機動戦士ガンダム Mirrors   作:ウルトラゼロNEO

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天使のような悪魔

「よし、稼げるだけ稼ぐぞ!」

「まずは第一を突破しなくちゃね」

 

 第一予選が執り行われる中、NPC機を撃破したのは、アメリカトーナメントでミサのバトルを観戦していた莫耶とアメリアであった。それぞれ使用するガンプラであるストライクライザーとストライクSEEDはポイントを得るたびに場所を移動する。そう、彼らはアメリカ代表である。

 

 世界大会は第一、第二、第三の予選を経て、本選に進める。まず予選を越えるには、多くのNPC機やモノリスを破壊するか、もしくは他の国の代表チームを撃破する事で得られるポイントを多く獲得した者が予選を通過できる。

 

 ・・・

 

 ──あまりの光景に息を飲んだ。

 

 自分は国の代表として、予選から己の全力を発揮しようと考えていた。

 

 そして第一予選を終え、第二予選を迎えた今、その為にモノリスが存在するポイントを見つけ、それを守護するNPC機達を撃破して多くのポイントを獲得しようとこの場に来たわけだが、その前に先約がいたのだ。

 

 ──ガンダムバエル

 

 ソロモン72柱序列1位・66の軍勢を率いる大いなる悪魔の王の名を持つガンダムがモノリスを守護するNPC機達と対峙しているのを見たのが始まりであった。どれだけの実力があるのか、漁夫の利が狙えるのか、まず遠方で様子を見ようと成り行きを伺っていた。

 

 バエルを既に捉えたNPC機達は攻撃を仕掛けようと、それぞれの獲物を構える。NPC機とはいえ世界大会だ。その設定は一般のシミュレーターとは異なり、甘く見ればこちらがやられると言うもの。だが対して、バエルは唯一目立った武器であるバエル・ソードすら引き抜くとすらせず、その場に足を踏みしめている。

 

 なにが起きるのか、様子を伺っている此方も緊張する中、おもむろにバエルが右腕をかざし、さながら進軍を指し示すように右腕をNPC群へ振り下ろした時であった。

 

 上空から無数の光の雨がNPC群を貫き始める。一体、なにが起きたのか上空を見上げる前にバエルの前に二機のガンダムが降り立つ。

 

 通常のガンダムとはどこか異形な印象を抱かせるガンダムレギルス。

 

 鋭角的な外見と手に持った身の丈はあるであろう双頭の槍を持ったトランジェントガンダム。

 

 主の呼びかけに応えるようにバエルの前に降り立った二機の白きガンダムは主の命によりその障害となるNPC群を蹂躙し、破壊の限りを尽くし、周囲に爆炎を上げる。

 

 戦闘を続けるトランジェントとレギルスがモノリスまでの道を示すと、バエルは周囲の光景とは裏腹に悠然と爆炎と硝煙が巻き上がる戦場に歩を進める。

 

 燃え盛る炎は破壊の象徴であり、飛び散るパーツは肉片のように、立ち上る硝煙は悲惨な断末魔のように、見る者を戦慄させる地獄の光景が広がるなか、主の邪魔となるNPC機(傀儡)を全て破壊したレギルスとトランジェントは主の耳障りにもならぬようにバエルの背後に静かに降り立ち、同じく歩を進める。

 

 さながら悪魔の行進を見ているかのような気分だ。漁夫の利を考えていたが、今ではそんな事も頭から離れず、ただモニターの光景から目を離す事が出来ない。モノリスの前に到着したバエルは右腕を突き出してモノリスを貫く。

 

 モノリスから腕を引き、モノリス全体に皹が広がり、今にも決壊しそうななか、まるで心臓を引き抜いたかのようにモノリスの断片と思われる黒い破片がバエルの手に握られている。バエルは破片に目を向けることなく、そのまま握り潰すと同時にモノリスが決壊する。

 

「──お、おいッ!!」

 

 ただただモニター越しに広がる恐ろしくも美しい悪魔の蹂躙劇から目を逸らすことが出来ず、心を奪われていた。しかし、そんな中、チームメイトの言葉に気を取り戻す。

 

「──ッ!!」

 

 そして思わず身をのけ反る。何故なら、バエルが此方を見つめているではないか。ただこちらを見ているだけではない。モニター越しの自分でさえ見透かし、心臓を握られているような恐怖さえ感じる。同時にバエルを筆頭にレギルスとトランジェントが此方に向かって飛び出す。

 

「見ぃーつけた」

 

 バエルを扱う少女は可憐な天使のような笑みを浮かべ、美しい悪魔は厄災を齎す。

 地獄は広がり続け、悪魔に魅入られた者は恐怖の叫びをあげる。それすら心地のよい旋律のように悪魔は業火を広げるのであった。

 

 ・・・

 

「お嬢様-っ、いぇいっ!」

 

 第二予選を終えた今、ポイントを多く獲得したフォーマルハウトも第三予選に歩を進める結果となった。別に予選で躓くとは端から考えてはいないが、それでも本選まであと一歩の位置まで来た為、モニカは軽くジャンプして両手でセレナとハイタッチを交わす。近くではアルマが己のガンプラのレギルスをケースにしまっていた。

 

「やっぱりセレナちゃん達、強いなぁ……」

 

 その光景を傍から見ながら、ミサはモニターに表示されるフォーマルハウトのポイントを見やる。第三予選に突破できただけのではなく、そのポイントは常に上位に食い込んでいる。一矢はミサの発言から、以前聞いたアメリカで出会ったイギリス代表のファイターが彼女達である事を知る。

 

「やぁ、まさかこんなところで会うとは思わなかった」

 

 そんなセレナ達に、いや、セレナに声をかけるたのはウィルだった。

 

「幼い頃に不動産事業家である君のお父さんのパーティーで会って以来か」

 

 どうやらウィルとセレナには面識があるらしく、ドロシーを傍らにセレナに歩みを進める。

 

「君もまさか大会に出ているなんて思わなかったよ、ガンプラバトルの大会にはもう出ないと思ってたからね」

「まぁ色々とあってね」

 

 知り合いなのだろうか、と顔を見合わせ首を傾げる一矢とミサだが、セレナはその笑みをウィルに向けながら応対する。

 ウィルのアメリカでの大会の件について詳しくは知らないが、それでもウィルにとって決定的なものであるのは知っているのだろう。そんなウィルは肩を竦めながら答えていた。

 

「しかし見違えたね。昔、パーティーで会った時は感情が乏しくて笑う事もない人形のようだったのに」

 

 ウィルは常に笑顔を浮かべているセレナを見ながら、過去の記憶にある幼い頃のセレナを思い出す。パーティーだけあって、ドレスに身を包んでいたセレナは決して笑う事も何を考えているかも分からなかった

 

「まるで仮面でも被ったかのようだ」

 

 まさに人形のような少女であった。

 それがこうして再会した時は笑顔を絶やさない少女になっているではないか。なにがあったかは知らないが、幼い頃のセレナを知る分、不気味ささえ感じる。

 

「仮面もつけ続ければ自分の一部になるよ」

 

 ウィルの発言が非礼にあたるのではないかと顔を顰めるアルマとモニカであったが、セレナは気にした様子もなく、笑みを絶やさずに答える。

 

「……そうかい。君の事も楽しみにしてるよ」

 

 フォーマルハウトのポイントはウィルも知っている。

 彼女達ならば、難なく本選にも出場してくるだろう。今回の世界大会はそれなりに楽しみが増えた。そんな風に笑うウィルは軽く手を振って、ドロシーと共にこの場を去る。

 

「やだあのイケメン。ムカツク」

「どうどう」

 

 ウィルの後ろ姿を見ながら、セレナに仮面を被ったなどと好き勝手言われたのが気に入らないのか、露骨に顔を顰めるモニカをアルマが宥める。

 

「昔のセレナちゃんって今とは違うの?」

 

 そんなアルマに成り行きを見ていたミサがアルマ達に声をかける。

 正直、ここ最近、セレナと出会ったミサからしてみれば、彼女は笑みを絶やさない印象がある為に、昔は一切笑わなかったというのが俄かには信じがたかった。

 

「さあ……。私達も1、2年前くらいから、お嬢様に仕えたようなものですし」

「あぁでも、昔のお嬢様の写真とかはないって話だよ」

 

 とはいえ、アルマやモニカも昔のセレナを答えられるだけの事は知らないのだろう。

 首を横に振るアルマの隣でモニカは人差し指を顎先に添えながら答える。

 

「えっ、なんで?」

「いや、お嬢様が自分で処分したって話は聞いたことがあるって話」

 

 幼い頃の写真や動画などは一つか二つはあるものだろう。それが大きな家の人間ともなれば尚更。疑問に思うミサは更に問いかけるが、モニカも詳しくは知らないのだろう。首を傾げている。

 

(……昔の自分は捨てた……?)

 

 黙って話を聞いていた一矢はセレナを見やる。

 丁度、セレナの後ろ姿を見る位置に立っており、彼女の表情は伺う事は出来ない。

 だが、セレナが昔の自分に関わる記録媒体は処分したと言うのだから、何となくだが、過去の自分を良しとしていないのかとそう思ってしまう。

 

≪まもなく第三予選が始まります。各チームは準備をしてください≫

「さっ、いつまでもお喋りをしてないで早く行こうか」

 

 すると、コントロールAIの案内が予選会場に響き、セレナは振り返りながら話す。

 振り返って見える表情は相変わらずの笑顔であり、その笑顔はある意味で隔てる壁のようにも見えてくる。アルマとモニカはセレナの呼びかけに頷いて、歩き出したセレナに続く。

 

「一矢君、私達も行こっか」

「ああ」

 

 セレナについて気になる部分はあるが、それでも今は予選を突破することが何より大事なのだ。ミサは一矢に笑いかけると、一矢も頷き、ミサやロボ太と共にシミュレーターに向かっていく。

 

「──まさかアルトニクスの令嬢までいるとはね」

 

 今までのセレナ達を傍から見ていたのは、ミサ達だけではない。

 もう一人、スーツを着た中年男性がシミュレーターに乗り込もうとするセレナを見やる。

 

「まぁ良い。私達の目的はウィルなのだからね」

 

 かつてネバーランドなどでウイルス事件を引き起こしたこの中年男性の背後には年齢様々な男達がおり、中年男性と共にウィルを見やる。

 ウィルに恨みでもあるのだろう。一同はぎらつくような怨恨の視線をウィルに送りながら、自分達もシミュレーターに向かっていくのであった。




<いただいたオリキャラ&俺ガンダム>

幻想目録さんからいただきました。

村雨莫耶
性別:男 年齢:25歳
家族構成:自分
容姿:身長は170〜180cm、普段からお気に入りの革ジャンを着ている。かなり糸目(笑)
性格:流れるように毒舌を吐く奴だか、実は案外人のことを心配している。仲間や身近な人がバカにされたり傷つけられたりすると性別が一変して自分の大切な人を守るために戦う。
設定:アメリカ代表、7年前に高校を卒業した直後に「アメリカにガンプラバトルの武者修業に行く!」と言って一人アメリカに行ってしまった。5年前に行われた大会(ミスターガンプラがウィルと戦って負けた大会)の準決勝でミスターガンプラに敗れて以来ミスターガンプラにリベンジするために特訓していた。ウィルとの面識は一応ある。(同じガンプラファイターとして一度挨拶した程度)
時に出場していた現地の大会で同じく訓練がてら出場していた莫耶と知り合った
出身:彩渡商店街

ガンプラ名 X105-R ストライクライザー
元にしたガンプラ ストライクガンダム、OOライザー

WEAPON ビームサーベル(Z)
WEAPON ツインバスターライフル(EW)
HEAD ビルドストライク
BODY ストライクフリーダム
ARMS ガンダムage-2(ノーマル)
LEGS  ストライク
BACKPACK OOライザー
SHIELD バインダー(OOライザー)

拡張装備
ビームランチャー
大型レールキャノン×2(バックパック)
大型対艦刀(バックパック中央付近、ちょうどレールキャノンの間)
Iフィールド発生装置(腰付近)
ファンネルラック×2(足の太もも付近)
トランザム

オプション装備
カリドゥス
ビームランチャー
GNフィールド
Iフィールド
GNマイクロミサイル
大型レールキャノン
ファンネル
大型対艦刀
アーマーシュナイダー
頭部バルカン

切り札 フルバースト
カラーリングは大体は各パーツそのまま、BODYだけ青色のところが赤色になっている。

キャラクター名:アメリア・マーガトロイド
性別:女
年齢:20歳
家族関係:一人 両親は幼い頃に亡くしている
容姿:頭に大きなリボンを付けている。髪型はポニーテール。髪の色は黒。理由は莫耶が黒髪の方が好きだから元々茶髪だったのを染めた
パッチリとした目で目の色は綺麗な碧眼。髪は結んでいないと腰に届くぐらいに長い。
身長:150〜160cm
出身:アメリカ ニューヨーク
性格:誰がどう見ても純度100%のツンデレ、普段は素直でとても良い子なのだが莫耶の前ではどうしてもツンツンしてしまう。彼女はしっかり隠しているつもりだが莫耶や周りの人間にはバレバレ。いつも莫耶にこのことをからかわれている。

設定:6年前アメリカで悪ガキに虐められていたところを偶然通りかかった莫耶に助けられた。それ以来莫耶に恋心を抱くようになり莫耶を追いかけ回し、ある時莫耶がガンプラバトルで負けそうになった時に莫耶が昔使っていたフォースストライクを持ち出し莫耶を助けたことでガンプラバトルに興味が湧いてそれ以来莫耶とチームを組んで大会で出場している。現在莫耶とは恋人関係。頭に付けている大きなリボンは子供の時から付けていて、亡き母からの最後のプレゼント

ガンプラ名:FX-105 ストライクSEEDガンダム
元にしたガンプラ:エールストライクガンダム

WEAPON:ヴァジュラビームサーベル(フォースインパルス)
WEAPON:高エネルギービームライフル(ストライクフリーダム)
HEAD:ビルドストライク
BODY:ストライクフリーダム
ARMS:ビルドストライク
LEGS:ストライク
BACKPACK:フォースインパルス
SHIELD:アンチビームシールド(デスティニー)
拡張装備:カリドゥス複相ビーム砲 レールキャノン(両腰) 頭部バルカン アーマシュナイダー ダブルビームブーメラン(両肩) Iフィールド(腰部)
EXアクション:エクスカリバー トランザム

カラーリングはBODYとLEGはエースホワイト、それ以外はそのまま

素敵なオリキャラや俺ガンダムありがとうございました。

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