機動戦士ガンダム Mirrors   作:ウルトラゼロNEO

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ノーザンクロス

 バトルフィールドは宇宙。この世界の人間はまだ進出したとはいえ、まだまだ未知の領域だ。星々が煌めく宇宙をゲネシスブレイカーが駆ける。一対一の状況である為、すぐにライトニングFBを見つける事が出来た。ライトニングFBは既にMA形態に変形して、こちらに向かってきている。

 

「見せてみなさい、貴方の力を」

 

 こちらに迫るMA形態のライトニングFBはバックパックからミサイルを発射する。

 解き放たれたミサイルの数々は鎖から放たれた猛獣のような荒々しさを持って、ゲネシスブレイカーへと向かっていく。

 

「言われなくともッ!!」

 

 大型ビームキャノンとGNソードⅤをライフルモードにこちらに迫るミサイルの数発に着弾させて、その爆発によって周囲のミサイルにも誘爆させることで対処をし、そのまま飛行を続けるライトニングFBに迫っていく。

 

(ライトニングの機動力に追い付けるとは……)

 

 背後から射撃をしつつ、MA形態のライトニングFBに迫っていくゲネシスブレイカー。アジアツアーでも分かっていたとはいえ、ここまでの機動力を見せるゲネシスブレイカーには驚かせられる。

 

 絶えず射撃をしつつ、それどころか更にスーパードラグーンを展開して、縦横無尽に駆け巡りながらスーパードラグーンはライトニングFBに向かっていく。

 

「……だけど」

 

 無数に放たれる射撃攻撃に旋回して回避し続けるライトニングFB。いまだにMA形態を崩さず、カガミは目を鋭く細めて、更にライトニングFBを加速させ、そのままデブリ帯に突入し、ゲネシスブレイカーもその後を追う。

 

「嘘だろ……!?」

 

 デブリ帯に突入した二機。

 ライトニングFBの背後を取っていた一矢は自分が有利だと思っていた。しかし今、目の前で行われている光景を見て唖然とする。

 

 何故ならば、ライトニングFBはデブリ帯に入ったと言うのにMA形態のまま減速する事もせず、デブリを僅か数cmのギリギリの位置で回避して更に加速しているではないか。

 あの速度ならばもしデブリに掠りでもしたら機体の操縦を持っていかれる可能性もあるし、何より直撃したらただでは済まない。

 

 それを恐れてゲネシスブレイカーはデブリとの距離を置きつつ、減速しながらライトニングFBを追い続けている。一体、どうすればあんな曲芸じみた動きが出来るのか、一矢はカガミに驚かされてばかりだ。

 

「アナタの力は……その翼はその程度のモノかしら」

 

 カガミはどんどん距離が離れて行くゲネシスブレイカーを確認しながら、レバーを動かして上方に弧を描くように加速すると、そのままミサイルを再び発射する。

 放たれたミサイルはゲネシスブレイカーの前方のデブリに着弾する事によって破壊され、周囲に爆発が起きてゲネシスブレイカーのモニターに煙幕代わりとなって視界を遮られてしまう。

 

「ッ!?」

 

 急な硝煙にゲネシスブレイカーは急停止して、硝煙を回避してライトニングFBを追おうとするのだが、その寸前に硝煙を払うようにして放たれたビームがゲネシスブレイカーの左腕を貫き、爆発させる。

 

「──私の知っているガンダムブレイカーはその程度ではなかったわ」

 

 硝煙が消えた先には漸くMS形態に変形したライトニングFBがハイビームライフルの銃口をこちらに向けて、ツインアイを輝かせていた。

 

 一矢は通信越しに聞こえるカガミの言葉に歯を食いしばる。

 正直なところで言えば、今のでカガミはコクピットを狙って狙撃する事も出来た。だがあえてそうはしなかったのだ。

 

「言った筈よ、見定めると……。その翼は何のためにあるのかしら? 出し惜しみをするのなら、その翼を今すぐ毟り取ってあげるわ」

 

 通信越しにさえ、身を震わせるような冷徹な声が響く。

 カガミは初めから全力で、覚醒をして向かって来ることを求めていたのだ。

 元々、一矢もこの短い間でカガミの実力を改めて感じ取ったのだろう。今のように下手なことをすれば簡単に撃破されてしまう。ならばとゲネシスブレイカーも覚醒する。

 

「この翼は……もっと高く……あの二人に届かせるためにあるんだ……ッ!」

 

 覚醒の輝きを纏ったゲネシスブレイカーは紅き閃光と化して、一瞬にしてライトニングFBに迫る。ライトニングFBはの横に出現したゲネシスブレイカーはGNソードⅤを振るうが、何とライトニングFBはビームサーベルを引き抜いて対応して見せた。この程度を対応するなど造作もない。何故ならば自分はこれよりも凄まじい悪魔と戦闘をした事があるからだ。

 

「なら口だけではないと証明してみなさい」

 

 しかし、いくら翔が手掛けたライトニングFBとはいえ、覚醒状態のゲネ シスブレイカーを相手には力負けをしてしまう。

 だからこそ受け止めた一瞬の隙で切り払い、そのまま蹴りを浴びせ、吹き飛んだところ二門のビームキャノンを発射して、損傷を与える。

 

 このままではカガミによって蜂の巣にされてしまう。

 それを避けるようにゲネシスブレイカーはスーパードラグーンを展開して攻撃を仕掛ける。迫るスーパードラグーンにカガミはライトニングFBを再びMA形態に変形させ回避する。

 

 そのままビームキャノンとハイビームライフルで近くのデブリを撃ち抜き、爆散させる。周囲に飛び散るデブリ片はスーパードラグーンの侵攻を妨げるなか、急旋回してライトニングFBはゲネシスブレイカーに迫る。

 

 今度は力負けをしないようにとライトニングFBはビームキャノンの砲身を取り外して、大型ビームサーベルとして使用し、ゲネシスブレイカーと鍔迫り合いを行う。

 

 しかしただ刃を交えるだけでは終わらない。

 ゲネシスブレイカーは頭部のバルカンをライトニングFBの頭部に発砲する。だがライトニングFBは弾くように距離を置くとシールドで防ぎ、そのままもう一本のビームキャノンを取り出して二本の大型ビームサーベルとして叩きつけるようにゲネシスブレイカーへと振るう。GNソードⅤを盾代わりにするゲネシスブレイカーであったが、力押しされ、そのままデブリに叩きつけられる。

 

「……まったく忌々しいわね」

 

 文字通り叩きのめしているような状況だ。

 しかしそれでもゲネシスブレイカーはそこで終わることなく向かってくるではないか。どこまでも食らいついてくるゲネシスブレイカーにカガミは不愉快そうに顔を顰める。

 

(アナタ達と戦った相手はこんな気持ちだったのかしら?)

 

 一矢の成長速度は知っている。

 現に一方的に感じる戦いも一矢は少しずつ対応しているのだ。

 いかにボロボロになろうと決して諦めず不屈の意志と輝きを持って戦うゲネシスブレイカーを相手にして、カガミは想いを馳せる。共に肩を並べて戦う仲間であればこれほど心強い存在はないが、相対する敵同士ともなればどうしてこんなにも厄介なのだろう。

 

「翔さん……シュウジ……。本当にアナタ達に似ているわ……ッ!」

 

 遂にはライトニングFBの構えたシールドも両断され、シールドを投げつけるように放棄しながらライトニングFBはゲネシスブレイカーから遠のこうとするが、それでもゲネシスブレイカーは食らいついてくる。

 絶対に勝つんだという、そのあまりの執念にカガミはゲネシスブレイカーを通じて、二機のガンダムブレイカーを、そしてその使い手の姿を映す。

 

 ライトニングFBはこのまま近接戦で戦い続けるのは危険だと咄嗟に判断し、大型ビームサーベルを二つとも手放してバルカンで破壊する。

 周囲に硝煙が上がる中、その隙をついてライトニングFBは最大出力を持って一気に加速してゲネシスブレイカーから距離を取ると、そのまま弧を描いて反転し、ハイビームライフルを構えてこちらに迫るゲネシスブレイカーへと向かっていく。

 

「「───ッ!!」」

 

 高機動同士のガンダムは一瞬にして距離を詰め、眼前に迫った瞬間、一矢とカガミは目を見開き、同時に行動を起こす。ハイビームライフルの銃口が光り、GNソードⅤの刃が走った。

 

「……上出来ね」

 

 すれ違った二機。だが異変は起きており、ゲネシスブレイカーは頭部を撃ち抜かれていた。サブモニターでゲネシスブレイカーのその様子を見ながら、そのままライトニングFBの状態を確認する。ライトニングFBのバックパックのブースターポッド一基が両断され、破壊されているではないか。

 

 ブースターポッドを一基、失った事でバランスを崩すライトニングFB。そんな中、カガミは満足そうに静かに目を閉じて、確かな手応えを感じるのであった……。

 

 ・・・

 

 バトルを終え、シミュレーターから出てきた一矢。結局、あの後、カガミには勝てず、タイムアップまでずっとその実力を確かめるためにバトルを続けていた。勝てはしなかったが、全力を出し切ったせいか、不思議なことにどこか晴れやかささえ感じる。

 

「……アナタの力、見せてもらったわ。期待してるわね、新しいガンダムブレイカーの力を」

 

 一矢と向き直りながら、カガミはどこか優しげな微笑みを浮かべながら口を開く。

 今のバトルを感じ取って、カガミは純粋に新たなガンダムブレイカーを認める事が出来たのだろう。

 

「“最後まで諦めるな”……。私はガンダムブレイカーを駆る存在にこれを見出してきた。最後まで諦めないって口で言うのは簡単だわ。でもそれを行い続けるのはとても難しい事よ。それだけは忘れないで頂戴」

「……はい」

 

 最後にカガミがこれまで英雄と覇王から感じて来たものを新星に伝える。まっすぐと此方の瞳を見つめて放すカガミの真剣な様子に一矢は確かに頷く。

 

「おーい、そろそろ行くぞー!!」

 

 そんな一矢とカガミにバトルが終わったのを見計らってモチヅキが遠巻きから手を振りながら声をかける。タイムアップまで時間を使っていたため、ここから移動する時間を考えれば、丁度良いくらいか。二人は頷いてモチヅキに合流する。

 

「そうだ、ガンプラバカ。お前のアセンブルシステム、私が一手間加えてやったぞ」

「一手間……?」

「後で確認してみろ、絶対に驚くぞ」

 

 タクシーに乗り込みながら、隣に座るモチヅキがおもむろに一矢に声をかけると、アセンブルシステムが入ったGPを取り出しながら首を傾げる。その様子を見ながらモチヅキは悪戯っ子のように笑うのだった……。

 

 ・・・

 

「えー……それでは、久しぶりにみんな、揃ったところで乾杯っ!!」

『かんぱーいっ!!』

 

 遂に日本に帰国したその夜、居酒屋みやこでは多くの人が集まり、ユウイチの音頭とともに宴会が開始された。

 

「はぁぁっっ……雨宮君が帰ってきたぁっ……。久しぶりに雨宮君の匂いがする……っ」

 

 それぞれが思い思いに宴会を楽しむ中、いつも以上に死んだような目でちびちびとグラスのジュースを飲んでいる一矢の脇腹にがっちりと抱き着きながら一矢の匂いを嗅いでいる真実。こうなる事を予測していたためか、誰も引きはがそうとはしない。まぁ他と同じように自分なりに楽しんでいるので問題はない。

 

「いやーすげぇな、しかし。国際大会で勝ちまくりだろ」

「ミサちゃんも準優勝だものねぇ」

「これなら百貨店の頭領も敵じゃねぇな!」

 

 そんな一矢を知ってか知らずか、マチオがグラスに瓶ビールを注ぎながら話しかけると、話を聞いていたミヤコもミサに話を振る。ミサは照れた様子でアメリカトーナメントを振り返る。そんな結果を残し、成長してきた二人にマチオが誇らしげに笑う。

 

「わたくし、日本に来たら焼き鳥も食べておきたいと思っておりましたの」

「もって事はほかにもやっぱり寿司とか?」

「今度、三人で食べにいこーよ」

 

 焼き鳥を食べながら、ほくほく顔のシオン。目当てのものの一つが食べられ、しかも自分の好みに合った味の為、心底、幸せそうだ。

 シオンの言葉を聞いて、思い当たる日本食について尋ねる夕香に隣に座る裕喜は折角だからと案内しようとする。

 

「ひどいっす姐さん、自分だけ海外旅行して」

「旅行じゃねーよ! ガンプラバカのサポートをしてたんだよ!」

 

 宴会も盛り上がり、酔いが回って来たのだろう。

 ウルチが頬を紅潮させながらモチヅキに絡んでいくと、面倒臭そうに旅行ではないと言う事を訂正する。

 

「モチヅキお前な……。金使いすぎなんだよ。なんで五人分の滞在費、全部俺持ちなんだよ」

「ボーナス出たっつてたろー?」

「ボーナスだけで足りるか! また例のアレでこき使ってやるからな!」

 

 そこにカドマツが話に入ってきた。

 どうやらモチヅキが持って帰って来た領収書を見て、吃驚したのだろう。だが、モチヅキはあらかじめカドマツからボーナスの話を聞いていたようで、何を言っているんだとばかりだが、どうやらボーナスだけでは補えないらしい。

 くつくつと意味深に意地悪な笑みを浮かべるカドマツにその意味が分かっているのか、たまらず「止めろぉっ!」と嘆いている。

 

「本当に久しぶりですね。二人に会えて嬉しいですっ」

「……だからって引っ付き過ぎでは?」

「こりゃ、しばらくはこのままだな……」

 

 またトライブレイカーズの面々も宴会の会場におり、酔いが回って頬を紅潮させているヴェルが間に入って、カガミとシュウジの腕にそれぞれ腕を絡ませると、幸せそうに体を揺すっている。

 そんなヴェルを見てしまっては強く言う事も出来ず、結局、カガミもシュウジもされるがままだ。

 

「あーあ、わたしもミソラちゃん達に会いたかったなー。ニュースサイトで三人がチーム組んでるの知ってたんだ」

 

 不意にミサがもはや生気のない一矢に声をかける。

 ふとここで漸く一矢がピクリと反応するなかで、ミサはアメリカの地で知った沖縄宇宙飛行士訓練商店街チームについて触れられる。

 

「へえ、で、どう思った?」

「どう……って、私が一緒に出たかったなーって……」

 

 さながら性質の悪い酔っ払いの如く、ミサに絡み始めるモチヅキ。とはいえ、その意味に気付かず、顎先に手を添え、首を傾げながら、そのまま答える。

 

「ジェラシぃなあ、はっはーっ!!」

「若さにカンパイ!!」

『かんぱーい!!』

 

 ばんばんとミサの背中を叩いたモチヅキは哄笑をあげていると、そこに便乗したユウイチがグラスを掲げ、殆どの人間がそれに乗る。

 

「ちょ、ち、違う! そーいうんじゃなぁい!!」

 

 慌てて頬を紅潮させながら、ぶんぶんと両手を振って先程のことについて否定しようとする。しかしそれは逆効果なようで、逆に更に揶揄われてしまっている。

 

「……」

 

 いまだに何か言われれば、顔を染めて否定しようとするミサの姿を一矢は頬杖をつきながら見つめている。その目はどこか複雑そうにジッとミサだけを見ていた。

 

 ・・・

 

「……ねぇ、ちょっと良い?」

「えっ?」

 

 宴会も盛り上がりを迎えたまま終了し、片付けが進められている。

 携帯端末を見れば、一矢が帰国したのを聞きつけた厳也達からメールが送られてくる中、一矢は食器を片付けている最中のミサに声をかけて、人知れず二人だけで外に出る。

 

「……さっきの事なんだけど」

 

 居酒屋みやこの隣のシャッターが閉まった店の前に寄りかかる。

 ミサが連れ出した一矢に、要件を求めるように見つめているとおもむろにミサから視線を逸らしながら呟く。さっきの事……つまりは皆にからかわれた何気ない呟きに関してだろう。

 

「あ、あれは……っ」

「──俺はそう思ってたよ」

 

 先程の事を思い出し、再び顔を羞恥で朱く染めながら何か誤魔化そうとするのだが、それを遮るように一矢の言葉が静かに響き、ミサは思わず一矢を見る。ミサを一瞬だけ一瞥した一矢は再びそっぽを向いた。

 

「……アジアツアー……。アンタがいなくてしっくりこなかった……。何でか知らないけど……。アンタが近くにいないのに、違和感があった……。……今、こうやってアンタが傍にいてくれると凄く安心するんだ……」

 

 俯いてつま先で地面をけりながら、拙い様子で言葉を紡ぐ。

 しかしその言葉の一つ一つがミサの胸を高鳴らせ、一矢から視線が逸らせなくなってしまう。

 

「……ねぇ、手、良い?」

「えっ、手……?」

 

 相変わらずミサに視線を向けないものの、いきなり手について言われ、イサは自分の手を怪訝そうに見やりながら、そのまま一矢に手を伸ばす。

 

「……うん、やっぱりこの手だ」

 

 すると一矢は寄りかかるのを止めて、ミサに伸ばされた手に触れる。

 一矢のどこか柔らかい手の感触と温かさが握られた手に広がり、その温かさを表したようにミサは俯いて耳まで真っ赤に染めるが、安心したように話す一矢の言葉を聞いて、顔を見上げる。

 

「……俺、これからもアンタと戦うよ。その為に……強くなってきたから……。だから……これからもよろしく」

「……うんっ! 私も強くなったからねっ!」

 

 漸くミサの目を見つめる。

 その真紅の瞳がこちらに向けられ、心臓の高鳴りを感じる中、また新たな再スタートを切るような一矢の言葉にミサはたちまち晴れやかな笑顔を浮かべて、強く頷く。

 

「……アンタの笑顔、何か良いよね。やっと帰って来れたって……そんな気になる」

「な、なに言ってるの、一矢君!?」

「……別に。でも……こう言いたくなったんだ」

 

 手を放し、ミサの笑顔をジッと見て、おもむろに一矢はその笑顔について触れる。

 今日の一矢は何だかおかしい。先程からずっと調子が狂わされるのだ。しかし一矢自身も何故、こんな言葉が出てくるのか、自分でも分からなかった。

 

「ただいま」

 

 僅かに首を傾げ、一矢は柔和に微笑む。

 一矢がこんな笑顔を浮かべるのなんて稀だ。そもそも作り笑顔だってまともに出来ないような人間なのだから。だからこそ、これが一矢の偽りのないものなのが分かる。それがミサにも分かっているからこそ。余計にあたふたさせてしまう。

 

「じゃあ、そのっ……。おかえり……」

 

 指先同士を合わせながら何と言うか言葉を探すミサだが、やはりこれが一番、良いだろう。はにかんだ笑顔を浮かべて、ミサも一矢に応える。

 

「……良かったら、聞かせてよ。アメリカであったこととか」

「しょうがないなー。じゃあ、一矢君も聞かせてねっ」

 

 一矢は再びシャッターに寄りかかりながら、アメリカでの武者修行について尋ねる。

 漸く調子が戻って来たのか、ミサはクスリと笑いながら、一矢の隣に立って、そのまま一矢のようにシャッターに寄りかかりアメリカであった事を話し始めた。

 空には満点の星空が広がる。それはまるで再会した二人を祝福するかのように煌びやかに輝き続けるのであった……。


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