ウィルス駆除の為に出撃した翔達はインフォの時同様にカドマツの案内の元、この騒動を引き起こしたであろうコアウィルス目指して迫り来るMSを模したウィルスを撃破しながら突き進んでいた。
「なんか前より強くない!?」
《ネバーランドを狂わせる程だからな。規模だけじゃなくそのウィルス一つ一つが非常に強力なんだ》
以前、インフォのウィルスとの交戦を経験したミサは今、目の前のウィルスのレベルの違いに険しい表情を浮かべながら迎撃する。
通信のカドマツの言葉通り、まさに一つ一つが非常に強力なウィルスであり、例えるならばリージョンカップの本選で激突した真奈美やヴェールに勝るとも劣らない程なのだ。
「すご……っ」
少しでも気を抜けば一瞬でやられてしまう。
そんな極限のような状態でのバトルの中でもミサの目を引く三つのガンプラがある。ガンダムブレイカー、アイオライト、バーニングガンダムブレイカーだ。
「……どしたの?」
「いや……凄いよ、あの三人は」
動きの鈍ったアザレアPの近くに寄りながら、一矢は通信を入れる。
シュウジは身を持ってその実力を知っているが、翔やあやこのバトルを間近で見るのはこれが初めてだ。
流石、ガンプラバトルシミュレーターが初稼働時から活躍しているガンダムブレイカー隊と言うだけあって、ミサはその実力には素直に感心して賞賛する。
「そりゃあ、翔さんやあやこさんはイッチが素直に尊敬する二人だしね」
《シュウジの動きも非常に参考になる》
その近くではウィルスをレンチメイスで挟み込んで破壊した夕香が一呼吸おいて一矢とミサの話に加わると、同じ近接戦でのバトルをメインにするだけあってか、ロボ太もシュウジを称える。
「っ!? 碧ぃっ!」
「な、なんだ!?」
エクリプスのツインバスターライフルで上手くウィルスを誘導し、そこにロックダウンが突撃して一気に殲滅させると、突然、風香が碧に緊迫した様子で通信を入れる。
あまりの風香の様子に驚きながら何があったのだと心配していると……。
「皆、風香ちゃんの凄さに気づいてない! これは由々しき問題だよ!!」
「目の前の事に集中しろ、馬鹿者ォッ!!」
一矢達が翔達に尊敬の念を抱いてる事を察知した風香は誰も自分に全く注目していない事に気づいたのだ。
しかし言った相手が悪かった。
生真面目な碧からすぐさま稲妻の様な怒号が風香のシミュレーター内に響き渡り、通信を一方的に切られてしまう。
極限の激戦の中でもまだ一矢達が余裕を持てるのは先行する翔達の存在が大きいのかもしれない。
「……ありがとう、あやこ」
「……な、なにがですか?」
そんな先陣を切る翔はふとあやこに通信を入れて彼女に感謝の言葉を口にすると、突然の事に驚く。
「……支えてくれてる事にだよ、昔も今もな……」
「い、いえ……私も……その……嬉しいんです! こうやって翔さんとまた一緒に出撃できる事が……っ!」
昔よりかは素直に感謝の言葉を伝えられるようになり、あやこに対しては素直にそう思っている。
アフリカタワーでの戦いで一時的にこの世界に戻って来た時、彼女のお陰で大切なことに気づけた。ブレイカーズを経営し始めた時も不慣れな自分の傍にいてくれた事にだ。
そんな翔の短いながらも心の篭った言葉にあやこは赤面しながらもGWF以降、共に出撃する事もなくなってしまったが、今こうして共に出撃できることの喜びを噛みしめる。
「……この戦いが終わったら、君に話がある……。隠さないでちゃんと話すから」
「……っ! はいっ!」
一瞬、迷ったように目を伏せた翔はゆっくり顔をあげて今までひた隠しにしてきた事柄をあやこに打ち明ける事を約束すると、あやこはやっと話してもらえるのだと目じりに涙を貯めながら頷く。
「──……あやこさんに話すんですか、エヴェイユのこと」
「……流石に彼女にいつまでも隠す事は出来ない……。信じてもらえるかは別として話すだけ話すさ」
今までの通信を耳に入れていたシュウジは翔と二人だけのプライベート回線で通信をして問いかけると、揺らぐことのない翔の決意に……。
「俺に出来る事なら協力しますよ」
ならば翔の意思を尊重しようと言うのだろう。
彼も分かっているのだ。
これが簡単な決意で出来る事ではないという事が。
だからこそ彼の意志を尊重しやれる範囲であれば協力はしたい。翔もまたかつて後を託した後輩の気遣いを嬉しく思う。
《……っ! ウィルスに動きがあるッ! 気を付けろ!》
すると突然、カドマツから緊迫した声が響き渡った。
なにがあったのだ?
それを問う前に異変が起きる。なんと先程よりも比でない数のウィルスの大群がこちらに向かってきているのだ。
「チッ……さっきよりも……ッ!!」
すぐに戦闘が始まった。
単純な数によるごり押しなどではない。
前述したがこのウィルスは一つ一つが非常に強力だ。
そんなウィルスが圧倒的な数を持って襲いかかってくる。戦闘が始まって、数秒で先程まで見せていた余裕さは一矢達の表情から消えた。
・・・
「っ……!?」
「夕香ちゃんっ! ──きゃぁっ!!?」
戦闘が始まり十分が経過した頃、突然、夕香のバルバトス第六形態が爆発して中破した様子を見せる。すぐさま近くにいたミサが夕香を気に掛けるも、次の瞬間、彼女のアザレアPも被弾してしまう。
《こ、此奴は……ッ!》
漸くロボ太が捉える事が出来た。
いや偶然、捉える事が出来たと言う方が正しいのかもしれない。
何故ならばこちらに向かってきているからだ。
それは他のウィルスよりも特異な見た目をしていた。
カドマツによって姿を上書きされた他のウィルスと違い、そのウィルスだけはMSの形などしていない、あえて言うならば生命体だろうか。
白く異様に長い手足、華奢ではあるがその全長は軽くゲネシスやアザレアPを超え、その背部には無数の触手を揺らしていて、さながらSF映画に出て来るようなクリーチャーを見ている気分だった。
すぐさま騎士ガンダム彗星剣を使用して斬撃破を放つが、こちらに向かうソレは軽やかに避け、騎士ガンダムの前に急停止し、ジッと騎士ガンダムを見つめる。それはまるで値踏みをするかのようだだった。
≪気を付けろ、ソイツがコアプログラムだ!≫
「コアプログラムが直接、前に出る……!? どういう訳だ……!」
カドマツから、この生命体のような存在がコアプログラムという正体を知らされる。
その間にもコアプログラムは次の相手を目指して移動を開始し、翔はその行動に戸惑いながらでもビームライフルの引き金を引き、直撃させる。
「なにする気だ……ッ!?」
更にもう一発、直撃したコアプログラムは動きを止めると背部の触手を揺らす。
その不気味な動きを見て、シュウジは警戒を強める。なにをするつもりかは分からないが決して良くはないだろう。
次の瞬間、コアプログラムの背部から無数の触手が伸び、ブレイカー達を拘束しようと猛スピードでこちらに向かってきた。本能的なのかもしれない。あれは危険だ、そう感じた。
(俺が狙いか……っ!!)
無数の触手は全機体に放たれたが、その中でもブレイカーだけその数が異様であった。
先程の数発の狙撃で自身を脅かす存在なのだと察知したのかもしれない。他に放たれた触手はあくまでブレイカーの援護をさせない為の牽制に見える。
(──ッ!!?こんな時にッ!!)
まるで終わりのない追いかけっこのように迫る触手を回避し続ける。
しかしここで異変が起きてしまった。
視界がグニャリと歪み、まともに視界が機能しなくなる。
分かっている。
自身のエヴェイユの力が再び不安定になっているのだ。
何とか抑えなくては。
そうでなくては捕まってしまう。しかし分かっていてもどうにもならないのだ。
操作が乱れる。
冷汗が滝のように流れる。
全身が震え、体に異変と言う異変が次々に起き始める。
ふと歪む視界の中に迫る触手を捉えた。
捕まる、そう思った。
「──翔さんッ!!」
しかしそうはならなかったのだ。
何故ならばモニターに巨大な影が覆ったから。まともに見えない視界が捉えたのは自分を抱きしめるように守るアイオライトの姿であった。
「な、なに……!? いやっ、どうなっ──!!」
突然、目の前のアイオライトに異変が起きる。
まるで痙攣したかのようにガタガタ揺れているのだ。
通信越しにパニックになっているあやこの声が聞こえるが、途中で通信が途切れてしまう。するとコアプログラムはアイオライトを引き寄せ、その長い手足と触手でアイオライトに絡ませて覆いかぶさった。
ここで更なる異変が起きる。
コアプログラムとアイオライトがまるで混ざり合うかのように変化を開始したのだ。
「……と、取り込んだのか……? アイオライトを……あやこを……!?」
アイオライトを取り込んで変化を遂げたコアプログラムはその姿を見せつけるように佇む。
本来、MSという兵器のプラモデルをカスタムした筈のアイオライトだが、コアプログラムに取り込まれたせいでまるで一つの生命体のように見える。
「っ……!?」
しかしいつまでも静止している筈がなかった。
コアプログラムは掌を突き出すと、一本の触手がブレイカーを頭部を突き刺し、瞬く間に脚部、腕部といった各部位を貫く。
「翔さん!?」
ブレイカーが行動不能にまで追い込まれた。
それは少なくとも一矢達に影響を与えるが、コアプログラムはそれを嘲笑うかのように両手を広げるとコアプログラムを中心に再び無数のウィルスを生み出し、ゲネシス達に差し向ける。
(このままじゃ一矢達ももたなェ……ッ!)
もう出撃してどれだけの時間が経ったのだろうか。
嵐のような勢いでウィルスを破壊していたシュウジの額にも薄っすらと汗が浮かぶ。
一矢達を確認すれば、やはり彼らも消耗しているのか最初に比べ動きが鈍い。それもそうだ。幾ら撃破した所でコアプログラムがウィルスを生み出すのだから。
「───皆、その場から動かないで」
通信が割り込まれ指示が飛ぶ。
シュウジは勿論、その柔らかな聞き覚えのある声に一矢達は言われた通り、その場に 制止すると四方八方からビームがゲネシス達の間をすり抜け、ウィルス達を撃ち抜く。
「ヴェルさん……ッ!?」
「みんな、お疲れさま、助けに来たよ!」
ビームを放ったドラグーンはすぐさま主の元へと戻る。
そこにはスターストライクの姿が。
全く予想もしていなかった存在にシュウジ達は驚いていると、通信越しに優しく元気づけるようなヴェルの声が響く。
援軍はそれだけでは終わらなかった。
ゲネシス達の間を巨大な何かが高速で通り抜け、コアプログラムに対してビームを放つ。正確無比のその狙撃はコアプログラムに直撃し、動きがあった所にそのまま“何か”は変形をして勢いを活かしてコアプログラムを蹴り飛ばす。
「カガミか……?」
「……今度は私があなたを守ります」
吹き飛ばしたコアプログラムとブレイカーの間に入り、ブレイカーを守るようにコアプログラムを見据えるのは翔が作成し、イベント後の為に持ってきたライトニングガンダム フルバーニアンだ。
ポツリとカガミの声を口にする翔にライトニングFBを操るカガミはかつての出来事を思い出しながら静かにそして強く答える。
「どうしてここに……?」
「皆さんの戦いはネバーランドのモニターに映し出されてたんです。私もシミュレーターを使ったウィルス駆除は参加しましたし、ここにシミュレーターがある場所も分かってましたから来たんです」
なぜ、ここにカガミとヴェルが?
不安定なエヴェイユの力が少しは収まり始め、てっきり自分達以外は避難したと考えていた翔の口にした疑問にヴェルはバーニングブレイカー達の前に移動しながら通信越しに笑顔を作って答える。
「……翔さん、アフリカで貴方を神だと言ったアレックに返した言葉を覚えてますか?」
「……ああ」
単にウィルスを駆除するために来たわけではない。
理由は他にもある。
その事を口にするカガミはかつて異世界のアフリカにおいて同じ隊にいた青年がエヴェイユの光を纏って戦った自分を神と崇めようとした時に訂正した言葉について触れる。翔自身もその時のことはよく覚えている。
「……私達は仲間です。ここに来る理由にそれ以上の理由は必要ありません」
翔はその青年の神という言葉を否定して、自分は仲間だと言ったのだ。
あの言葉に嘘偽りはない。そしてだからこそカガミもヴェルも来てくれたのだろう。
「それに来たのは私達だけではありません」
コアプログラムは再びウィルスを生み出そうとしている。
カガミとヴェルが二人だけ来たとしてもそう易々と変わるものではない。
そんな事を思う者がいる中、それを否定するようにカガミはレーダーを確認すると、まさに生み出す最中のウィルスを後方から放たれた無数のビームや砲弾が破壊する。
「俺達も来たぜ、翔ッ!!」
するとそこにはナオキのダブルフリーダムを始めとするガンダムブレイカー隊のガンプラがこちらに向かって来ているではないか。
しかもそれだけではない。
「夕香、大丈夫か?」
「俺達が来たからにはもう安心だぜ!」
「龍騎……それに炎も。……まったくもーっ、カッコよく来るなよー」
中破したバルバトス第六形態の前にクレナイとブレイブカイザーが並び立つと、夕香に通信を入れ消耗している夕香を安心させるように力強い笑みを浮かべて励ますと彼女らしく飄々とした様子で返す。
「真実ちゃんっ! それにレン君達も!」
「雨宮君達が頑張ってるだもん。もう雨宮君だけに任せないって決めたから」
「お前達だけに負担はかけさせないよ」
援軍は続々やってくる。
その中には聖皇学園ガンプラチームやレンとジーナのガンプラの姿も。心強い真実やレンの言葉を受け、自然とミサの表情も綻ぶ。
「お主らとのバトルは楽しみにしてるからのぉ、ここで負ける姿は見たくないんじゃ」
「……避難してたんでしょ。物好きだよねぇ……」
「……こういう時は素直に感謝したらどうだ?」
そして厳也達の土佐農高ガンプラ隊と影二達の熊本海洋訓練学校ガンプラ部も駆けつけていた。
厳也からの通信に素直にありがとうとは言えないのか、溜息交じりに答える一矢にまったくと影二は呆れてしまう。
「礼はジャパンカップで全力で返すよ」
一矢の言葉を皮切りにゲネシス、クロス・フライルー、MK‐Ⅵ改は互いに背を預け合い目の前のウィルスに銃口を向ける。何れはぶつかるであろうライバル。今はただ心強い味方として背中を任せるのだ。
・・・
「……貴方が作った繋がりはまた新しい繋がりを呼びました。これが貴方が紡いできたものです。貴方はまともに立つ事も出来ない程、苦しんでいる。その苦しみは私達にはどうする事も出来ないかもしれない。それでも貴方が立てるように支えてくれる人はこれだけいるんです」
来たのは何も彼らだけではない。
他にも立ち上がったプレイヤーはいた。そんな光景を見ながらカガミは翔に語り掛ける。不思議なものだ。これまで絶望感すらあったのに今でも高揚感すら感じる。
「……カガミ、少し時間を稼いでくれないか。すぐに戻る」
「任せてください」
一度、考えるように眼を瞑った翔はゆっくりと口を開きき、カガミに託すと、返された短い言葉に篭められた安心感を感じながら翔は一度、シミュレーターをログアウトする。
・・・
「あやこのシミュレーターは?」
「ダメだ、ロックがかかってて開ける事すら出来ない……ッ」
シミュレーターから出た翔はあやこについて問うが、カドマツが言うにはアイオライトが取り込まれた時、シミュレーターにロックがかけられてしまったのかあやこはまさに取り込まれたままであった。
「……今すぐアセンを組む」
自分がこのイベントに持ってきた新たなガンプラ。
そのアセンブルシステムを今、この場で組もうと言うのだ。
時間がかかるかもしれない。
しかし出来るだけ早く戻らねばならない。
「──なら俺達も手を貸すぞ」
すると背後から声をかけられ、振り返れば、翔達の戦いに引き寄せられたガンダムブレイカー隊の隊長やオペレーターがいたのだ。
「私達はバトルは出来ませんが、このお手伝いならできます!」
「まだあそこには貴方を待ってる人がいますからね!」
他にもかつてGGFとGWF2024のイベントMCをそれぞれ務めた二人の女性がいた。
彼女達はガンプラバトルは出来ないが、それでもシミュレーターの最初期から関わっており、アセンブルシステムを開発する補助くらいは出来る。
「だからあやこさんを……私達の仲間を助けてあげてください!」
オペレーターの少女の願いに頷き、翔は急いでアセンブルシステムを組み始める。
「───翔、あれはこれで戦う事が出来るのかしら?」
「レーア……?」
アタッシュケースからガンプラを取り、アセンブルシステムを組み始めた翔に背後から手を伸ばし、アタッシュケースからダブルオークアンタを取った人物が。振り返ればそこにはレーアをはじめとしたアークエンジェル隊の面々が。
どうやらバリゲートは完成したらしい。
見てみればロボットの残骸は増えており、ロボット自体ももう少ないのだろう。
「……カガミの話じゃ最初は慣れるまでは大変だけど結局はゲームだから作業用のMSより楽だって聞いた。私達も手伝うよ」
リーナはウィングガンダムゼロを手に取り、シミュレーターを見る。
イベントだけあってシミュレーターはまだ開いている所がある。とはいえその分、カドマツが出撃するシミュレーターに調整を加えるわけだが。
「……私がかつて取り込まれた時、貴方と姉さんが助けてくれた。貴方はどんな闇さえ照らしてくれる光。だからあの人も助けてあげて。きっと今でも不安に思ってる筈……。その為にも私達も手を貸すわ。貴方一人に押し付けない為にも」
レーアは翔の頬に両手をかけ、その目を見て、まっすぐ話す。
目の下にクマを作りやつれた今の翔を見ていると胸が締め付けられてしまう。
彼は元々無関係な異世界から戦争の世界に投げ込まれ、そして戦争を終わらせた。
彼一人に重荷を背負わせてしまった。
彼に比べればこんな事をしても比較にもならないのかもしれない。
それでも手を貸したかった。
彼は自分達の世界をその心を壊してまで戦ってくれたのだ。
今、こうして彼の世界にいるのであれば今度は自分達が彼の世界で彼の為に力を貸したかった。
「ありがとう、レーア……。それに皆……。俺は確かに抱えられない問題がある。それでも俺は皆を恨んだりしてない……。ルルも副長も……ショウマにリンにエイナル、リーナ、そしてレーアも……みんながいたから俺は戦えたんだ。もしあそこで皆に会えなかったら俺はこの場にいないかもしれない。俺一人に押し付けられたなんて考えた事もないよ……。だから皆……俺に力を貸してくれ」
頬にかけられたレーアの手を取り、かつての異世界の仲間達を見据えて思いを口にする。
彼女達は自分に重圧をかけたのだと責任を感じているのは分かっていた。
だからこそそれはここで否定したかった。
何故なら自分こそ彼らに感謝しているから。そんな翔の言葉に笑みを浮かべながら頷き、レーア達はカドマツの案内でシミュレーターに乗り込んで出撃する。
「妬いてしまうな、我々以外にも絆を感じる仲間がいるようじゃないか」
「……ガンダムブレイカー隊も彼女達も……俺にとっては優劣つけられないかけがえのない物ですよ」
レーア達とのやり取りを見ていた隊長が翔をからかうと、やり取りを見られた事に少し照れ臭さを感じながらもアセンブルシステムを組み始めるのであった。
・・・
≪──今回の任務は戦場に出現しているコアプログラムの破壊と我が隊の一員、あやこの救出だ≫
≪現在、戦力は均衡しています。ぶっつけ本番の新型ではありますがきっと如月さんなら使いこなせます!≫
あれから少しの時間が経ち、仲間の協力もあって短時間でアセンブルシステムを組み終え、再びシミュレーターに乗り込んだ翔は起動させながら、隊長の懐かしい作戦説明とオペレーターからの情報と励ましも、頷きながらシミュレーターに従ってガンプラをセットする。
それはガンダムブレイカー0、そしてガンダムブレイカーに続く如月翔の新しいガンプラだ。0からスタートし、今を超え、次のステージに行く為の新たなガンダムブレイカー。
「如月翔……ガンダムブレイカーネクスト……行きます……ッ!」
その名はガンダムブレイカーネクスト。
メインカメラを発光させて、カタパルトを勢いよく発進したブレイカーネクストは再び電脳空間に飛び込むのであった。
・・・
──キラリと光った。
「来たな、如月君!」
「待っていたぞ、少年!」
すると瞬く間にブレイカーネクストが現れ、手に持つGNスナイパーライフルⅡで狙撃をして撃ち抜くと、その周辺にいたHi-シナンジュのソウゲツとHi-νガンダムカスタムを操るユーゴが言葉通り待ちわびたと笑みを浮かべる。
「僕たちの力、見せてやりましょう!」
「どこの仲間に手を出したってのを分からせてあげなくちゃね!」
ブレイカーネクストが合流すると、LYNX操るZ,S,FⅡとアカネのフレイムノーベルがウィルスを打ち砕きながら、この先にいるであろうコアプログラムの方角を見据えながら声をかける。
それでもウィルスはまだ現れる。
このままでは足止めを食ってしまうだろう。
「翔君はあやこちゃんを助けてあげてね、絶対だよ!」
「白き天使を助け出す役目はお前に託そう、同胞よ!」
「ここは俺達に任せろぉっ!!!」
ならばエースである翔だけでも行かせようと言うのか、ルミカのNOBELL☆MAIOと再び中二病的言動が蘇ったレイジのOEATH MACHINE、そしてダイテツの極破王が道を切り開く為、ウィルスを撃破する。
「行け、翔! ガンダムブレイカー隊の意地見せてやれッ!!」
「ああ……! 皆……ありがとう……ッ!」
最後までブレイカーネクストと共に進んでいたナオキのダブルフリーダムが迫るウィルスの相手を引き受けると翔に託して、ガンダムブレイカー隊の想いを胸にコアプログラムを破壊し、あやこを助け出す為に翔はブレイカーネクストを勢いを更に増して突き進むのだった……。
ガンプラ名 ガンダムブレイカーネクスト
元にしたガンプラ νガンダム
WEAPON ビーム・サーベル(Hi-ν)
WEAPON GNスナイパーライフルⅡ
HEAD νガンダム
BODY νガンダム
ARMS ガンダムAGE-2ダブルバレット
LEGS ストライクフリーダムガンダム
BACKPACK Hi-νガンダム
SHIELD ビームキャリーシールド
拡張装備 バルカンボッド(頭部)
スラスターユニット(両脚部)
Iフィールド発生装置(背部)
イメージが湧きやすいように一応、活動報告に参考までに作らせてもらいました。興味がありましたらよろしければどうぞ