BLEACHの世界でkou・kin・dou・ziィィンと叫びたい 作:白白明け
気になったことの顛末が描かれない。
…仲間にした破面とかゾンビ化した侘助さんとか、更木剣八の黒化とかその後どうなったんだよ…教えてくれよ…
それでも自分はBLEACHが大好きです
暗く黒い闇だった。
五番隊第一特別
なぜ五番隊の副隊長格のである彼女が同隊の牢に入れられているのか、その理由は昨日、
「藍染隊長…」
雛森桃が呟く声に覇気はなく、力なく続かない言葉が彼女の心情を表していた。
傷心なんて言葉じゃ表すことの出来ない喪失感が雛森桃を包む。心に穴が空いたようだ。なんて、使い古された言葉を胸の内で呟きながら、想うはただ一人。
何時だって雛森桃を温かく包み込んでくれていた藍染惣右介という
「藍染隊長…」
愛だ、恋だ、などと、
それでよかった。雛森桃はそれ以上のことなんて一度たりとも望んだことはなかった。
---
それだけが雛森桃の望みだった。何も大それたことではない。憧れの人の傍に居たい。ただ、それだけの誰だって抱くだろう、ちっぽけな願い。その願いの為に雛森桃は努力して副隊長の座まで辿り着いた。
そうして、副隊長になってから過ごした日々は、役職に釣り合うだけの激務と危険なモノであったけれど雛森桃にとっては幸せな時間だった。
其処に藍染惣右介が居たのだから。
---しかし。
「藍染、隊長」
雛森桃の憧れた藍染惣右介はもういない。
雛森桃の罪状。それは藍染惣右介の死体が
その罪により雛森桃は一時的に五番隊第一特別
「…藍染隊長。…会いたい、です」
漏れた呟きは到底叶う筈のない
藍染惣右介の優しい顔を思いうかべると、雛森桃を包んでいた暗く黒い闇が少しだけ搔き消えた気がした。
ただ会いたい。それだけだ。
けれど、それは叶わない。叶う筈のない
だって、雛森桃の知る---
「藍染惣右介はもうこの世にはいないんやから」
「---ひっ」
妄想に
そこに居たのは護廷十三隊三番隊隊長、市丸ギン。
「元気そう、やないな。酷い顔や。泣きすぎて眼へ腫れとるで。看守に言うて暖かい布でも準備させよか?」
「け、結構です」
ジリジリと雛森桃は市丸ギンから距離を取る。二人の距離は離れ、そして間は牢の鉄格子によって分かたれている。自分を閉じ込める牢の鉄格子をこれほどに心強く思ったことは無いと雛森桃は恐怖の中で安堵する。牢屋に入れられていなければ、きっと自分は目の前の人物と面と向かって話すなんて真似は出来なかったと雛森桃は思っていた。
何しろ相手は市丸ギン。雛森桃の中で藍染惣右介を殺害した犯人は誰だと聞かれれば真っ先に名前が挙がる人物。藍染惣右介の死体を見ても笑っていた蛇のような雰囲気を纏った不気味な男。
「なんや、僕は随分嫌われとるねぇ。傷つくわ」
尚もジリジリと自分との距離を離す雛森桃の姿を見て市丸ギンはそう言ったが、口元の孤は一切無くなることはなかった。
「私に、何の用ですか?」
「そんな警戒しなくても取って食ったりはせぇへんよ。僕はただ苦しんどる君を可哀想と思うてなぁ。助けたろかと思っただけや」
「たす、ける」
---私からあの人を奪ったお前がどの口で言うのか。そう叫びかけた雛森桃の口を塞ぐように市丸ギンは浮かべていた笑みを消して重い声色で言った。
「”絶望”しとるんやろ?」
「---」
「僕、思うんよ。人が本気で絶望するには、二つの時があると。一つは、そやね。簡単に言うなら、絶対に勝てない敵と戦う覚悟を決めた時や。越えられない壁を前にして、それでも取り戻さなあかんモノがある時や」
市丸ギンが零した言葉には雛森桃が言葉を返すことが出来ないほどの絶望があった。
「もう一つは、まあ、分かり易いモノや。分かり易いからこそ、どうしようもない時。大切な人を亡くした時や」
「---」
「辛いんやろ?悲しいんやろ?苦しいんやろ?その全部がごっちゃになって、耐えられない程に…憎いんやろ?この現実から、逃げ出したいんやろ?」
市丸ギンの言葉に縋るように何時の間にか雛森桃は牢屋の鉄格子の傍にまで来ていた。手を伸ばせば鉄格子の先に居る市丸ギンに届く距離。
市丸ギンは屈んで雛森桃の目線まで身体を落とし言葉を続ける。
「そう思うことは、決して悪いことやあらへんよ。逃げてええんよ。当然や。なんで傷つかなあかん。なんで苦しまなあかん。傷つき嘆くその果てで、誰が幸せになれるん?」
市丸ギンから語られる言葉は正論。少なくとも雛森桃にはそう思えた。
市丸ギンの口元が舌なめずりをする蛇の様に再び弧を描く。雛森桃はそれに気付けない。
「………でも、私には、逃げる場所なんて、ありません。だって、藍染隊長はもう…」
「”
「”
「そや。流魂街の最下層。西流魂街80地区『
「
「そや。幸せな夢をみられるで」
そう言って市丸ギンは懐から、粉末の入った小袋を取り出した。
「たまたま僕、それを持ってるんよ。昔にお世話になった人から貰ってなあ、大切に取っといたんや。
「………でも、これって」
あまりにも怪しいその粉末の正体が解らない程に世間知らずでも馬鹿でもなかった雛森桃は不安げな眼で市丸ギンを見る。
市丸ギンは笑いながら言う
「もう一度、会いたいんやろ。もう一度、声が聞きたいんやろ。もう一度、触って欲しいんやろ。もう一度。もう一度。もう一度」
繰り返される市丸ギンの声に誘導されるように、雛森桃の手が小袋へと伸びていく。
そう、もう一度だけ藍染惣右介に会いたい。もう一度だけ藍染惣右介の声が聞きたい。もう一度だけ藍染惣右介に触れてほしい。もう一度だけ。もう一度だけ。もう一度だけ。
--- 一度だけなら、大丈夫。
「ようこそ優しい世界へ」
小袋を受け取った雛森桃を見て市丸ギンはそう笑った。
その後、雛森桃が五番隊第一特別拘禁牢の鉄格子と壁を破壊し脱走しているのを十番隊副隊長
松本乱菊の手には殺害された藍染惣右介から雛森桃へ
亡き藍染惣右介の思いを汲み取り、残されていたその手紙を見つけた十番隊隊長
日番谷冬獅郎は「けど男が女に当てた手紙だ。いくら雛森桃が幼馴染で藍染惣右介がそういう奴じゃないって知ってても色々デリケートな問題だよな」と簡単に文章にするとこんな感じの葛藤の末に副隊長である松本乱菊と一緒に手紙を開いた。
そこには藍染惣右介が独自に調べたとされる情報。
他ならない自分が、日番谷冬獅郎自身が、朽木ルキアの処刑と共に解放される『双極』のチカラを悪用して、瀞霊廷のみならず尸魂界の壊滅を目論んでいると記されていた。
勿論、そんなことを企んではいなかった日番谷冬獅郎はそれを読んで絶句した。
「なん…だと…?」
---帰ってきた。あの男が帰ってきた。
そう初めに叫んだのは褐色の巨躯を持つ男だった。巨人と呼ぶべき小山の様に大きい身体を持つ男の名は
その治療が終わった後に退院した断蔵丸は瀞霊廷の往来で叫んだ。
---帰ってきた。あの男が帰ってきた。風守風穴が帰ってきた。
その声は旅禍の侵入を知らされてはいても詳細まで知らなかった下っ端の死神達にまで轟く。
そう何時の世も
席官など夢のまた夢。そう諦めている者達にとって、風守風穴という男の帰還が意味するものは---
「おい!お前、何をぼさっとしておる!さっさと旅禍どもを探しに行かないか!」
髷を結った大柄な男の声など聞こえないと言う様子で隊士の一人は呟いた。
「帰ってきたんだ…あの人が」
「お前!聞こえないのか!」
大柄な男の怒鳴り声に隊士はキッと鋭い目つきで大柄な男を睨みつける。
「うるさい!あの人が帰ってきたんだ!もう捜索なんてやってられるか!」
「な、なんだその口の利き方は!わしのことは知っておろう!
「知るかそんなもん!」
「なにぃ!?」
席官相手に口論をする隊士。彼は常日頃からこんなにも反骨心溢れる性格をしている訳ではなかった。名も語られない彼はどこにでもいる平凡な隊士。上官に逆らい風紀を乱すような真似をする様な者ではない。
そんな彼がこうして席官相手に口論している訳。それは聞こえてきた一人の男の帰還の噂と時間と共に瀞霊廷内に漂い始めた甘い香りに理由があった。
戦いがあった。大きな戦いだった。
門を開かせ150名の隊士を無力化する為の戦いだった。雷鳴轟く烈士との圧倒される戦いだった。死刑囚を助け出す為の四大貴族との戦いだった。最強の死神との生死を賭けた戦いだった。
その戦いを男は斬魄刀と共に乗り切った。
桃源の夢を語りながら。桃色の煙を振りまきながら。戦い続けた。
無限に阿片の毒を生成するという最悪としか言いようのない斬魄刀を振るいながら、その男、風守風穴は戦った。
風守風穴の持つ斬魄刀『鴻鈞道人』が生みだした阿片の毒を含む桃色の煙。
その全てを風守風穴と戦った雀部長次郎は山本元柳斎重國は無効化することが出来ただろうか。否である。
雀部長次郎は雷を以て阿片の煙の大半を電気分解したが全てを消し去ることは出来ず、阿片の煙を全て消すことの出来る山本元柳斎重國は登場するのが少しばかり遅すぎた。
そして、その煙に対処することの出来る治療専門部隊四番隊の隊長、卯ノ花烈はあろうことか風守風穴と共にいた。
故に桃色の煙は薄れながらも
瀞霊廷の其処らかしこで風守風穴のいう所の守るべき
しかし、だからこそ。
「あの人は、旅禍の味方だ」
「なら俺達は、旅禍の不利になることをしちゃいけない」
「敵対しない。旅禍達の情報をこっそり隠せ」
そんな声が瀞霊廷の其処らかしこで囁かれた。それは決して席官や隊長格。強い者達には届かない声。
全ては風守風穴の齎す仙丹のユメをもう一度味わう為に---
「---ったく。なんだったのだ今の者は!ただの隊士がこの九番隊第二十席十五名の一人として名を連ねる梅定敏盛に意見するとは。まあいい。この事は後に必ず上に報告してやる。それより、報告ご苦労!…ところでお前ら2人とも見ぬ顔だが…新入りか?」
一つ向こうの倉庫へと旅禍の捜索に出ていた眼鏡をかけた青年と茶髪の少女の隊士の顔を見て梅定敏盛は首を傾げる。
「はい!今期より入隊しました井上です‼以後よろしくお願いします‼」
「…石田です。宜しくお願い致します…」
見覚えがないのは当然、だってこの二人の隊士は旅禍である石田雨竜と井上織姫が死覇装を着て変装した姿なのだから。
その変装に気づく者達はいた。なにしろ此処に居る隊士達の大半は席次を預かる力はないとは言え真央霊術院を卒業した者ばかり。並の隊士とは言え流魂街の住人達からすればエリートに違いがなく、服を変えただけの変装を見破ることのできる者が皆無なんていうことはあり得ない。護廷十三隊はそんな馬鹿じゃない。
しかし、気が付いた者達は一様に口を閉ざす。
全ては優しい世界の為に。石田雨竜と井上織姫は見逃される。
本人すらも知らない間に風守風穴は瀞霊廷守護の為のチカラとなっていた。
だが、それとこれとは話が別だ。
僅かながらだが、阿片に霞む瀞霊廷を
黒い髭を豊満に携えた坊主頭の大きな身体の死神は外見から感じさせる年齢からは考えられない程純粋に輝く少年のような
「ふむぅ。ちと拙いのぅ。瀞霊廷に侵入者ありとは聞いておったが、重國の奴め。侵入者の中に風守が居るのを隠しとったな」
悪い奴だと言いながらも愉し気に喋る黒い髭を豊満に携えた坊主頭の大きな身体の死神は、仕方がないと腰を上げる。
「久々に
瀞霊廷の遥か上空に浮かぶその場所の名は『
その場所を守護する部隊こそが『
その総力は護廷十三隊の全軍以上だとされる普段は決して下に降りてくることのない部隊の実質的な筆頭がふらりと下に落ちていく。
瀞霊廷の守護は護廷十三隊の仕事。そして、
故に王属特務は例え瀞霊廷が焦土と化そうとも、護廷十三隊の総隊長である山本元柳斎重國が討ち死にでもしない限りは瀞霊廷に降りてくることは無い。
黒幕はそう考えていた。
しかし、黒い髭を豊満に携えた坊主頭の大きな身体の死神は王宮の守護を同僚達にまかせて一人降りてくる。
「瀞霊廷に降りるのは久々だのう。風守の奴に拳骨をお見舞いするついでに仕事を果たしてくるかの。まったく風守め。『王属特務』への昇進を何時までも蹴りおって、『霊王』様は何時でも良いと仰ったが、八〇〇年はいい加減待たせ過ぎだぞ。風守を引っこ抜く重國への土産は…まあ、秘蔵の酒で良いか」
王属特務と言え彼も一人の死神。旧友との酒盛りを楽しむ気質を持っているし、昔から手のかかる問題の多い馬鹿に拳骨一つを喰らわせたいと思う考えもある。
彼も人、我も人。風守風穴から言わせれば基本だというその理念を、天を目指さんとするが故に黒幕は少しだけ忘れてしまっていた。
黒幕の思惑は外れ。『王属特務』
『
もし仮に黒幕が八百年前、中央四十六室によって風守風穴が尸魂界に”
だが、中央四十六室の決定は絶対。覆すことはあり得ないと秘密裏に秘匿されることとなったその命令を残念ながら黒幕は知り得なかった。
自身の持つ斬魄刀の能力で隊士たちの深層心理に働きかけようとすると、同じく深層心理に働きかけている斬魄刀の能力によって十分な影響を与えることが出来ない。
『王属特務』
次々と起こる不測の事態に黒幕、藍染惣右介はらしくもない表情を浮かべながら言った。
「なん…だと…?」
わかっているさ…和尚さんが強いってことは(´・ω・`)
百年後の世界から夜を百夜奪って技を出すとか、そんな大それたことする人が弱い筈がないんだ。けど、それでも自分は総隊長が最強だと信じてる!
太陽vs百夜。勝つのはどっちだ!阿片戦争勃発!
・・・いや、盛り上がらねぇな。なんでおじさんめぐってお爺ちゃんが戦うんだよ。