機動戦士ガンダム Mirrors   作:ウルトラゼロNEO

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Samurai Edge

≪勝利チームは熊本海洋訓練学校ガンプラ部!!≫

 

 ジャパンカップ本選も二日目。

 第一試合を勝ち進んだチームによるバトルは第一試合よりも一層の激戦を見せている。

 

≪──秋田県代表チームの勝利ーっ!!≫

「……ふぅ、流石に簡単にって訳にはいかないな」

 

 今もまた秋田県代表である清光達の勝利で終えた。

 流石にタウンカップからこれまで勝ち進んだチームが相手では苦戦は必至なのか、清光の額には薄っすらと汗が滲んでいた。

 

≪現時点を持って小休憩を挟みます。1時間後より試合を再開します≫

 

 清光達の勝利を皮切りに会場全体でアナウンスが流れる。

 

 時刻としても、もう昼時だ。

 立体映像を鮮明に映し出す都合から薄暗かったドーム内も映画館のように照明が灯り始め、観客達はまばらにドームから出ていく。

 

 ・・・

 

 ガンダムカフェで食事を終えた影二。一緒に食事をしていた皐月と陽太は一足先に控室に帰っていった。次にバトルを行うのは一矢達だ。自分も早く戻らなければと急いでいたのだが、ふと目に何かが止まる。

 

「良いじゃん、俺と一緒に試合観戦しようぜ」

「いや、その……急いでいるので」

 

 何やら一人の少女にナンパをしている男がいた。

 深くかぶった帽子や眼鏡をかけている為、表情こそ見えないが少女の嫌がる様子を見る限り、しつこく誘っているようだ。

 

「……なにやってる?」

「ナンパだよ。見て分かんだろ、邪魔するなよ!」

 

 流石に見過ごせなかったのか、影二がたまらず声をかける。

 邪魔をされたことに不機嫌な様子で返してきた男は影二が知る由もないが、カマセであった。

 

「……嫌がってるだろ、止めてやれ」

「だから邪魔すんなって──ッ!?」

 

 別にナンパは相手が乗り気ならば構わないが、嫌がるのにしつこくするのはただの迷惑行為だ。

 

 水を差されたことに気を悪く¥したのだろう。

 カマセが影二の胸倉をつかもうとした瞬間、途端にカマセが苦悶の表情を浮かべて倒れる。

 

 見れば少女の手には護身用にでも持っていたのだろうスタンガンが握られていた。

 どうやらカマセは既に気絶してしまったらしい。

 

 倒れ伏せるカマセに周囲がざわつき始め、遠巻きから通報を受けてきたであろう警備員の姿もある。このままでは面倒事になるであろうと判断した影二は少女の手を掴んで走り去るのであった。

 

 ・・・

 

「あれ、碧。どーしたの?」

「いや、しつこくナンパをした不埒者がスタンガンを受けて気絶したらしい」

 

 担架に運ばれるカマセに人だかりができている。

 

 その中には碧もいた。

 後から風香も合流して、この騒ぎについて問うとまた聞きではあるが少し前に起きた事を話す。

 

「スタンガンや催涙スプレーの類って軽犯罪法に引っかかるって聞いたけどどーなの? 私も検討はしてるけど」

「法律上、正当な理由なく他人の生命を脅かす武器を携帯し、出歩いてはならない……という奴だな。携帯している時点でアウト、過去には暴漢を撃退したのに調書を取られたという話も聞いた事はある」

「えー? なんか納得できないなー。風香ちゃんの可愛さに傷がついたらどうするのさ。そんなにダメなの?」

「警察だって法律上、やる事はやらねばな。こういった代物は上手く付き合う必要がある」

 

 いつまでもここにいるわけではない。

 バトルの観戦の為、ドームへ向かう中、風香と碧の二人は意見を話し合いながら向かうのであった。

 

 ・・・

 

「ありがとうございます……」

「いや、気にしないで……って……!?」

 

 ドームの方まで逃げてきた影二は息を切らす中、感謝の言葉を口にする少女に振り返る。

 

 そこには逃げる際中に帽子を落としてしまったのだろう。

 眼鏡もずれている少女の顔ははっきりと視認でき、そこにいたのはコトであった。

 いかんせんKODACHIのファンである影二は状況が呑み込めずにいた。

 

「ご、ごめんなさい。私、ちょっと……! ありがとうございます!」

 

 フリーズしている影二だが、コトは時計を見やると影二に頭を下げて、急いで観客席に向かっていく。その場に残された影二はただただ状況が呑み込めず、その場に立ち尽くしていた。

 

 ・・・

 

「始まってる……!」

 

 観客席に辿り着いたコトは立体映像に目をやる。

 立体映像には桜舞う城の庭園で二つのチームがぶつかり合っていた。一つのチームは彩渡商店街ガンプラチーム。そしてもう一つはコトの兄であるジン達の北海道代表チームだ。

 

「……」

 

 それを誰よりも熱心に、それこそすべての動きを見逃さないように見ているのは夕香であった。心なしか握った手は汗ばんでいる。

 

 ・・・

 

「今度こそ本気で来てもらうぞ!!」

 

 トランザム状態のユニティーエースがGNソードⅤでゲネシスを肉薄する。

 やはり剣道経験者でもある為か、近接戦では一矢の一歩先を行くようだ。その姿はさながら【侍】だ。

 

 その近くでは、サヤのジョイントエースがアザレアPとFA騎士ガンダム相手取っていた。

 サヤの射撃は一級品だ。二機を相手にまったく引けを取らない。

 

≪錆となれ!!≫

 

 ジョイントエースの激しい弾幕もアザレアPがGNフィールドを張った事で防ぎ、その上をFA騎士ガンダムが飛び越えて轟々と燃え盛る炎の剣を振るう。

 流石にビームサーベルで受け止めるにはパワーが違いすぎる為、バックパックからアロンダイトを展開して受け止めるのだが……。

 

「っ!?」

 

 近接戦はまったく出来ないというわけではないサヤだが、流石に近接戦をメインとするロボ太を相手には不利なのか、押され始める。

 

 それもそうだ。

 アロンダイトでパワーは補えるとはいえ、それがSD相手ではあまりにも不利すぎる。サヤは自身の咄嗟の判断を呪う。

 

 だがそうこうしている間にもFA騎士ガンダムは炎の剣による巧みな剣捌きでジョイントエースに迫り、ついには力の盾によってアロンダイトを持つ手を弾く。

 

 咄嗟にアンチビームシールドを構えて、後方へ飛び退くジョイントエース。

 しかしFA騎士ガンダムが着地したと同時にGNキャノンを発射。あまりの衝撃に受けきれず、シールドを装備する腕部ごと爆発してジョイントエースは後方へ吹き飛んでしまう。

 

 その最中で腰部のレールガンを放とうとするが、アザレアPがそれを許さず、GNキャノンを連射しながらビームマシンガンによる追撃をしジョイントエースの被弾した各部に小さな爆発が起きる。

 

≪これで終わりだッ!!≫

「待ってロボ太!!」

 

 今が好機と言わんばかりに飛び上がったFA騎士ガンダムは炎の剣を振りかぶり、そのまま突き刺そうとする。

 

 しかしミサには拭いきれぬ不安があった。

 絶対的優位な筈なのに、ジョイントエースは何かしでかす。そんな不安感がミサにはあったのだ。

 

≪なっ!?≫

「足手纏いになるくらいなら……ッ!!」

 

 炎の剣の切っ先は深々とジョイントエースに突き刺さる。

 しかしジョイントエースのマニビュレーターが炎の剣を掴んだのだ。

 まさに度肝を抜かれたように唖然とするロボ太にサヤは決死の表情であるオプションを選択すると、ジョイントエースは輝きだす。

 

≪不覚……っ!!≫

 

 ジョイントエースが行ったのは自爆であった。

 至近距離で道連れにされたFA騎士ガンダムは言葉通り爆炎のなか撃破され、ミサのシミュレーターに聞こえたのはロボ太の懺悔のような声であった。

 

 しかしこれで二対一の状況には出来た。

 アザレアPがゲネシスの援護に向かおうと気持ちを切り替えるも、ミサが見たのはトランザム状態だけでなくスーパードラグーンも展開して、ゲネシスを追い詰めていくユニティーエースであった。

 

「調子に乗んな……ッ」

 

 忌々しそうに一矢は呟く。

 反撃の余地さえ与えられないのは苛立つだけだ。

 しかしこのままにして良いわけがない。ゲネシスは迷わず覚醒する。

 

 カマセを相手にした時のような覚醒による衝撃波によってスーパードラグーンは吹き飛び、ユニティーエースも例外なくその動きを鈍らせることには成功する。

 

 少なくともそれが狙い目だ。

 ゲネシスはバーニアをフル稼働させ、飛び出すとそのまま勢いを殺さずきりもみ回転をしながら飛び蹴りを浴びせる。

 

 それだけでは終わらない。

 薙ぎ払うように振るわれたGNソードⅤをそのまま蹴り飛ばした反動で宙返りして避けると、そのままGNソードⅢを展開してユニティーエースにぶつかっていく。

 

 ・・・

 

「お兄ちゃん……っ!!」

「イッチ……っ!」

 

 試合を見ているコトと夕香の手にそれぞれ汗が滲む。

 二人の兄は今まさに激戦を繰り広げているからだ。ただ自分の兄の勝利を願い、応援をする。

 

 ・・・

 

 半ば突進のようなゲネシスの攻撃は受けたユニティーエースの態勢を崩して、そのまま地面を削って地に倒れる。

 

 その隙を見逃す一矢ではない。

 そのままユニティーエースのコクピットを踏みつけ、ヒートダガーを打ち込むとそのままGNソードⅢの刃で胴体に深々と突き刺して行動不能にする。

 

「はぁっ……はぁっ……」

 

 勝利を収めた一矢ではあるが、正直に言えば、相当の焦りがあった。

 何故なら覚醒がなければあわや負けていたかもしれないのだ。

 それほどの実力がジンにはあったのだ。とはいえ勝利は勝利。一矢は安堵の溜息をついた。

 

 ・・・

 

「やったイッチが勝った! ねぇ夕香!」

 

 試合終了後、勝利を喜ぶ裕喜は夕香に笑みを向ける。

 何より一矢の勝利を喜んでいるのは夕香だと思っているからだ。

 

「……まっ、アタシの兄貴なら当然だよねぇ」

「もー、素直じゃないなぁ」

 

 ふぅと一息ついた夕香は飄々とした笑みを浮かべると、先程まで固唾をのんで見守っていたのを知っているために裕喜は珍しく夕香をからかうのであった。




<いただいたキャラ&俺ガンダム>

キャラクター名 御剣ジン
性別:男
年齢:20歳
身長:173cm
容姿:スポーツ刈りの黒髪。黒目。中肉中背。眼鏡をかけている。
ジャパンカップ北海道代表。実家は小さな玩具屋でミサ同様に店の名前を広めるために大会に参加する。
玉木サヤ(以下記載)とは幼馴染で恋人(両親公認の婚約者)将来の夢は彼女と結婚後、実家の玩具屋を日本一の玩具屋にまで大きくすること。
普段はクールで理屈っぽい性格なのだが感情に流されやすいところもある。
小さい頃から侍のアニメの影響で剣道を習っており、現在は全国レベルの腕前。ガンプラバトルでも近接戦闘を得意とする。

ガンプラ名 ユニティーエースガンダム
WEAPON GNソードⅤ
WEAPON GNソードⅤ ライフルモード
HEAD  ウイングガンダムゼロ(エンドレスワルツ版)
BODY  ダブルオークアンタ
ARMS  デスティニーガンダム
LEGS  インフィニットジャスティスガンダム
BACKPACK ストライクフリーダムガンダム
SHIELD  ビームキャリーシールド

カラーリングは青、赤、白のトリコロールカラーで。Hi-νガンダムをイメージ。(腹部周りだけ赤い)
機体名の意味は『結束するエース』「ガンダムSEED DESTINY」「ガンダム00」「ガンダムウイング」の主人公・準主人公の機体パーツを
一つずつ使用しているのが由来。近接戦を得意とし、遠距離戦はオプション装備のスーパードラグーンで補う。

キャラクター名 玉木サヤ
性別:女
年齢:20歳
身長:165cm
容姿:肩に届くくらいの黒髪。黒目。モデル並みのスタイルで巨乳。
ジャパンカップ北海道代表。御剣ジンの幼馴染で恋人(婚約者)彼のサポートのため共に大会に参加する。
品性高潔で礼儀正しく、見た目もあってお嬢様のような人物。父親が西部劇が好きでエアガンとモデルガンの収集と射的が趣味。
彼女自身もそれにつきあっていたため、射的の腕前は一級品となっている。ガンプラバトルでも遠距離戦闘を得意とする。

ガンプラ名 ジョイントエースガンダム
WEAPON シューベルラケルタビームサーベル
WEAPON MA-M2 1KF高エネルギービームライフル
HEAD  ダブルオークアンタ
BODY  ウイングガンダムゼロ(エンドレスワルツ版)
ARMS  インフィニットジャスティスガンダム
LEGS  ストライクフリーダムガンダム
BACKPACK デスティニーガンダム
SHIELD アンチビームシールド

カラーリングはリボーンズガンダムをイメージした赤、白の二色カラー
機体名の意味は『共同のエース』単語が違うだけで由来はユニティーエースガンダムと同じ。
そちらとは反対に遠距離戦を得意とし、近接戦は二刀流のシューベルラケルタビームサーベルの手数の多さと
オプション装備のMMI-714 アロンダイト ビームソードのパワーで補う。

上記二機のガンダムの誕生秘話としてジンとサヤが二人で小遣いを出し合い、五つのガンプラを購入。
それらのパーツを分け合って組み上げたという話がある。つまりこの二機は二人にとってのエンゲージリングのようなもの。


素敵なキャラや俺ガンダムありがとうございました!

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