機動戦士ガンダム Mirrors   作:ウルトラゼロNEO

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灼熱の世界で

「次は熊本県代表と秋田県代表かぁ……」

 

 試合観戦をしているコトは立体映像に表示されているトーナメント表の次なる試合を見て、独り言を呟く。兄が負けてしまったのは残念ではあるが、どうせならば最後まで見ていこう。

 

「あれあの人……」

 

 ふと立体映像を見やるとそこに表示された各チームの経歴の中に見た事のある顔が映し出される。

 それは紛れもなく影二のものであった。それに気づいた瞬間、画面が切り替わる。バトルが始まったからだ。

 

 ・・・

 

「……相手は4人。気を抜くな」

 

 バトルのステージは砂漠。あまりにも見晴らしが良いこの地形だが、やはり一番のネックは足場となる砂漠だろう。下手をすればガンプラと言えども足を取られてしまうのだから。

 そんな中、ネクストフォーミュラーを操作する影二が皐月と陽太に注意を促すも、二人とも分かっている事なのか頷くのみだ。

 

 前方がキラリと光った。

 その直後、青白いビームが伸び、ネクストフォーミュラー達は素早く避けると、両サイドから極太のビームがそれぞれ伸びて、三機は上空に飛び上がって避ける。

 

「くっ!?」

 

 だがそれさえも読まれていたのか、上空から何かが突撃してくる。

 いち早く反応したダンタリオンがツインビームソードで受け止めようとするが、勢いに負け地面に落ち激しい土煙を巻き上げる。

 

「小夜の本気を見るのです!!」

「もう十分だと思うけどッ!!」

 

 相手は小夜の電であった。ドッズランサーを受け止めるが、ダンタリオンは膝立ちのような状態だ。そのまま再び突き刺そうとする電にダンタリオンは逆に光の翼を展開して電にタックルを浴びせる。

 

 しかし地上にいるダンタリオンは格好の的となっているのか、清光の暁と国永の雷がビームライフルを発射しながら近づいていく。

 

「させるか!」

 

 その行く手を遮るように上空からネクストフォーミュラーがシールドピットとビームライフルを放ちながら阻んだ。

 

「邪魔だ!」

「やるっ……!」

 

 素早く反応した暁と雷。特に暁は旋回しながらライフルを撃ちながら6連装ミサイルポッドを放ち、ネクストフォーミュラーを翻弄する。

 ミサイルへの対応をしていたネクストフォーミュラーだが、既に回り込んだ暁が太刀を振るい、間一髪でビームサーベルによって防ぐ。

 

「後ろががら空きだ!!」

「ちぃっ!!」

 

 しかし鍔迫り合いを行うネクストフォーミュラーだが背後から雷が太刀を振るい、影二は舌打ちをしながら既のところでもう一本のビームサーベルを引き抜き、二機を相手に受け止める。

 

「悪いけど、これで決めさせてもらうよ……」

 

 暁と雷とそれぞれ鍔迫り合いとなっているネクストフォーミュラー。しかしそのあまりにも無防備な姿は遠巻きでビームスマートガンを構えている国広の響には格好の的だ。

 

「──やらせないっ!!」

「やっぱり来るか……!」

 

 照準が定まり、引き金が引かれそうになる。だがその前にアラートが鳴り響いた。

 直後に響きへビームとマイクロミサイルが迫る。予想していたのか、避ける響にFAヒュプノスが迫る。

 

「いつまでも……ッ!!」

 

 半ばこう着状態になり、影二は苛立ち気にEXアクションを選択する。

 直後にネクストフォーミュラーに電子音声と共に眩い光が輝くと暁と雷を一瞬ではあるが力押しして上空に逃れる。

 

「ぬぁっ!?」

 

 ZEROシステムを使用したのだ。

 すぐにその後を追おうとする二機だが、ネクストフォーミュラーはファトゥム01を射出する。

 ビームを発射しながら向かっていくファトゥム01は雷に向かい、ビームを被弾しつつも雷は大型対艦刀で受け止めるが、そのまま地面に吹き飛ばされてしまう。

 だがその間に飛び上がった暁はライフルを発射。何とか防いでいるネクストフォーミュラーに迫る。、

 

「っ!?」

 

 同じ高度にいる暁とネクストフォーミラー。

 こちらに迫る暁は飛び上がったと思えば、急降下したではないか。その動きに翻弄されるネクストフォーミラーは唐突に突き出された太刀を左肩に突き刺されてしまう。

 

 ・・・

 

(……一か八か)

 

 ダンタリオンもまた電に翻弄されていた。

 バックパックだけではなく、背中のアームドアーマーDEと両肩のシールドブースターによって得られる抜群の高機動は陽太の目に追いきれなかった。

 そのせいか、ダンタリオンは先程に比べ、大きく損傷しており、一方で電は軽微だ。このままではやられてしまう。ならばと陽太は賭けに出る事にした。

 

「これでお終いなのですっ!!」

 

 だが、ついにドッズガンを受けダンタリオンは大きくのけ反ってしまう。

 その大きな隙に小夜はドッズランサーに切り替え、このまま貫こうと突貫する。

 

「そんな……っ!?」

「捕まえた……!」

 

 ドッズランサーは確かにダンタリオンを貫いた。

 しかしそれだけでは終わらなかったのだ。

 

 陽太のシミュレーターにアラートが鳴り響いている。しかし陽太の口元には不敵な笑みが。

 その笑みの意味を明かすかのようにそのままトリプルメガソニック砲を発射。電を破壊する。

 

「っ!?」

「悪いな、こいつはバトルだ」

 

 ドッズランサーを引き抜きそのまま放棄すると、次の相手をと移動しようとする。

 しかしそうする前にダンタリオンを背後からビームサーベルが貫く。

 

 見れば雷が静かに立っていた。

 何か反撃をする前に既にダンタリオンは行動不能と化し、撃破されてしまう。

 

「さて、俺っちは赤城の援護でもするかね」

 

 今戦闘を行っているのはネクストフォーミラーと暁、そしてFAヒュプノスと響だ。

 特にネクストフォーミラーと暁に関しては立ち入れないほど緊迫した戦闘が続いており、では先に響をと雷は向かっていく。

 

「二対一……! なら……!!」

 

 響との銃撃戦を繰り広げていたFAヒュプノスのだが、そこに雷も乱入してきた。

 二対一の状況に追い込まれたことに皐月は顔を歪める。ならば少しでも対抗しようとFAヒュプノスはトランザムを使用する。

 

「うおっ!?」

「くっ!?」

 

 すぐにFAヒュプノスは行動を起こした。

 

 全ての火器を放ったのだ。

 たちまち標的の雷と響は避けるが、辺り一面、火の海と化してしまう。

 

「でかい花火だったなっ!!」

 

 発射直後の今のFAヒュプノスならば隙がある。回避したと同時に爆煙を飛び出す。

 だがその先にいたのは月より放たれるマイクロウェーブを受けたFAヒュプノスが青白区輝くメガ・ビーム・キャノンの砲口を向けている姿だった。

 息を飲み、目を見開く国永。直後、放たれたサテライトキャノンは雷を呑み込み、後には何も残らない。

 

「やられた……!? くっ!!」

 

 国永が落ちた。

 まさかの反撃に国広は驚くがすぐに反撃しようとビームスマートガンをFAヒュプノスへ向けて放つ。

 

 しかしここで更なる異変が起きる。

 何とFAヒュプノスは元々ガンダムXのパーツを使用していないにも関わらず強引にEXアクションであるサテライトキャノンを発射したお陰で機体に大きな負担となって、その装甲がパージしたではないか。だが分離した装甲はシールド代わりになって銃撃を幾分受け止める。

 

「私だって……ファイターだから……ッ!」

 

 装甲をパージした先にいるのは、強化型ヒュプノス。

 元々苦戦していたとあってその動きはおぼつかないが、最後の力を振り絞るかのように強化型ヒュプノスは響の銃撃をお構いなしに突っ込み、光の翼によってすれ違いざまに切断する。だが、無理も祟ったのだろう、強化型ヒュプノスはその後、動く気配を見せない。

 

 ・・・

 

「みんな、やられたか……!」

「後は俺とお前だけだな……!」

 

 残ったのは暁とネクストフォーミュラーのみ。

 だが互いの損傷は激しく何が決定打となっても不思議ではない。

 向かい合うネクストフォーミュラーと暁。互いに最後だと言わんばかりに同時に飛び出し、互いの刃を振るってすれ違う。

 

 爆発音がした。

 見れば、ネクストフォーミュラーが損傷を受けたのだろう。もうまともに動けないほどだ。暁が最後の一撃を与えるべく太刀を振りかぶる。

 

「まさか……っ!?」

 

 だがその前に下方からビームが暁を襲う。

 反応しようと下方を見るが同時に何かに突き上げられてしまう。

 

 国永に放ったファトゥム01だ。

 そのままファトゥム01は暁を破壊すると主の背に戻り、勝利を呼び寄せるのであった。

 

 ・・・

 

「影二君達、勝ったんだね!!」

 

 控室でモニターで試合の様子を見ていたミサは影二達の勝利を喜んで、同じ気持ちであろう一矢の反応を見るように晴れやかな笑顔を向けるが……。

 

「……ロボ太と一緒になに読んでんの?」

「新装版超戦士ガンダム野郎」

 

 しかし試合に目もくれず、椅子の上にそれぞれ座った一矢とロボ太は漫画を読んでいるのではないか。

 呆然とした様子で問いかけると、一矢は邪魔するなと言わんばかりに目をくれずに答える。隣のロボ太に関しては一矢が勝手に渡して読ませているのだろう。

 

「バトル見ないの?」

「別に……。今は目の前のことに集中しないと」

「いや、目の前のことってマンガだよね!? この後のバトルじゃないよね!?」

 

 バトルを観戦しないのか、問いかけるミサだがペラペラとページを捲りながら言葉だけなら、もっともらしい事を言うのだが、いかんせん漫画を読んでいるせいで自分達の準決勝に集中しているとは思えない。

 

「えっ? なに?」

 

 すると静かに椅子から降り立ったロボ太がミサの袖に引っ張り、何かあったのかとロボ太に合わせてかがむ。

 

(えーっとなになに……”漫画を読むふりして横目でずっと見ていた"。……えー……なんでこんなに素直じゃないのかなぁ……)

 

 ロボ太が出力したテキストを読む。

 隣でずっといたロボ太が言うのだから間違いないだろう。

 

 大方、自分に知り合いの試合をジッと食い入るように熱中して観戦する姿を見られたくなかったのだろう。

 だとしても、そうまでするかと安心して気楽そうに漫画を読み進める一矢に嘆息するのであった……。




前作今作含めて今、戦闘ばっかじゃないか。もう戦闘描写はダイジェストで良いですか(良い訳あるか


<いただいたオリキャラ&俺ガンダム>

エイゼさんよりいただきました。

ヒュプノス:サテライトキャノンについては、本来仕様ではなく…イメージは(EXVS2500フルアーマーZZガンダムのハイパーメガカノン)同様一回限り且つ威力は50%ダウン、使用後は強制パージを追加でお願いします。
パージ後の機体解説
強化型ヒュプノス:WEAPON:GNビームサーベル
WEAPON:GNビームライフル(ジンクスⅢ)
HEAD:ケルディム
BODY:ダブルオークアンタ
ARMS:ガンダム試作三号機
LEGS:ストライクノワール
BACKPACK:V2ガンダム
SHIELD:無し
オプション兵装:ビームライフル・シューティ、マイクロミサイルポッド、Iフィールド、GNフィールド
FAヒュプノスのパージ後の機体であり火力並びに防御を犠牲に機動性を強化された機体、GNフィールド並びにIフィールドを継続利用しており射撃には耐性があるが、近接…特に実体剣に惰弱な欠点を持つ。この形態時のみ光の翼を使用可能。(FA時に使用した結果、機体が自壊した模様)

コウタさんよりいただきました。


キャラクター名:大和清光(やまときよみつ)
性別:男 年齢:18歳
容姿:身長:175cm
   髪型:黒髪短髪
   目:黒
性格:一見クールでとっつきにくいが実は熱血漢で熱くなりやすい。
   一人称は俺。
詳細:
ジャパンカップ秋田代表。
クラスの友人に誘われガンプラバトルを始める。 
元はアーケドのロボットゲームプレイヤーでガンプラバトルでもその動きを取り入れた三次元機動(バーチャロン的な動き)が得意。
よく苗字が名前と勘違いされる。
小夜とは幼馴染で両片思い。
メンバーの事は基本苗字呼びで小夜のみ名前(たまにさっちゃん呼び)
使用機体:壱番機”暁”

キャラクター名:赤城国広(あかぎくにひろ)
性別:男 年齢:18歳
容姿:身長170cm
   髪型:黒髪で肩口までの髪を一本に束ねている
   目:黒
性格:落ち着いていて周りをよく見ているチームのまとめ役。
   一人称は僕
詳細:
清光のクラスメイトで彼をガンプラバトルに誘った張本人。
熱くなりやすい清光のストッパーを務めることもある。
メンバーのことは苗字呼びで小夜のみさん付け。
使用機体:二番機”響”

キャラクター名:日向国永(ひゅうがくになが)
性別:男 年齢:18歳
容姿:身長:170cm
   髪型:銀髪天パ
   目:茶色
性格:お調子者で悪戯好きだが決めるときは決める。
   一人称は俺っち。
詳細:
清光のクラスメイト、よく清光や国広にちょっかいをかけては殴られている。
容姿から外人に間違われるが生粋の日本人。
だが戦闘時にはうって変わってまじめになり清光とともに前線で囮やかく乱を行う。
清光と同じ元アーケードゲーマーだがどちらかといえば三次元機動より平面機動が得意。
口癖は「驚いたか!」
メンバーの事は苗字呼びで小夜のみちゃん付け。
使用機体:三番機”雷”

キャラクター名:加賀小夜(かがさよ)
性別:女 年齢:18歳
容姿:身長:155cm
   髪型:黒髪で背中までかかるロング
   目:黒
性格:基本的にはおとなしいが甘いものを食べるときはやたらテンションが上がる。
   一人称は基本的に私だが本気でキレたときは小夜になる。
詳細:
チームの紅一点。
清光とは幼馴染で両片思い。
実は父親がガンダム好きで小さい頃からガンプラも作っていた。
清光とともに国広に誘われてチーム入りする。
語尾に「~なのです」とつける。
メンバーの事は基本苗字に君付けで清光のみきよちゃん呼び。
使用機体:四番機”電”

ガンプラ名:試製特参式歩行戦車
 
HEAD:バイアランカスタム 
BODY:ストライクノワール 
ARMS:デュエルガンダム 
LEGS:ガンダム試作3号機 
BACKPACK:ガンダムバルバトス 
SHIELD:シールド(NT-1) 
拡張装備:
スラスターユニット×2(腰サイド)


チームで同じ機体をベースに拡張装備でカスタマイズしている(四番機のみバックパックとシールドも)。

一番機”暁(あかつき)”
WEAPON:太刀(ガンダムバルバトス)
WEAPON:ビームライフル(アドバンスド・ヘイズル)
拡張装備:大型ビームランチャー(バックパック左)
     6連装ミサイルポット

二番機”響(ひびき)”
WEAPON:太刀(ガンダムバルバトス)
WEAPON:ビームスマートガン(Ex-S)
拡張装備:強化センサーユニット(頭部)
     レドーム×2(バックパック)

三番機”雷(いかづち)”
WEAPON:ビームサーベル
WEAPON:ビームライフル(NT-1)
拡張装備:大型対艦刀(バックパック右)
     大型対艦ビームランチャー(バックパック左)

四番機”電(いなずま)”
WEAPON:ドッズランサー
WEAPON:ドッズガン
BACKPACK:ガンダムTR-1(アドバンスド・ヘイズル)
SHIELD:アームドアーマーDE(常時背中)
拡張装備:シールドブースター×2(両肩)
     ロケットアンカー(左腕)

カラーは全機トライアルグレー。
二番機が索敵しつつ遠距離から援護、一番機、三番機が囮をしつつ敵機を誘導、一か所に固めたところで四番機が突貫が基本戦術。

機体の名付け親は国永。
曰く「普通にMSっぽい名前つけても面白くないし思いきって漢字にしてみた!」とのこと。

素敵なオリキャラと俺ガンダムありがとうございました!

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