機動新世紀ガンダムX アムロの遺産   作:K-15
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第19話

 アムロが操縦するバリエントは空へ飛び立つ。モビルスーツデッキを出てゾンダーエプタ―上空に来ると、目の前には進行を邪魔せんとシャギアのガンダムヴァサーゴが立ち塞がる。

「フフフッ、待っていたぞ。アムロ・レイ!」

「あの時の男か!?」

「ガンダムを使わぬ貴様に勝ち目など!」

「このくらいッ!」

両手のクロービーム砲を向けるヴァサーゴは容赦なく攻撃を仕掛ける。対するアムロは初めて乗る機体ではあるが、相手の殺気を感じ取り攻撃を先読みする事で被弾を避けた。
 操縦系統はドートレスと同じなお陰で動かす分には問題はない。けれども幾らアムロと言えども機体の限界性能を瞬時に引き出す事はできない。それにマニピュレーターにはガロードとカトックが居る。ガンダムタイプと正面から戦って勝てるだけの性能も持ってない。

「お前に構ってられる暇はない。振り落とされるなよ、ガロード」

「行かせてはやれないな。私との勝負を拒むか」

「この機体でも逃げるくらいならできる筈だ」

 回避行動を取りつつ腰部にマウントされたビームライフルを引き抜き相手に照準を定める。トリガーを引いて発射されるビームはヴァサーゴに迫るも、シャギアの技量と機体性能を前に簡単に避けられてしまう。
 互いに射撃戦を繰り広げながらも機体にダメージは通らず、アムロは時間が経過していく事に焦りを感じ始める。けれどもそれはシャギアも同じだった。
 新型とは言え量産機のバリエントにジワジワと押し返されて行く。

「機体性能も、状況的に見ても不利な相手にこうも苦戦させられるとは。アムロ・レイ、やはり貴様を生かして通す訳にはいかなくなった!」

 焦るシャギアは腹部のメガソニック砲を展開しバリエントを一気に攻め落とそうとするが、攻め方を変えたこの瞬間をアムロは見逃さない。

「落とさせて貰う!」

「ビーム砲を使うか。その変形が隙になる!」

 ペダルを踏み込むアムロはメインスラスターの出力を上げて正面からヴァサーゴに肉薄した。その予想外の行動にシャギアは思わず息を呑み、メガソニック砲の出力を下げてしまう。

「しまった!?」

 バリエントは握るビームライフルの銃口を展開するメガソニック砲に突き刺した。そのままトリガーを引くが、衝撃にビームライフルが耐えきれずコクピットからの反応を受け付けない。

「ライフルがイカれたか。サーベルで!」

「こんな所で……こんな所で負ける訳には!」

 幸いにもエネルギー放出による機体の誘爆は発生しなかった。それでもダメージは大きく、体勢を立て直すよりも早くにアムロの機体は背後へ回り込んでいる。
 ビームサーベルを引き抜き、背後の特徴的な黒い主翼を切断しメインスラスターを破壊した。空中機動が困難になるヴァサーゴは、そのまま重力に引かれて海へ落下する。

「ぐぉぉぉォォォッ!」

 その光景を確認するアムロは直ぐ様、ゾンダーエプタ―から逃げる船を目指して動く。

「これならすぐには追い付いて来れない。ガロード、無事だな」

「な、何とか。カトックも大丈夫だ」

「船までの距離は離れてない。このまま取り付くぞ」

 レーダーに反応する大型船の数は1隻だけ、見付けるのは容易くモニターにもその影が映る。一方で空中で戦闘を行っているエアマスターとアシュタロンの決着も付こうとしていた。

「このゲテモノガンダムが! 落ちやがれ!」

「悪いけど、時間稼ぎは終わりだよ。君の相手をしている暇は失くなった」

 両手のビームライフルで懸命に敵機を撃ち抜こうとトリガーを引き続けるウィッツだが、オルバの操縦技術の方が1枚上手だ。
 アシュタロンは腰部からボーガン状のビームライフルを取り出し瞬時に狙いを定める。発射されるビームはエアマスターの右脚部に直撃すると空中での姿勢を崩した。

「野郎ッ! 逃がすか!」

「逃げる訳じゃない。それと、ビームスピア―はこう言う使い方もできる」

 ボーガン状のビームライフの形状が変化し、弦の役割をしていた部分を前方を向くと槍に変わる。ビームサーベルに持ち帰る事なく接近戦に使える武器に変わるとエアマスターの背後を取った。

「不味い!?」

「落ちるのは君だよ!」

 両手に握るビームスピアーで大きく袈裟斬り。背部にある主翼が一振りで切断され、装甲も斬り刻まれてしまう。ダメージを受けたエアマスターはそのまま海へと落ちる。

「レーダーの反応が消えた訳じゃない。機体はまだ生きてる。けれども今はそんな事は後だ!」

 ペダルを踏み込むオルバはアシュタロンを加速させてこの場から離脱する。目指す場所はアムロに落とされたヴァサーゴの居る所。兄のシャギアをいち早く救出しようとオルバは兎に角急いだ。
 先を急ぎながらも、ツインシンクロニティでシャギアとの交信を図る。

(兄さん、兄さん大丈夫!)

(オルバよ……)

(兄さん!?)

(ヴァサーゴは損傷したが体は何ともない。だがこのままだと脱出する事は困難だ。ここまで来てくれるか?)

(わかったよ、兄さん。でも、このままだと奴らはアイムザットに追い付くよ?)

(構わんよ、アイムザットでは奴らに勝てない。我々は独自に動くぞ)

(アイムザットは切り捨てるんだね)

(何もしなくても後始末は奴らがやってくれるさ。それにしてもアムロ・レイ……)

(奴は必ず倒す、僕達の計画を遂行する為にも)

///

 大型船でゾンダーエプタ―から離れていくアイムザットはブリッジのシートに腰を落ち着けていた。彼が上層部に悟られる事なく準備を進めていた計画をようやく実行できる。その事に思わず口元がニヤけた。

(フフフッ、計画は完璧だ。これで私の地位は確約されたも同然。そうなればこんな地球にいつまでも居続ける理由も失くなる)

「レーダーにモビルスーツの反応アリ。味方のバリエントです」

 通信兵からの報告に耳を傾ける。報告にあるようにレーダーとモニターには大型船に近づいてくる味方のバリエントの姿。けれどもどこか様子がおかしい。

「カメラを拡大しろ。島の方角から来てるだと?」

「了解、拡大します」

 ズームアップされる映像、それを睨むようにして見るアイムザットはすぐに気が付いた。マニピュレーターに2人の人間が乗って居る事に。そしてその2人を彼は見た事がある。

「アレは……フリーデンの乗組員とカトックだと!? あの2人、攻撃を失敗したか」

「アイムザット総括官、如何なさいますか?」

「モビルスーツを発進させろ、相手はたかが1機だ。絶対にこの船に近寄らせるな!」

「了解! モビルスーツ発進準備」

 シートに座りながら指示を出すアイムザットだが、このタイミングになって裏切ったカトックの事が少し気がかりだった。

(あんな成り上がりの兵士が1人寝返った所でどうとでもなる。だが……まぁ良い。少しばかり時間が無駄になるだけだ。私の計画に狂いはない)

 バリエントに搭乗するアムロは目指していた目標をいよいよ捉えた。だが取り付くよりも早くに、内部からモビルスーツが出撃して来る。
 確認出来るのはドートレスにフライトユニットを装備したタイプと今アムロが乗っているバリエントと同じモノ。

「これだけの数だと骨が折れるな。取り付くのが先決か」

 モビルスーツの大部隊を前にしながらも、歴戦の兵士であるアムロは至って冷静だ。2人が乗るマニピュレーターを保護しながら、メインスラスターから青白い炎を噴射して船に接近する。

「行けるか? いや、やるしかないか!」

 迫り来るビームの雨、向けられる殺意。機体を加速させてその全てを回避し、更に迫るはビームサーベルを抜く敵部隊。
 普通なら反撃するのは容易いが今はそうしてられる状況ではない。操縦桿を巧みに操り、振り下ろされる切っ先を避け続ける。
 右へ、左へ、また右へ。
 どれだけ攻撃を重ねてもバリエントの装甲に触れる事はない。

「こ、コイツ早いぞ!? 本当に同じ機体なのか!?」

「何をやっている! 撃て! 撃ちまくれッ!」

「抜けられた!」

 敵陣の中を糸を縫うようにして抜けるアムロ。その先にある大型船の甲板に取り付くと2人が乗るマニピュレーターをそっと降ろした。

「サンキュー、アムロ!」

「ジャミルとティファの事は頼んだぞ。俺はモビルスーツの相手で手一杯だ」

「わかってるって! 死ぬなよ!」

 船上に降りたガロードは中に向かって一目散に走り出す。カトックもそれに続き甲板に降りチラリと後ろに振り返ってアムロのバリエントを視界に入れた。けれどもそれも数秒だけ。
 目付きを鋭くしてガロードの後に続いた。
 操縦桿を握り直すアムロはモニターに映る敵部隊と対峙すべく神経を過敏にさせる。

「この機体でやれるだけの事をやるしかない。急げよ、ガロード」

 迫るドートレスはビームライフルの銃口を向けてバリエントに攻撃を仕掛けて来る。瞬時に反応、考えるよりも早く手足が動く。
 ビームサーベルを握るアムロの機体はビーム攻撃をすり抜けるようにして近距離にまで詰めると腕を振り上げた。切っ先はドートレスの肘から先を切断し、体勢が崩れた隙を狙い相手のビームライフルを奪った。

「こ、コイツ!?」

「機体性能はバルチャーと比べれば良いかもしれないが!」

 右腕のミサイルを発射しコクピットに直撃させる。奪い取ったビームライフルを装備してバリエントは加速した。

///

 船内に侵入したガロードとカトックは兎に角一目散に走った。囚われたティファとジャミルを助ける為に。

「ってもどこに居るんだ? このままじゃすぐに敵が来る」

「お前、もしかして嬢ちゃんを先に助けようだなんて考えてるのか?」

「その為にここまで来たんだろ?」

「違うな、狙うならガンダムの方だ」

「どうして?」

「あのアイムザットが完成したばかりのガンダムを置いてく訳がねぇ。新型はこの船の中だ。ガンダムを奪取できればこの不利な状況も覆せる。そうすれば助け出せる可能性も上がるってもんだ」

「そうかも知れないけどよ」

「このだだっ広い船の中を当てもなく探し回る気か? でもモビルスーツなら置き場所は決まってる。そっちの方がずっと楽だろ? それに設計図があるガンダムはまた作れるが人間はそうはいかねぇ」

「そうだな、そっちの方がまだ楽か」

「そう言う事だ」

 目的を定めたガロートはカトックの意見に従い大型船のモビルスーツデッキを目指す。大きく広い船内ではあるがモビルスーツデッキの場所など大方決まっている。鉄骨と鉄板で固められた通路を全速力で突き進む。

「あそこだ!」

「ご丁寧に入り口が開いてやがる。って事は……」

 開けられてままのデッキへの入り口、不信に思いながらも2人は中へと足を踏み入れた。広い空間の中に幾つも置かれているコンテナ。そしてその1番奥で佇むのは1機のモビルスーツ。
 白を基調としたデザイン、胸部にあるマイクロウェーブ受信装置。背中には2門のサテライトキャノンを背負っており折り畳まれたリフレクターは羽のようでもある。
 新しく開発されたガンダムを目の前にガロードは思わず息を呑む。

「これが……新しいガンダム……」

『その名もガンダムダブルエックスだ』

「ッ!?」

 男の声が響き渡る。外部音声に切り替えた声がモビルスーツから聞こえて来たのだ。新たなガンダム、ガンダムダブルエックスはツインアイに輝きを灯しゆっくりと1歩を踏み締めた。
 鉄板で作られた床に歩くだけでも重厚な金属音が響き船体が微かに揺れる。ガロードは蛇に睨まれた蛙のように、すぐにこの場を動く事ができない。

『まさかな、よもやここまで乗り込んで来るとは。つまりあの兄弟は失敗したと言う事か。そしてカトック、拾ってやった恩を忘れたか? 私の邪魔をしに来るなどと』

「アイムザット総括官自らがガンダムに乗りますか」

『他の奴など信用できんからな。この機体は私の計画を遂行する為の要だ。しかしカトック、もはや貴様に裁判は必要ない。私がこの場で処刑してやる』

「お忘れですか? 俺は嘘付きなんです。死んだ女房にも良く言われた」

『そうか。ならば貴様も天国に送ってやる。もっとも、人を殺す兵士である貴様が行ければの話だがな!』

「動け、ガロード!」

「ッ!?」

 カトックが叫ぶと同時、アイムザットが搭乗するガンダムは頭部バルカンから弾丸を発射した。激しいマズルフラッシュ、轟音、大量に吐き出される空薬莢は鉄の床へ撒き散る。
 並べられたコンテナの隙間に隠れる2人は何とか弾を避けるが状況は明らかに不利だ。

「こんなコンテナ、いつまでも保たない。何とかしてコクピットに乗り込まないと」

「ヘッ、考える事は一緒って訳か。わかったぜ、ボウズ。俺が囮になる」

「その間に俺がガンダムに取り付く。簡単でわかりやすい」

「よぉし、頼んだぜ!」

 作戦と言えるものではない、それでも綿密に計画を練る時間もない。ガロードは姿が見付からないように影に隠れて移動し、カトックはまともな武器もなしにガンダムの前に飛び出した。

『カトック、そこか!』

「ほぉ、威勢の良い事で」

 発射される弾丸、受ければ一撃で人間の体など吹き飛ぶ。できる事と言えば当たらないよう全力で走るだけ。右にあるコンテナから左へ、また右へ。
 アイムザットの方も船を沈めてしまわないように、使える武器はバルカンくらいしかない。ちょこまかと動き回る相手に次第にストレスが溜まる。

『えぇい! 鬱陶しい!』

「ハハハッ、総括官はモビルスーツの操縦が下手なようで」

『ほざくな!』

 頭に血が上るアイムザットは周囲が良く見えてない。指揮官として連邦軍で長く所属していた彼に、モビルスーツに乗ってるとは言え戦場で戦って来たカトックとガロードを相手にして簡単には勝たせて貰えない。
 カトックは懐から小榴弾を取り出し力一杯投げ付けた。

「景気付けだ! 行け、ボウズ!」

 投げられた小榴弾をバルカンの弾が撃ち抜き爆発が起こる。炎により視界が悪くなり、アイムザットは思わず機体の動きを止めてしまう。ガロードはそのチャンスを逃さない。

「うおおおォォォッ!」

 見付けたロープを背後から機体目掛けて投げると装甲の凹凸に引っ掛かり、ガロードは一気によじ登る。
 装甲の隙間や凹凸を足場にすれば普通よりも早く登れるが、数秒もすればガンダムはまた動き出してしまう。

『小賢しい真似を!』

「おっと!? 頼むから暴れるなよ」

 着々とガロードが背後から迫りつつある事にアイムザットはまだ気が付かない。操縦桿を握り締めてバルカンのトリガーを無闇矢鱈と引き続ける。

「戦いは素人だな。このくらいなら訓練の方がキツイぜ」

『まだほざくか!』

 コンテナを壁にして右へ左へ行き来するカトックだが、突如として船体が大きく揺れる。外からの攻撃が大型船に直撃したのだ。
 瞬間、悲鳴と血しぶきが飛散した。

「ぐぉぉぉォォォッ!」

 倒れ込むカトックの表情は苦痛に歪む。外からの攻撃はデッキまで到達するとカトックの右足を持っていった。
 両手で足を押さえるも溢れ出る血は止まらない。体に受けた致命傷に脳は痛覚をカットし、それでも次第に力は出なくなり視界は霞んで来る。

『フハハハハッ! 情けない最後だな、カトック! それでは這いずり回る事しかできまい。今すぐ踏み潰してやる』

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 ゆっくり距離を詰めて来るガンダム、船の揺れはもう収まって居る。肩まで登って来たガロードはそこから彼の姿を見てしまう。

「カトック!」

『この声は!? 貴様、いつの間に!』

「ッ!?」

『もう1人の小僧が。良いのか? コイツを殺すぞ』

 もうまぶたを開けるのも難しくなって来た。朦朧とする意識の中で、それでもガロードの姿ははっきりと見える。もはや逃げる事も生き残る事もできないと悟ったカトック。

「待ってろ、カトック! すぐに行く!」

『ふざけているのかッ!』

 ガンダムのマニピュレーターがガロードの元にまで伸ばされるが姿勢を低くして装甲の隙間に逃れた。そしてまたマニピュレーターの隙間から這い出るとコクピットハッチの所にまで進みパネルを叩く。

『あの小僧何をした? 操作が効かない、ハッチが!?」

 ハッチが開放され内部のコクピットブロックが上昇する間はパイロットの操作を受け付けない。懐に手を伸ばし銃を手に取ろうとするが、それよりも早く目の前にガロードが現れた。
 轟く銃声、吹き出る血、力を失った肉体が地上へと落ちる。落ちた体は鈍い音を響かせるともう動かない。

「やったか? カトック!」

 ガロードはコクピット付近のワイヤーを取り出し急いで地上へと降りる。そして血まみれになって動かなくなってしまったカトックの元へ走った。抱き上げた体から伝わる体温は下がっている。

「カトック! 何やってんだよ、こんな所で!」

「へ……へへへ、ざまぁねぇな。死ぬならせめて……映画みたいに格好良く逝きたかったぜ……」

「待ってろ! すぐに助ける!」

「馬鹿言ってんじゃねぇよ。俺はここで死ぬ」

「カトック……」

「あの男と……嬢ちゃんを助けるんだろ? 俺の事なんてほったらかして早く行け。新しいガンダムで」

「でも!」

「お前が言ったセリフだぜ。絶望に……立ち止まるな。俺はもう……ここまでだ……」

「ッ!? カトック……」

 静かにまぶたを閉じたカトックはもう動かない。息絶える寸前まで叩いていた軽口ももう聞く事はなくなってしまう。ゆっくり彼の体を床に寝かせ、最後に表情を眼に焼き付かせ背を向けた。ガロードは一切振り向く事なく、眼前に佇む新しいガンダムのコクピットに乗り込む。
 操縦桿を握り締め、力強い目で前を向く。

「ガンダムダブルエックス! 行くぜッ!」

 ペダルを踏み込みメインスラスターから青白い炎を噴射する。床を蹴るダブルエックスは飛び上がり、天井のシェルターを突き破り外へ出た。
 大型船から出撃したモビルスーツ部隊はアムロのバリエントと未だに戦闘を繰り広げている。

「アムロ!」

「ガロードなのか? 行けるな?」

「後は俺がやる!」

 サイドスカートからビームサーベルを引き抜き、加速するガンダムはドートレスに向かって腕を振り下ろす。一振りで機体は切断され爆発の炎に包まれる。

「まだまだぁッ!」

 怒涛の勢いでガロードは攻め立てる。それはカトックが死んだ事の悲しみなのか、怒りなのか。それとも生きる事の執着心か、それはわからない。
 ガロードは目の前に立ち塞がる敵機を真っ二つに両断していく。ガンダムの性能によるモノもあるが、パイロットとしても成長したガロードに連邦軍の兵士は対応できない。
 瞬く間に2機、3機とビームサーベルで撃破していき、最後の1機もビームサーベルの切っ先をコクピットに突き立てる。

「こいつで終わりだァァァッ!」

 切っ先はパイロットごとコクピットを完全に溶かし、機能不全になった事を確認すると海へ投げ捨てる。

「はぁ、はぁ、はぁ、終わった……」

「いいや、まだだ」

 アムロが見つめる先、そこには連邦軍の増援部隊が迫りつつ合った。数え切れない程のモビルスーツと艦艇。普通に考えればたったの2機で太刀打ちできる相手ではない。
 それでも今は、ガロードが乗る新型のガンダムがある。

「サテライトキャノンを使う!」

 右の操縦桿、コントロールユニットのガジェットを親指で押し込みサテライトシステムを起動させる。月のマイクロウェーブ送信機がガンダムからの信号を受信し、マイクロウェーブにエネルギーの載せて送信した。胸部の受信機でエネルギーを充填し、背部にある2門のサテライトキャノンを前方へ展開しリフレクターを広げる。戦闘画面に映る敵軍を中心に収め、トリガーに指を掛けた。

「ガロード、撃つのか?」

(絶望に立ち止まるな。俺はジャミルともカトックとも違う、俺は俺だ。だからこの引き金は俺の意思で引く。もう15年前の悲劇は繰り返さない)



第19話 過ちは繰り返さない!



 ツインサテライトキャノンの砲門が輝くと大出力のエネルギーが発射された。それはまるで彗星のように夜空を照らす。
 エネルギーは向かって来る増援部隊に直撃するとその全てを飲み込み、ネジ1本とてこの世に残さない。
 一瞬の輝きの後、目の前の敵は消滅した。



更新が遅れて申し訳ありません。
次の話からはアニメのストーリーを辿りつつ自分なりに構築して一気に圧縮します。
ご意見、ご感想お待ちしております。