機動戦士ガンダム Mirrors   作:ウルトラゼロNEO

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そう、まだ飛べる。


ゴッド─ULTRA FLY─

「どう、ロボ太? 調子は」

 

 衛星軌道上に現れた彩渡商店街チームとトライブレイカーズ。

 ミサはフィールド上に立体化したカドマツが徹夜で仕上げたロボ太の新たな力、純白の鎧を纏いスダドアカの騎士の最高位の称号を持つバーサル騎士ガンダムを見やりながら、調整後の調子を尋ねる。

 

≪良好だ。しばらく会わないうちにミサも腕を上げたようだな≫

「えへー、わかる?」

 

 バーサル騎士を軽やかに動かしながら、ウイルスを撃破したロボ太は確かな手応えを感じるように答えると、戦闘中のミサの機体を見やりながら、その動きと精巧なガンプラにミサの成長を感じ取る。

 

 ミサの機体はアザレアであることは変わらないものの、外観はこれまでのアザレアよりも武装が追加されており、ディテールアップもされ大幅に火力面防御面機動性、その全てにおいて性能が大幅に向上しているのだろう。これがアメリカでの武者修行でミサが導き出した自分の新たな力であるアザレア フルフォースだ。

 

 己が成長に触れられてミサは嬉しそうに笑うと、ロボ太もその動きとガンプラを見れば素人でも分かる成長に《もちろんだ》と答える。

 

「一矢君は…………」

 

 フィールドに一矢のGPの反応が出る。アジアツアーでもその名を知らしめた一矢が一体、どんな成長を遂げたのかと期待するようにセンサーが反応した方向を見やったミサだが、その姿を見て固まる。

 

「でえええぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーっっっ!!!!?」

 

 途端にミサの驚愕の絶叫が響いた。

 一矢の機体は確かにゲネシスガンダムを発展させたゲネシスガンダムブレイカーだ。

 

 だが今回は少し違った。

 MAや戦艦かと勘違いするような火薬庫のような武装の数々を持つ巨大な外観は見る者を圧倒させる。その中にはゲネシスブレイカーは収まっていた。

 

 ・・・

 

「ミ、ミーティアぁっ!!?」

 

 外部からモニターでその様子を見ていたカドマツも思わず素っ頓狂な声を上げ、ゲネシスブレイカーがドッキングしている兵器の名を口にする。

 そう、ゲネシスブレイカーは今、核エンジン搭載型MS用巨大補助兵装・ミーティアを装備してこのフィールドに現れたのだ。見る者を唖然とさせるなか、不意にカドマツの携帯端末に着信が入る。

 

「も、もしもし?」

≪おぉっ、カドマツ! テストプレイは上手くいってるか?≫

 

 ミーティアから目を離せぬまま着信に応答する。

 相手はモチヅキであった。妙に上機嫌な様子でテストプレイについて尋ねる。

 

「お前、なんでテストプレイのことを……!?」

≪あのガンプラバカに聞いたからな。それよりさっきからその反応……。あのガンプラバカ、もしかして私が施してやったアセンブルシステムを使ったのか?≫

 

 モチヅキが何故、自分達がテストプレイに参加している事などを知っているのか逆に問いかける。

 だがやはりミーティアの衝撃は大きいため、声はどこか動揺を感じさせる。だがどうやらその情報は一矢から仕入れたようであったが、それよりもカドマツは今の言葉の気になる部分に触れる。

 

「じゃあ、あのミーティアはお前が!?」

≪そのとーりっ! アジアツアーで私も折角、同行したんだからな。私からのプレゼント代わりで組んでやったんだ! まぁチーム戦がメインになる大会じゃあレギュレーション違反で使えないけどな≫

 

 アジアツアーから帰国する際、一矢に話したアセンブルシステムについてはどうやらこの事であったようだ。

 もっともミーティア装備ともなると扱いはMAになってしまう為、MS4機かPG2機、もしくはMA1機とチーム戦で定められている戦力は公式ルールで決められている為、今のチームではミーティア装備での大会出場は違反になってしまう為、使える場は限られてしまうだろう。

 

≪MA並のアセンブルシステムは私の方が上手く組めるからな! お前じゃあそこまで出来ないだろカドマツぅっ! 参ったか、ハーッハッハ!!≫

「ああ、上出来だ、モチヅキ!」

≪えぇっ!?≫

 

 MAを十二分に動かすだけのアセンブルシステムはとても繊細で難しい。

 エンジニアなどよっぽどの人間でもなければやらないほどだ。だがリージョンカップにおいてアプサラスⅡのアセンブルシステムを組んでいたモチヅキからしてみれば、カドマツ以上に組める。

 カドマツが悔しがる反応が見たかったのだろう。

 高笑いしていたモチヅキだが、素直に賞賛されて肩透かしを食らってしまう。確かに面喰った事に違いないが、今この状況ではこれほど力強い戦力はないだろう。

 

 ・・・

 

「……やれるか……ッ!」

 

 ガンプラバトルでミーティアどころかMAなど使った事はない。

 いつもと勝手が違うだろう。ミーティアを装備しているゲネシスブレイカーのシミュレーターでは一矢が集中するように鋭く目を細めるとモニターでは群がるウイルスを次々にロックオンしていく。可能な限りのマルチロックオンを済ませた一矢はスーパードラグーンを周囲に展開すると全砲門を解放し、スーパードラグーンと共にミーティアに備わる全ての武装を解き放つ。

 

「随分と派手にやるじゃねぇか、一矢」

「私達も負けてられないね!」

 

 ミーティアの圧倒的な火力はウイルスを瞬く間に殲滅していく。

 その光景を目にしながら、シュウジは面白そうにニヤリと笑うと、ヴェルの鼓舞するような明るい笑みに、大きく頷く。

 

「各機、フォーメーションヴェロス!」

「「了解ッ!」」

 

 今度は自分達の番だ。そう言わんばかりにカガミが凛と声を張り上げて、シュウジとヴェルに声をかける。

 ライトニングFAとシャインストライクは前方に飛び出し、ライトニングFAは二つのハイビームライフルと装備されている武装を一気に放ち、前方のウイルス群を撃破すると、子機となるウイルスを生み出す戦艦への道筋を作り出す。

 こちらにメガ粒子砲を発射してくるムサイに対し、シャインストライクはドラグーンとシールドピットを周囲に展開すると、二挺のビームライフルを乱れ撃つように放つとムサイの砲塔を破壊していく。

 

「疾風突きィッ!!」

 

 道筋が開かれたことによってバーニングゴッドブレイカーがライトニングFAとシャインストライクの間から、放たれた矢のように飛び出し、己を砲弾にするかのようにムサイに突撃して破壊する。

 

「シュウジ達……来たんだね」

「ああ、待たせたな」

 

 既に戦闘を行っていたウイングゼロが一騎当千の活躍を見せるトライブレイカーズと彩渡商店街チームを確認しながら、頼もしそうにクスリと笑うとシュウジも通信越しで笑みを浮かべる。

 

「風香ちゃん達も来たよっ!!!」

 

 すると今度は後方から極太のビームがムサイを襲い、見やれば己の武装であるツインバスターライフルを構えているエクリプスが。エクリプスに続くようにロックダウンや暁達がウイルスとの戦闘を開始し、撃破している。どうやらワクチンプログラムの適合が済んだようだ。

 

「一矢、やることは分かっているじゃろう!?」

「ここは俺達が何とかする!」

 

 ミーティアの攻撃をかわし、迫る周辺のウイルスを撃破するクロス・フライルーとユニティーエース。そう、ここでいつまでも時間をかけられない。元となるコアプログラムを破壊しない限りは意味がないのだ。

 

「行くか」

「……ああ」

 

 それは一矢も分かっている。

 静かに頷いた一矢にシュウジが声をかけると、二つのチームは仲間達の助けを借りながら、反応があるコアプログラムへ向かっていく。

 

 ・・・

 

「……これ以上はまずいか」

 

 ブレイカーネクストのワクチンプログラムの適合が進むなか、ダブルオークアンタと戦闘を行う真武者であったが、こちらに向かってくる二つのチームを確認するとダブルオークアンタを切り払い、不利と判断して一目散に地球に向かっていく。戦闘データを得る事が目的だが、数で押されては碌なデータが取れないからだ。

 

「逃がすか……ッ!」

「待ってくれ、翔さん!」

 

 ワクチンプログラムの適合が完了したブレイカーネクストはすぐに片付けようと機体を動かそうとするが、その動きをシュウジが制止する。

 

「……アイツは俺達に任せてくれないか」

 

 地球に向かっていく真武者は恐らくは大気圏に突入するつもりなのだろう。

 その姿を見やりながら、シュウジは通信越しに翔をまっすぐ見やりながらコアプログラムは自分達に任せてくれないかと頼む。

 

「……分かった。奴は任せる」

「……恩に着る。行くぜ!」

 

 その決意を感じさせるシュウジの瞳を通信越しに見据えた翔は承諾する。ここ最近様子がおかしかったシュウジがわざわざ頼んだのだ。それだけの意味があるのだろう。そんな翔に感謝しながらシュウジは一矢達に声をかけると、コアプログラムの後を追う。

 

「……良かったの、翔?」

「……ああ。彼らなら任せられる。俺の自慢の後輩達だからな」

 

 バーニングゴッドブレイカー達の後を見送りながらレーアは翔に尋ねる。

 だが翔もシュウジ達を強く信頼しているからこそ任せたのだ。その口元に微笑みを浮かべて答える翔を見て、「そうね」と同意したレーアと共に自分達もまたウイングゼロ達と共に群がるウイルスの駆除に向かうのであった。

 

 ・・・

 

「……ここまでだな」

 

 コアプログラムと同化する真武者を追うトライブレイカーズと彩渡商店街チーム。地球の近くで赤熱化する真武者にゲネシスブレイカーはミーティアとのドッキングを解除し、バーニングゴッドブレイカーと共に先陣を切ってその後を追う。

 

「……ならば」

 

 数を減らして再びブレイカーネクストのもとへ向かおうと考える真武者はブレイカーネクストとダブルオークアンタから距離を離した今なら追手を倒せるだろうとネバーランドの時同様、強化ウィルスと砲台型のウィルスを生み出す。

 

「……ここは引き受けるわ」

≪トルネードスパークッ!!≫

 

 砲門がキラリと光る。

 しかし発射する直前にカガミの静かな物言いと共にライトニングFAの狙撃が貫き、爆散させるとこちらに向かってくる強化ウィルスに対して、バーサル騎士が攻撃を仕掛けて引き受ける。

 

「……いい加減にッ!!」

「このウイルスの出来は舐めないでもらいたいな」

 

 ライトニングFAとバーサル騎士が引き受けてくれたおかげで真武者にその高機動力を生かして一気に迫るゲネシスブレイカーはGNソードⅤを振るうが、やはり高度なAIが組み込まれたコアプログラムと同化した真武者には届かず、薙刀の電光丸を切り払われ、逆に目にも止まらぬ突きの嵐に見舞われる。

 

「っ!?」

「捕まえたよ」

 

 何とかGNソードⅤを利用して防ぐゲネシスブレイカーであったが、今の攻撃はブラフであったと言うように真武者に掴まれると、紫色の発光体が静かにゲネシスブレイカーに入り込み、そのままこちらに迫るバーニングゴッドブレイカーに放り投げる。

 

「どうした、一矢っ!?」

「動かない……!?」

 

 効果はすぐに表れた。

 バーニングゴッドブレイカーに受け止められたゲネシスブレイカーのツインアイに輝きが消える。

 シュウジが通信を入れようとするものの既にブラックアウトとなり、モニターに映像が映るものの動作しないシミュレーター内でジョイステックを必死に動かしている一矢には届かなかった。

 

「くっ!?」

 

 だがゲネシスブレイカーを抱えるバーニングゴッドブレイカーは動きが制限され、隙だらけとなってしまっている。そんなバーニングゴッドブレイカーに真武者が迫り、バーニングゴッドブレイカーは両肩のビームキャノンを放つものの、真武者は薙刀を水車のように回転させながら防ぎ、そのまま迫ってバーニングゴッドブレイカーにも同種のウイルスを埋め込んで作動させる。

 

「くそっ……動け……! 動けよ……ッ!!」

 

 外部のカドマツ達がシュウジと一矢のシミュレーターに感染したウイルスの駆除を開始しているなか、シュウジは操縦桿を動かすが、力なくゲネシスブレイカーから離れて行くバーニングゴッドブレイカーに反応はない。

 

「……ッ!」

 

 しかし真武者には絶好の機会だ。

 バーニングゴッドブレイカーとゲネシスブレイカーを破壊しようと、そのまま電光丸と残光丸を構える真武者にはシュウジは息を飲む。

 

「シュウジ君ッ!!」

「一矢君ッ!!」

 

 だがその前にバーニングゴッドブレイカーとゲネシスブレイカーをドラグーンによる防御フィールドを張り、周囲にシールドピットも展開させて二機を守ると、アザレアフルフォースの大型ビームマシンガンの銃弾が真武者を牽制する。

 

「一矢君は絶対に守ってみせるよッ! その為に強くなったから!!」

「……っ」

 

 既に大気圏への突入が始まる中、ゲネシスブレイカーのマニュビレーターを掴んだのはアザレアフルフォースだ。

 自分はもう一矢の背中を追うだけではない。

 こうして隣に並ぶために強くなったのだ。声は届かぬもののそんなアザレアフルフォースの姿を見て、一矢はどこか気恥ずかしそうに視線を彷徨わせている。

 

「大丈夫、私が手を伸ばすから。君をいつだって支えるよ」

「ヴェルさん……」

 

 それはバーニングゴッドブレイカーも同じであった。

 マニビュレーターを掴み、寄り添うシャインストライクは共に赤熱化するなか大気圏を突入していく。隣に映る力なきバーニングゴッドブレイカーを横目にヴェルは笑いかける。

 

「……ホントに俺は一人じゃ何も出来ねぇな」

 

 そのまま成層圏を突破し、シャインストライクとアザレアフルフォースがそれぞれ守りたい存在を庇いながら真武者と戦闘を繰り広げるが、やはりハンデが大きく苦戦を強いられる。

 だがそれでも二機は決して二機のガンダムブレイカーを手放す事はしない。傍らにいるシャインストライクを見ながら、何もできないシュウジは自嘲気味に呟く。今、こうして守れられる自分が情けなく感じた。

 

「けど……この人達といたお陰で分かったんだ」

 

 雲の中にまで下降するなか、シュウジは己の手を見やる。

 覇王不敗流を学び、力を得た時、一人で何でも出来ると過信してカガミなどに反発していた。だが翔に出会い、トライブレイカーズとして行動して分かったのだ。自分だけでは出来ない事でも仲間とならば出来ると。

 

「支え合う事は……手を取り合う事は弱さじゃないって……。だから──!!」

 

 支え合うなんてありえない、そんなものはただの弱さだと考えていた。だが違うのだ。手を取り合う事こそが強さに繋がるのだ。そう、だからこそ自分は──。

 

「やられる……!?」

 

 シャインストライクやアザレアフルフォースの攻撃をものともせずに突っ込む真武者はシャインストライクに肉薄し、電光丸を振りかざす。バーニングゴッドブレイカーを支えるなか、ヴェルは敗北を予感するが……。

 

「……な、なに!?」

 

 真武者のシミュレーター内の男性は驚愕した。

 何故ならば、後少しでバーニングゴッドブレイカー共々シャインストライクを撃破出来ると思っていたのに、そのバーニングゴッドブレイカーが真武者の振りかざそうとする腕部を強く掴んでいるではないか。

 

「俺は飛べる……ッ!」

 

 真武者の腕部を掴むバーニングゴッドブレイカーのツインアイに輝きはなく、それが真武者を通じて見ている男性に恐怖を与える。

 だがシュウジはその手にKing of Heartの紋章を輝かせながらモニター越しに果てない遥かなる空を見上げていた。

 

「俺達に限界なんてないんだッ!!」

 

 覇王に呼応するようにバーニングゴッドブレイカーのツインアイに輝きが灯り、その輝きが溢れるように背部から膨大な粒子が翼のように広がり、弧を描くように頂点で結ばれ炎の日輪が完成するとその機体は太陽の如き金色に変化し、周囲の雲を吹き飛ばす。

 

≪よし、お前さんの方も治ったぞ!≫

「……っ、ありがとう……!」

 

 アセンブルシステムを改良したEXアクション・アルティメットモードと化したバーニングゴッドブレイカーを見て心奪われたように唖然としていた一矢だが、己のシミュレーターも再び稼働し始め、カドマツからの通信が入り、我に返ったように操縦桿を握りしめる。

 

「聖拳ッ!!」

 

 一方、真武者は何とかバーニングゴッドブレイカーを振り払おうとするが、その前にバーニングゴッドブレイカーから真っ直ぐ突きつけるような拳撃を浴び、吹き飛ぶ。

 

「疾風ゥッ!!」

 

 だがそれだけでは終わらない。その後をすぐさま追撃したバーニングゴッドブレイカーは本体ごと突進するように拳を突き出す。

 

「蒼天ッ!!」

 

 そしてそのまま錐揉み回転をさせながら放ったアッパーカットが真武者の顎先にあたる部分に直撃し、空に舞いがらせる。

 

「旋風竜巻ッ!!」

 

 更にそのまま機体を高速回転させ、竜巻を巻き起こして真武者の動きを拘束する。

 

「流星螺旋ッ!!」

 

 機体の回転を止め、竜巻を消すと繋ぎ技にマニビュレーターを高速回転させた技を真武者に叩き込むと、そのまま真武者を回り込むように空を舞い上がる。

 

「聖槍蹴りぃっ!!」

 

 そしてそのまま落下スピードを利用した蹴りを真武者に放ち、甲冑を抉りながら下方へ蹴り飛ばした。

 

「一矢ッ!!」

「……ああ!」

 

 真武者の機体にスパークが走る中、舞い上がったシュウジは挟むような形になっているゲネシスブレイカーの一矢に声をかけると、シュウジの意図する事が分かったのだろう。一矢はゲネシスブレイカーを覚醒させる。

 

「俺のこの手が煌めき照らすッ! 未来を示せと響いて叫ぶッ!!!」

 

 ゲネシスブレイカーの右腕がバーニングフィンガーによる眩い輝きを放ち、バーニングゴッドブレイカーも両腕を広げ、両腕の甲を前腕のカバーが覆いエネルギーがマニュビレーターに集中させ、二機のガンダムブレイカーは同時に真武者に向かっていく。

 

「これで終わりだッ!!」

 

 バーニングゴッドブレイカーとゲネシスブレイカーの神々しいまでに輝く拳は真武者を挟んで貫き、ここで終わらせるとばかりに一矢は声高く叫んだ。

 

「ヒート……ッ!!」

「エンドォッ!!」

 

 一矢とシュウジの声が決着となったかのように真武者の機体はブロークンフィンガーとバーニングフィンガーによって崩壊し、ワクチンプログラムによってコアプログラムごと爆散するのであった。

 

「やったんだな……後輩達」

 

 衛星軌道上に戦闘を続けていたブレイカーネクスト達もウイルスの増殖が収まり、残ったウイルスも全て殲滅する。ウイルスの反応がなくなったのを確認した翔はシュウジ達を想い、微笑むのであった。

 

 ・・・

 

「……予想外ではあったな」

 

 真武者のシミュレーター内で男性はにわかに信じがたいと言わんばかりに呟く。

 まさかコアプログラムを破壊できるとは思わなかったのだ。もう間もなく自分を助けに開発者達がこのシミュレーターの扉を開けようとするだろう。

 

「ですが良いデータが取れたよ」

 

 どの道もうテストプレイは出来ないだろうが、最後のバーニングゴッドブレイカーの技の数々はちゃんとデータが取れている。

 翔のデータも少なからず取れてはいるし、収穫はあったと言って良いだろう。男性はこのシミュレーターに近づく足音を感じながらシートに身を預け人知れずほくそ笑むのであった。


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