機動新世紀ガンダムX アムロの遺産   作:K-15

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第25話

「確認できるシャトルは1機だけだが、見えているのはガンダムタイプか?」

 

「ランスロー大佐、新連邦の動きも早いです。それに反乱分子のモビルアーマーも」

 

「わかっている。これはあくまで偵察だ。深入りはするなよ」

 

「了解」

 

 宇宙革命軍からも動きがあった。本拠地であるクラウド9から出撃したモビルスーツ部隊はジャミル達のシャトルを目指して動き出す。だが地球からは新連邦の大部隊が迫っている事もあり時間は掛けられない。

 教育大隊の教官を務めるランスロー・ダーウェルが先頭を取る。

 新連邦とは違い宇宙革命軍はスペースコロニー内で着々と戦力を増強していたが、それでも疲弊した軍を立て直すには時間が必要だ。

 その過程で数を用意するのではなく従来の機体よりも高性能な機体を開発するに至る。ビームコーティングを施した分厚い装甲はビームライフルの直撃にも耐え、装甲により増えた重量を突き動かすだけのメインスラスターの出力強化。

 ズングリとした丸い見た目とは裏腹にその動きは俊敏だ。

 宇宙革命軍の本拠地であるクラウド9から名前を取り、この機体は『クラウダ』と名付けられた。

 そのクラウダに搭乗し、ランスローは2機のガンダムタイプが防衛するシャトルの元へ飛ぶ。

 

「射程圏内に入った。威嚇射撃で沈むなよ」

 

 トリガーを引くランスロー。発射されるビームを探知してシャトル側も動きを見せる。ブリッジに立つジャミルはシンゴに指示を飛ばす。

 

「また敵が来るか? シンゴ、急速旋回」

 

「了解です!」

 

 スラスターを噴射して加速するシャトルはビームを回避し、防衛に当たるウィッツとロアビィも攻撃を開始する。

 

「敵さんが来やがったな!」

 

「アムロとガロードにばっかり任せてられないからね。新しくなったレオパルドデストロイの性能、見せて貰おうじゃないの!」

 

「エアマスターバーストも行くぜ!」

 

 ペダルを踏み込むウィッツは一気に機体を加速させて前に出る。両手に握るバスターライフルを構えて迫るクラウダ目掛けて連続でトリガーを引く。

 出力の上昇したビームが無数に発射されクラウダを襲うが、先頭を進むランスロー機はAMBACとスラスター制御を匠に使い簡単に避けてしまう。

 彼方へと消えて行くビーム。

 ランスローは長年の経験からたったこれだけの攻撃でも相手の力量を計る事ができた。

 

「エアマスターを改良した機体か。だがパイロットが若いな。後続は私に続け」

 

「クソッ! コイツ!」

 

「悪いが仕留めさせて貰う」

 

 ランスロー機の後ろから続く2機も悠々とエアマスターの攻撃を避けて行く。ウィッツは改修されたばかりの機体にまだ慣れていない事と初めての宇宙での戦闘に不慣れな事もあるが、自分と相手との力量差からある事を直感的に感じ取った。

 

「この感覚……アムロじゃあるまいし!」

 

「私に出会ったのが運の尽きだ」

 

「鬱陶しいんだよッ!」

 

 続けてバスターライフルのトリガーを引く。けれどもランスローはトリガーが引かれるよりもコンマ数秒早くメインスラスターのペダルを踏み込んでいた。

 上昇する機体はビーム攻撃を回避し、3機はシャトルを四方から挟み込むようにして散開する。

 

「抜けられた!? ロアビィ!」

 

「わかってる!」

 

 ツインビームシリンダーを両腕に構えるレオパルドは先行するランスローにビームの雨を浴びせる。

 改良されたレオパルドの攻撃力と制圧力は凄まじく、歴戦の兵士であるランスローでも全てを避け切る事ができない。

 圧倒的な範囲攻撃を前にスラスターで回避行動を取るが、何発かはビームが装甲に直撃してしまう。

 

「チィッ、厄介な機体に仕上げてある。だがシャトルはがら空きだ」

 

「直撃の筈でしょ!? どうなってんの?」

 

「こう言う時は下から攻めるのがセオリーなのでな」

 

 回り込むランスローはレオパルドの攻撃を振り切りシャトルの下面を照準に収める。ビームライフルを抱えて撃ち抜こうとするが、寸前の所でエアマスターが間に合う。

 

「エアマスターの機動力を舐めんじゃねぇぞ!」

 

「それなりに腕はあるようだな。だが……」

 

 バスターライフルの連続攻撃に身を捩りながら回避するクラウダ。度重なる連続攻撃にも関わらず装甲にビームはかすりもしない。

 一時はシャトルへの攻撃を妨害されてしまうが、モビルスーツはもう2機ある。別方向から攻めるクラウダにロアビィのレオパルドだけでは対処できない。

 両腕のツインビームシリンダーから雨のように発射されるビームも分厚い装甲に阻まれてしまう。

 

「チッ、ビーム主体に改良して貰ったって言うのによ! 鬱陶しい奴!」

 

 フロスト兄弟との戦闘でガロードとアムロの距離が離れてしまっている。2人も合流すべく急いでいるがそれでもまだ時間が掛かってしまう。

 3方向からの襲撃にウィッツとロアビィだけでは限界がある。だがあくまでも偵察任務で動いているランスローは避けるばかりで攻撃をする素振りすら見せない。

 

「こんなモノか、大体わかった。撤退するぞ。相手のガンダムタイプの性能とパイロットの技量は計れた。この事を総統に報告する必要がある」

 

「了解しました」

 

「離脱します」

 

 背を向ける3機はエアマスターとレオパルドの猛攻を潜り抜けて、クラウド9へ帰投すべくメインスラスターを噴射させる。

 だがそれを妨害せんと2機とは別の方角から強力なビームが飛来した。

 散開する3機、すぐさまレーダーと目視で確認するランスローはその相手を知っている。

 

「Gファルコンが来たか? 予定よりもこちらの動きが遅れたか」

 

「どうしますか、大佐?」

 

「お前達は帰投を優先するんだ。活路は私が開く」

 

 ビームライフルを構えるランスロー機はモビルアーマーのGファルコンに狙いを定めてトリガーを引く。

 発射されるビーム。だがクラウダよりも更に機動力の高いGファルコンは少し加速するだけで簡単に振り切ってしまう。

 パイロットであるパーラ・シスはコクピットの中から戦況を分析していた。

 

「コッチは革命軍のモビルスーツだけど、アッチはなんだぁ? でもデータで見た気がする。確かガンダムって言う……」

 

「反乱分子が邪魔をするか」

 

「敵の敵は味方って思いたいけどね。そんじゃ、逃げる機体を撃ち落とすとするよ!」

 

「やらせんよ!」

 

 操縦桿を倒すパーラは旋回し、背を向けるクラウダに機首を向ける。左右翼端のエンジンポッドに直結し大出力の出る拡散ビーム砲の照準を合わせ、両手で握り締める操縦桿のトリガーを引く。

 高出力ビームは瞬時にクラウダを襲うと装甲をかすめた。

 背後からの攻撃に思わず機体を振り向かせてしまうパイロット。パーラはそれを狙っていた。

 

「アンタらは逃さない!」

 

 青白い炎を噴射しクラウダを追い抜くGファルコン。そして再び旋回して機首を敵機に向けると、コンテナ前部の小型赤外線ホーミングミサイルを一斉に放つ。

 迫るミサイル群にクラウダの1機が捉えられる。小型ミサイルが装甲に直撃し機体が爆発の炎に包まれた。

 だが分厚い装甲は強固で撃破するまでは至らない。各部の装甲が幾つか剥がれ落ちたが機体はまだまだ動く。

 

「まだ動くかよ!? もう一発喰らわしてやる!」

 

 青白い炎を噴射して加速するGファルコンはトドメを刺すべく拡散ビーム砲で敵機の胸部を狙う。照準を合わせ操縦桿のトリガーに指を掛けるが、パーラがビームを撃ち込むよりも早く別方向からの攻撃がクラウダを貫いた。

 

「え……」

 

「誰かは知らねぇが助けられたままじゃ格好付かないからな! 援護くらいはさせて貰うぜ!」

 

 ウィッツのエアマスターが前に出るともう1機のクラウダに攻撃を仕掛ける。機動力で翻弄しビームによる鋭い攻撃。

 直撃するビーム、その程度ではびくともしないクラウダだが、立て続けにレオパルドからの攻撃も迫る。

 左肩アーマーに装着された11連ミサイルポッドから一斉にミサイルが発射された。

 パイロットはエアマスターの攻撃に気を取られ背後からの攻撃に対処できない。ミサイルの爆発が再びクラウダを炎に包み込む。そして間髪入れずエアマスターとレオパルドによる連続攻撃が敵機を挟み込んだ。

 

「どうだ? これだけ撃ち込めば」

 

「残るは1機、仕留めるよ!」

 

 レーダー反応から敵機の存在が消える。2人は残るクラウダ、ランスローが搭乗する機体に視線を移すが、既にエアマスターとレオパルドの射程距離範囲から離れてしまっていた。

 

「只の偵察で、2機のクラウダが撃破されるなどと。流石はガンダムタイプと言う事か」

 

 操縦桿を握り締めるランスローはペダルを踏み込み機体を加速させると瞬間、脳裏にプレッシャーが走った。

 

「何だ、この感覚は?」

 

 高出力のビームが1発、クラウダに迫る。何かを感じ取るランスローは考えるよりも早く体が動いていた。

 寸前の所でビームの射線上から回避しAMBACで機体ごと振り向く。

 メインカメラが映し出すのは新たに現れた2機のモビルスーツ。見た事のないガンダムタイプと全身が黒いモビルスーツ。

 

「このザラザラとした感覚……あの黒い機体か!」

 

「相手のパイロットは手慣れているな。ガロードはこのままシャトルに戻れ。ウィッツ、あのモビルアーマーは?」

 

「敵の敵は味方って言うだろ?」

 

「そうか……ジャミル、聞こえているな? モビルアーマーは任せる。俺は逃げるもう1機を追う」

 

『深追いはするなよ』

 

「わかっているが、敵の本体にこちらの動きを掴まれるかもしれないんだぞ」

 

 先行するアムロはビームライフルを構えながらクラウダへ攻めに行く。ビームライフルの射程距離外の相手でも、パイロットの敵意を感じ取りある程度照準を合わせる事ができる。

 飛来するビーム。だが簡単に当たるランスローではない。

 

「さっきまでのパイロットと違う。この感覚……ジャミルではない。ルチルと言う女でもない。誰だ?」

 

「シャアの感覚に似ている? どう言う事だ?」

 

「ニュータイプとでも言うのか!」

 

「来るのか?」

 

 機体を反転させるランスローもビームライフルを構えさせアムロの乗るラスヴェートに狙いを定める。

 両者は相手の敵意を感じ取り攻撃される前に回避行動を取った。ビームは明後日の方向に飛んで行き、ビームライフルの射程圏内で猛攻を繰り広げる。

 

「このパイロットの力、本気を出すしかない!」

 

「ここでやられる訳にはいかない!」

 

「沈んで貰う!」

 

 殺気を漲らせるランスローの猛攻、連続して放たれるビーム攻撃に対しアムロは操縦桿を匠に動かして最小限の動きでこれを避ける。そして同時に敵に向かって銃口を突き付けてトリガーを引く。

 だがどれだけ攻撃を続けても、どちらの機体もキズ1つすら付かない。中距離で射撃戦を続けていても決着が付かない事はこの時点で2人とも理解した。

 

「だったら……」

 

 左腕にマウントされたシールドを捨てるアムロはランスローよりも早く動きを見せた。メインスラスターの出力で機体を加速させて距離を詰めようとする。

 動きを見るランスローも次の動きに移るのは早い。ビームライフルを腰部へマウントさせて右手にビームサーベルを握らせ接近戦を挑もうとする。加速するクラウダーは一直線にラスヴェートに向かって進む。

 

「何だ? 目眩ましか!? クッ!」

 

 攻撃を仕掛ける寸前、ラスヴェートが捨てたシールドに目が行く。瞬間、ビームの閃光がほとばしる。

 シールド裏に設置されたビームキャノンが自動的に発射された。同時にアムロのラスヴェートからもビームが飛ぶ。

 操縦桿とペダルを操作して何とかビームキャノンの直撃は免れるが、左脚部にはビームライフルから放たれたビームが直撃してしまう。

 

「直撃の筈だ、ビームコーティング。それでもやりようはある!」

 

「この私に攻撃を当てるだと!? やったな、アムロ・レイ!」

 

「俺達の動きを知られる訳にはいかない。逃がすものか」

 

「チィッ!」

 

 互いにビームサーベルを引き抜き袈裟斬り。激しい閃光が両者を照らすがそれも一瞬。間合いを開けてランスローはラスヴェートのコクピット目掛けて切っ先を突き立てる。

 

「うおおおッ!」

 

「コイツ!」

 

 姿勢をかがませるラスヴェート。ビームの刃は頭上を通り過ぎ、ラスヴェートはビームサーベルを握る右腕を振り上げた。

 クラウダの右肘から先が分断され宙に浮く。

 

「やられたと言うのか?」

 

「ここまでだな、ランスロー!」

 

「クッ、撤退だ」

 

 背を向けるクラウダは同時に背部からビームカッターを展開させる。巨大なビームが翼のように生えラスヴェートに襲い掛かるが、ビームサーベルで受け止めるアムロは何とかコレを防いだ。

 だがランスローが搭乗するクラウダーは遙か先へ逃げられてしまう。

 コクピットの中でランスローは徐々に小さくなっていく背後のラスヴェートをカメラで見ながらボソリと呟く。

 

「只の偵察で2機が破壊され私の機体も損傷したなどと! アムロと言ったのか。私は……」

 

 逃げるランスローを追い掛けて来るモノはもういない。

 

///

 

 戦闘が終わりシャトルに帰艦するフリーデンのパイロット達。初めての宇宙戦にアムロ以外のパイロットは慣れておらず整備班は急ピッチで機体の整備を進めている。

 パイロットも同様で、疲弊した体と精神を休ませる為に自室や食堂に移っていた。

 そんな中でブリッジに居るのは艦長であるジャミルと操縦クルー、白いパイロットスーツを装着したままのアムロ。そしてGファルコンのパイロットであるパーラ・シス。

 

「それで、アンタ達はそのティファって子を助ける為に新連邦を追って宇宙にまで来たっての?」

 

「そう言う事になる。だがパイロットが宇宙に慣れてなくてな」

 

「どうりで。でも黒い機体は良い動きをしてたじゃないか。革命軍のエースを退けるだなんてさ」

 

「アムロの事か? 彼は15年前の戦争を経験している。だから他の3人と動きが違う」

 

 そう説明するジャミルにアムロは視線を反らすだけで何も言わない。ジャミル達と行動をともにするようになり暫く経ち、アムロは自分の置かれた環境が少しずつわかってきた。

 それでもハッキリ断定できるモノではないし、誰かに相談できるようなモノでもない。

 

「へぇ、だからか。なぁ、艦長。それならアタシ達の所に来ないか? 補給する目処だってないんだろ? それに目的だって似通ってる」

 

「そうだな。君が所属するサテリコンの拠点まで案内できるか?」

 

「もちろん! こっちは補給物資を提供して、アンタ達は戦力を投入する。持ちつ持たれつって関係ね。この位置からなら数時間もあれば着くと思うよ。サテリコンの拠点は昔の資源小惑星を改良したモノなんだ。近くまで行けば肉眼で見えるよ」

 

「シンゴ、微速前進だ」

 

「了解です、キャプテン」

 

 舵を握るシンゴはジャミルの指示に従いシャトルを目的地であるサテリコンに向けて動かす。艦長シートに座るジャミルは流れる景色の星を見ながら、15年と言う月日を噛み締めていた。

 

(またこの場所に戻って来るとはな。もう戻る事などないと思っていたが。この場所は辛い思い出が多すぎる……ルチルもまだ、どこかで見ているのか?)

 

 一方のパーラはジャミルとの会話が終わると直ぐ側に立つアムロの元へ向かう。軽く床を蹴って宙に浮くとそのままゆっくりアムロの所に着いた。

 

「アンタが黒い機体のパイロットなんだろ? アムロ・レイ」

 

「君は無重力空間に慣れているんだな」

 

「アタシは生まれてからずっと宇宙に居たからさ。逆に地球の重力がどんな感覚なのかわからないんだ。それよりも、アンタの戦いはずっと見てたよ。あんな動きをする奴初めて見たぜ。もしかして話に聞いたニュータイプってアムロの事か?」

 

「まさか、俺はニュータイプなんかじゃないよ。ただ他の人間よりも慣れてしまっているだけさ」

 

「ふ~ん、そう言うものなんだ。前の戦争も結構長かったって聞いたからな」

 

 連邦とジオンとが繰り広げた1年戦争が始まり8ヶ月が経過した頃、連邦がV作戦と銘打ち開発したモビルスーツ。RX-78-2ガンダム、アムロは偶然にもガンダムに乗り戦いへと巻き込まれて行く。

 それから13年、シャアが引き起こした第2次ネオ・ジオン紛争に至るまで現役でモビルスーツのパイロットをしているモノは少ない。

 経験値だけで見てもアムロのパイロットとしての技量は相当なモノだ。

 

「君はレジスタンスとして活動しているのだろ? 宇宙革命軍の動きはどうなんだ?」

 

「こっちの戦力はアイツラと比べたら微々たるモノだからさ。色々やってるけど思った程の成果はでてないよ。でも最近はやけに大人しいと言うか」

 

「大人しい? 何かあるのか?」

 

「調べてはいるみたいなんだけど、情報は上がってないな」

 

「何か仕掛けるつもりかもしれない。ジャミル、どう思う?」

 

「新連邦との戦いに備えているのかもしれん。だが相手は宇宙革命軍だ。15年前のコロニー落とし、そうでなくても過剰な攻撃を仕掛ける可能性がある」

 

「けれども状況は15年前と違う。今の俺達が優先するのはティファの救出だ。新連邦と革命軍の間に割り込む必要はない」

 

「そうだな。兎に角、今は彼女を助け出す事だ。これからの事はサテリコンの拠点に到着してからだ。モビルスーツの補給もある」

 

 シャトルはゆっくりと小惑星に向かって進み続ける。

 だがジャミルやアムロの考えよりも早く、宇宙革命軍は動きを見せていた。来るべき決戦に備えて、新連邦に大打撃を与えるべく開発した戦略兵器。

 それはスペースノイドの居住地でもあるスペースコロニーを兵器として使用できるように改良されたモノ。モビルスーツやモビルアーマーはおろか複数の戦艦でさえも一撃で葬り去るその兵器はコロニーレーザーと呼ばれた。

 宇宙革命軍総統であるザイデルは戦艦のブリッジで艦長シートにどっしりと腰を下ろし、エネルギーチャージと照準合わせ作業が完了するのを待っていた。

 

「エネルギーチャージ、30%まで完了!」

 

「発射可能になり次第すぐに発射しろ。以前の戦争のように持久戦などやらせはせん。この一撃で地球を焼き払い、新連邦に打撃を与える。15年前の決着を着ける時が来たのだ!」

 

 ブリッジのスクリーンに映し出されるコロニーレーザーを眺めるザイデルは打倒新連邦を成し遂げるべく、虎の子である兵器を目の前にして力強く口を開く。

 

 

 

第25話 時は満ちた

 

 

 




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