藍染惣右介を背負って空座町の市街地へと向かう為に歩き出す。

下にいる者達に早く安心してもらいたいから、出来る限り急ごうと思ったけれど、流石に身体がボロボロだったので止めた。

少し前まで感じていた卯ノ花烈と砕蜂の霊圧のぶつかり合いは、俺の霊圧が復活し藍染惣右介の霊圧が薄れたことを感じ取ったのだろう、既に収まっている。

ならば、急ぐ必要はない。

 

ゆっくりと勝利の凱旋を楽しもうと歩を進める。

 

そして、空座町の市街地まであと半分という所まで空から降りてきた所で懐かしい顔の面々に出会った。

 

「おおっ!驚いたな。出迎えに来てくれたのか…ええっと、六車拳西だよな?隣は………平子真二だな。久しいな。善哉善哉。元気そうで何よりだ」

 

 

元五番隊隊長、平子(ひらこ)真二(しんじ)

元九番隊隊長、六車拳西。

 

 

俺の道を遮る様に二人が立っていた。そしてよく見ればその後ろには奇妙な格好をした一団(現世ではあれが今風の服装なのだろうか?)がいた。

 

 

元三番隊隊長、鳳橋(おおとりばし)楼十郎(ろうじゅうろう)

元七番隊隊長、愛川(あいかわ)羅武(らぶ)

元八番隊副隊長、矢胴丸(やどうまる)リサ。

元九番隊副隊長、久南白。

元十二番隊副隊長、猿柿(さるがき)ひよ里。

元鬼道衆副鬼道長、有昭田(うしょうだ)鉢玄(はちげん)

 

 

全員が百十年前に藍染惣右介の死神の虚化という実験の被害者たちだった。

 

「そうか。お前たちも戦いに来ていたか。いや、まあ当然と言えば当然か。しかし、悪いな。戦いはもう終わったぞ」

 

「あー、ええんよ。別に」

 

百十年前に尸魂界を追われた彼らがどうやって生きてきたかを俺は知らない。けれど、どうにかして生き抜いてきた彼らのリーダーは平子真二であったのだろう。

彼が代表として俺の前に立ち言葉を続けた。

 

「俺らの目的は藍染を倒すことやった。その為に喜助と策練ったり一護を特訓したりしたんや。俺達が藍染を倒すーとか、そういう拘りはない。アンタが倒してくれたっていうなら万々歳や。…けど、見るに藍染はまだ死んでないんやないの?」

 

「ああ、殺していないぞ」

 

平子真二の眼が鋭くなる。そして訝し気に言葉を続ける。

 

「アンタ、藍染をどうするつもりや?」

 

「とりあえず山本重國の元まで運ぶ。その後は四十六室の裁定に任せるさ」

 

おそらく中央地下(ちゅうおうちか)大監獄(だいかんごく)に収監になるだろうけどなと語った所で平子真二は溜息をついた。

 

「前に藍染が四十六室を壊滅させたんは知っとるよな。そいつはそうことを平気でやるし出来る危険な奴や。…此処で殺しといた方がいい思わんかな?」

 

平子真二の最後の言葉に込められた殺気が偽りでない事は直ぐにわかった。

そして、それは平子真二以外にも、いや、この場に居る俺以外の全員が考えていることなのだろう事も理解した。

俺は笑う。

 

「お前がそう思うのなら、お前の中ではそうなのだろう。善哉善哉。好きにしろ。…と、お前たちが本気から惣右介を殺したいと思っているなら、そう言うのだがな。全員の殺気が本心ではあるが本気ではないぞ。へたくそだな、お前たちは」

 

そう言ってカラカラと俺が笑えば平子真二たちは呆れたような顔つきでため息をついた。

 

「変な奴やとは色んな所から聞いとったけど、ホンマに変な奴やなぁ。アンタ。まあ、ええわ。アンタの言う通り、藍染を殺しといた方がええ思うんわ本心やけど、中央地下(ちゅうおうちか)大監獄(だいかんごく)に収監されれば藍染でも一生出られへんのはわかっとる。そうして拘束が済んでいる以上、アンタのやり方が真っ当やし」

 

「ほな、連行を手伝うで」という平子真二の言葉に甘えて俺は藍染惣右介の身柄を六車拳西に預ける。

 

「じゃあ、頼むな。六車拳西」

 

「はい」

 

正直、身体がボロボロの状態で藍染惣右介を抱えて歩くのは辛かったので助かった。

 

「ああ、そう言えばだが、繡助の奴はお前たちと一緒じゃないのか?てっきり、あの事件の後はお前たちと行動を共にしていると思っていたんだが」

 

「心配せんでも居るよ。今は野暮用で別行動やけど、あとで会わせるたるわ」

 

「そうかそうか。よかった。俺はずっと繡助のことを心配していたんだ。元気でいてくれればいい---

 

そんな雑談をしながら俺達は地上へと降りていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

---それは風守風穴と藍染惣右介の戦いが決着する少し前---

 

 

 

一度目は敗北だった。それも完膚なきまでの敗北だった。

ならば、二度目は反省を生かして勝てる。

 

---などと、驕る私ではない。

 

抜き身の斬魄刀を持ち立つ卯ノ花烈を見据えながら、砕蜂はそう考える。

 

---()()()()()()()()()()。それだけのことで敗北を考えてしまう程の死神は古今東西、この女だけだ。それを今の私は理解している。

 

一度目の戦いとは違う。砕蜂に有利な点があるとすれば、そのことを自覚しているという事だけだ。

最悪の死神たる風守風穴にして最強の死神である山本元柳斎重國を白兵戦でならば破るかもしれないと言わしめた最強の剣術家。

白兵戦最強の死神---卯ノ花”八千流”。

 

---この女が今、卯ノ花烈としてではなく卯ノ花”八千流”として私の前に立っていることは理解できる。私がそういう風に挑発したのだ。

 

砕蜂が卯ノ花烈と初めて対峙した時、彼女は初め斬魄刀を抜く素振(そぶ)りすらみせなかった。話し合いでの解決を模索しようとしていた。それは、言ってしまえば取るに足らないと思われていたからに他ならない。

卯ノ花烈にとってあの時の砕蜂は少女でしかなく、戦う意味などない相手だった。

 

(ただ)一振(ひとふ)り。()れにてお仕舞(おしまい)

 

事実、瀞霊廷動乱時に卯ノ花烈は砕蜂を赤子の手をひねる様に倒すことが出来た。初撃を避ける暇も始解する暇も与えることなく一振りで斬り捨てることが出来た。

それをせずにある程度の戦いを演じたのは、卯ノ花烈のある種の優しさに他ならなかった。

それを今の砕蜂は理解している。

 

---理解できる程に『断界』での夜一様との修行で私は強くなっている。

 

そして、だからこそ、今の卯ノ花烈が卯ノ花烈としてではなく卯ノ花”八千流”として砕蜂の前に立っていることを()()()()()()()()

 

圧倒的な戦力差を前に砕蜂の口元が吊り上がる。

 

「なぜ、笑っているのですか?」

 

八千流(ほんき)”である私の力は理解できているのでしょうと不思議そうに首を傾げる卯ノ花烈に対して砕蜂は笑みを浮かべたままに挑発的な視線を送る。

 

「なに、私は安堵しているのだ。貴様が私にあそこまで言われても、外野を気にして取り繕う様な女でなかったことにな。…そうだ。私は自分が間女だということをわかっているつもりだ。初めて貴様と戦った時、あの男の妻である貴様が私に向けてきた優しさの様なモノを、正直、気味が悪いと思ったぞ」

 

「…」

 

「まあ、あれは正妻の余裕というヤツなのだろうがな。だが、どちらにせよ私には理解が出来ん」

 

”愛した男が愛した女ならば受け入れよう”。

そう考えていた卯ノ花烈の想いを砕蜂はそう斬り捨てた。

卯ノ花烈の眉がピクリと動き纏う空気が重く変わる。

常人なら戦慄するその空気を感じとりながらも、砕蜂は尚も言葉を続けた。

 

「貴様は怒らぬことが優しさだとでも思っているのか?あるいは優しいあの男と同じ様に誰に対しても優しくあろうとしているのか?だとするなば、そんな付け焼刃は止めておけ。貴様はあの男のようには成れんぞ」

 

言葉には刃を込めた。視線にも刃を込めた。一挙手一投足に卯ノ花烈に対する敵意を込めた。

それは浮気相手の妻に少女が込める普通で普通な劣等感の塊のような幼い感情だった。

普段の卯ノ花烈ならばそれ位の戯言は受け流していただろう。だが、しかし、今は普通の状況ではない。

同じ男に対して二人の女が愛を叫んだ。そういう修羅場。鉄火に匹敵する戦場で語られる言葉は卯ノ花烈の心を斬っていた。

 

そして---

 

「ああ、そうだ。貴様には伝えておかなければならないな。私は風守に抱かれたぞ。それも現世に居た頃ではない。瀞霊廷に戻ってからな。あの男。私が望めば案の定、拒むことはしなかった」

 

それが致命傷になると知りながらも砕蜂は斬った。

 

「あぁ…」

 

それは卯ノ花烈から漏れた感情に塗れた小さな声だった。

 

「砕蜂さん。貴女は酷い人です。私を(いじ)めて楽しいですか?」

 

荒げるような声でなく。唸るような声でもない。呪詛は無く。怒りもない。

まるで無垢な幼子が泣くような声で卯ノ花烈は静かに笑った。

 

「久しさに私も怒ってしまいそうです」

 

「ようやく女らしい顔になったではないか」

 

 

 

 

挑発を繰り返すことに意味など無かった。隙を生むとか、怒りで理性を失わせるとか、そういう打算を含んだその行いの全てが無意味であることを砕蜂は卯ノ花烈の剣先を見て悟る。

真っ直ぐに、愚直なまでに正道として放たれたのは卯ノ花烈の袈裟(けさ)切り。

それを砕蜂は自らの斬魄刀で受けて、砕蜂の斬魄刀は真っ二つに斬られた。

 

斬魄刀が破壊される。それ自体はなにも珍しいことではない。斬魄刀とは所有者の霊圧を固め強度とする。ならば、それを上回る外圧で折れるのは必定(ひつじょう)。故に死神を育成する真央霊術院では斬魄刀を失っても戦える様に剣術の他に鬼道や白打を(おさ)める。

だが、しかし、隊長格の斬魄刀をこうも容易く斬ることが誰にでも出来るかと言われればそうではない。誰でもできる訳が無い。ともすれば斬られたことが理解できない程にあっさりと斬る。そんなことは()()()()()()()

天下無数に在るあらゆる流派を極め、あらゆる刃の流れをその手に修めた”八千琉”以外には---。

 

()れにてお仕舞(しまい)

 

斬魄刀を斬った刃が返り砕蜂の胴へと向かう。それで終わっていた。斬られていた。

そうなる筈だった。---しかし。

 

「なん…ですって…?」

 

胴に向かった卯ノ花烈の刃が止められる。白打において砕蜂が使ったその技術に名前はない。それはそれほどまでに当たり前のごくごく一般的な白刃取(しらはどり)と呼ばれる技術(わざ)だった。

 

胴に向けられた横凪の刃を上下から挟む形での白刃取。それが上段から降りおろされる刃を捕える白刃取よりも難易度が低いことは卯ノ花烈も知っている。

しかし、”八千流”の()()()()()()()。それがあまりにあり得ないことだったから、卯ノ花烈の動きは止まってしまった。

そこを突かない砕蜂ではなかった。

 

「はぁあ!」

 

白刃取した刃を軸に地面から飛んでの回転蹴り。それが卯ノ花烈の米神(こめかみ)へ放たれる。動きを止めてしまった卯ノ花烈はそれをまともに喰らって吹き飛んだ。

 

吹き飛んだ先で地面にぶつかり砂煙に包まれた卯ノ花烈。

姿が見えなくなった卯ノ花烈に対して砕蜂は手を緩めることはしなかった。

 

砂煙が晴れるより早く砕蜂の瞬歩は弧を描く。体制を崩しているだろう卯ノ花烈へ放つにはやり過ぎとも思える八つの残像を従えながらの特攻は、しかし、瞬間、全ての残像が真っ二つに切り裂かれて消える。済んでで胴断ちを回避した砕蜂は距離を取り立て直す。

視線の先には砂煙を欠き斬りながら立つ卯ノ花烈の姿があった。

額から一筋の血を流しながらも死覇装に土汚れ一つ付けていないその姿に砕蜂は息を飲む。

完全に入った筈の奇襲。並の死神なら昏倒していた筈の蹴撃に対して卯ノ花烈が取った反応は口元に弧を描くことだった。

 

「…なるほど、強い」

 

卯ノ花烈は嬉しそうにそう呟いた。

 

()かせぬ(もの)(おびただ)しく仇名(あだな)(もの)()ってきました。私の剣を防ぐならまだしも受け止めようとは…初めての経験です。ふふ、どうやったかなど聞くのは無粋でしょう。しかし、次はありませんよ」

 

「わかっている。あんな芸を二度も披露する気は無い」

 

千載一遇の好機に決めきれなかった自分の事を不甲斐ないとは砕蜂は思わなかった。

目の前に居る相手は卯ノ花烈。強いことなど、”最強”であることなど、最初から分かっていた。分かっていたから、砕蜂もまた卯ノ花烈と同じ様に笑うことが出来た。

 

()れにて座興(ざきょう)はお仕舞(しまい)

 

尋常(じんじょう)に勝負と行こう‼」

 

叫びと共に砕蜂は駆ける。(はや)(はや)い速度は卯ノ花烈にしてやって動きを追える程の瞬歩だった。しかし、その動きは初手で卯ノ花烈がみせたものと同じ愚直ななでの真っ直ぐさ。正面からの特攻という愚策。速度を生かす為に仕方のない事といえ卯ノ花烈から思わず零れる苦言。

 

「隠密機動が…血迷いましたか?」

 

迅いとは言え消えている訳でも無い卯ノ花烈からすれば眼で追える程度の速度。突撃に合わせ斬撃を繰り出すことなど容易いこと。真っ直ぐに特攻する砕蜂に卯ノ花烈の上段斬りが放たれる。

しかし、上段斬りが砕蜂に当たる寸前で死覇装の上着を残し砕蜂の姿が消える。

上段斬りが切り裂いたのは砕蜂の脱いだ衣服のみ。そのことに驚く卯ノ花烈の視線の先に砕蜂の姿が映る。

 

「空蝉…いえ、残像を先行させてのその技は…一体?」

 

「現世に居る頃に漫画という書物で読んだのだ」

 

足運びの残像による分身の術。それだけなら隠密機動が普通に使っているただの技術だった。

それをまさかこんな風に使うなんていう柔軟な発想は砕蜂にはなかった。

分身を先行させながらの特攻。進みながら後ろに下がる足運び。矛盾が生みだす矛盾の突破。尸魂界を追放されたのにヘラヘラしながら怠惰な日常を謳歌していた風守風穴が買ってきた漫画と『断界』での四楓院夜一との修行によって実現された架空の当身(あてみ)

砕蜂にその技の凄さを説明することは出来ない。漫画に描いてあった横文字だらけの説明は砕蜂にとっては解り難いものだった。けれど、それが生みだす結果が脅威的なものであることは理解している。

 

そして、最強の剣術家たる”八千流”はその理屈を初見で看破(かんぱ)した。

 

---()()()()()()()()()。雀部さんから聞いたことがあります。

 

地球上で速度を追求する時、人間であれ虚であれ死神であれ例外なく立ちはだかる壁がある。比喩ではなく本物の壁。物体が音速を超える時に衝突するその『見えない壁』の正体は圧縮された『空気の壁』。日常生活を送る分には意識されることもない『空気』。しかし、速度(スピード)を出すほどに幾何級数(きかきゅうすう)的にその『空気』は立ちはだかる。最悪の場合、『空気の壁』との正面衝突で高速物体は崩壊することすらある。

 

---速度を追求する程に逆に減速を避けられなくなる明白(めいはく)な矛盾。

 

『空気の壁』を突破する為に速度と威力を殺さなければならない明確な矛盾。

 

---あるいは矛盾(それ)を突破することが出来たのなら…‼

 

それが()()()()()()()()()。砕蜂は分身を先行させることでそれを成し遂げる。分身と言ってもそれは移動の際の残像である。先陣を切れば当然、空気抵抗を引き受け後続のための道を切り開く先駆けとなる。

 

砕蜂の姿が卯ノ花烈の眼から完全に掻き消えた。それは既に反応できる速度ではないという事だ。そして、その速度はそのまま威力へと変わる。

 

---”瞬神(しゅんしん)”と呼ばれた前隠密機動総司令官である四楓院夜一であってもこの足運びは真似できないでしょう。砕蜂さん。貴女が私の剣を受け止められた理由が今、わかりました。今の貴女は”雷迅(らいじん)”よりも速い。尸魂界()()()()なのですね。

 

「この技には名前が付けられていた。しかし、私に横文字は読めん。故に呼びやすくさせて貰おう」

 

視界に映らない程の速さで動く砕蜂の声が、何故だか卯ノ花烈には鮮明に聞こえていた。

その声色に卯ノ花烈は思わず笑ってしまいそうになった。

 

---戦いの先達として居場所がばれる愚を起こすなと苦言をいう所なのでしょうが…なんて、楽しそうな声色で言うのですか。それでは文句の一つも言えないではないですか。

 

耐えられなくなって卯ノ花烈は笑ってしまった。

 

---しかし、祝いましょう。ねぇ、そうでしょう。風守さん。貴方の大好きな子が、こんなにも………

 

()わりの(かたち)-”終蜂(ついばち)”」

 

 

 

---強くなったのですから。

 

 

 

()()()()()()()()()

矛盾を置き去りにした速度の当身。それは山本元柳斎重國であっても反応することの出来ない速度の攻撃。尸魂界において唯一、反応することが出来る者がいるとするのならそれは最速の卍解『黄煌厳霊離宮(こうこうごんりょうりきゅう)』の使い手である雀部長次郎(ただ)一人。それ以外の者には反応も出来ない。

故に卯ノ花烈にもその攻撃を捕え反応することは出来ない。

 

 

 

 

()()()

 

 

 

 

「私は強い。あの(ひと)以外の誰よりも」

 

 

 

 

矛盾を超えた速度で動く砕蜂の世界に入ってきた輝く銀色があった。

 

「ばかな…ありえん」

 

思わず漏れた砕蜂の声。そうあり得ない筈だ。卯ノ花烈は砕蜂の速度の前に反応をすることが出来なかった。矛盾を超え尸魂界史上最速に至った砕蜂の”終蜂”は卯ノ花烈を討つにたる一撃だった。

 

 

『振れば全てを切り裂く斬撃。しかし、反応できないのなら、振ることさえ出来ない。振るわれないのならどんな名刀も(なまくら)と同じじゃ』

 

 

『断界』での修行において四楓院夜一が砕蜂に語った理屈。

それは正鵠を射ていた。

当然と言えば当然の常識。

 

しかし、その常識を超える矛盾があった。

反応するのではなく反射するという境地。振るう腕よりも振るわれる剣が速く動くという矛盾。それを生み出す修羅の理。天下無数に在るあらゆる流派を極め、あらゆる刃の流れをその手に修めた”剣”の名は---”八千流の剣”。

 

 

矛盾(むじゅん)()えた速度(そくど)打撃(こうげき)矛盾(むじゅん)(はら)んだ(けん)(はし)る。

 

 

「あああああああああああ‼」

 

「はああああああああああ‼」

 

 

 

 

そして、刃と拳が交差した。

 

 

 

 

 

矛盾を超えた”終蜂(ついばち)”と矛盾を孕んだ”八千流の剣”はぶつかり合い、砕蜂と卯ノ花烈を吹き飛ばした。

そして、前のめりに倒れた砕蜂の辛うじて上げた眼が写したのは切り落とされた右腕(ききうで)が遠くに転がっている光景だった。

 

「私の…負けか…」

 

「いえ、それは違います」

 

思わずこみ上げる涙を止めたのは卯ノ花烈の声だった。

声のした方を見ればそこには卯ノ花烈が仰向けで倒れていた。口元から零れる血が卯ノ花烈が負ったダメージの大きさを表していた。そして、卯ノ花烈の手を離れ地面に突き刺さる斬魄刀があった。

 

「私の負けです。風守さんと戦った時でさえ、刀は手放さなかったというのに…砕蜂さん。この短期間で何が貴女をそこまで強くしたのですか?」

 

卯ノ花烈の問いかけに砕蜂は忌々し気に、そして、頬を赤らめながら言う。

 

「決まっているだろう。貴様への憎しみだ。考えてもみろ。私は惚れた男が貴様とイチャイチャする様を瀞霊廷で散々見せられたんだぞ。羨ましい。いや、恨めしいだ‼」

 

「………ふふっ」

 

砕蜂の言葉に卯ノ花烈は思わず吹き出す。

 

「砕蜂さん。貴女は()(ひと)ですね」

 

「っ!?あの男の真似をするな‼」

 

こうして卯ノ花烈と砕蜂の戦いは砕蜂の勝利で決着した。

互いに二戦一勝一敗。引き分けという形で終わった戦いはおそらくこれから先も一人の男を巡り続くだろう。

 

 

 

 

 

そんな戦いを見守っていた山本元柳斎重國は「本来の戦いと関係ない所で重傷を負わんでくれんかのぉ」と思った。

この後、めちゃくちゃ治療した。

 

 

 

 

 









山本総隊長は昔は剣術の塾長もしていたんだし、回道くらい使えるよね!(白目)




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